機上レーダー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 14:46 UTC 版)
広範囲を遠距離まで捜索し、空中目標の性状情報をある程度得るための高分解能の大型レーダー搭載が必須である。20世紀末頃のAESAレーダー(アクティブ・フェーズドアレイ・アンテナ)の登場により、搭載の仕方も多様化した。 円盤型 大きな円盤は空力特性を考慮したレドームであり、機体上部背面に背負うように搭載される。これは、360°回転するためロート・ドームと呼ばれる。カバー内部には、片面に捜索用レーダーアンテナ、もう一方にはIFFのアンテナが取り付けられ、これら全体が10秒程で1回転することで垂直尾翼の陰などを除くほぼ全周方向をレーダー覆域としている。上空の低温で潤滑オイルが固まってしまう恐れがあるため、レーダーが作動していなくても飛行中は常にロート・ドームを回転させ続ける必要がある。 現在は、従来からの回転式のものに加えて、固定式のものも存在する。これはAESAによる横長のレーダーアレイを円盤内に三角形に配置し、物理的な回転速度に縛られることなく冗長性を持って任務を行えるようになっている。 バランスビーム型(平均台型) バランスビーム型は、"AWACS"機の円盤型回転式だったレーダーアレイ部を、左右方向にだけ向けた2面のAESAにすることでやや薄い棒状にして空気抵抗を減らしたものといえる。回転機構がない分構造が簡素で軽量化できる反面、全周囲をカバーできないのが難点であるが、前後方向に追加のアンテナを持つことで死角をなくす工夫が行われるものもある。 コンフォーマル型 機体の前後左右にコンフォーマル・アレイ・アンテナを備えることで空力特性を損なわずに必要な方向にアンテナ・アレイを固定して持つことができる。レーダーを背負う形式ではないため、垂直尾翼など機体の一部に走査を遮られない利点がある。ただしアンテナの数が多い故に、電力消費などの面で不利になる。
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