収束型境界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/04 06:17 UTC 版)
収束型境界(しゅうそくがたきょうかい)とは、プレートテクトニクス理論において、プレート同士が接近している境界のこと。圧縮力が働いており、多くの場合片側のプレートがもう一方のプレートの下に沈み込んで海溝となる。
|
- 1 収束型境界とは
- 2 収束型境界の概要
収束型境界(せばまる境界)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/18 16:13 UTC 版)
「プレートテクトニクス」の記事における「収束型境界(せばまる境界)」の解説
詳細は「収束型境界」を参照 収束型境界ではプレートどうしが衝突し圧縮されるが、衝突するプレートの特性によって起きる現象が異なる。ただしどちらの境界においても造山運動が起き、造山帯を形成している。 沈み込み型 大陸プレートと海洋プレート、または海洋プレートどうしが衝突した場合、比重の大きいプレートが比重の小さいプレートの下に沈み込み、深い海溝を形成する。大陸プレートは海洋プレートより比重が軽いため、この2者が衝突した場合は海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込むこととなる。この沈み込みによって引きずり込まれた上部プレートが反発することで地震が発生する。こうしたプレートの境界で起きる地震はプレート間地震と呼ばれるが、このほかにプレートの下に沈み込んだプレート(スラブ)で起きるスラブ内地震も存在する。また地下深く沈んだプレートから分離された水が、周辺の岩石の融点を下げるため、大陸プレートの深部においてマグマが発生し、多くの火山を生成する。マグマの発生地点は海洋プレートが大陸プレートに沈み込む地点ではなく、そこからさらに大陸プレート側に入った地点であるため、沈み込みの起きている海溝から一定の距離を開けて、海溝に平行する火山列が形成されることとなる。この火山列より海溝側には火山が存在しないため、これを火山フロント(火山前線)と呼ぶ。この火山活動と大陸同士の衝突による褶曲によって、大陸プレート側には陸弧と呼ばれる大山脈が形成されることがある。陸弧の後背地が陥没して背弧海盆が形成されることも多く、この場合陸弧は大陸から切り離されて島弧となる。また、海洋プレートと海洋プレートが衝突する場合は、古いプレートの方が冷たく重いために新しいプレートの下に潜り込む。このとき、海洋プレートどうしの衝突によっても島弧が形成される場合がある。この島弧と海溝はセットとして存在しており、島弧・海溝系と呼ばれる。 海嶺で作られて以来、長い時間をかけて海の底を移動してきたプレートには、チャート、石灰岩、砂岩、泥岩といった多くの堆積物が載っているため、プレートが沈み込む際に陸側のプレートに張り付く現象が起こることがある。これを付加と言い、そうしてできたものを付加体と呼ぶ。日本列島もこのようにしてできた部分が多い。一方、付加体がほぼ存在せず、逆に上部プレートの一部を侵食し削りながら沈み込むタイプの境界も多く、沈み込み型境界の57%はこのタイプである。境界が付加型になるか侵食型になるかは沈み込みの速度により、速度が遅いほど堆積物が沈み込めず付加体となりやすい。沈み込んだ海洋プレートの残骸はスラブと呼ばれ、冷たく重いためにマントル内でさらに沈み込んでいき、外核とマントルの境界にまで達するものもある。 日本近海は北の北アメリカプレート、東の太平洋プレート、南のフィリピン海プレート、西のユーラシアプレートの4つのプレートの境界が近接しており、プレートの沈み込み運動が激しい地域の一つである。東北日本の東の海中では、約1億年前に太平洋東部で生まれた太平洋プレート(比重の大きい海洋プレート)が、東北日本を載せた北アメリカプレート(比重の小さい大陸プレート)に衝突している。重い太平洋プレートは、軽い北アメリカプレートにぶつかって、日本海溝に斜め下40 - 50°の角度で沈み込んでいる。地下深く沈んだ太平洋プレートから分離された水は周辺の岩石の融点を下げてマグマが発生し、北アメリカプレート側に多くの火山を生成する。火山から噴出した溶岩はやがて陸地を形成し、2000万年前から1500万年前にかけて火山列の後方に形成された背弧海盆である日本海によってアジア大陸から切り離され、島弧を形成した。太平洋プレートに衝突され押された北アメリカプレートは、圧縮応力を受けてひび割れ、たくさんの断層が発生し、北上山地などが生まれた。同様に、日本の南海上にある南海トラフではフィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込んでおり、伊豆・小笠原海溝においては太平洋プレートがフィリピン海プレートの下に沈み込んでいる。これによって、フィリピン海プレート側には伊豆・小笠原・マリアナ島弧と呼ばれる大規模な火山島弧が形成されている。海溝では、日本海溝に第一鹿島海山が沈み込んでいる様子なども観察されている。 衝突型 大陸プレートどうしが衝突する場合はどちらも比重が軽いために沈み込みが発生せず、境界が隆起し続けるために大山脈が形成される。現在もっとも活発で大規模な大陸衝突が起きているのはヒマラヤである。元来、南極大陸と一緒だったインドプレートが分離・北上して、約4,500万年前にユーラシアプレートと衝突し、そのままゆっくり北上を続けている。大陸プレート同士の衝突のため、日本近海のような一方的な沈み込みは生起せず、インドプレートがユーラシアプレートの下に部分的にもぐりこみながら押し上げている。その結果、両大陸間の堆積物などが付加体となって盛り上がり、8,000メートル級の高山が並ぶヒマラヤ山脈や、広大なチベット高原が発達した。 規模は小さいながらも、衝突運動が現在でも進行している地域としては、ニュージーランド(南島)や台湾が挙げられる。これらは、世界で最も速く成長している山地であり、台湾の隆起速度は、海岸線でも年間5ミリメートルを超える。 日本においては、日高山脈や丹沢山地が衝突型造山帯である。特に、丹沢山地は伊豆半島の衝突によってできたものであり、この衝突過程は現在も進行中である。ただし、日高山脈は活動を終えている。 過去の大規模な大陸衝突の跡は多く見つかっている。有名なものは、ヨーロッパアルプス、アパラチア山脈、ウラル山脈など。大陸衝突の過程には、未知の部分が非常に多く残っている。その理由は、沈み込み型境界では、深部で発生する地震の位置から地下のプレート形状を推定できるのに対して、大陸衝突帯では、深部で地震が発生しないからである。
※この「収束型境界(せばまる境界)」の解説は、「プレートテクトニクス」の解説の一部です。
「収束型境界(せばまる境界)」を含む「プレートテクトニクス」の記事については、「プレートテクトニクス」の概要を参照ください。
- 収束型境界のページへのリンク