収束属性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/04 07:53 UTC 版)
補間多項式の次数 n を無限大に漸近させたとき、その一連の補間多項式が補間対象の関数に収束するような関数の種類や補間ノードのシーケンスはどのようなものだろうか? 収束は他にも、様々なノルムについて考えられる。 等間隔ノードでは状況は悪く、無限に微分可能な関数では一様収束も保証されない。カール・ルンゲの古典的例として、区間 [−5, 5] の関数 f(x) = 1 / (1 + x2) がある。この場合、補間誤差 ||f − pn||∞ は n → ∞ に従って大きくなる。もう1つの例として、区間 [−1, 1] の関数 f(x) = |x| がある。この場合の補間多項式は x = −1, 0, 1 の3点以外では各点収束しない。 補間ノードの選択によって収束属性がよくなるだろうか? 次の定理がある程度答になるだろう。 任意の関数 f(x) が区間 [a,b] 上で連続であるとき、一連の補間多項式 p n ( x ) {\displaystyle p_{n}(x)} が [a,b] 上で f(x) に一様に収束するようなノードの並びが存在する。 証明は次の通り。最良の近似の一連の多項式 p n ∗ ( x ) {\displaystyle p_{n}^{*}(x)} が f(x) に一様に収束することは明らかである(ワイエルシュトラスの近似定理より)。したがって、ここでは個々の p n ∗ ( x ) {\displaystyle p_{n}^{*}(x)} をあるノード群の補間によって得られることを示せばよい。しかし、チェビシェフの交替定理として知られる最良近似の多項式ではそれが真である。特に補間多項式は f(x) と少なくとも n+1 回交差する。交差点が補間ノードとなるよう選択すると、最良の近似多項式と同一の補間多項式が得られる。 しかしこの方法の欠陥は、関数 f(x) 毎に改めて補間ノードを計算しなければならず、しかもそのアルゴリズムは数値的に実装するのが難しい点である。どんな連続関数 f(x) についても一連の補間多項式が収束するようなノードの組合せがあるだろうか? 答は残念ながら次の定理で示される通り否定的である。 ノードの任意の組合せについて、区間 [a,b] において一連の補間多項式が発散するような連続関数 f(x) が存在する。 その証明はルベーグ定数の下限推定を使うもので、それは上で定義したように Xn(すなわち Πn 上の射影作用素)の作用素ノルムである。ここで、次のような性質のノードの組合せを探す。 lim n → ∞ X n f = f , {\displaystyle \lim _{n\to \infty }X_{n}f=f,} for any f ∈ C ( [ a , b ] ) {\displaystyle f\in C([a,b])} 一様有界性原理(英語版)によると、Xn のノルムが一様有界であるときだけこのようなノード群が存在するが、 ‖ X n ‖ ≥ 2 π log ( n + 1 ) + C {\displaystyle \|X_{n}\|\geq {\frac {2}{\pi }}\log(n+1)+C} であることから、そのようなノード群は存在しない。 例えば、等間隔点を補間ノードとして選択したとき、ルンゲ現象による発散が見られる。なお、その関数は単に連続であるだけでなく、区間 [−1, 1] において無限に微分可能である。チェビシェフノードより良い例は、次の定理により、見つけるのがさらに難しい。 区間 [−1, 1] で絶対連続なあらゆる関数について、チェビシェフノードで構築した一連の補間多項式は一様に f(x) に収束する。
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