収束性と安定性とは? わかりやすく解説

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収束性と安定性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 02:46 UTC 版)

オイラー法」の記事における「収束性と安定性」の解説

数値解析における収束性は、おおよそ刻み幅 h を十分に小さくすると、方法局所誤差(の絶対値)も小さくなることを意味する時間 tn での局所誤差e n , h = y ( t n ) − y n {\displaystyle e_{n,h}=y(t_{n})-y_{n}} とする。数学的に収束性lim h → 0 ‖ e n , h ‖ = 0 {\displaystyle \lim _{h\to 0}\|e_{n,h}\|=0} を意味する原則として収束しない、また収束性証明できない方法絶対に使ってはいけない[要出典]。そのため、オイラー法収束性を示す必要がある。 y(tn + h) のテイラー展開からオイラー法の公式を引いて両辺絶対値を取ると ‖ e n + 1 , h ‖ = ‖ e n + h + h ( f ( t n , y ( t n ) ) − f ( t n , y n ) ) + O ( h 2 ) ‖ {\displaystyle \|e_{n+1,h}\|=\left\|e_{n+h}+h{\Bigl (}f{\bigl (}t_{n},y(t_{n}){\bigr )}-f(t_{n},y_{n}){\Bigr )}+O(h^{2})\right\|} となる。解の滑らかさ仮設よりリプシッツ連続用いて不等式 ‖ f ( t n , y ( t n ) ) − f ( t n , y n ) ‖ ≤ λ ‖ e n , h ‖ {\displaystyle \|f(t_{n},y(t_{n}))-f(t_{n},y_{n})\|\leq \lambda \|e_{n,h}\|} を得る。ここでの λ {\displaystyle \lambda } は f {\displaystyle f} のリプシッツ定数である。三角不等式より上記両式合わせて、 ‖ e n + 1 , h ‖ ≤ ( 1 + h λ ) ‖ e n , h ‖ + C h 2 {\displaystyle \|e_{n+1,h}\|\leq (1+h\lambda )\|e_{n,h}\|+Ch^{2}} という漸化式になる。C は定数であり、h2 の係数絶対値考えて大差はない。 e 0 , h = y 0 − y ( t 0 ) = 0 {\displaystyle e_{0,h}=y_{0}-y(t_{0})=0} を使ってこの漸化式を解くと上界e n , h ‖ ≤ C m a x h λ ( ( 1 + h λ ) n − 1 ) {\displaystyle \|e_{n,h}\|\leq {\frac {C_{\mathrm {max} }h}{\lambda }}\left((1+h\lambda )^{n}-1\right)} がある(帰納法による証明も可能である)。ここで、Cmax定数である。固定され時間 t n = t 0 + n h {\displaystyle t_{n}=t_{0}+nh} での局所誤差の上界はゆえに ‖ e n , h ‖ ≤ C m a x h λ ( e ( t nt 0 ) λ − 1 ) {\displaystyle \|e_{n,h}\|\leq {\frac {C_{\mathrm {max} }h}{\lambda }}(e^{(t_{n}-t_{0})\lambda }-1)} (ここで不等式 1 + x ≤ e x {\displaystyle 1+x\leq e^{x}} を使った)。上記式から h が 0 の極限局所誤差も 0 に収束する。すなわち、オイラー法収束である。 そのうえ、exテイラー展開用いて、 ‖ e n , h ‖ = O ( h 2 ) {\displaystyle \|e_{n,h}\|=O(h^{2})} であることも明らかになる。したがってオイラー法1次方法となる。 収束性示したことで、方法使えるうになる。しかし、収束性保証できるのは、h が十分小さ場合近似解厳密解収束することのみである。一体 h をどれだけ小さくすれば正し近似解得られるのかは一切伝えていない。例えば h を 1012 以下にしないと近似解厳密解近付かない場合最低限でも 1012 時間での解を計算しなければならないので効率大きく下がる。そのため、もし h に関係なく近似解思わぬ行動取れないことを示せるなら、h を自由に設定できてそのような心配はいらなくなる。上述条件満たされる方法は、おおよそ数値的に安定正しくいうとA-安定)である。厳密な定義や他の安定性(L-安定零点安定他)については、硬い方程式参照線形微分方程式 y ′ = k y {\displaystyle y'=ky} をオイラー法により求め場合 z = h k {\displaystyle z=hk} を複素平面にとったとき図の円より外側領域数値解が不安定となる。 { z ∈ C ∣ | z + 1 | ≤ 1 } , {\displaystyle \{z\in \mathbf {C} \mid |z+1|\leq 1\},} 図の領域線形安定領域呼ばれる例えば k = − 2.3 {\displaystyle k=-2.3} の場合では、時間刻み幅 h = 1 {\displaystyle h=1} では z = h k = − 2.3 {\displaystyle z=hk=-2.3} となる。 よってこの z {\displaystyle z} では安定領域より外側領域のためオイラー法数値解は不安定となる。

※この「収束性と安定性」の解説は、「オイラー法」の解説の一部です。
「収束性と安定性」を含む「オイラー法」の記事については、「オイラー法」の概要を参照ください。

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