絶対値とは? わかりやすく解説

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ぜったい‐ち【絶対値】

読み方:ぜったいち

ある数aが正またはのときはa自身、負のときは負号取り去ったもの。|a|で表す。

「絶対値」に似た言葉

絶対値

数直線上で数を表す点と原点との距離をその数の絶対値という。


絶対値

処理製表をする前のデータ通常生データ 1ないし未加工データ 1呼ばれ、処理と製表をした後のデータ基礎データ 1ないし第一次データ 1呼ばれる基礎データ通常統計表 4の形でまとめられた絶対値 3系列 2からなるこのような表のデータ通常年齢子供数といった特定の変数 5ないし変量 5に関して分類されたり、特定の属性 6ないし特性 6(すなわち性、配偶関係等)に関して分類されたりする。データいくつかの変数ないし属性に関して同時に分類されるような表は、クロス集計表 7ないし関連表分割表) 7呼ばれる要約表 8個別表 9ほど詳細でない情報もたらす


絶対値

作者日向蓬

収載図書ヘヴンリー
出版社集英社
刊行年月2005.12


絶対値

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/21 19:56 UTC 版)

数の絶対値は零からの距離と考えられる

数学における実数 x絶対値(ぜったいち、: absolute value)または母数(ぼすう、: modulus|x| は、その符号を無視して得られる非負の値を言う。つまり正数 x に対して |x| = x および負数 x に対して |x| = x(このとき x は正)であり、また |0| = 0 である。例えば 3 の絶対値は 3 であり −3 の絶対値も 3 である。数の絶対値はその数の零からの距離と見なすことができる。

実数の絶対値を一般化する概念は、数学において広範で多様な設定のもとで生じてくる。例えば、絶対値は複素数四元数順序環などに対しても定義することができる。様々な数学的あるいは物理学的な文脈における大きさ英語版 (magnitude) や距離およびノルムなどの概念は、絶対値と緊密な関係にある。

用語と記法

1806年にジャン゠ロベール・アルガン英語版が導入した用語 module は、フランス語で「測る単位」を意味する言葉で、特に複素数の絶対値を表すためのものであった[1][2]。それは対応するラテン語の modulus として1866年に英語にも借用翻訳されている[1]absolute value が本項に言う意味で用いられたのは、少なくとも1806年にフランス語で[3]および1857年に英語で[4][注釈 1]見られる。両側を縦棒で括る記法 |x|カール・ヴァイアシュトラスが1841年に導入した[5]:25。絶対値を表すほかの名称には numerical value[1](数値)や magnitude[1](大きさ)などが挙げられる。プログラム言語や計算機ソフトでは x の絶対値を abs(x) のような函数記法で表すことが一般に行われる。

縦棒で括る記法は他の数学的文脈でもいくつも用いられる(例えば、集合を縦棒で括ればその集合の濃度を表し、行列に用いれば行列式を表す)。したがって、縦棒が絶対値を表すためのものか判断するには、その引数が絶対値の概念が定義される代数的対象(例えば、実数や複素数や四元数などのノルム多元体)かどうかに注意が払われなければならない。絶対値とよく似て非なる概念に縦棒記法が使われる例として、Rn のベクトルに対するユークリッドノルム[6]:1および上限ノルム[7]:4などが挙げられるが、これらについては二重縦棒と下付き添字を用いた記法(それぞれ ‖ • ‖2 および ‖ • ‖)を用いるのがより一般的で紛れも少ない。

定義

実数 x絶対値は「実数から符号を取り除いたもの」:

絶対値函数のグラフ
三次函数と絶対値函数の異なる順番での合成

実数の絶対値が定める非負実数値函数 Rx ↦ |x| ∈ R+ は至る所連続で、x = 0 を除き至る所微分可能[注釈 3]である。また、区間 (−∞,0] 上で単調減少であり、区間 [0,+∞) で単調増加である。各実数とその反数の絶対値は同じ値であるから、絶対値函数は偶函数であり、それゆえ逆函数を持たない。この実絶対値函数は区分線型凸函数である。また、冪等である。

  • 符号函数 sign(x) を用いれば、|x| = x sign(x) と書ける。また x = |x| sign(x) であり、x ≠ 0 のとき sign(x) = x/|x| = |x|/x が成り立つ。

x ≠ 0 における導函数

原点からの距離 r が絶対値を表す

複素数 z = a + ib に対して、その絶対値は

で与えられる非負実数値である。b = 0 とすることにより、z が実数値を取るときには実数の絶対値に一致することが確かめられる。

zガウス平面上の点として解釈すれば、|z| とは原点から z までの距離である。複素数を扱う際に、その数を絶対値と偏角とによって表す極形式の考え方は有益である。

複素数 z とその複素共軛 z に対して が成り立つ。また、z が引き起こすガウス平面上の一次変換の母数(モジュラス)である。これを と書けば、これは実数の絶対値を と定める定義の対応版と見ることができる(実際、実数 x を虚部が 0 の複素数 zx + 0⋅i と見れば、z = x = z したがって zz = xx = x2 である)。同様のことはより一般のノルム多元体(あるいはさらに一般の合成代数)において考えることができる。

ベクトルのノルム

絶対値の概念を拡張したものとしてノルムがある。(実または複素数体)K 上のベクトル空間 V に属するベクトル v のノルムあるいは大きさ (magnitude) または長さ (length) ‖ v ‖ は、以下の性質

  • 非負性: ‖ v ‖ ≥ 0
  • 非退化性: v = 0 ⇔ ‖ v ‖ = 0
  • 正斉次性: ‖ av ‖ = |a|⋅‖ v ‖ (aK)
  • 劣加法性: ‖ v + w ‖ ≤ ‖ v ‖ + ‖ w ‖

を満たす。従って、ノルムは距離 d(x, y) = ‖ xy ‖ を誘導する。上記の実数に対する絶対値、複素数に対する絶対値はどちらもノルムの条件を満たす。絶対値の誘導する距離はノルムの誘導する距離である。

リース空間における絶対値

リース空間と呼ばれる順序線型空間英語版のベクトル v に対しては、|v| = v ∨ (−v) で絶対値が定義される。例えば集合 X 上の実数値(あるいはより一般に全順序群に値をとる)函数全体の成す集合は、f, g に対して (fg)(x) ≔ max{f(x), g(x)}, (fg)(x) ≔ min{f(x), g(x)} と置くことによりリース空間となり、各 f に対して

|f|(x) ≔ max{±f(x)}

f の絶対値を与える。f± ≔ ±f ∨ 0 と置けば、絶対値は |f| = f+ + f と書ける。

体の賦値

有理数体上の p-進絶対値など、体の賦値も絶対値の一般化である。賦値には加法賦値乗法賦値があり、乗法賦値(特に指数賦値)のことをしばしば絶対値あるいはモジュラスと呼称する。賦値体はその賦値の定める距離位相に関して位相体を成す。

複素数体 の部分体がアルキメデス的な乗法賦値を持つならば、それは本項で述べたような通常の絶対値に(同値の差を除いて)一致する。代数体上のアルキメデス的な乗法付値 は、 への埋め込み σ をうまくとれば、 (ここで は通常の絶対値)と同値となる。一方、代数体上の非アルキメデス的な乗法付値は、有理数体上のp進付値に(同値の差を除いて)一致する。代数体上の乗法付値の同値類のうち、有理数体上で通常の絶対値あるいは正規p進付値と一致するものを標準的な絶対値 (standard absolute value)という[13]

v が代数体 K 上の標準的な絶対値であるとき、この絶対値による K の完備化を とあらわす。また、この絶対値を有理数体上に制限したものによる、有理数体の完備化を とあらわす。このとき の拡大体となっており、その拡大次数 v局所次数 (local degree) と呼ぶ。このとき、

正規化された絶対値 (normalized absolute value) という。 v がアルキメデス的な絶対値であれば、 K の埋め込み σ をうまくとり、

とあらわせる。また、このとき σ が実埋め込みならば で、複素埋め込みならば が成り立つ。v が非アルキメデス的な絶対値で、 v の有理数体への制限が p-進付値に一致しているとき、 p の上にある K 上の素イデアル π をうまくとれば、 は正規 π-進付値に一致する。すなわち

が成り立つ(この正規化された絶対値 と書いている文献も存在する[14]。)。

v がすべての標準的な絶対値を走るとき、 積公式

が成り立つ。

非アルキメデス的な乗法付値は一階の加法的な賦値と対応がとれ、これらはしばしば同一のものとして扱われる。加法的賦値体あるいは順序体においてその賦値環は、その体における正の数全体の集合を本質的に特徴付けるものである。有限体 Fq (q = pf) において標準的な賦値(モジュラス)は p-進絶対値の冪

である。これを適当なハール測度による立方体の体積と理解することもある。

脚注

注釈

  1. ^ オックスフォード英語辞典第2版の最も古い引用は1907年から。もちろん relative value(相対値)と対照を成す語としても absolute value(絶対値)は使われる
  2. ^ 例えば実数直線xy-平面x-軸と看做せば、任意の実数 x は点 (x, 0) で表され、0 は原点 (0, 0) に対応する。平面上の任意の点 (x, y) と原点とのユークリッド距離(x − 0)2 + (y − 0)2 = x2 + y2 で与えられるから、x0 との距離はちょうど x2 に等しい。
  3. ^ ただし、この微分可能性は複素微分可能を意味しない。つまり、複素変数の絶対値函数はコーシー–リーマンの方程式を満たさない[10]
  4. ^ この公理系は極小ではない。実際、非負性は他の三つから出る: 0 = d(a, a) ≤ d(a, b) + d(b, a) = 2d(a, b).

出典

  1. ^ a b c d Oxford English Dictionary, Draft Revision, June 2008[要ページ番号]
  2. ^ Nahin, O'Connor and Robertson, and functions.Wolfram.com.; for the French sense, see Littré, 1877
  3. ^ Lazare Nicolas M. Carnot, Mémoire sur la relation qui existe entre les distances respectives de cinq point quelconques pris dans l'espace, p. 105, - Google ブックス
  4. ^ James Mill Peirce, A Text-book of Analytic Geometry, p. 42, - Google ブックス
  5. ^ Higham, Nicholas J., Handbook of writing for the mathematical sciences, SIAM., ISBN 0-89871-420-6 
  6. ^ Spivak, Michael (1965). Calculus on Manifolds. Boulder, CO: Westview. ISBN 0805390219 
  7. ^ Munkres, James (1991). Analysis on Manifolds. Boulder, CO: Westview. ISBN 0201510359 
  8. ^ Mendelson 2008, p. 2.
  9. ^ Stewart, James B. (2001). Calculus: concepts and contexts. Australia: Brooks/Cole. ISBN 0-534-37718-1 
  10. ^ a b Weisstein, Eric W. "Absolute Value". MathWorld (英語).
  11. ^ Bartle & Sherbert 2011, p. 163.
  12. ^ Wriggers, Peter (1999), Panatiotopoulos, Panagiotis, ed., New Developments in Contact Problems, ISBN 3-211-83154-1 
  13. ^ Hindry & Silverman 2000, p. 171.
  14. ^ たとえば Yann Bugeaud; Kálmán Győry (1996), “Bounds for the solutions of unit equations”, Acta Arithmetica 74: 67--80, MRMR1367579, http://pldml.icm.edu.pl/pldml/element/bwmeta1.element.bwnjournal-article-aav74i1p67bwm 

参考文献

関連項目

  • 擬絶対値: 乗法性が劣乗法性に緩まる
  • 絶対平方 (absolute square) / 自乗ノルム (square norm) / 二次形式(計量二次形式): スカラーに対する斉次性は落ちる
  • 大きさ (数学)英語版
  • 合成代数: 乗法的な自乗ノルムを持つ

外部リンク


絶対値

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/21 13:52 UTC 版)

複素数」の記事における「絶対値」の解説

詳細は「複素数の絶対値」を参照 複素数 z = x + yi(x, y は実数)の絶対値は | z | = x 2 + y 2 {\displaystyle |z|={\sqrt {x^{2}+y^{2}}}} で定義される。これは 0 以上の実数である。z が実数(つまり y = 0)のとき |z| は実数の絶対値 |x| = max{x, −x} に一致する複素数の絶対値は、ピタゴラスの定理により、複素数平面における原点 O(0) とのユークリッド距離等しい。そして次が成り立つ。 非退化性:|z| = 0 ⇔ z = 0 三角不等式:|z + w| ≤ |z| + |w|(劣加法性とも) 乗法性:|zw| = |z||w| 逆に複素数の絶対値は、実数の絶対値複素数拡張した乗法的ノルムとして特徴付けられる複素数 z の絶対値 |z| は、z を形式表示z = r(cos θ + i sin θ) したときの動径 r に等しい。 共役複素数自身の積は、絶対値の平方等しい。すなわち複素数 z に対して | z | 2 = z z ¯ = x 2 + y 2 {\displaystyle |z|^{2}=z{\overline {z}}=x^{2}+y^{2}} が成り立つ。

※この「絶対値」の解説は、「複素数」の解説の一部です。
「絶対値」を含む「複素数」の記事については、「複素数」の概要を参照ください。

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絶対値

出典:『Wiktionary』 (2021/06/26 02:51 UTC 版)

名詞

絶対 ぜったいち

  1. あるベクトル原点からの距離

翻訳


「絶対値」の例文・使い方・用例・文例

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