劣加法性
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数学の分野における劣加法性(れつかほうせい、英: subadditivity)とは、大まかに言うと、定義域に含まれる二つの元の和についての関数の値が、それら各元についての関数の値の和よりも常に小さいか等しい、という性質のことを言う。数学の様々な研究領域、特にノルムや平方根などに関する領域において、数多くの劣加法的関数の例が知られている。加法的関数は、劣加法的関数の特別な場合である。
- ^ Fekete, M. "Uber die Verteilung der Wurzeln bei gewissen algebraischen Gleichungen mit. ganzzahligen Koeffizienten." Mathematische Zeitschrift 17 (1923), pp. 228–249.
- ^ Michael J. Steele. "Probability theory and combinatorial optimization". SIAM, Philadelphia (1997). ISBN 0-89871-380-3.
- ^ Michael J. Steele (2011). CBMS Lectures on Probability Theory and Combinatorial Optimization. University of Cambridge.
- ^ Schechter, Eric (1997). Handbook of Analysis and its Foundations. San Diego: Academic Press. ISBN 0126227608, p.314,12.25
劣加法性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/19 07:35 UTC 版)
2つの系をまとめて考えたとき、それぞれの系のエントロピーの総和より大きなエントロピーには決してならない。これは劣加法性 (subadditivity) の一例である。 H ( X , Y ) ≤ H ( X ) + H ( Y ) {\displaystyle H(X,Y)\leq H(X)+H(Y)} この不等式が等式になるのは、 X {\displaystyle X} と Y {\displaystyle Y} に確率論的独立性がある場合だけである。
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劣加法性
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「フォン・ノイマンエントロピー」の記事における「劣加法性」の解説
ρA, ρB が一般状態 ρAB を還元した密度行列とすると、 | S ( ρ A ) − S ( ρ B ) | ≤ S ( ρ A B ) ≤ S ( ρ A ) + S ( ρ B ) {\displaystyle \left|S(\rho _{A})-S(\rho _{B})\right|\leq S(\rho _{AB})\leq S(\rho _{A})+S(\rho _{B})} が成り立つ。 この不等式の右辺は劣加法性として知られている。2つの不等式を組み合わせ、三角不等式としても知られている。これらの式は 1970年に、荒木不二洋(Huzihiro Araki)とエリオット・リーブ(英語版)(Elliott H. Lieb)により証明された。シャノンの理論において混合系のエントロピーは、いかなるその部分のエントロピーよりも低くなりえないが、量子理論ではそのようにはならず、つまり、 S(ρAB) = 0 であったり、 S(ρA) = S(ρB) > 0 であったりすることが可能である。 直感的には、これは次のように考えることができる。量子力学において、合併系のエントロピーは、成分は量子的にもつれている可能性があるので、その成分のエントロピーの和よりも小くすることができる。例えば、2つのスピン1/2のベル状態(英語版)(Bell state)を見ると明らかである。 | ψ ⟩ = | ↑↓ ⟩ + | ↓↑ ⟩ , {\displaystyle \left|\psi \right\rangle =\left|\uparrow \downarrow \right\rangle +\left|\downarrow \uparrow \right\rangle ,} は 0 エントロピーを持つ純粋状態であるが、還元された密度行列(英語版)(reduced density matrix)の中で個別に考えたとき、それぞれのスピンは最大エントロピーを持っている。一つのスピンのエントロピーはもう一つのスピンのエントロピーにより補正されることで「キャンセル」することができる。不等式の左辺は、大まかには、同じ量のエントロピーの量よってのみキャンセルされると解釈することができる。 系 A と系 B が異る量のエントロピーを持つと、より小さな方のみが部分的により大きな方をキャンセルすることができ、あるエントロピーが残る。同様に、不等式の右辺は、その成分が補正されない場合に、混合系のエントロピー最大化されると解釈することができ、その場合には全エントロピーはまさに部分エントロピーの和となる。このことはより直感的にヒルベルト空間に代わりに相空間の定式化(英語版)(phase space formulation)の中で理解される。そこでのフォン・ノイマンエントロピーは、オフセットシフトを除き、ウィグナー函数(英語版)(Wigner function)の ★-対数の期待値を引いて測られる。このオフセットシフトの正規化を除き、エントロピーはその古典極限(英語版)(Classical limit)により最大化される。
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