加齢黄斑変性の臨床手術遂行と展開
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「高橋政代」の記事における「加齢黄斑変性の臨床手術遂行と展開」の解説
2014年9月12日、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターと先端医療センター病院がiPS細胞から作った網膜の細胞を、「加齢黄斑変性」の患者に移植する臨床研究の手術を行ったと発表。今回は安全性の確認を目的とした臨床研究であり、実際に患者の体に移植したのは世界初となる。 2014年9月18日、合併症等の有害事象の発生はなく、移植したiPS細胞シートは所定の位置に留まっており異常なく、経過良好で患者退院。 計画が進む神戸アイセンターにも関与。同年12月にはネイチャー誌から「今年の10人」に選出され、「トラブルの年に希望をもたらした」「眼科医が幹細胞分野に希望を注入した」と評価された。 2015年10月2日、加齢黄斑変性の手術から1年が経過したことを受け、理化学研究所多細胞システム形成研究センターと先端医療振興財団が、神戸市内で記者会見を行い、手術から1年を過ぎた患者の状態について、「がんなどの異常は見られず、安全性の確認を主目的とした1例目の結果としては、良好と評価できる」と発表した。視力は術前とあまり変わらない0.1程度を維持しており、患者女性は「明るく見えるようになり、見える範囲も広がったように感じる。治療を受けて良かった」と話していると報告された。 2017年3月16日、1年後の経過観察ののち、上記の加齢黄斑変性の手術に関する論文を最終発表した。2症例について報告し、そのうち症例1ではiPS由来の組織は定着してものの、上記の報道にも関わらず視力はよくも悪くもなっていなかった、術後4週間で消えていた病変である浮腫が再度現れたことを報告している。症例2ではiPS細胞から作った細胞が遺伝子異常を示したので移植を見送ったとしている。 2017年2月2日、高橋政代をプロジェクトリーダーとし、神戸市立医療センター中央市民病院、大阪大学大学院医学系研究科、京都大学iPS細胞研究所、理化学研究所が申請していた他人由来のiPS細胞を使った滲出型加齢黄斑変性症の臨床試験に対し厚生労働省が計画を了承した。他人由来のiPS細胞を使った臨床研究は世界初となる。2017年4月から5人の患者に移植が実施された。 2019年4月18日、理化学研究所が他人由来のiPS細胞を使った滲出型加齢黄斑変性の治療を受けた5人の患者の術後1年の経過を報告。安全性が確認され、視力低下も抑えられた。5人とも移植細胞が定着しており、損なわれた目の構造が修復できたことも確認した。1人で軽い拒絶反応が出たが、ステロイド剤の投与で抑え込むことができた。プロジェクトリーダーである高橋政代は「実用化に向け7合目まで来た」と評価した。
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