収束へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 08:52 UTC 版)
「福島第一原子力発電所事故」の記事における「収束へ」の解説
原子炉の冷温停止状態を目指す復旧作業として、原子炉と使用済み核燃料プールを冷やすための注水または放水(初期は海水、のちに福島県双葉郡大熊町の坂下ダム貯水の淡水を使用)が各種ポンプ車両、および仮設ポンプなどにより行われ続け、完成とは呼べないものの7月上旬には従来の注水から、アレヴァ、キュリオンの設備により放射性物質を除去した上での循環水冷却に完全に移行。8月には東芝などの開発したサリー (機械)も加わり処理能力が向上した。以降も引き続き事態を収束へ向かわせる懸命の努力が続いた。 現場では、過酷な状況の中で作業者、技術者らが事故収束作業をしている。彼らは当初の人数に因み「フクシマ50」(フクシマフィフティ)などと称賛された。 注水を継続する中、タービン建屋の修理に必要な汚染水移送や、国内外のロボットを使った調査などがされている。原子炉建屋は高線量で人が立ち入れず、配管故障状況の調査、修理は難航しており、多くの計器や電気系統が故障し、原子炉の状態の詳細は把握されていない。それを助けるために、「原発災害用ロボット」を使った調査・情報収集も行われている。 原発事故へのロボットの投入については「レスキューロボット#原発災害用ロボット」を参照 4月17日、東京電力から2011年10月 - 2012年1月に原子炉を冷温停止させる2ステップからなる収束工程表が発表された。進められている手順は、主に以下の通りである。 機器のリモートコントロール化を利用し、また、作業員の線量管理、健康管理を厳重に行うことで、被曝などによる疾病を予防する。 建屋に人が入れるように、また、環境に漏出させないように、放射性物質を含む溜まり水を保管できる先を確保して移す。将来は浄化する。 立ち入れるよう、建屋の空気をフィルターでこして線量を下げる。 立ち入れるようになったら水位計、圧力計を修理して状況をより正確に把握する。状況に応じて適切に冷却手段を講じる。その過程で圧力が下がりすぎて空気(酸素)の流入で水素爆発が起こらないよう、窒素の注入を慎重に継続する。 4号機の使用済み燃料プールが損壊しないよう、下部を補強する。 空冷による冷却水循環系を早期に構築して、冷温停止させる。 作業の制約になる敷地内の線量を減少させ、また大気汚染を減らすために、主に以下の対策が行われた。 飛散防止剤(樹脂エマルジョン)の敷地散布。 リモートコントロール重機による汚染した瓦礫の撤去。 原子炉建屋を特殊なカバーで覆う。 2011年12月16日、政府は「発電所の事故そのものは収束に至った」として原子炉の冷温停止を宣言した。福島県知事は事故は収束していないとして反発した。 2013年3月18日に1号・3号・4号・共用プールの使用済み燃料プールが停電状態に陥って循環冷却機能を一時喪失したが、20日未明までに配電盤の復旧を行い冷却機能を回復した。
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