新潟県
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/26 03:11 UTC 版)
「潟」の字について
言語 | 表記 | 発音 | 備考 |
---|---|---|---|
日本語 | 新潟 | にいがた [ɲ̟iːɡa̠ta̠][注 10] (にーがた) |
正字 |
新泻 | 略字 | ||
新澙 | 異体字の例の1つ | ||
中国語 | 新泻 | Xīnxiè (シンシエ) |
簡体字(普通話他) |
新瀉 | 繁体字(台湾国語他) | ||
新潟 | Xīnxì (シンシー) |
(新潟県庁推奨) |
本県を指す漢字表記は複数存在するが、日本語においてはいずれの字体であっても「にいがた、[ɲ̟iːɡa̠ta̠][注 10] にーがた」と読む。中でも正字とされる「潟」を用いた「新潟」が最も一般的な表記である。 他に方言漢字とも呼ばれるが、さんずいに写と書く「泻」を用いて「新泻」と書く場合がある。かつて「泻」は節用集にも登録されるほど一般的に認知された文字であり[54][55]、江戸時代の板本(印刷本)おいて、松尾芭蕉『おくのほそ道』および上田秋成『雨月物語』では「象泻」(現・秋田県にかほ市の象潟)との表記が見られ[56]、鈴木牧之『北越雪譜』では「新泻」や「鎧泻」といった現在の本県における地名においても「泻」の使用が認められる[57]。これら印刷本の流通により、全国で「潟」と略字とされる「泻」は同列視されていたとみられる[56](「潟」には複数の異体字がある[57])。
明治に入ると活版印刷が出版物の主流となるが、終戦までに販売された明朝体の活字を調べると、正字とされる「潟」のみが販売され、略字とされる「泻」は販売されなかった[56]。すなわち明治以降、「泻」の字は印刷物から一掃されるが、新潟・象潟・八郎潟[54]、あるいは島根県の白潟天満宮[58] など、「潟」の字を日常的に使用するエリアにおいて「泻」は活字以外で生き残り、方言字化していった。新潟県では道路標識などでも「新泻」が使用されていたが、1981年(昭和56年)に「潟」の字が常用漢字に採用されると「新泻」との表記は衰微していった[56][59]。
多くの人が正しく書けない漢字としても「潟」は例として出されることが多い。
中国語においては、簡体字で「新泻」[60]、繁体字で「新瀉」[61] と表記する例が見られる。これらは北京語で拼音: (シンシエ)と発音する。2007年(平成19年)6月28日の新潟県議会6月定例会総務文教委員会において、中国語における泻(瀉)の字義と潟のそれが異なることを理由に、これらの中国語表記を問題視する質問があった[62]。同年8月1日、新潟県庁は公式サイト上で中国語での「新潟」(拼音: [63] シンシー)の表記の使用を県庁内および県関連機関に要請した(日本語において「新泻」の使用を止めて「新潟」を使用するよう要請したものではない)[63]。
注釈
- ^ 本州部分は331.0 km。佐渡島が279.9 km、粟島が23.1 km。
- ^ 寺泊は2000年 - 2020年、松浜は2003年 - 2020年
- ^ 新潟県教育委員会編纂「私たちの新潟県」で佐渡地方を下越地方に含めるとする見解が示されたことも一時期あった。
- ^ 後述の広域市町村圏とは燕市・弥彦村など一部が異なる。
- ^ より正確には、1876年に現在の富山県に相当する『新川県』が石川県に併合された。また同年、現在の福井県にほぼ相当する『敦賀県』が南北(嶺南と嶺北)に分割され、嶺南が滋賀県、嶺北が石川県へと併合された。
- ^ より正確には、1881年に福井県が独立、1883年に富山県が独立した。
- ^ より詳細には、それ以前までの「大阪府」は現在の大阪府の北半分の範囲であり、現在の大阪府の南半分は当時『堺県』が管轄した。堺県はまた現在の奈良県(大和国)の全域も管轄していた。そして1881年に大阪府が堺県を併合したため、現在の大阪府および奈良県の全域を管轄することとなった。
- ^ 開局から2019年9月までの社名は株式会社新潟総合テレビ。
- ^ 新潟駅 - 新津駅・内野駅・豊栄駅
- ^ a b 語頭の「に」が国際音声記号では [ɲi] で示され硬口蓋鼻音が用いられていることになっているが、実際は口蓋化した歯茎鼻音の [nʲi] であるとも。
出典
- ^ “錦鯉を「県の鑑賞魚」に指定します”. 新潟県広報広聴課 (2017年3月29日). 2019年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年5月9日閲覧。
- ^ “第129回 新潟県統計年鑑 2018 (第1章 県土・気象)”. 新潟県庁 総務管理部 統計課 統計情報班 (2019年6月29日). 2022年1月12日閲覧。
- ^ “統計データ > 日本の統計 > 本書の内容 > 第2章 人口・世帯 > 都道府県別人口と人口増減率”. 総務省統計局. 2022年1月12日閲覧。
- ^ “第99回 地域区分のいろいろ(1)”. NetAdvance Inc.. 2023年1月16日閲覧。
- ^ a b “圏域部会における検討状況について”. 国土交通省. 2023年1月16日閲覧。
- ^ a b c d e “リンク集:県内市町村|地図から探す”. 新潟県庁 知事政策局 ICT推進課 スマート自治体推進班 企画調整担当 (2019年8月26日). 2022年1月12日閲覧。
- ^ 新潟県庁 総務管理部 市町村課 行政班 (2021年8月10日). “住民基本台帳に基づく市町村別人口、世帯数”. 新潟県庁. 2022年1月2日閲覧。
- ^ “世界大百科事典 第2版「越佐史料」の解説”. コトバンク. 2022年1月12日閲覧。
- ^ a b c “新潟県の歴史相談室> 新潟県全般に関する相談>Q2 新潟県が成立したのはいつか?”. 新潟県立文書館. 2022年1月12日閲覧。
- ^ a b c “統計データハンドブック(平成24年) 第 1 章 県土・気象”. 新潟県庁 総務管理部 統計課 統計情報班 (2019年1月17日). 2022年1月12日閲覧。
- ^ “水管理・国土保全>統計・調査結果>日本の川>北陸の一級河川 - 信濃川”. 国土交通省. 2022年1月12日閲覧。
- ^ “日本大百科全書(ニッポニカ)「越後平野」の解説”. コトバンク. 2022年1月12日閲覧。
- ^ “日本大百科全書(ニッポニカ)「関川」の解説”. コトバンク. 2022年1月12日閲覧。
- ^ “日本大百科全書(ニッポニカ)「高田平野」の解説”. コトバンク. 2022年1月12日閲覧。
- ^ a b “新潟県の気象の特徴”. 新潟地方気象台. 2022年6月25日閲覧。
- ^ a b “新潟県の雪情報 降積雪資料”. 新潟県. 2022年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月25日閲覧。
- ^ “積雪世界一 8m18cm! 上越市板倉区柄山の春”. 上越タウンジャーナル. (2010年3月1日)
- ^ 気象庁データは「気象庁 過去の気象データ検索」(2021年2月7日閲覧)、県データは「新潟県の雪情報 降積雪資料 - 新潟県」(2021年2月7日閲覧)をそれぞれ参照した。
- ^ a b “リンク集:県内市町村”. 新潟県総務管理部 情報政策課. 2020年2月22日閲覧。
- ^ “気象警報・注意報や天気予報の発表区域:新潟県”. 気象庁. 2020年2月24日閲覧。
- ^ “Ⅲ その他の広域行政制度 連携中枢都市圏・定住自立圏等”. 広域行政事務の手引. 新潟県総務管理部 市町村課. 2020年2月22日閲覧。
- ^ 市町村合併に伴う新潟県内の広域市町村圏 - 新潟県
- ^ “地域特性資料:明治期と現在の都道府県別人口一覧”. 北陸の社会資本2003. 国土交通省北陸地方整備局. 2020年2月22日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 辰井裕紀 (2021年6月17日). “なぜ新潟や石川が「人口日本一」だったのか? 都道府県の人口推移から見る、日本近代化の歴史”. ねとらぼ 2022年1月2日閲覧。
- ^ これでいいのか新潟県 (日本の特別地域特別編集)19頁
- ^ 統計グラフでみる新潟県 平成20年版(新潟県) - ウェイバックマシン(2013年6月20日アーカイブ分)
- ^ 県人口230万人割り込む 県発表、知事「危機感覚える」[リンク切れ](新潟日報 2015年4月30日)
- ^ これでいいのか新潟県 (日本の特別地域特別編集)6頁
- ^ “第033回国会法務委員会第6号”. 衆議院 (1959年12月8日). 2010年2月6日閲覧。
- ^ 海底資源開発で連携 日本海沿岸の10府県:産経新聞2012年9月8日 - WayBack Machineによるアーカイブ
- ^ メタンハイドレート活用研究10府県が会議設立[リンク切れ]:神戸新聞2012年9月8日
- ^ 日本海の資源開発で連携、連合設立。本県など日本海側10府県:新潟日報2012年9月10日
- ^ メタンハイドレート、日本海でも調査を 10府県が連合:朝日新聞2012年9月9日
- ^ これでいいのか新潟県 (日本の特別地域特別編集)122頁~123頁
- ^ a b c “平成28年度県民経済計算の概要”. 新潟県総務管理部 統計課. 2020年2月22日閲覧。
- ^ “平成21年産水稲の品種別収穫量”. 農林水産省大臣官房統計部 (2010年2月25日). 2012年9月9日閲覧。
- ^ 天然ガスの採取と供給. 東邦アーステック. 2020年7月26日閲覧。
- ^ ヨウ素とは. 東邦アーステック. 2020年7月26日閲覧。
- ^ 事業活動 中条油業所. JX石油開発. 2020年7月26日閲覧。
- ^ 新潟県の天然ガス概要. 天然ガス鉱業会. 2020年7月27日閲覧。
- ^ 「令和元年度学校基本調査」 - 文部科学省、令和元年12月25日発表。
- ^ 統計でみる都道府県のすがた2019 - 総務省統計局
- ^ 総務省「地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査」平成22年11月
- ^ a b “時刻表”. 新潟空港. 2022年1月11日閲覧。
- ^ “佐渡空港”. 新潟県庁 佐渡地域振興局地域整備部(港湾空港) (2020年8月25日). 2022年1月11日閲覧。
- ^ a b 新田浩之 (2021年10月7日). “新幹線の駅「最多数持ち」の都道府県はどこ?”. ねとらぼ 2022年1月11日閲覧。
- ^ “上越妙高駅 から 長岡駅”. Google マップ. 2022年1月11日閲覧。
- ^ “時刻表(停車駅一覧)|特急しらゆき 2号(新潟-新井)”. JR東日本. 2022年1月11日閲覧。
- ^ “新潟県内の高速バス”. 新潟交通. 2022年1月10日閲覧。
- ^ 本間伸夫、新宮璋一、石原和夫、佐藤恵美子「東西食文化の日本海側の接点に関する研究(III) : 年取り魚と昆布巻」『県立新潟女子短期大学研究紀要』第27巻、1990年3月、75-82頁。
- ^ “ご当地アイドルの先駆者”Negicco・Nao☆が入籍を発表!憧れだったPerfumeの現場が“出会いの場”に!! - ザ・テレビジョン 2019年2月26日
- ^ Negicco・Nao☆の結婚発表はなぜ批判されない?アイドル界で何が起きているのか - ガジェット通信 2019年2月26日
- ^ TVアニメ「魔法少女育成計画」の舞台は上越市⁉
- ^ a b 漢字の現在 第223回 「潟」の略字の広がりと消失(三省堂ワードワイズ・ウェブ 2012年9月25日)
- ^ 漢字の現在 第224回 新潟の「頚城」と「頚椎」(三省堂ワードワイズ・ウェブ 2012年9月28日)
- ^ a b c d 文字さんぽ 『方言文字「泻」のゆくえ』(国立国語研究所「国語研の窓」第32号 2007年7月1日発行)
- ^ a b 日本の漢字(笹原宏之 著、岩波新書 2006年1月20日発行)p.62およびp.161
- ^ 漢字の現在 第51回 島根の「腐」らない「とうふ」(三省堂ワードワイズ・ウェブ 2009年11月12日)
- ^ “「新潟=新(さんずい+写)」は本当なの?”. 新潟日報 (2006年8月4日). 2009年3月31日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 视频:日本新泻火灾烧毁140栋房屋(BBC中文网 2016年12月22日)
- ^ 視頻:日本新瀉火災燒燬140棟房屋(BBC中文網 2016年12月22日)
- ^ 平成19年 6月定例会 総務文教委員会 平成19年6月28日(新潟県議会 会議録検索)
- ^ a b ●中国語における「新潟」の表記について(平成19年8月1日)(新潟県)
固有名詞の分類
- 新潟県のページへのリンク