ガーラ湯沢駅とは? わかりやすく解説

ガーラ湯沢駅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/15 01:30 UTC 版)

ガーラ湯沢駅
駅舎(2018年2月)
がーらゆざわ
GALA Yuzawa
越後湯沢 (1.8 km)
新潟県南魚沼郡湯沢町大字湯沢1039-2
所属事業者 東日本旅客鉄道(JR東日本)
所属路線 上越新幹線[1]
(正式には上越線支線)[2]
キロ程 1.8 km(越後湯沢起点)
東京から201.0 km
電報略号 カラ[3]
駅構造 地上駅
ホーム 1面2線
乗車人員
-統計年度-
1,098人/日(降車客含まず)
-2023年-
開業年月日 1990年平成2年)12月20日[4][5]
備考
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ガーラ湯沢駅(ガーラゆざわえき)は、新潟県南魚沼郡湯沢町大字湯沢にある[5]東日本旅客鉄道(JR東日本)のである。JR東日本のグループ会社が経営するガーラ湯沢スキー場に直結している[5][6][7][8]

施設上は越後湯沢駅で分岐する上越新幹線支線終点にあたる[1]が、越後湯沢 - ガーラ湯沢間は法規上、在来線である上越線の支線となっている(乗車券の扱いに関する詳細は後述[2][3][9]

概要

JR東日本社員の発案による社内プロジェクトとして、上越新幹線の越後湯沢駅に隣接する保線基地の裏山に開業したガーラ湯沢スキー場への利用客の輸送のために「東京から75分で行けるスキー場」として開業した[5][6][9][10]。そのため、冬季のスキーシーズン(概ね12月中旬 - 翌年5月上旬)のみの臨時駅となっている[注 1]。当初計画ではスキー場名・駅名とも単に「ガーラ」となる予定だったが、地元からの強い要望で「湯沢」が付いた。

駅舎自体がガーラ湯沢スキー場への玄関口となっており、駅舎には「スキーセンター カワバンガ」の愛称が付与されている[5]。エントランスがある1階には温泉施設「SPAガーラの湯」(入口は3階)、改札口がある2階にはチケットカウンターやスキー・スノーボードレンタルカウンターがある[5]。スキー場へはゴンドラリフト「ディリジャンス」で結ばれているほか、スキー場北エリアからの下山コース「ファルコン」の終点でもある。なお、シーズン毎に駅舎内の大規模なリニューアルを行うことも多く、案内表示やカウンターもたびたび変更・更新されている。

開業の経緯から、駅としては基本的には冬季のみの営業だが[5][7]、JR東日本がタイアップした映画ジュブナイル』の関連イベント開催などで、夏季に営業を行ったケースが数回ある。営業を行っていない時期の越後湯沢駅 - 当駅間は、越後湯沢駅に発着する「たにがわ」の折り返し用に使用されている。また、夜間停泊も行われている。

越後湯沢駅から上越新幹線本線をアンダーパスするための下り20 ‰の勾配を通り、第二湯元トンネルを抜けて約1.8 km離れた当駅に至る(厳密には1 km770 m)[11]。最高速度は70km/h[11]。同区間は信号システム上、単線並列になっている。

なお、夏季にはスキー場のサマーゲレンデ営業や、周辺でトレッキング企画が実施されるが、駅の営業や旅客列車の運行はなく、交通手段は越後湯沢駅からのシャトルバスもしくは自家用車タクシーになる。また、冬季においても、午後にガーラ湯沢着となる列車が18時台着の1本しか設定されていない[12]など、列車の運行時間帯に偏りがあり、タイミングが合わない場合には越後湯沢駅からのシャトルバス利用が必要となる。

駅名およびスキー場名の「ガーラ (GALA) 」とは英語で「祝祭」を意味する。ガーラ湯沢スキー場も含めて「祝祭空間」であることを強調している。そのため、駅員の一部は制服制帽もJR東日本の正規のものとは異なるものを着用している。

歴史

駅構造

島式ホーム1面2線[18][19]地上駅である[3]ホーム有効長は12両編成に対応した308 mで、幅員は5 - 11 m[11]。また、列車別改札を行っており、列車発着の15分前にならないと改札内に入場することができない。

駅長配置の直営駅だが、越後湯沢駅が管理する(越後湯沢駅助役待遇)。当駅への新幹線運行時のみ営業するみどりの窓口指定席券売機(クレジットカード決済専用機のみ設置)が設置されている。駅舎はガーラ湯沢の施設と一体化しており[10]、改札の目の前にスキー場の受付がある。2006年度(平成18年度)に自動体外式除細動器 (AED) が設置された。

元々はスキーシーズン時に運転する臨時列車の越後湯沢駅折り返し列車の留置を目的とした「越後湯沢電留線」の用地を活用したものである[20]。敷地面積は約29,000 m2で、電留線 4線と保守基地の配置を想定したものであった[20]。電留線は16両編成に対応した延長480 mで、防雪建屋(収容庫)の設置が予定されていた[20]。この敷地は大清水トンネルの掘削で発生した残土を使用して盛土を施工した[20]

ただし、諸般の事情から開業当初は盛土の施工と越後湯沢保守基地(ロングレール運搬車留置線、保守用車留置線 3線、機回り線 1線、確認車留置線、検修線。ただし、ガーラ湯沢駅開設時に保守基地は縮小)のみ開設され、防雪建屋(収容庫)は基礎工事が施工されたが、電留線の設置は見送られた[20]。ただし、電留線予定地はガーラ湯沢駅の旅客ホーム・橋上駅舎となり、国鉄時代の保守基地線はすべて撤去され、新たな保守基地線3本(1番線 220m、2番線 155 m、3番線 62 m)と材料職場、保守職場に整理された[11]

のりば

番線 路線 行先
1・2 上越新幹線 越後湯沢方面[21]

利用状況

JR東日本によると、2023年度(令和5年度)の1日平均乗車人員1,098人である[利用客数 1]

2000年度(平成12年度)以降の推移は以下のとおりである。なお、冬季のスキー場営業期間以外は、当駅に旅客列車は乗り入れない(臨時イベント時は除く)。

1日平均乗車人員推移
年度 定期外 定期 合計 出典
2000年(平成12年)     907 [利用客数 2]
2001年(平成13年)     951 [利用客数 3]
2002年(平成14年)     1,107 [利用客数 4]
2003年(平成15年)     1,015 [利用客数 5]
2004年(平成16年)     947 [利用客数 6]
2005年(平成17年)     987 [利用客数 7]
2006年(平成18年)     788 [利用客数 8]
2007年(平成19年)     1,156 [利用客数 9]
2008年(平成20年)     942 [利用客数 10]
2009年(平成21年)     916 [利用客数 11]
2010年(平成22年)     941 [利用客数 12]
2011年(平成23年)     1,433 [利用客数 13]
2012年(平成24年) 1,315 0 1,315 [利用客数 14]
2013年(平成25年) 1,414 0 1,414 [利用客数 15]
2014年(平成26年) 1,440 0 1,440 [利用客数 16]
2015年(平成27年) 1,127 0 1,127 [利用客数 17]
2016年(平成28年) 1,205 0 1,205 [利用客数 18]
2017年(平成29年) 1,029 0 1,029 [利用客数 19]
2018年(平成30年) 1,065 0 1,065 [利用客数 20]
2019年(令和元年) 778 0 779 [利用客数 21]
2020年(令和02年) 514 1 516 [利用客数 22]
2021年(令和03年) 908 2 911 [利用客数 23]
2022年(令和04年) 975 8 984 [利用客数 24]
2023年(令和05年) 1,081 16 1,098 [利用客数 1]

ガーラ湯沢までの乗車券

乗車券

越後湯沢駅 - 当駅間は上越新幹線と一体化した運行体系である[22]が、法律上は在来線である上越線の支線となっており(ガーラ湯沢駅自体は新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法が適用される)[9]新幹線車両が直接乗り入れる在来線の特急列車という扱いで、運賃(150円)のほか在来線の特定特急券(100円)が必要となり、合計250円で乗車できる[2][9]。越後湯沢以外の新幹線駅発着の場合は、乗降駅 - 越後湯沢間の新幹線特急料金に100円上乗せされた料金となる。同区間は西日本旅客鉄道(JR西日本)博多南線博多駅 - 博多南駅間)と同様の形態であり、事実上「日本で一番安く乗れる新幹線」である[9](運賃と料金はいずれも2022年時点)。なお旅客案内上の表記は「上越新幹線」で統一されており、『JR時刻表』においても博多南線が在来線(幹線)として記載されているのに対してガーラ湯沢支線は新幹線と同じ線での表現となっている。

なお、この区間は普通列車が運行されていないため、「青春18きっぷ」・「北海道&東日本パス」といった普通列車を対象とする特別企画乗車券は利用できない。このため、別途この区間の運賃と特定特急料金が必要となる。

シャトルバス

ガーラ湯沢スキー場
ガーラ湯沢駅 - 越後湯沢駅
運賃無料。NASPAスキーガーデン湯沢高原スキー場・宿泊施設を経由。所要時間は約10分。なお、スキー場および駅営業時に限る。
夏季の「GALAサマーパーク」営業時にも越後湯沢駅との間を結ぶシャトルバスが発着する。

隣の駅

東日本旅客鉄道(JR東日本)
上越新幹線(支線)
越後湯沢駅 - ガーラ湯沢駅

脚注

記事本文

注釈

  1. ^ ただし路線の終端駅であるため、『JR時刻表』(交通新聞社)や『JTB時刻表』(JTBパブリッシング)のページには臨時駅の表記がない。なお、両時刻表巻頭の「索引地図」(路線図)では、営業シーズン中に刊行される号のみガーラ湯沢駅が記載される。

出典

  1. ^ a b 双葉社 2022, p. 110.
  2. ^ a b c d 旅と鉄道』2022年増刊3月号(新幹線全駅旅図鑑)、山と渓谷社、2022年3月1日、72頁。 
  3. ^ a b c d e 川島 2010, p. 77.
  4. ^ a b 「JR7社14年のあゆみ」『交通新聞』交通新聞社、2001年4月2日、9面。
  5. ^ a b c d e f g h 鼠入昌史『終着駅巡礼』イカロス出版、2016年12月25日、61頁。 ISBN 978-4-8022-0259-6 
  6. ^ a b リゾートマンションが10万円!バブルの象徴!湯沢町が奇跡のV字回復のワケ…【新潟発】」『FNNプライムオンライン』2019年2月16日。2020年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月3日閲覧
  7. ^ a b GALA湯沢「ワーケーション聖地化計画」? JR東社員が実践 なんだか楽しそうな仕事スタイル」『乗りものニュース』2020年10月5日。2021年12月3日閲覧
  8. ^ 小林紀博、芋野達郎「News Up スキー30年 盛衰の歴史」『NHK NEWS WEB』2021年12月24日。2022年2月27日閲覧
  9. ^ a b c d e 「安く乗れる新幹線」増えるか 新潟空港のアクセス鉄道、実現への道のり」『乗りものニュース』2018年3月13日。2021年12月3日閲覧
  10. ^ a b 大坂直樹「あのGALA湯沢が今になって活況に沸く理由」『東洋経済オンライン』東洋経済新報社、2016年1月9日。2021年12月3日閲覧
  11. ^ a b c d 日本鉄道技術協会「JREA」1990年10月号「GALA湯沢スキー場開発におけるガーラ湯沢駅の建設」pp.41 - 44。
  12. ^ 冬の臨時列車のお知らせ (PDF)」(プレスリリース)、東日本旅客鉄道新潟支社、2023年10月20日。2024年1月28日閲覧
  13. ^ 双葉社 2022, p. 118.
  14. ^ 「JR年表」『JR気動車客車編成表 '00年版』ジェー・アール・アール、2000年7月1日、185頁。 ISBN 4-88283-121-X 
  15. ^ 「スムーズ乗降に威力 JR新潟支社 新幹線新潟駅に自動改札機」『交通新聞』交通新聞社、1999年1月12日、3面。
  16. ^ 「新幹線eチケットサービス」が始まります! (PDF)」(プレスリリース)、東日本旅客鉄道、北海道旅客鉄道、西日本旅客鉄道、2020年2月4日。2020年5月24日閲覧
  17. ^ タッチでGo!新幹線 サービスエリア拡大について (PDF)」(プレスリリース)、東日本旅客鉄道、2020年11月12日。2020年11月14日閲覧
  18. ^ 川島 2010, p. 41.
  19. ^ 双葉社 2022, p. 111.
  20. ^ a b c d e 上越新幹線工事誌 : 水上・新潟間、pp.768 - 785・889 - 890。
  21. ^ JR東日本:駅構内図・バリアフリー情報(ガーラ湯沢駅(臨時))東日本旅客鉄道。2025年5月10日閲覧
  22. ^ 双葉社 2022, p. 114.

利用状況

  1. ^ a b 各駅の乗車人員(2023年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2024年7月21日閲覧
  2. ^ 各駅の乗車人員(2000年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年4月11日閲覧
  3. ^ 各駅の乗車人員(2001年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年4月11日閲覧
  4. ^ 各駅の乗車人員(2002年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年4月11日閲覧
  5. ^ 各駅の乗車人員(2003年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年4月11日閲覧
  6. ^ 各駅の乗車人員(2004年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年4月11日閲覧
  7. ^ 各駅の乗車人員(2005年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年4月11日閲覧
  8. ^ 各駅の乗車人員(2006年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年4月11日閲覧
  9. ^ 各駅の乗車人員(2007年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年4月11日閲覧
  10. ^ 各駅の乗車人員(2008年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年4月11日閲覧
  11. ^ 各駅の乗車人員(2009年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年4月11日閲覧
  12. ^ 各駅の乗車人員(2010年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年4月11日閲覧
  13. ^ 各駅の乗車人員(2011年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年4月11日閲覧
  14. ^ 各駅の乗車人員(2012年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年4月11日閲覧
  15. ^ 各駅の乗車人員(2013年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年4月11日閲覧
  16. ^ 各駅の乗車人員(2014年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年4月11日閲覧
  17. ^ 各駅の乗車人員(2015年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年4月11日閲覧
  18. ^ 各駅の乗車人員(2016年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年4月11日閲覧
  19. ^ 各駅の乗車人員(2017年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年4月11日閲覧
  20. ^ 各駅の乗車人員(2018年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2019年7月9日閲覧
  21. ^ 各駅の乗車人員(2019年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2020年7月11日閲覧
  22. ^ 各駅の乗車人員(2020年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2021年7月24日閲覧
  23. ^ 各駅の乗車人員(2021年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2022年8月2日閲覧
  24. ^ 各駅の乗車人員(2022年度)』(レポート)、東日本旅客鉄道。2023年7月11日閲覧

参考文献

関連項目

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