石油ファンヒーターとは? わかりやすく解説

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石油ファンヒーター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/13 17:38 UTC 版)

石油ファンヒーター(せきゆファンヒーター)とは、暖房器具(ストーブ)の一種。灯油を燃焼しそのエネルギーで得たを送風ファンによって排出し暖をとる電気製品である。他の暖房器具に比べ安価で操作が簡単、ランニングコストが安いことが利点。一方原油価格による影響を受けやすく、また灯油の扱いや燃焼(主に点火・消火)時の臭気がデメリットともされる。規格としての名称は強制通気形石油ストーブ(きょうせいつうきがたせきゆストーブ)という石油ストーブの一種でもある。


注釈

  1. ^ かつては全てのストーブに水準器もしくは水平を確認できる器具が取り付けられていたが、現行モデルには水準器は取り付けられていない。
  2. ^ 燃焼中に停電があった場合、復電後に「停電があった」旨を示すエラー表示が本体ディスプレイに出るので、機器本体や周囲に異常がないことを確認したのち電源を入れ直せば再始動が可能。
  3. ^ 中央警備室などで暖房電源を集中制御することにより、電源切り忘れによる火災や灯油浪費を防げる。 現在使われているファンヒーターで、ダイニチ社製は電熱式気化器とブンゼンバーナーを用いている。着火が40秒と早いが、使用中は気化器を温めるための電力を消費する。欠点として不良灯油を使用すると気化器にタール分が付着するため、多くの製品は空焼きするクリーニング機能を装備している。消化時には気化器の噴出口をソレノイド機構で閉鎖するようになっている。コロナ社製は電熱で余熱したポットに燃料ポンプを用いて燃料を噴射する。ポットの余熱と着火に2,3分を要するが、その後は燃焼熱でポットの高温が保たれるために電熱を要さない。トヨトミ社製は余熱したポットに燃料を滴下し気化した灯油に着火する。余熱には一番時間を要するがいったん着火すれば燃焼熱でポットの高温が保たれるために電熱を要しない。構造が簡単なために不良灯油にも強い。 いずれも着火には高圧電気のスパークを使用する。また正常な燃焼では燃料がプラズマ化して電気伝導性を持つことを利用したフレームロッドにより燃焼状態を管理している。換気不良となるとフレームロッドが導電性を失うことで消火する安全機構がある。また、部屋にヘアスプレーやフロアワックス等に含まれたシリコーン成分が存在すると、これが高熱のフレームロッドにケイ素酸化物として付着して絶縁性となり、換気不良と誤判定して消火することがある。この場合はフレームロッドの交換やバーナーの清掃が必要になる。また換気を促すために、3時間経過すると換気をうながすサインがでて自動消火する機構が組み込まれている。いずれのメーカーも高級機種では消火時にバーナーをシャッターで閉鎖してにおいの漏れを防止しているものがある。 業務用暖房機は給油の手間を省くため灯油タンク屋外別設式・電気式・ガス式いずれかを使用。管理者のみが操作できるよう機器操作部前面扉に鍵を付けたり「管理者用モード」を設定可能な機種もある。
  4. ^ 石油ファンヒーター・FF式石油暖房機・ガスファンヒーターの場合、標高1,000〜1,500 m地域での使用に対応した「高地切り替え設定機能」があり、該当地域で用いる場合は高地切り替え機能を「有効」にして空燃比を補正する。
  5. ^ 不純物が混入した不良灯油・燃料は必ず「購入した販売店・ガソリンスタンド・所轄消防署へ依頼して適切に処分してもらう」よう定められており、側溝・森林・下水道・河川・海洋などへの投棄は「下水道法」・「水質汚濁防止法」・「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(海洋汚染防止法)」で禁じられている。
  6. ^ ただし電波などによる時刻ずれ自動修正機能は非搭載なので、1か月に1回程度の手動時刻調整が必要。バックアップ用バッテリーもなく、停電があったり電源プラグを抜くと設定がリセットされ時刻表示が「0:00」で点滅するので、手動による時刻およびタイマー設定やり直しが必要である(上位機種の場合はこの限りでない)。
  7. ^ 壁に給排気筒および送油配管の取り付け穴を開ける時は(当該機種に適合した)各メーカー純正部品と壁材に適合した穴開けドリルを用い、配電線・電話線・ガス管・上下水道管のある場所を避けなければならず、これらを見分けて最適な穴あけ場所や本体設置場所を定めるには技術と経験を要する(石油・ガス燃焼機器類設置工事は「危険物取扱・電気・ガス・上下水道の工事担任者資格を有する者が行う」よう規定されており、無資格者による素人設置工事は火災や排ガス漏れなど重大事故につながる危険があるため禁止。本体・給排気筒・外付け灯油タンクの周囲には必ず点検可能な空間=サービススペースを確保する。風がよどむ場所=風圧帯・風下では排ガスが室内に逆流し一酸化炭素中毒を起こす危険がある。天井および床下に穴を開けての給排気筒工事は火災や排ガス逆流による一酸化炭素中毒の危険があるので禁止。壁材に電気を通しやすい金属造営物がある場合や薄壁を貫通させる場合、感電や火災防止のため必ず不燃材のメガネ石や薄壁用アダプターを入れるなど絶縁措置を施して金属材と給排気筒・送油配管とが直に触れないようにする)。使用中に外部から強い衝撃が加わるなどして給排気筒接続部が外れた・または破損した場合、排ガスが室内に漏れ一酸化炭素中毒事故の危険があるので、全ての機器には安全装置として「排気管外れ検知センサー」が付いており、専用リード線より接続部に微電流を流す形で「正しく管がつながっているか」を常時確認している(万一接続部が外れたり破損するとエラー表示が出て強制消火し、給排気筒が正しくつなぎ直されるまでFF暖房機は使用不可。検知用リード線が所定位置につながっていないと安全装置が作動せず、使用者が接続部外れに気づかないまま使い続け一酸化炭素中毒などの事故に至る危険があるため、最新モデルは排気管外れ検知センサーリード線が所定位置より外れた時もエラー表示を出して強制消火し、線が正しい位置につなぎ直されるまでストーブ使用不可としている)。また給排気筒は雨水の機器内侵入や排ガスの室内逆流を防ぐため「室外へ向かって下り勾配で取り付ける」よう指示されており、市販の暖房用熱交換器を取り付けると結露水が凍結して給排気口が塞がれ機器が故障したり、排ガスが室内に逆流し一酸化炭素中毒の危険がある。積雪地域では給排気筒が雪で塞がれ排ガスが室内に逆流しないよう・給排気筒の周辺を定期的に除雪する必要があり(板などによる雪囲いは酸欠で不完全燃焼・および排ガス室内逆流など給排気妨げの危険があるので禁止)、豪雪地帯では別売りの延長配管部材を用いて高所へ給排気筒を取り付けることも珍しくない(ただし延長工事は「長さ3 m以内・屈折3か所以内」と定められており、規定より長くしすぎたり屈折箇所が多すぎると給排気性能が低下し、不完全燃焼による一酸化炭素中毒の危険がある。このため規定通りの給排気筒延長工事ができない積雪2 m以上の豪雪地域では「煙突式ストーブ」や「電気暖房」を用いる場合もある)。リフォームなどによる機器移設の必要が生じた場合は必ず専門の工事店・販売店へ連絡する(移設工事は有料で部品代・工賃などの実費が発生)。
  8. ^ ゴム製送油管は屋内専用(劣化しやすいため異常がなくても3年に1回程度の交換を推奨。直射日光が当たると劣化が早まり灯油漏れのおそれがあるため、日なたでは屋内でも必ず金属配管にする)。屋外では金属配管を用い、一つのホームタンクから2階以上の石油暖房機や石油給湯器へも分配する場合は市販の「オイルレベラー」が別途必要。使用前には強い衝撃が加わった時の油漏れを防ぐ(耐震自動消火装置に相当する)「定油面器」をセットしないと機器側へ灯油が供給されない。給油はタンク内灯油が完全に空となる前に行う必要があり、万一タンク内灯油が空の状態・およびタンク側送油バルブを閉じたまま運転した場合は送油配管内の空気抜きが必要となる(空気が管内に溜まったままではタンク内に灯油を満たしても機器へ供給されない。空気抜き方法は「バルブについている空気抜き用ねじを緩める」・「タンク側から機器側へゴム製送油ホースを順次たぐる」・「機器側のゴムホースを抜き、適当な容器を用意したうえでタンク側の送油バルブを開き灯油が出てくるかどうか確かめる」の3通りある)。また「石油燃焼機器と灯油タンクは屋内外問わず2 m以上離して据え付け、やむを得ず近接させる場合は機器とタンクの間に不燃材使用の防火壁を設ける」よう消防法で定められている。配管破損などで漏れ出した灯油・軽油・ガソリンが万一側溝などへ流出した場合、必ず「所轄消防署へ連絡・通報したのち、オイルマットやフェンスによる適切な拡散防止および火災防止の措置を講じる」旨が下水道法・消防法・水質汚濁防止法・河川法海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(海洋汚染防止法)・森林法で義務付けられている。さらに「爆発の危険がある可燃物(ガソリン・軽油・灯油・可燃性有毒ガス・火薬類)を一定量以上大量に保管する」場合、火災事故防止の観点から「所轄消防署への届け出」が義務付けられている。
  9. ^ 煙突を通す穴を壁に開ける時は配電線・電話線・上下水道管・ガス管のある場所を避けなければならず、これらを見分けて最適な穴あけ位置を定めるには技術と経験を要する。排ガス室内逆流を防ぐため煙突の横引き配管は「2 m以内」とし屋外に向かって上り勾配で配置・煙突トップは風圧帯(風下)より外へ出すよう定められている。薄壁を貫通させる場合は火災事故防止のため煙突周囲に不燃材の「メガネ石」を・壁材に電気を通しやすい金属造営物がある場合は「絶縁材」をそれぞれ入れるよう各市区町村の火災予防条例で規定されている。
  10. ^ 反対に炉を温める時間を延ばすことで電力消費を抑えられる。
  11. ^ 2022年にはコロナの直販限定で電力消費を抑えた「ポータブル電源対応石油ファンヒーター」が販売された。
  12. ^ 電源を入れて解除されるかどうかはメーカーによるが、コロナの「秒速点火」は電源を入れることで解除される。
  13. ^ 主にコロナ製。普段は閉じているが点火直前にシャッターが開き、消火すると一度シャッターを開閉してバーナーの冷却が終わるとまた閉じる。

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