奈落一派
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/10 06:23 UTC 版)
作中では特別な呼称はないが、公式ガイド奥義皆伝では奈落一派と称されている。奈落やその分身、奈落に協調する者達。四魂の玉の完成を目指し陰謀、殺戮の限りを尽くす。奈落の分身達は誕生順に兄弟姉妹の関係にあり、初期の分身は兄弟姉妹としての認識が特に顕著である。長子は神無で、末弟は最終的に夢幻の白夜となった。分身は奈落が自分の体の一部を千切って壺の中で熟成させて製造した妖怪。しかし、奈落に絶対服従しているわけではなく、大半が裏切り行為をしている。中には奈落自身を攻撃するものもいた。高橋留美子は、悟心鬼を除く奈落の分身が美形揃いであると言及している。神楽の扇や神無の鏡などは全て奈落が渡したもの。また、分身の持ち物である扇や鏡自体に特殊な能力はない。 奈落(ならく) 声 - 家中宏(未変化・初期) → 森川智之(人見蔭刀) 犬夜叉一行の宿敵。実年齢は50歳。人間換算年齢23歳。一人称は「儂」。 浅ましい心をもった鬼蜘蛛という名の人間の野盗を喰った無数の妖怪が融合して変化した半妖である妖怪の集合体。鬼蜘蛛や肉体の妖怪(アニメだけの三つ目の赤い蜘蛛妖怪など)とは全く異なる独自の人格の持ち主。半妖でありながら妖怪をも凌ぐほどの邪気と妖力を持つ。瘴気が濃く、全身が毒の塊であり相手は迂闊に攻撃できない。物理攻撃で肉体を傷つけられても妖怪の集合体であるため、再生能力で痛手にはならず、浄化の力を持つ聖なる霊力などしか脅威にならない。故に首を斬り落とされても死なずに動くことができる。ただし、自身と同程度の邪気の塊に体を砕かれると再生が困難になる欠点もある。桔梗曰く本体は魂そのもので本当の身体や肉体は存在しない。口調は丁寧で慇懃無礼。50年後は再び世に現れた四魂の玉のかけらを集め始め、邪気で穢れた四魂の玉の完成を目指す。 50年前に犬夜叉と桔梗を憎み合わせ、死に追いやった張本人。自分の存在を危惧して滅そうとした弥勒の祖父・弥萢と戦い、代々受け継がれる風穴の呪いをかけた。50年後は50年前の事件の真相を知った犬夜叉達と対立する。 固有の姿を持たず姿を変化させる能力があり、作中ではとある城の城主・人見蔭刀の姿を仮り、成り代わっている。妖怪の姿(上半身のみ人間で腰から下の下半身が無数の妖怪の融合した姿、解体時は首以外は全て妖怪、新生後はこの姿にはならない)になることもできるが人間の姿を好み、大勢の人間の姿を時代ごとに変えており弥勒の祖父・弥萢との最後の戦いでは貴族の美女の姿をしていた。アニメでは奈落の化けた蔭刀の目元はアイシャドウが入る。50年前は犬夜叉と桔梗にも変化した。姿を変えるのには時間がかかり、その間は妖力が格段に落ちる。初期は狒々の皮を被って姿を隠すことが多かった。蔭刀に完全に成り代わる前も犬夜叉に狒々の皮を破られた時、既に蔭刀に近い姿をしていた。用心深く退却することが多く、その場合後を追えぬほど逃げ足は速い。また、多数の妖怪達が複雑に融合したその醜悪な外見故か妖怪の姿になることはあまり好まない。新生奈落になった後も人見蔭刀の姿をベースにするなど最後までその姿と顔を利用し続け、自分のものとした。 鬼蜘蛛の感情を受け継いでおり桔梗を愛しているが、同時に鬼蜘蛛を喰った多くの妖怪が持っていた桔梗への憎悪や殺意も併せ持っており、2つの相容れぬ感情に苦悩する。背中の蜘蛛の傷跡は鬼蜘蛛(人間)の感情を受け継いでいる証。鬼蜘蛛の感情を色濃く受け継いでいる時は自分の手で桔梗を殺すことはできない。さらに桔梗が思いを寄せる犬夜叉を恨み憎んでいる。怒りや嫉妬に任せて背中の皮を蜘蛛の傷跡ごと剥がすことがある。その後、再生した肉体にも蜘蛛の傷跡が浮かび上がる。 直接の戦闘よりも人の弱みに付け込む卑劣な策略を好み、性格は冷酷。人と人との絆を呪い引き裂く、それが奈落の行動概念である。しかしそれは奈落が絆の大切さ、そしてそれを失う苦しみを知っているという証明でもあった。手駒を多用し他者を利用するのは自分の滅びを恐れる奈落の弱さでもある。 琥珀を利用して珊瑚に鉄砕牙を持ってこさせ、犬夜叉一行を殺そうとするが、かごめの反撃(破魔の矢)で体を砕かれ、以降はかごめの霊力に恐怖を抱くようになる。ただし、アニメでは恐怖心を抱く描写が無く、省略されている。蠱毒を吸収するまでは傀儡の肉体を代用していた。妖怪を阻む鉄砕牙の結界を無効化し鉄砕牙(勿論、変化せぬぼろ刀のまま)を使うことができる。 半妖の弱点である休眠期に体内の妖怪を解体し不要な部分を捨て、再構成し強化できる。休眠期は自分の意思で自由に選択できる。出生上、他の妖怪を吸収する能力を持つが、相手は完全な妖怪ではなくては駄目で人間や半妖を吸収すると自分を弱めることになる。捨てられた不要な部分の妖怪(毛むくじゃら、目玉など)は再び意志を持ち暴れ出す。絶対的な存在になることを望み、完全なる力を求める。 桔梗から四魂のかけらをもらった後は神無や神楽などの分身を作ることが可能になった。背中の蜘蛛の傷跡は分身にも受け継がれる。分身を作ると体内の妖怪が減るので、また新しく妖怪を吸収するという誰も見ていない所で密かな努力が必要になる。 犬夜叉に赤い鉄砕牙で結界を斬られた後は白心上人が守る白霊山に身を隠し、傭兵として七人隊を復活させ、その間に白霊山にて熟成、新生奈落として胸部に巨大な目玉がある鎧を纏ったような姿にパワーアップを遂げる。放棄した人見城の代わりに小さい山城や洞窟を本拠地にするようになった。 新生後は、相手の妖気の攻撃を返したり粉々に粉砕されても僅かな肉片からその場で再生できるようになり無敵に近い存在となる。肉体から三叉戟などの武器を生成することも可能。肉体の不要な部分を切り捨てて遠隔操作し攻撃することもできる。またその際に桔梗を慕う鬼蜘蛛の心を捨てることにも成功した(背中の蜘蛛の傷跡が残っているかは不明)。その際、自らの弱点である心臓を持たせた赤子を排出、赤子を誘導して「鎧」(奈落自身は「城」と称しているほどの威力を持つ)である魍魎丸を作らせ、その鎧である魍魎丸を赤子ごと奪い取る事を計画。最終的に魍魎丸に取り込まれたふりをして逆に吸収した。新生後は狒々の皮を被ることはなくなり、様々な妖怪を取り込んで強化していた魍魎丸を吸収した後は金剛槍破と冥王獣の鎧甲を手に入れ、更なるパワーアップを果たした。また新生奈落の姿も竜の尾と鎧が減り、よりシンプルな姿となった。 再び白霊山に戻り、奈落と同じ姿でより長髪の首と小蜘蛛の姿を持つ「人間の負の心」を取り戻した奈落は蜘蛛の糸で桔梗に致命傷を負わせ葬ることに成功する。 その後、鋼牙と琥珀の四魂のかけらを奪って四魂の玉を完成させ超巨大要塞のような巨大な蜘蛛になり(本体は今までの人間体の裸(時に新生奈落形態)の姿で最奥部に潜む、鎧甲を纏った者や新生奈落形態の自分と同じ姿の分身や蜘蛛の肉壁に巨大な顔や目の分身を出せる)、りんを人質にし、犬夜叉、殺生丸らに最後の勝負を挑む。曲霊と共に犬夜叉を妖怪化させ、かごめやりんを襲わせたり、珊瑚に弥勒の父の壮絶な最後を見せる等、犬夜叉一行を肉体的にも精神的に追い詰めるが、かごめに自らの潜在的な願いや心を見透かされ動揺。多量の瘴気とともに巨大な蜘蛛ごと楓の村へと突入し破壊しようとした。最終的に玉と同化して人の心を完全に無くし、悍ましい姿の妖怪と化したものの、曲霊が倒されたことにより霊力が復活したかごめの矢、完全に自分の技として昇華された犬夜叉の冥道残月破、そして殺生丸の爆砕牙の前に破れ、矢が貫通した玉と肉片から繋がる首だけの姿となり、骨食いの井戸へと降り立った。 そのまま消滅したかに見えたが、玉の中の空間に蜘蛛の巣の中心に生首だけが鎮座したような姿で囚われており、玉内の妖怪と翠子の座をかごめとともに継ぐ運命にあったが、かごめが「唯一の正しい願い」を告げたことにより、翠子、妖怪と共に浄化。安らかな笑みを浮かべ完全に消滅した。 声優は誰の姿も借りていない未変化状態を家中宏が担当、人見蔭刀の姿を借りた奈落を森川智之が担当と区別している。無印アニメでは稀に未変化状態を森川が担当するなど混同されていたが、完結編ではしっかりと区別されている。形態一覧 狒々の毛皮の奈落 奈落の初期形態。特定の誰の姿も借りていない未変化形態(犬夜叉や桔梗、弥萢と戦闘時の美女など様々な人間に変化していた)で、化けの皮にして犬夜叉とは犬猿の仲という意味か狒々の毛皮を被っている。50年後には毛皮の下に人見蔭刀の姿がある。また、犬夜叉達と初めて会った姿もこの形態で、50年前の真相を犬夜叉が知った際は「お前と桔梗の重んじる信頼とはそんな簡単に崩れるものなのか?お互いを殺そうとする怒りのみが真実。あれがお前達の偽りない真の姿なのだ」と桔梗を疑いもしなかった犬夜叉を逆に言い返した。無印アニメでの声は鬼蜘蛛と同じ家中宏だが、無双が鬼蜘蛛としての人格を押し込められた際の記憶や生前の蛮骨の回想では森川智之となっている。完結編では区別されている。新生奈落になった後も毛皮で顔以外を覆う場合もある。 人見蔭刀の奈落 50年後の奈落の基本形態。人間の若殿・人見蔭刀の姿をしている。妖力を失う弱体化の日を自身の意思で選んで肉体を解体する際は、本体である魂が宿った首だけを残して多数の妖怪達が蠢くおぞましい姿になる。このため、弱体化の日を肉体強化の日として無駄にせず、人間と妖怪の間に生まれた犬夜叉に対して「決まった日にただ妖力を失い、他の妖怪からコソコソ身を隠すだけの哀れな半妖とは違うのだ」と特殊な半妖である事を自慢げに語った事もあった。時に腕が異様に長く、上半身が裸の陰刀、背中に蜘蛛の足、下半身が醜悪な妖怪の集合体という戦闘形態にもなる。吸収した妖怪達で肉体の強化を重ね続け、瘴気と触手の他、強い結界も張れるようになった。 以後はこの姿をベースに人型の新生奈落となる。 大蜘蛛の奈落 劇場版「鏡の中の夢幻城」の冒頭で変化した大蜘蛛形態。牛鬼に似た姿で腹部の背中には巨大な蜘蛛の模様がある。劇中では奈落の本当の姿とされるが、これも仮初なのかは不明。当初はこの形態で倒され、弥勒の風穴も消えた事から死んだかに思われたが、琥珀の背中に潜んで蜘蛛の痣になる事で仮死状態を装っていた。また無印166・167話には鬼蜘蛛を誘惑して奈落を生み出した妖怪の1体である三つ目の赤い蜘蛛妖怪が登場しており、この形態に似ている。 新生奈落 白霊山で無数の妖怪達を使って組み直した奈落の強化形態。桔梗を想う鬼蜘蛛の心を完全に捨て去っている。上半身に複数のトゲの生えた外骨格状の鎧があり、背中には竜の尾が3本も生えている。両手の甲には赤い単眼がある他、腹部の鎧には巨大な赤い目玉がある。桔梗からは飾り立てただけの姿と評されているが、戦闘力はパワーアップしている。性格はさらに傲慢なものとなり、桔梗に対して「運命だの宿命だのは弱者の戯言に過ぎず、本当に力ある強者は運命も宿命も己で作り出すものなのだ」とすべての支配者のような物言いをした他、殺生丸に対してはそれまでしていた様付けではなく、平然と呼び捨てにするなど態度も大きくなっている。この態度は虚勢ではなく新生奈落の妖力は殺生丸と同等であり、殺生丸の攻撃を防御するだけでなく、結界でそっくりそのまま跳ね返している。ただし、奈落自身の肉体の防御力は低く、殺生丸の攻撃で肉体を砕かれてしまっている。新生前と同じく瘴気と触手を武器とする他、鎧のトゲから奈落の骨でできた武器を作り出す事が可能。背中の竜の尾は伸縮自在で尖端からギザギザの牙がある口を展開し、ダメージを受けた場合は傷口から瘴気を吐き出す。心臓である赤子とそれを守る城である魍魎丸を取り込もうとした際は、城攻めの策として妖怪の結界を溶かす触手を持つ溶命樹を吸収した他、魍魎丸にわざと喰われるために肉体を変化させてハサミがない代わりに奈落の頭部と胸部に無数の触手がある赤いサソリのような形態にもなった。 新生奈落 強化体 魍魎丸と赤子を吸収した新生奈落の更なる強化形態。シンプルな姿で鎧にあったトゲと竜の尾がなくなり、首回りには冥王獣の鎧甲が襟になる形で出現している。魍魎丸が取り込んできた妖怪達の力に加えて、金剛石の触手と鎧甲で防御、瘴気を纏った金剛槍破を放つなど攻撃力が向上している。この形態の両腕の前腕部には亀の甲羅のような模様、胸部の鎧には亀裂の模様が現れ、ときに強化新生前と同じく前腕部には4本のトゲが出現する他、胸部の鎧にも目玉の左右に3対ずつ生えたトゲが現れ、このトゲを伸縮・硬質化させて昆虫の脚のような形状にする事で敵の捕縛も可能。なお、強化新生前にも胸部のトゲは存在するが、強化新生後は形状が異なり、トゲの本数も4本から3本に減少している。以後はこの形態を基本の姿とする。また最終決戦での巨大蜘蛛内部では本体として身を潜めながら、りんを人質に夢幻の白夜と曲霊と共に犬夜叉達を苦しめた他、犬夜叉とかごめに対峙した際は鎧甲の防御力を上げて両肩にも後方に流れた鱗の鎧甲を出現させ、背中からは蜘蛛の巣に似た触手を張り巡らせた。 新生奈落の巨大蜘蛛 穢れた四魂の玉を使って変化した奈落の巨大形態で、外見は赤い8つの複眼と黒い体色が特徴の巨大蜘蛛でその姿は穢れきった巨大な四魂の玉とも称された。強化体の新生奈落を本体とする。内部には冥王獣の鎧甲で覆われた奈落を模した人形が護衛している他、霊体の曲霊が潜み、奈落と夢幻の白夜が操る幻で犬夜叉達を翻弄した。奈落の肉体を基に作り出された化け蜘蛛の超巨大要塞だが、奈落の肉体を再生させる事も兼ねる妖怪の集合体で構成されているため、殺生丸の爆砕牙を喰らった際は内部崩壊を起こした。 全身鎧甲の奈落 蜘蛛内部を護衛する奈落を模した人形。冥王獣や魍魎丸と異なり、顔を含めた全身が鎧甲で覆われており、白髪と赤い目を持つ。邪気砕きの飛来骨は防御できないが、切断面から瘴気で身体を再生させて増殖する能力も持つ。硬度も個体によって異なり、金剛槍破を跳ね返す個体もいれば、粉々に粉砕してしまうほどの個体もいるなどオリジナルである冥王獣、それを取り込んで使用した魍魎丸を凌ぐほどの硬度を持つ。 新生奈落 最終形態 穢れた四魂の玉と一体化した奈落の最終形態。人の心を無くし、完全に妖怪化した姿でもあり、上半身のみの悪鬼にも似ている。曲霊のように髪は白髪になり、残った上半身が禍々しく硬質化している。瘴気の弾を必殺技にしていて、犬夜叉達を苦しめた。また四魂の玉の力で犬夜叉の冥道残月破と殺生丸の爆砕牙を受けてもダメージを無効化させ、即時に再生する事も可能。最後はかごめの矢が貫通した四魂の玉と首だけの元の姿になるまで追い詰められるが、四魂の玉自身の願いを叶える願をかけ、夢幻の白夜に斬られたかごめを冥道に送った。現世から消滅し、かごめを四魂の玉が作り出した冥道の空間に送った後は空間に張り巡らされた蜘蛛の巣の中心に首が鎮座された姿で、犬夜叉の前に再び現れる。かごめは翠子の座、自身は玉の妖怪達の座を継がされて、新たな四魂の玉として永遠にかごめと戦わされそうになるが、鉄砕牙によって導かれた犬夜叉がかごめを救出。最期は皮肉にもこれまで戦ってきた犬夜叉とかごめに自身も助けられる形となり、行くところが地獄であってもかごめが告げた四魂の玉の永遠の消滅という正しい願いによって暖かい安らぎを実感し、笑みを浮かべながら完全に消滅した。 技一覧 瘴気(しょうき) 全身からの妖怪の毒気で周りの物全てを融解させる奈落の基本技。主に牽制や逃亡用にも使用するが、攻撃手段としても脅威。山や森を消滅させ、動物や人間を瞬時に白骨化するほどの威力を持つ。瘴気を全身に纏ったまま空を飛行することができる。瘴気で作った暗雲に身を潜めたりもする。多数の妖怪達を吸収しながら、強化を重ね、新生後や魍魎丸を吸収した強化新生後はさらに強力な毒素を持ち、風穴で瘴気を吸収し続けた弥勒にも蜘蛛の足のような傷を与えるほど肉体を蝕んだ。 触手(しょくしゅ) 奈落の基本攻撃。髪の毛や手足などの肉体を妖怪の部分に変化させ、切り取られても再生可能。瘴気も放つ。新生後は胸部から硬質化した触手を出したり肉体の不要な部分を切り捨てて遠隔操作し攻撃できるようになった。相手の妖気の攻撃を返す際は腕の触手の棘を使用する。溶命樹を吸収後はその触手で相手の結界を溶かせる。また、魍魎丸を吸収した強化新生後は、右腕を巨大な金剛石の触手、左腕を冥王獣の鎧甲で覆われた触手に変えて犬夜叉達を追い詰めた。 幻影殺(げんえいさつ) 相手の心の最も弱い部分の幻を見せながら敵を蔦で絞め殺す技。四魂の玉のかけらや強い霊力のあるものには無効化される。アニメでは原作では無効だったかごめも術にかかった。 巫蠱の術(ふこのじゅつ) かごめの破魔の矢に砕かれた肉体を再生させるために使った妖術。陰陽術の一種。岩山に数多の妖怪を閉じ込めて殺し合わせ、生き残った一匹の鬼妖怪・蠱毒を新しい肉体にした。この妖術を使用した際は暗雲が周囲を取り巻き、岩山周辺の村を不毛にし、病人を増やし、岩山の洞窟に入る人間の体調を悪化させるほどの強い瘴気を放った。 傀儡の術(くぐつのじゅつ) 自身の髪の毛を巻きつけた土くれで作った狒々の皮を被った人形を操る妖術。狒々の皮を被った本体同様、会話も可能で人形は木の幹のような触手攻撃や瘴気を操る。また奈落本体と視界を共有しており、傀儡の本体である木の人形がダメージをうけると消滅し視界を失う。 結界(けっかい) 居城・人見城を覆い隠すほどの強力な防御手段。一種のバリア。休眠期には隙ができる。肉体再構成の度に強化され、鉄砕牙の「風の傷」や「爆流破」を無効化できるようになる。新生後は常に結界で肉体を防御している。さらに新生後の結界は無効化に加えて攻撃を跳ね返す能力を備え、奈落の意思で白童子も防御している他、異世界に行った奈落の帰り道としても機能する。植物妖怪・溶命樹の触手はこの結界を溶かす事ができるが、溶命樹も奈落が吸収した事で、殺生丸以外にこの結界を破れる妖怪は皆無となった。 融合(ゆうごう) 他の妖怪を吸収し、自分の肉体の一部にする奈落最大の技。鉄鶏や溶命樹、魍魎丸などの強敵妖怪は雑魚妖怪同様、この力に敗れ去った。相手は完全な妖怪ではなくては駄目で人間や半妖を吸収すると自分を弱めることになる。鬼の首などは奈落が白霊山に身を隠した際、吸収される心配が無くなったため表に出てきた。また魍魎丸は人間の御霊丸の死体を吸収しているが、こちらは魍魎丸の侵食によって肉体が完全に妖怪化しているため、融合の除外対象ではない。 竜の尾(りゅうのお) 新生後の物理攻撃手段。背中から生えている3本の竜の尾を伸ばし、ギザギザに並んだ牙がある口を先端から展開して敵を襲う。瘴気を吐き出す事も可能でダメージを負った場合も同様。実際は奈落の触手を飾りとして竜の尾に似せただけに過ぎない。魍魎丸を吸収した後は更なる物理攻撃を手に入れた事もあって背中から消えた。 金剛槍破(こんごうそうは) 金剛石(ダイヤモンド)の礫を発射する技。犬夜叉の物とは違い瘴気を纏っており融解作用を持つ。魍魎丸の吸収後に使用できるようになった。巨大な金剛石の触手としても使用し、胸部の目玉からも瘴気を纏った礫を発射できる。この他にも神無の鏡の妖の破片を塗し、鉄砕牙の妖力を写し取った天生牙から瘴気の金剛槍破を遠隔操作で放った事もあった。瘴気を纏った金剛槍破は瘴気の槍とも称される。 冥王獣の鎧甲(めいおうじゅうのがいこう) 数多ある妖怪の中で最も優れた硬度を持つ亀妖怪・冥王獣の甲羅。魍魎丸の吸収後に奈落の物となった。新生奈落の姿になった際は首回りにこの鎧甲が現れる。設定上では魍魎丸が使用していた雷冥砲も放てるが、未使用に終わった。鎧甲の硬度は奈落の意思でコントロールされていて、あらゆる攻撃を防御できるが、珊瑚の邪気砕きの飛来骨に油断した際は身体を砕かれ、自慢の再生能力を阻害されてしまった事もあった。劇中では鉄砕牙の他、体内に隠した四魂の玉を守るために飛来骨の攻撃を防御。巨大蜘蛛内部での最終決戦では全身が鎧甲で覆われた奈落の人形が登場。こちらは個体によっては金剛槍破を粉砕するほどの硬度を持つなど持ち主である冥王獣や魍魎丸を凌ぐ防御力を有する。 蜘蛛の糸(くものいと) 「人間の負の心」を取り戻した時に使える技。触れた人間の意識を奪い、気絶させることができる。普段は見えず、霊力を持った桔梗やかごめにしか確認できない。集合すると可視化され、多数の人間などの重いものも運ぶことができる。桔梗やかごめ、犬夜叉を襲いそれぞれの辛い過去を見せ憑りつき心身に悪影響を及ぼす。桔梗は以前受けた瘴気の傷が広がり致命傷になった。かごめは梓山の精霊の試練で自らの死を望む桔梗の幻影になった蜘蛛の糸を打ち破った。 瘴気の弾(しょうきのたま) 巨大蜘蛛内部の最終形態(上半身のみ残り完全に硬質化した肉体で妖怪化した姿)のみ使用。超速かつ不規則な動きの高濃度の瘴気を自在に操る。四魂の玉と一体化している事もあってか、毒素は曲霊の悪霊の毒にも匹敵し、毒を無効化する殺生丸にも手傷を負わせた。 第一妖怪・神無(かんな) 声 - ゆかな 奈落が生み出した「無」の分身。人間換算年齢10歳。一人称は「私」。 見た目は幼い少女の姿。口数が少なく、奈落に対しても従順。いつも大きな鏡「死鏡(しかがみ)」を抱えている。その鏡は魂を吸い取り、攻撃を跳ね返すこともできるが、容量には限りがある。妖気も匂いがなく、清浄な結界内すらも自由に行き来できる。 心や感覚もなく、恐れも痛みも悲しみも、相手の行動の意味すら理解できないと評される。その一方で、自分の側を吹き抜けた風に亡き神楽を思い浮かべたり、アニメでは神楽が亡くなった花畑に赴いて彼女の扇子を拾い、それを湖に水葬するなど、最も長い付き合いであった妹の死を悼んでいた。内心では自由を渇望していた様子。 その後、奈落の命令で鏡を開放させ、犬夜叉と戦った。犬夜叉は傷ついて無力になった神無にとどめを刺そうとはしなかったが、結局は奈落の力によって心臓を潰され自爆させられ消滅した。最期はかごめに「光が奈落を殺す」という言葉を残し、汚れた四魂の玉の中にある一点の光を見せた。アニメでは劇場版「鏡の中の夢幻城」以降、よく短歌を詠む。鏡の妖 神無が死鏡を解放することで発生する巨大武者のような妖怪。見た物をそっくりそのまま写し取り、相手の力を奪い取ることができる。鉄砕牙をコピーした。体の中央にある斬撃を発生させる空洞は神無があらゆる位置に発生させる「鏡の影」とつながっており、神無と連携することで敵を逃がさずに斬撃を与え続けることができる。妖の受けた傷は全て使い手の神無が負う。アニメでは神無のために花を摘むなど神無と独立した意識を持つ描写がなされた。後に鏡の妖の破片が奈落に回収されていて、夢幻の白夜を通じて殺生丸に渡される。破片の状態でも鏡の妖の力で、かつて鉄砕牙とひとつであった天生牙に破片の粉を塗した際には、鉄砕牙としての力を奪い取る形で取り戻させた他、鏡の妖同様、鉄砕牙の能力を奪った。 第二妖怪・神楽(かぐら) 声 - 大神いずみ 奈落が生み出した「風」の分身。人間換算年齢17歳。一人称は「あたし」。 芸者のような姿をしており、蓮っ葉な口調を用いる。扇子で常に持ち、カマイタチで切り裂く「風刃の舞(ふうじんのまい)」・竜巻で突き刺す「竜蛇の舞(りゅうじゃのまい)」・死体を操る「屍舞(しかばねまい)」などの技を使う。術で大きくした羽根に乗って、空を飛ぶこともできる。 風のように自由に生きたいと考えており、奈落からの離反を幾度も企図するが、彼女の心臓は奈落の手中にあり命を握られている状態であるため、奈落には嫌々従っている。体に心臓がないため、どんな攻撃を受けても再生し、死ぬこともできない。そのため、奈落打倒の計略を何度も廻らし、奈落を殺す算段がつくと度々殺生丸を頼っていた。犬夜叉が朔の日に妖力を失うことを知っても、それを奈落に報告しなかった。自分と同じように奈落を裏切る弟・白童子や魍魎丸とその体内の赤子と手を組むが、後に魍魎丸とその体内の赤子の陰謀に気付き、琥珀を逃がすと同時に奈落一味から離脱する。白童子との死闘の末、奈落に心臓を返してもらうも、同時に瘴気を注ぎ込まれ、最期は殺生丸に看取られながら風となって消えていった。殺生丸が天生牙で助けようとした数少ない人物の一人。 作者曰く、奈落が死んだ場合、神楽に心臓が戻るかは不明で、神楽が自由になれる可能性は無かった。それでも彼女は一生懸命生き抜くことができたという。 最猛勝(さいみょうしょう) 奈落がいる場所に現れる、無数の地獄の毒虫。スズメバチに似た姿をしている。奈落の瘴気から作り上げた奈落の眷属で、毒は奈落の瘴気が素になっている。球体の巣穴があれば、奈落以外でも使用でき、殺生丸も使用した。主に弥勒の風穴を封じるのに使われる他、スパイ、物品運搬など、奈落の手先となり働く。劇中では七人隊にも使役され、蛮骨に蛇骨が煉骨に殺害された事を伝えた他、奈落の命令で用済みとなった白童子を裏切った事もあった。 第三妖怪・悟心鬼(ごしんき) 声 - 佐藤正治 奈落が放った心を悟る「鬼」の分身。一人称は「俺」。 神楽の事を本人の前では姉上と呼んでいるが陰では呼び捨てにしており、内心では2人の姉を自分が生まれるまでの前座に過ぎなかったとして見下している。人の心を読む能力があるため相手の行動を予見し先回りして戦うことができる。悟心鬼の読心は相手が今考えている事柄を読み取る能力であり、赤子と白童子と違い心の深淵を覗く力はないが、相手を見るだけで心が読める部分では勝っている。鉄砕牙を噛み砕き、犬夜叉を追い詰めたが、犬夜叉が妖怪に変化(へんげ)し、引き裂かれてしまった。なお、首を飛ばされた悟心鬼の牙は天生牙で甦った後、殺生丸の依頼により、灰刃坊が闘鬼神という刀に仕立てた。 第四妖怪・影郎丸(かげろうまる)/第五妖怪・獣郎丸(じゅうろうまる) 声 - 共に山崎たくみ 奈落が生み出した双子兄弟の分身。二体とも同じ顔をしている。 弟の獣郎丸は「獣」のように言葉もしゃべらず闘争本能しかない。奈落の壷の中で生まれた途端に奈落の首をはね落とす凶暴な性格。獣郎丸は同じ壺から生まれた兄の影郎丸の言うことしか聞かない。 弟の獣郎丸を「影」で操っているのが小さく、カマキリのような腕と回虫のような体をした兄の影郎丸。普段は獣郎丸の体内に隠れている。 獣郎丸は一切しゃべらないが、影郎丸はそれを補うが如くよくしゃべる。一人称は「俺」。 双方共に鋼牙を上回る戦闘速度を誇り、地中に潜って奇襲をかけることもできる。犬夜叉と鋼牙の共闘によりまとめて倒される。 巨大死魂虫(きょだいしにだまちゅう) 奈落が桔梗を始末するために送りつけた妖怪。死魂虫の巨大な個体。桔梗の死魂を奪って消そうとするが、駆けつけてきた犬夜叉に倒された。 無双(むそう) 声 - 家中宏 奈落が、桔梗を慕う鬼蜘蛛の心を捨てようとして切り捨てた肉塊が人間=大火傷を負う前の鬼蜘蛛の外見となった半妖。他の分身とは格の違う特別な存在であり、鬼蜘蛛の心が不完全な形で出された姿で別名「顔のない男」。当初は顔が無く、自身を倒そうとした「無双」という僧侶(声 - 杉田智和)から顔の皮と名前を奪った。背中には他の分身同様、蜘蛛の傷があるが、アニメでは後に鬼蜘蛛にも蜘蛛の傷があった事が判明するため特別な証である他、無双の心臓でもある。身体そのものは妖怪だが、人間である鬼蜘蛛の心も持つため、奈落の分身の中では唯一の半妖。顔がないのは鬼蜘蛛としての記憶がないと同時に大火傷で顔が爛れてなくなっていた名残であり、記憶を取り戻した際は、桔梗を傷つけたのは自分の本意ではなく、やがて鬼蜘蛛としての意識も閉じ込められる形で奈落に支配されたと語った。鬼蜘蛛自身は桔梗を連れ去り四魂の玉を手に入れるだけのつもりだった模様。鬼蜘蛛としての記憶も、奈落の分身としての自覚も無かったが、鬼蜘蛛が寝ていた洞窟に行った事とかごめの姿を見た事をきっかけに記憶を取り戻す。意識は鬼蜘蛛そのものであるため、性格は略奪・殺戮を好む残虐なもの。鬼蜘蛛同様、桔梗に固執する他、犬夜叉にも憎しみを向ける。肉体はダメージを受けると作り物が壊れたような傷口が見える他、奈落の命で監視していた最猛勝が傷を再生させた事で毒性を持ち、弥勒の風穴を封じた。奈落同様、手足を変化させる触手攻撃が主な攻撃手段。粉々に粉砕されても心臓を中心に再び一つに結集して再生し、また体の一部を変形させて武器にする能力を持つ。変化後のモチーフは蠍で、劇中では手足を獣のような形状に変えながら頭部と背中、胸部を除いた全身を硬質化させた上でトゲを生やしながら触手攻撃、蠍のように伸ばした触手の先を手に変えるなどの変幻自在の物理攻撃を展開した。鉄砕牙と風の傷を何度も喰らっても並外れた再生能力で無効化。爆流破も相手の妖気を使うため、肉弾戦だけの無双には無意味で犬夜叉を苦戦させた。自分を“つなぎ”として利用していた奈落を憎み、アニメでは桔梗を殺した事でも更に奈落を憎み、奈落と対峙した時攻撃を仕掛けた。奈落の体はまだつなぎとしての鬼蜘蛛を必要としていたため、再び奈落に取り込まれた。劇中では人間だった頃の名である鬼蜘蛛、僧侶から奪った名である無双の両方で呼ばれている。 その後は奈落が白霊山で新生奈落に変化すると同時に桔梗を慕う心を無数の顔のない小さな人型の肉塊として排出する事で、無双(鬼蜘蛛)の人格も奈落の中から消え、無数の肉塊の完成形にして奈落の心臓である赤子、顔は蔭刀の奈落でありながら無双と同じ声を持つ人間の負の心を生み出すに至った。なお、無双の心臓は奈落の心臓である赤子と同一なのかは最後まで不明。 白心上人(はくしんしょうにん) 声 - 松岡文雄 100年以上前に即身仏となった高僧。生前から大変な法力を持っていたとされ、白霊山に「お清め所」を開き、迷える人々を救い続けてきた。死後も聖島に祀られ、生き仏として人々を救い続けてきたが、入滅の直前に人間本来の死の恐怖に襲われ、「聖人などではなかった」と自己嫌悪に陥り、彼自身は成仏することができなかった。その悲しみを奈落は「人々への怨み」にすり替え白心を説得。奈落に救われたと感じた白心は奈落に協力し白霊山に聖なる結界を施す。 その法力は桔梗の霊力さえもはるかに凌いでおり、桔梗も彼に対しては若輩として接している。邪な力を持つ者に対して絶対的な攻撃力と防御力を誇る。彼が発生させる聖なる結界の力は、殺生丸や桔梗に近づくことすら許さず、奈落すら一瞬で滅ぼすと評される。また、即身仏である本人の身体は動かないものの、周囲に張った結界ごと自由に移動ができる。聖なる結界の強度は、白心本人が解除するまで誰も破れなかったほど強靭であり、限りなく無敵に近い人物である。 聖島で犬夜叉達を仕留める計画に携わるが、蛮骨の腕を信用していなかった白心は法力を用い聖島に聖なる結界を施し鉄砕牙の変化を解くなど数々の補佐を行う。しかし蛮骨がかごめの矢によって腕を失うと、蛮骨を白霊山まで瞬間移動させて救出した。 その後、白霊山へ侵入してきた弥勒の風穴に耐え、白霊山の麓で結界を張り続けたが、自分と同じく生前迷うことを許されなかった死者(死人)である桔梗と魂を触れ合うことで成仏し、白霊山の結界を解いた。 原作では奈落が吸収する事になる結界を溶かす触手を持つ溶命樹、同じく奈落に吸収される魍魎丸が自身の鎧とするために狙った最強の鎧甲を持つ冥王獣を封印した高僧はこの白心上人であると作者がコメントしている。 アニメでは蛮骨に50年の眠りから目覚めた犬夜叉、自信を成仏させた死人の桔梗と共に欲があるから余計に生きている死損ないの上人と唾棄されており、蛮骨自身は桔梗よりも白心上人が聖人ではなく、常人と変わらない心を持つ人間である事をいち早く見抜いていた。また、邪悪な亡霊である七人隊の魂は誰一人として白霊山の結界で浄化されていないなど、どんなに強い法力を持とうと救えない者達も存在すると言う皮肉になっている。 第六妖怪・赤子(あかご) 声 - 小林愛 奈落が白霊山で生み出した「人」の分身。一人称は「儂」。 白霊山に蠢く無数の実験体(赤子型の肉塊)の完成系。弥勒曰く薄気味悪いほど色白で赤子の姿でありながら、分身の中では最も格が高く、自身の片割れである白童子すら手駒として操る。他の分身や妖怪達の指揮権を有し、奈落と同等の立場にある「奈落の落とし子」。 その魂の本質は謎に満ちた不明な点が多く、奈落や鬼蜘蛛(無双)とは性格や行動が大きく異なる。魂の本質は最終的に明かされなかった。 桔梗を慕う人間(鬼蜘蛛)の心を除くあらゆる資質を奈落から受け継いでいる。触れた相手の心を読み取る能力により奈落以上に人間の心を利用した謀略に長け、性格も奈落を越えて冷酷非情。 桔梗を慕う心を持たず、犬夜叉曰く「奈落の性格がますます捻じ曲がった心の化け物」とのことである。新生奈落の結界に並ぶ力を持つ。 なお、桔梗を慕う心の方は失敗作である無数の赤子型の肉塊に持っていかせている。 最初は一体だったが神楽と共に神官・僧侶を襲っている最中、和尚(アニメでの名前は妖怪封じの名手・神泉和尚)の法力を受けて真っ二つにされ、その際に二体に分裂。その内の一体の片割れは成長して子供の姿をした白童子となった。分裂後の赤子は、白童子や分裂前の赤子に比べて極端に無口でほとんど喋らない。白童子が消滅した後は魍魎丸の本体としてよく喋る。 正体は「奈落の弱点である心臓」。 いつしか心臓を持つ自身こそ本物の奈落だと考え始め、白童子と共に奈落の抹殺を画策するも赤子自身は戦闘能力を持たないため、白童子に「鎧」となる魍魎丸を作らせて魍魎丸の強大化により奈落抹殺を図る。しかし、奈落によれば赤子が裏切ることは目に見えていたらしく、だからこそ動くこともままならない赤子の姿で心臓を外に出し、赤子に強力な鎧を作らせてから再び吸収しようとしていた。強大な力を得た魍魎丸を使い、犬夜叉や殺生丸、鋼牙らと戦い2つの四魂のかけらを奪取するが、犬夜叉一行が見守る中、溶命樹を吸収した奈落と死闘を繰り広げ窮地に陥る。最後には自ら犬夜叉の前に進み出て奈落を道連れにする覚悟を見せるが、金剛槍破を操る奈落に阻止され、遂に吸収される。 犬夜叉一行、桔梗、鋼牙などに奈落の心臓である事を知られた際には長らく弱点として狙われ続けたが、持ち主である奈落が再び吸収した事でその意味を無くした。技一覧 読心術(どくしんじゅつ) 赤子の最強の技。人間の心を読み、憎悪や嫉妬心などで心の闇を取り込む。この技で四魂の欠片を見つける事ができる目を持つかごめを取り込もうとしたが、かごめの強大な魂と心の強さによって阻まれた。完結編では自身が操る魍魎丸で捕えた琥珀にこの技を使う。 結界(けっかい) 新生奈落と同じ結界で敵の攻撃を反射する。こちらは白童子と違い奈落の任意で張っているわけではなく、赤子自らの結界。強力な結界だが、溶命樹の触手には効かず、この結界を破るために奈落は溶命樹を復活させて取り込んだ。 白童子(はくどうし) 声 - 小林愛 奈落が白霊山で生み出した第六妖怪の片割れ。一人称は「儂」。片割れである赤子と共に「儂らこそ本物の奈落」と称し、自身が赤子の手駒である事にも一切の疑問を抱かない。 心臓を持つ左の片割れが赤子の姿のままだったのに対し、右の片割れは10代前後の子供の姿となった。肉体を斬られても再生する。赤子と同様の人格。白童子の結界は奈落の結界とつながっており、双方のいる場所へ瞬間移動が可能になっている。奈落はこの方法で犬夜叉の父の墓から脱出した。 煉獄鬼から奪った薙刀を武器とし、妖馬・炎蹄に乗る。奈落と違い自身の手を汚すことも率先してする。赤子同様に奈落以上に冷酷な性格で、姉にあたる神楽や神無をも見下している。魍魎丸を作り出して奈落を裏切り取って代わろうとしたが、奈落に勘付かれており、最猛勝の護衛と結界を解かれて最期は弥勒の風穴に吸い込まれて消滅した。最後の瞬間まで自身は本物の奈落であると言って憚らなかったが、魍魎丸を使った白童子と赤子の裏切りも奈落にとっては想定内であり、その赤子も魍魎丸も奈落に吸収され、白童子たちの計画は水泡に帰した。技一覧 瘴気(しょうき) 奈落と同じ技。 結界(けっかい) 新生奈落と同じ結界で敵の攻撃を反射する。奈落が異世界に行った際には帰り道としても機能する。白童子の意思で張っているかに見えるが、実は奈落の任意で結界を解除する事も可能。このため、結界と最猛勝の守りがなければ、驚異的な再生能力を持つ白童子といえど弥勒の風穴には無力になってしまい、この弱点を利用する事で奈落は弥勒に白童子を吸わせるよう仕向けた。 炎蹄(えんてい) 白童子と神楽が殺した和尚に封印されていた妖馬で、封印を解いた礼として、白童子に乗馬として付き従う。元は人食い鬼・煉獄鬼(アニメでの名称)の乗馬だった。高速で空を飛ぶことができ、口から強力な炎を吐く。最期は原作では聖様(桔梗の操る傀儡)の破魔の矢で白童子の結界を破られた後、犬夜叉の風の傷で倒された。アニメでは犬夜叉と雲母の連携により洞窟に誘い込まれた後で犬夜叉の爆流破に討ち倒された。 魍魎丸(もうりょうまる) 声 - てらそままさき 白童子が、妖怪を寄せ集めて作った数々の試作品を経て、新たに作られた人間型の体に妖怪・魄喰いから取り出した人間の魄(ハク)を入れて生み出した合成妖怪。魂魄のうち、肉体を動かす力である魄を動力源にしている。人間の魄が馴染むため、人型でフランケンシュタインのようなツギハギ傷が特徴で赤子(奈落の心臓)の「鎧」として作られた。奈落には自身の心臓を守る「城」とも称される。自分に直接攻撃した相手を取り込んでしまう力がある。後に冥王獣の鎧甲と金剛槍破を取り込み、殺生丸の闘鬼神を折り、犬夜叉の鉄砕牙を圧倒する。その瘴気と妖力は奈落にも並ぶほどで、魍魎丸と奈落が向かい合うだけで山一つが消滅するなど影響力も凄まじい。赤子が隠し持っていた奈落の心臓も受け継ぎ、奈落に最後の戦いを仕掛け、奈落を吸収して喰いつくしたかに見えたが、逆に吸収されていて最終的には奈落に内側から取り込まれてしまう。赤子と白童子と共に、心臓のない奈落は抜け殻も同然と見下していたが、心臓である赤子共々奈落に吸収された際には蛹から脱皮する成虫のごとく魍魎丸の顔を破って奈落の顔が出てくるなど、自身が抜け殻になるという皮肉な形で消滅した。 融合した御霊丸とは名前も顔も似ているが、人間の御霊丸は存在しているため、御霊丸に似せて白童子が作ったとされるが、両者の詳しい関係と説明はない。本体である赤子は「もう一人の奈落」とされているため、こちらは妖怪の死骸の集合体という奈落の肉体のポジションになる。 原作では殺生丸を追い詰めていたが、アニメでは逆に追い詰められるという改変を受けることになる。 御霊丸から奪った声で喋り、自我があるかのように見えるが、実際は赤子の指示通りに動いているだけで、意識は赤子とは別個体である模様。 赤子が脱出しようとした際には見向きもせず、奈落による侵食にも苦痛の呻き声すら上げなかった事から魍魎丸の本質は単なる操り人形にすぎない。 御霊丸としての魂や意識、心はなく、融合しているのはあくまで御霊丸の肉体(死体)だけである。一部を除き、3種類の形態が存在する。形態一覧 御霊丸の異形の右腕 御霊丸の右腕に取り憑いた形態で大小の赤い結晶が3個あり、上に2本、後ろに1本のトゲが生えている。御霊丸の法力でねじ伏せられて彼の意のままに動く武器として使役される。御霊丸の意思で展開すると触手をむき出しにして無数の光球と光の塊にした妖怪達で敵を蹴散らす。御霊丸の死体を取り込んだ魍魎丸も彼の姿でこの技が使える。妖怪の光の塊を利用して御霊壺を作り、配下の子供達に妖怪退治をさせていた他、触手は倒した妖怪の死骸を吸収できる。御霊丸の意思で動くとされているが、実は魍魎丸の侵食で御霊丸を無意識下で操り、配下の子供達が御霊壺で倒した妖怪達の死骸を供養と称して御霊丸の寺にある羅漢像の洞窟に回収させてはその邪気に惹かれた妖怪達を集めて魍魎丸を強化させるパーツに利用していた。御霊丸が白童子に殺されて埋葬された後は、魍魎丸として復活して赤子を持った神無と合流した。 第1形態 完全な人型でトゲの形状で背中に収納しているコウモリ妖怪の翼を展開して飛行が可能。神無に「魂」として赤子を与えられた後、描写はないが御霊丸と戦って彼の右腕を喰らい、法力でねじ伏せられるが御霊丸の肉体の融合に成功。行者である御霊丸の立場と寺、彼の配下である子供達を利用して退治した妖怪の死体を回収させて自身を強化していた。不妖壁を持った赤子を一時的に取り出して寺に隠した後は、御霊丸の意のままに動く武器として使役されていたが、時間稼ぎの盾としての用が済んだ御霊丸を白童子が殺害。これによって魂がなくなった御霊丸の肉体を取り込み、魍魎丸として復活。その後は御霊丸の墓から飛び出て赤子を持った神無を桔梗から守り、神無と合流すると再び赤子を入れられ、第2形態へと変貌した。無印アニメでは165話、166・167話に登場。EDでは赤子を持った神無と共に歩いている描写がある。 第2形態 白童子に殺された御霊丸の肉体と完全に融合した形態。アニメでは完結編1話・2話に登場。この形態から御霊丸の姿になる事も可能だが、犬夜叉達に正体を明かしてからは御霊丸の姿になる事はなかった。赤子に操られて喋るようになり、自我があるかのように振る舞う。こちらも飛行可能で右肩は御霊丸に取り付いてときの貝のような形状で指は両腕ともに3本。奈落同様、触手を伸ばし、口から瘴気を吐く。原作では最猛勝も吐いている。完結編では御霊丸の姿になりながら奈落に幽閉され、神楽に見張られていたが、奈落に反旗を翻そうとする白童子によって解放。第2形態になって鋼牙達を襲うが、桔梗の矢に阻まれて撤退。再び御霊丸の姿になった際は白童子と対峙する犬夜叉達を攻撃。魍魎丸としての正体を現しながらその場から逃げた琥珀を追いかけるも今度は犬夜叉の金剛槍破によって阻まれ、二度目の撤退を余儀なくされた。金剛槍破を取り込む策も兼ねて肉片で復活させた冥王獣を取り込んだ際は第3形態へと変貌した。 第3形態 冥王獣と鉄砕牙から放った金剛槍破を取り込んだ最終形態。右腕を除いた全身を最強の鎧甲とされる冥王獣の硬い甲羅で覆い、とくに赤子を収納している右肩は鱗上の甲羅で頑丈に防御している。鎧甲で覆われていない右腕は金剛槍破を取り込んだ後、巨大な金剛石の右腕となった。こちらも飛行可能で様々な妖怪を取り込みながら、触手と瘴気で犬夜叉達と戦うが、最後は奈落に内側から喰われてしまう。鎧甲と金剛槍破はそのまま奈落のものとなった。原作ではこの形態で追いつめた殺生丸の闘鬼神を折るが、アニメ完結編では神楽を侮辱した事に激怒した殺生丸に亀裂が入った闘鬼神から蒼龍破を喰らい、綻びとなってしまう。また殺生丸には「自身の妖気は貴様のごとき小さき器に収まりきれるものか!」と酷評されており、奈落からは「儂のためだけによくぞこれほどまでに肥え太ってくれた」と皮肉げに評価されながら喰われてしまうなど、妖怪である前者からは小さな器、半妖である後者からは強くなるための餌でしかない事を断言されている。 技一覧 触手(しょくしゅ) 奈落同様の攻撃手段で全形態から伸縮自在の硬質化する触手を身体から放つ。第2形態で琥珀を捕えた際には読心術も使ったため、赤子のような小さい手にもなった。第3形態では右腕のみ巨大な金剛石の触手となった。また触手で捕えた妖怪を融合・吸収する事も兼ねる。 瘴気(しょうき) 奈落同様の基本技。赤子が入った第2形態で放つ。新生奈落に匹敵するほどの毒素を持ち、奈落が魍魎丸を取り込んだ際には奈落の瘴気をさらにパワーアップさせた。 吸収(きゅうしゅう) 奈落の融合に相当する魍魎丸の技。触手で捕えた妖怪や自身を攻撃する相手の妖力を文字通り吸収する。この力で冥王獣、殺生丸の攻撃、犬夜叉の金剛槍破を取り込めるが、魍魎丸の外側のみ有効で奈落はこの弱点を突いて内部から魍魎丸を逆に吸収してしまった。 読心術(どくしんじゅつ) 赤子の力。第2形態の技で捕えた相手の心を読む。この技を使うと触手も赤子の手の形状になる。琥珀を捕えた際に使用した。 冥王獣の鎧甲(めいおうじゅうのがいこう) 数多の妖怪の中で最も硬い甲羅を持つ亀妖怪・冥王獣の装甲。頭部と右腕を除いた第3形態の全身を覆い、弱点である赤子が入っている右肩は鱗状の甲羅で頑丈に防御している。犬夜叉の鉄砕牙の攻撃を無効化した他、殺生丸の闘鬼神を折ったが、完結編では激怒した殺生丸の蒼龍破を喰らって綻びが生じてしまう。綻びは後に金過と銀過を吸収した事で治すが、奈落が魍魎丸を吸収した事でこの鎧甲も奈落の物になってしまった。原作では魍魎丸の肉片で復活させた冥王獣を犬夜叉の金剛槍破の盾にした後、刺さった金剛石の礫ごと吸収して第3形態になるが、完結編では復活した冥王獣をすぐに吸収した事で金剛槍破を持たない第3形態となる。このため、完結編での犬夜叉達は冥王獣の存在を知らず、魍魎丸の鎧甲として認識しているが、後にかごめを人質に琥珀の欠片を奪おうとする奈落が持ち主である冥王獣の存在を犬夜叉達に説明している。鎧甲で覆われていない右腕は金剛石の触手になった事で防御力を持った他、鎧甲がない頭部は首の左右に1対ずつ生えた蜘蛛の足状の棘を巨大化させて顔を防御する。また鎧甲の硬度は鉄壁というわけではなく、五雷指と竜鱗の鉄砕牙の合体技を喰らった際は赤子がいる右肩を破壊されかけた。 雷冥砲(らいめいほう) 妖力を球体状の雷撃の塊として放つ冥王獣の技。第3形態で放つ。奈落もこの技を使用できるが、未使用に終わった。 金禍銀禍の炎と雷(きんかぎんかのほのおといかづち) 原作にはないアニメ版完結編オリジナルの技。魍魎丸と冥王獣の鎧甲を繋ぎ留める力の強化と殺生丸の蒼龍破と竜鱗の鉄砕牙の攻撃で生じた綻びを治すために吸収した双子妖怪・金禍銀禍の物で炎は金禍、雷は銀禍の技で金剛石の右腕からこの技を放つ。生まれた時から殺し合う宿命にある二人の強い絆の力は、彼らの血を浴びただけで鎧甲の綻びを瞬時に再生させてしまうほど強力でそれに目を付けた赤子と魍魎丸に狙われる。戦闘になった際は二人の同時攻撃を喰らい、鎧甲で防ぎきれないほどの炎と雷で一時的にピンチに陥るが、銀禍を捕縛する触手を緩めて拘束している金禍に止めを刺すよう仕向け、金禍を刺した銀禍を金剛石の右腕で刺殺。続けて抵抗する金禍を金剛槍破の礫で殺害。二人を吸収した後は鎧甲の強化と妖気を繋ぎ留める力を入手し、炎と雷で殺生丸、鋼牙を攻撃するが、殺生丸は冥道残月破で無効化、鋼牙に対しては自身の金剛槍破に炎と雷を纏わせて五雷指の攻撃を無効化するなどしたが、いずれも決定打に欠けていた。また白夜はさすがの奈落も金剛槍破、冥王獣の鎧甲、金禍銀禍の力を持つ魍魎丸には勝てないのではないかと推測していたが、内側から魍魎丸と赤子を吸収するという戦法で逆転勝利を収めた。設定上、雷冥砲と同じく奈落もこの技を使用できるが、未使用に終わった。 金剛槍破(こんごうそうは) 金剛石(ダイヤモンド)で出来た右腕から金剛石(ダイヤモンド)の礫を発射する第3形態の技。犬夜叉の技と同じだが瘴気をまとうタイプが存在し、巨大な金剛石(ダイヤモンド)の触手として敵を貫くこともある。原作では冥王獣を盾にして刺さった礫ごと吸収して使用できるようになるが、完結編の4話で魍魎丸と戦う鋼牙に加勢した犬夜叉が放った金剛槍破を右肩で受け止めて吸収、使用できるようになった。同じく完結編では金禍と銀禍も吸収して金剛石の右腕から炎と雷も放てるようになったが、最終的にこちらも奈落の物となり、宝仙鬼が奈落を倒すために犬夜叉に授けたこの技も結果的に魍魎丸を通じて奈落が常時使用できる必殺技になってしまった。 第七妖怪・夢幻の白夜(むげんのびゃくや) 声 - 真殿光昭 奈落が放った「幻」の分身。一人称は「俺」。 日本刀を背負った侍のような容姿。女性と見紛うほどの中性的な美貌の持ち主だが、れっきとした男性である。 「幻」を司る分身に相応しく、変幻自在かつ強力な幻術で犬夜叉たちを翻弄する。機転も利き、ただ幻を見せるだけでなく、幻という嘘に本物という真実を織り交ぜる事にも長け、劇中では幻の曲霊に曲霊の肉片の匂いを紛れさせて殺生丸を誘導、巨大蜘蛛内部では幻の奈落に人質に取った本物のりんを配置するなどした。奈落が新生後になってから生み出した分身のため、犬夜叉や殺生丸の奇襲をかわすほど身体能力が高く、身のこなしも軽い。 基本的に戦闘には参加せず、犬夜叉や殺生丸の動向を監視し、奈落に報告する「観察者」に徹している(本人曰く、自分の仕事は見る事だけ)。移動の際には、術で巨大化させた白い折り鶴を用いる。遠方の様子は、自身の眼球を変化させた一つ目蝙蝠を飛ばして窺う。 上記の折り鶴や、自身の身代わりを生み出す白い蓮、瘴気の毒蛇を召喚できる瓢箪など、奈落の分身の中では多彩な小道具と武器を用いる。奈落に引けを取らない幻術に加え、前述の道具を用いた多種多様な技を扱うほか、諜報や偵察、奈落の代わりに策を考案・実行するなど、その活動や能力は多岐にわたり、事実上の「奈落の腹心」と呼べる存在となっている。一時期、紅牛魔と行動を共にし、妖狼族のほとんどを惨殺した。 背中に差している刀には刀身が無いが、一度しか使えない切り札として妖力を写し取る複製能力がある。物語終盤で四魂の玉自身の願いを叶えるために奈落に指示され、冥道残月破の力を吸い取ったことで黒い刀身が発生した。 飄々とした性格で掴み所のない人物であり、敵対関係にある犬夜叉や殺生丸にも馴れ馴れしく接する。奈落に対しても例外ではなく、彼とは主従関係というよりも対等に近い関係を築いており、軽口も平然と叩く。完結編では、珊瑚の飛来骨に手ひどくやられた奈落をからかう場面もあった。からかわれた奈落の方も「うるさい、黙れ」と悪態をつく程度に留め、罰を与える様子すらなかったことから、彼に心臓を握られて従っていた神楽や神無、奈落の心臓である赤子とその片割れの白童子とはまったく異なる待遇を受けていたことが示唆されている。 上記の通り、立ち振る舞いすべてが異彩を放ち、その行動原理は謎に包まれている。その姿勢は最期まで変化しなかった。これまでの分身たちとは異なって、奈落への嫌悪感や恐怖心は一切抱かず、分身たちの中で唯一最期まで彼に忠実だった。 その一方で、観察者の役割を通り越し「傍観者」然として振舞っている節があり、犬夜叉たちとの闘いや因縁も「他人事」として捉え、一切の関心を示さない。彼らとの闘いにも一貫して消極的であり、奈落に疑問を投げかける描写も見られた。 また、神楽や神無に見られた人間らしい感情も希薄であり、犬夜叉や殺生丸はおろか生みの親たる奈落の言動(「人の心」を持つが故の苦悩等)すら、自分には理解できないと述べる冷徹な一面もある。神無と鏡の妖の弱点を知りながら、彼女に同情して苦戦を強いられた犬夜叉には呆れを示し、自身が敵ならば躊躇なく弱点を突くと明言している。 奈落と共同体であり、彼が手傷を負うと、白夜も同じダメージを負う。そのため、白夜は奈落の分身(心臓である赤子は除く)の中で唯一固有の臭いを持たず、奈落と同一の臭いを持つ。それ故、劇中で彼が起こした事件の殆どが「奈落の仕業」だと犬夜叉たちに誤認されている。最終決戦ではその特性を生かし、犬夜叉に気付かれる事なく、かごめへの接近に成功した(周囲に充満した奈落の体内の臭いと完全に同化してしまう為)。 作中で白夜が犬夜叉一行や殺生丸の攻撃でダメージを負ったことは一度もなく、最終決戦で奈落本体にかごめの破魔の矢が当たった時と、殺生丸の爆砕牙で奈落の体内が斬られた時のみ負傷している。いずれも巨大蜘蛛内部で奈落が負傷し共同体の特性故に巻き添えで喰らった形であり、彼本人に落ち度はない。 最終決戦となった奈落の巨大蜘蛛内部では犬夜叉たちに幻を見せて翻弄した他、弥勒が風穴に吸い込まれる事を恐れる珊瑚を焦燥させ、幻の奈落と四魂の玉ごと本物のりんを飛来骨の巻き添えにするように仕向けた。完結編では幻の奈落を通じて、弥勒には「救いの法師・弥勒。救われたいのは己自身か?」と投げかけ、結果的に人質のりんに向けて飛来骨を投げてしまった珊瑚には「退治屋・珊瑚。退治されたのはお前自身だ」と、彼らの生業に絡めた台詞で二人を追い詰めた。 最期は冥道残月破の妖力を複製した刀でかごめを斬りつけた直後、犬夜叉の斬る冥道残月破で倒された。その時でさえ「奈落の死と同時に滅びる身体だから未練はない」、「役目は果たした」旨の発言を残し、死の恐怖にも最期まで無頓着だった。技一覧 幻術(げんじゅつ) 敵に幻を見せる術。作中では無数の折り鶴、殺生丸を誘き寄せるために霊体の曲霊、巨大蜘蛛内部ではりんの幻を見せて翻弄した。 蓮の身代わり(はすのみがわり) 所持している白い蓮を自身の姿に変えて敵の攻撃をかわしたり、注意を逸らす。 蓮の炎(はすのほのお) 所持している白い蓮から炎を出す技。いわゆる火炎放射で、結界に身を隠していた琥珀を守る胡蝶と飛鳥を倒す際に使用。 瓢箪(ひょうたん) 腰に下げている瓢箪。瘴気の毒蛇や空間転移を行う液体が入ってる。また曲霊の匂いがついた借り物の肉体の肉片を入れて、幻の曲霊と共に殺生丸を誘き出した。 瘴気の毒蛇(しょうきのどくへび) 所持している瓢箪から毒々しい紫色の無数の毒蛇を放つ。毒は奈落の瘴気で作中では琥珀の四魂のかけらを穢すために使用し、琥珀と邪見に噛みついた。 空間転移(くうかんてんい) 所持している瓢箪に入った液体で円を描き、円で囲った場所ごと月の幻と共に異空間に移動させる技。奈落の策略で犬夜叉と殺生丸を1対1で戦わせるために使用。また白い蓮を使って自身を転移させる場合もあり、こちらは巨大蜘蛛内部で使用。 一つ目蝙蝠(ひとつめこうもり) 片目から分離した眼球にコウモリのような翼を生やして飛行させる。遠距離や異空間にいる相手を監視できる他、片目の眼窩に奈落が触手を入れれば、奈落の視界にもその映像が見える。白夜にとって触手を入れられる感触は不快らしく、内心では「気持ち悪い」と愚痴をこぼしていた。 妖力複製(ようりょくふくせい) 背中に刺している刀の技。刀身のない柄には妖力を複製、写し取る能力があるが、一度しか使えない。妖力を複製すると刀身のない柄を収める鞘と同じ太さと長さを持つ刀身が発生する。刀身の姿は写し取った妖力に準じ、一度しか使えない都合上、殺生丸と犬夜叉が苦労と努力を重ねて扱えるようになった冥道残月破を白夜はいとも容易く扱えてしまう。この能力で犬夜叉の冥道残月破をコピーした。 冥道残月破(めいどうざんげつは) 刀身がなく、一度しか使えない妖力を写し取る刀の技。巨大蜘蛛内部にて犬夜叉が放った冥道残月破の傷跡から妖力を写し取って鉄砕牙と同様に黒い刀身を発生させ、かごめを斬った。奈落がかけた四魂の玉自身の願によって発動が遅れ、白夜と奈落、玉が現世から消滅した瞬間にかごめを四魂の玉の空間に繋がる冥道に送った。 紅牛魔(べにぎゅうま) 声 - 西前忠久 角のない赤い牛鬼のような妖怪。欠片集めに本腰を入れた奈落の命を受け、白夜と共に妖狼族狩りを行った。肩に装着した武器を灰に与え、鋼牙の命を狙わせる。 並の妖怪を一蹴する強さだが、鋼牙の五雷爪によって瞬殺された。 巨大蛾(きょだいが) 紅牛魔と同じく白夜に使役された巨大な蛾妖怪。蛹形態で芯太を捕らえていたが、成虫後は妖気を撒き散らしながら鋼牙達を誘導して魍魎丸に喰われた。この蛾に捕らわれていた芯太も喰われそうになるが、その場に駆け付けた珊瑚と雲母によって助けられた。 人間の負の心(にんげんのふのこころ) 声 - 家中宏 白霊山で奈落が赤子の失敗作と共に切り捨てた人間の負の心。首だけの姿で蔭刀の顔の奈落と同じだが、髪が異様に長髪で鬼蜘蛛や初期の奈落と同じ声で喋る。小蜘蛛の姿になる事も可能。鬼蜘蛛の心でもあるらしく、邪な思い、浅ましき願い、薄汚い執着を持つ。四魂の玉に闇の力を与え、桔梗を殺すのにふさわしいと奈落が判断し、小蜘蛛の姿で再び奈落に取り戻された。 曲霊(まがつひ) 声 - 草尾毅 四魂の玉にこもった無数の妖怪達の邪念の化身。奈落の肉体の一部を使い発生した。邪悪かつ陰湿で奈落以上に冷酷。完全な妖怪であり、半妖の奈落を見下している。 表情は常に狂気を帯びている。奈落同様、高い再生能力と伸縮自在の硬質化する触手などで物理的な攻撃を完全に無効化し、殺生丸を圧倒するほどの戦闘力を有する。「悪霊の毒」と呼ばれる奈落をも越えた毒素を持ち、その毒は殺生丸の毒の爪を溶かし、瘴気の痛みを感じなくなった弥勒すら苦しめる。尚、曲霊を倒しても四魂の玉の邪念は消えない。奈落の肉体の一部を使っているため、当初は夢幻の白夜、殺生丸、琥珀、犬夜叉、かごめからは奈落の分身と誤解された。霊体の曲霊は肉体の曲霊に憑依せず、遠隔操作で借り物の肉体を動かしているが、天生牙で本体の霊体を斬られるとそのダメージが借り物の肉体にも現れる。 異形の鎧を身に纏い、長い白髪と狂気の表情を持つ若い男性風の妖怪の肉体は奈落の肉体の一部で作った借り物の身体で本体は霊体のため、天生牙以外では傷一つつけることができない。霊体は妖怪・人間に対し、生死を問わず憑依することができる。完結編では借り物の肉体の曲霊、霊体の曲霊の声色はそれぞれ異なり不気味なものとなっている。 また新生奈落とは似て非なる異形の鎧は一部が左右非対称で、胸部の左側には四魂の玉のような球体の装飾がある。 「邪視」と呼ばれる霊力を持つ者を昏睡させる術を持つ。また、憑依せずとも四魂の欠片を取り巻く肉片を操れる。生まれながらにかごめの霊力を封印していた張本人であり、曲霊が滅びるとかごめの霊力の封印が解ける。 四魂の玉の完成のために琥珀を襲い、殺生丸や犬夜叉一行全員を相手になお圧倒したが、殺生丸に爆砕牙が発生し、撤退を余儀なくされる。その後、白夜を使って殺生丸を琥珀から遠ざけ、再び襲撃し、奈落の協力もあって遂に四魂の玉を完成させた。 玉の完成後の最終決戦では奈落と並ぶ最後の敵として犬夜叉一行と殺生丸の前に立ちはだかる。犬夜叉を操り、アクロバティックな動きで殺生丸を傷つけるが、最期は竜鱗の鉄砕牙と自我を取り戻した犬夜叉の妖穴に捕らえられ、殺生丸の天生牙で倒された。 名前と概念は初期から登場していた。曲霊は奈落に従属する立場ではなく、分身でもない。戦闘センスは奈落を上回るほどで、自らが最強であるという自負を持つ。さらに戦闘に長ける強者でありながら、更なる強さを求める妖怪特有の貪欲さと弱者を苦しめる嗜虐心を持ち合わせ、奈落ですら使わなかった残酷な手段をも用いる。また奈落は人間らしい情を理解しているのに対し、曲霊はそういう部分が一切ない。作者いわく「絶対悪」「目的が何か不明なもの」。 アニメでは一人称が「儂」から「我」に変更されている。技一覧 憑依(ひょうい) 霊体を人間・妖怪・半妖に生死を問わずに取り憑き自身の借り物の肉体として操作する。奈落の肉体の一部を使って異形の鎧を纏う白髪の男性の姿で実体化させた際は本体である霊体を借り物の肉体から遠ざけて遠隔操作で操った。爆砕牙で借り物の肉体が破壊された後は、奈落と白夜の策として琥珀に憑依。弥勒と珊瑚に対峙した際は琥珀の声でわざわざ喋ったり、弥勒の風穴に吸い込ませようとした他、穢れた欠片を通じて悪夢を見せていた。琥珀から脱出した後はりんに憑依して人質にするために奈落と白夜が潜んでいる洞窟に誘導し、そのまま四魂の玉の力で造った奈落の巨大蜘蛛の内部に閉じ込めた。その後はりんを見張っていたが、その場に四魂の玉の邪気で妖怪化した犬夜叉に憑依して殺生丸と戦った。 悪霊の毒(あくりょうのどく) 曲霊の最大の武器。毒素は殺生丸はおろか、新生奈落や白童子、魍魎丸の瘴気をも上回り、殺生丸にダメージを与えた他、薬老毒仙の薬で苦痛を感じなくなったはずの弥勒がこの毒を風穴で吸った際は苦痛を蘇らせた。この毒は借り物の肉体、霊体問わずに使用できる。また天生牙で再び霊体にダメージを与えられた際には、琥珀に憑依したときに風穴に吸わせた毒で傷を癒し、弥勒の体内から抜け出て、同じく毒気を浴びて気絶したりんに憑依するなど霊体の曲霊のバックアップも兼ねる。 触手(しょくしゅ) 借り物の肉体の技。奈落や無双、魍魎丸と同じ攻撃手段だが、作中最強レベルの白兵戦で殺生丸を圧倒した。触手からは悪霊の毒を放ち、ダメージを与える他、奈落が触れられない桔梗の浄化の光を持つ琥珀の欠片を一瞬で穢した。 邪気(じゃき) 四魂の玉の中の合体妖怪の禍々しい邪気。奈落の邪気をも上回り、霊力が封じられているかごめの破魔の矢と桔梗の浄化の力も一瞬で無力化してしまう。この邪気で無数の妖怪達を呼び寄せて操る事もできる。また悪霊の毒を生み出す素になっていて曲霊のバックアップも兼ね、この邪気を浴びた者には霊体の曲霊が憑依する。奈落の巨大蜘蛛内部では殺生丸の天生牙から逃れようと犬夜叉からかごめに憑依するために、この邪気をかごめに浴びせるが、竜鱗の鉄砕牙の力によって阻まれた。 邪視(じゃし) 霊力を持つ者を昏倒させる術。狂気の表情を持つ目からこの術を放つ。強大な霊力を持つかごめに対して使用し、本来、桔梗を上回るはずのかごめの霊力もこの術の応用で生まれながらに封じていた。 肉片操作(にくへんそうさ) 妖怪の集合体で構成された借り物の肉体を大小に分けて操る。この技で化け犬化した殺生丸を圧倒し、犬夜叉が冥道残月破を発動しようとした際は肉片を邪視で昏倒したかごめと七宝と珊瑚が乗った雲母、邪気で気絶した琥珀と弥勒とりんが乗った阿吽の周囲に撒き散らせ、発動を封じた。また殺生丸が天生牙で霊体を斬ろうとした際はこの世の物である奈落の肉片で防ぎ、3本の硬質化した肉片の触手で殺生丸を突き刺した挙句、殺生丸を奈落の肉片の塊に取り込もうとした。さらにこの肉片を取り除くために迂闊に鉄砕牙の必殺技が放てない犬夜叉を「自慢の刀で塊ごと吹き飛ばしたらどうだ?心配せずとも中の殺生丸は粉々になっても奈落の一部として復活する」という挑発で苛つかせながら触手で封じるが、最後は殺生丸から覚醒した爆砕牙によって肉片を破壊され、斬られた肉片のダメージが無傷の肉片まで行き届いた事で再生能力までもが無効化されてしまう。 鎌の触手(かまのしょくしゅ) 琥珀が愛用している鎖鎌を妖力で変形させた触手。元の鎖鎌に戻すことも可能。妖怪の骨でできているため、借り物の肉体や肉片操作と同様に自在に操れる。無数の鎌がある歪な形状の触手に巨大化させると、琥珀を逃がさんとする珊瑚を再び傷付けた他、追ってきた犬夜叉達を攻撃するために数本の巨大な鎌の触手にも変えた。この一件で琥珀は長らく使用していた鎖鎌を失うことになる。 悪夢(あくむ) 邪気で黒く穢れた四魂の欠片を通じて見せる悪夢。気絶させた琥珀にかつて奈落に操られて父と退治屋の仲間達と殺し、珊瑚を傷付けた悪夢を欠片の力で何度も繰り返し、体験させる残虐な精神攻撃。曲霊が邪悪かつ完全な妖怪であるが故に使った技だが、人の心を持つ半妖の奈落は意識がある状態の琥珀を操り、珊瑚を再び傷付けようとした事もあるため、人の心があるかないかの差で両者のやり方に大した違いはない。この術で血の涙を流すほど琥珀の心を徹底的に弄び、壊す寸前までじわじわ追い詰めるが、わずかに残っていた桔梗の光が抵抗しながら悪夢に苦しむ琥珀を導き、正気を取り戻させた。
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