半妖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/14 10:09 UTC 版)
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半妖(はんよう)とは、妖怪と人間の混血とされる存在。ただし、日本の伝承など民俗学における用語ではなく、もっぱら漫画やアニメ、ライトノベルなどのサブカルチャー媒体に使われており、作品によってもややその扱いにはばらつきが見られる、おおむね亜人の延長的な存在である。
漫画・アニメ作品の『犬夜叉』で作られた造語で、犬夜叉の連載が開始される以前は明確な表現が無かった。『ゲゲゲの鬼太郎』ではねずみ男と猫娘が「半妖怪」と表現されているが、どちらかというと「妖怪でもなく、人間でもなく、中途半端な存在」として描かれている。
位置づけ
伝承
日本の伝承上で、妖怪と人間の混血という概念を扱ったストーリーは無いではないが、こういった混血を扱う話は乏しく、雪女をはじめ天女や化けキツネなどといった存在と人間の混血児も描かれた昔話もあるが、子供自体はごくごく平凡である場合が多く、特別な能力などが描写されている話は乏しい。夫に正体を見破られた妻が身を隠し、あるいは何らかの都合で人間の世界を去らなければならなくなり、あとには乳飲み子が残されるというものがみられる。
その一方で、有名な話ないし伝説上の人物としては『金太郎』(坂田金時)が知られる。山姥伝説に絡む話では、雷神ないし「赤い龍」が山姥(妖怪というより、単に山中に生活する老婆)に授けたというものが見られる。彼の生い立ちは伝説と逸話がない交ぜとなった曖昧なものではあるが、金太郎はその後に成長して源頼光に坂田公時の名で仕え、武勲を残している。また、『葛の葉』ないし『信太妻』(物語の成立は17世紀頃)では、キツネの化身である女性との間に生まれた子供が後に霊力を持ち、陰陽師として活躍する(安倍晴明)などの話もある。これらは古来より日本では雷神や竜神は神そのものであるし、キツネも神聖視されていたことから半神(神との婚姻ないし混血)の一種だともいえる。
サブカルチャー
サブカルチャー媒体で扱われる「半妖」の場合では、それら作品のストーリーにも絡み、扱われ方も様々である。
前出の『犬夜叉』の場合では、実際の民族間における混血で社会状況によっても発生しうる差別の問題(→混血)が言及されている。
妖怪とはややニュアンスが異なってくるが、鬼との混血や前出の半神、あるいは日本の妖怪に限らず日本国外の伝説上の存在(亜人から悪魔や魔人・妖魔なども)全般を「妖(あやかし)」と位置付け、これらとの混血を指して半妖と表現する場合もあり、この辺りはかなり曖昧である。
日本国外での受容
なお、この半妖という表現だが、日本製のアニメや漫画などサブカルチャー媒体の輸出にも絡み、例えば英語圏では「Hanyō」(ほぼローマ字表記)と表現されており、同様に日本製のアニメや漫画作品に関心の高い地域では同種の言葉が、日本製アニメ漫画関連のファン用語として利用されている模様である。
こちらは妖怪が欧米圏で妖精(fairy)と同一視されており、ニュアンス的にはニンフやエルフないしゴブリンやトロールとの混血といったようなイメージで語られている模様である。また、鬼がデーモン(悪魔や悪霊の類)とも同一視されていることもある。昔話の牧歌的な場合もあれば恐ろしい怪物であったり、逆に荒々しい自然を象徴することもあり、場合によっては祭の対象にもなる鬼一般とは違い、キリスト教的一神教の価値観の中で、いわゆる「鬼神」などの概念に近い部分で扱われるなど、ややニュアンスが限定的な部分もありうる。
日本の妖怪のイメージでは、普段は必ずしも人の姿はしておらず、必要に応じて人間の姿に「化ける(人間に対応するためにその姿を真似る)」という側面が強いが、妖精はどちらかと言えば「人間の姿をしている自然界の力(自然現象の擬人化)」的な部分があり、この辺りはややイメージされるところのずれが含まれるかもしれない。
半妖が登場する作品
ここでは半妖が主人公・主要な登場人物として登場するものや、半妖が作品の主題として登場するものを記載する。
半妖の本来の意味は「人間と妖怪の間の子」であり、犬夜叉に登場する半妖を迫害するための差別用語である。 また、「妖怪の力を持った人間(妖怪と人間の間の存在)」として「半妖」という言葉が用いられている作品も存在する。
- ゲゲゲの鬼太郎
- この作品では「半妖怪」という表現。レギュラーキャラクターではねずみ男と猫娘が半妖怪である。作品によっては主人公・鬼太郎も半妖怪として扱われる。
- アニメ第6作1年目の敵・名無しは49話にて、「半妖怪として生まれるはずが、両親が迫害され葬られた(堕胎された)胎児」だったと判明する。
- GS美神 極楽大作戦!!
- 登場人物の1人・ピートは「ヴァンパイア・ハーフ」という設定。半妖という語は使われないが作中ではヴァンパイアは魔物・妖怪といった存在として描かれており、ピートも人間を超越した能力や寿命を持つ存在として描かれている。
- はいぱーぽりす
- ヒロインの笹原夏姫(猫又ハーフ)などが半妖。そのほか、多数のそれらしき人物が見られる。
- 妖魔夜行
- 主要メンバーの1人である水波流が龍と人間のハーフ。また『私は十代の蜘蛛女だった』の主人公の先祖が女郎蜘蛛の妖怪と人間のハーフであり、先祖返りにより主人公にその特性が発現した。他にも妖怪とのハーフが登場する。
- 犬夜叉
- 主人公の犬夜叉が妖怪の父親と人間の母親の間に生まれた半妖という設定。また、劇中では犬夜叉以外にも多くの半妖が登場している。
- 東方Project
- 香霖堂店主の森近霖之助や上白沢慧音は半人半妖という設定がある。そのほか、半妖ではないが半人半霊として魂魄妖夢といった少女などが存在する。
- 最遊記
- 主人公の1人である沙悟浄が人と妖怪のハーフ。この世界では半妖は紅い目と髪を持って生まれる。
- 結界師
- この作品では「妖混じり」と表現。生まれながらに人間の肉体をベースとして妖怪の力を持つ。
- 妖界ナビ・ルナ
- 主人公・竜堂ルナが陰陽師の父親と妖怪の姫君である母親の間で生まれた半人半妖という設定になっている。ルナのほかにも、双子の片割れとして生まれた弟や同じ境遇にある姉妹が登場する。
- おとめ妖怪 ざくろ
- 主人公・ざくろが「妖人(この作品では妖怪のことを妖人と表現)」の母親と人間の父親の間に生まれた半妖。主に女性キャラクターの半妖が多数登場している。
- ぬらりひょんの孫
- 主人公・奴良リクオがぬらりひょんの血を4分の1継いでいる(クォーター)。リクオの父・鯉伴が半妖である。
- サガ フロンティア
- 主人公の1人であるヒューマンの少女アセルスが馬車にひかれて絶命するも妖魔の血を受けることで半妖として生き返り、ヒューマンと妖魔の双方の能力を使うことができるようになった。
- 境界の彼方
- 主人公・神原秋人が「妖夢(この作品では妖怪のことを妖夢と表現)」と人間の間に生まれた半妖。稀少な存在のため詳しいことは不明となっている。
- 怪物事変
- 主人公・日下夏羽が妖怪“屍鬼(クーラー)”の父親と人間の母親の間に生まれた半妖という設定。また、劇中では夏羽以外にも多くの半妖が登場している。
- 忍者戦隊カクレンジャー
- 第三部・中年奮闘編で登場する吾郎が妖怪の父親と人間の母親の間に生まれた半妖という設定。
関連項目
半妖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 04:02 UTC 版)
地念児(じねんじ) 声 - 江川央生 森の精霊の美男子の父と人間の母の間に生まれた半妖。両親に似ず、異形の姿で巨大な体と剛力を持つ。気が優しくおとなしいため、村の人間から迫害されており体中に古傷がある。母(声:藤夏子)と薬草を育てながら暮らしている。かごめが妖怪に襲われた際、本来の力を発揮した。アニメでは人間の姿の時に(隠れているので姿は不明)りんと会っている他、3年後、巫女見習いとなったかごめに薬草のことを教えている。 紫織(しおり) 声 - 水橋かおり 百鬼蝙蝠の父、月夜丸と人間の母の紫津との間に生まれた半妖の少女。血玉珊瑚を持ち、月夜丸から結界を張る力を受け継いでいる。祖父の大獄丸に守り役として人質にされていたが、父を殺したことに対する怒りで大獄丸を結界の外に弾き出して犬夜叉一行に形勢逆転のチャンスを与え、打倒に協力した。大獄丸を倒したその後は、血玉珊瑚に蓄えられていた大獄丸の怨霊を犬夜叉の鉄砕牙に斬らせることで鉄砕牙の強化に貢献する。 『半妖の夜叉姫』では大獄丸との一件から程なくして紫津は病死し、その後はとある山中に半妖の子供達を匿う隠れ里を作り、能力で張った結界で守っていたことが語られた。森の火事に遭ってから邪見に連れて来られたせつなを半妖の隠れ里で育てていた。また弥勒とも再会している。 牛王(ぎゅうおう) / 出雲(いずも) 声 - 松本大 アニメオリジナルキャラクター。人間の父と牛妖怪の母の間に生まれた半妖。出雲とは父の名前である。昼間は人間の姿に、夜は巨大な牛妖怪の姿になるが、本人は人間になることを望み、新たな四魂の玉を生み出そうとしていた。オロチ太夫(声 - 中村大樹)と九十九の蝦蟇次郎(声 - 立木文彦)と協力している。普段は知的で冷静な性格だが、牛王での姿では激情的な一面も持ち声も変わる。劇中では四魂の玉を調べるため諸国を旅していた人間「出雲」として妖怪に襲われていた芝居をして犬夜叉達に近づき、四魂を補うため、犬夜叉の魂を勇の荒魂、弥勒の魂を知の奇魂、珊瑚の魂を愛の幸魂、七宝の魂を親の和魂にして、直霊であるかごめの魂と本物の四魂の玉の欠片を核にして新たなる四魂の玉を作り出そうとしていた。だが、その目論見を犬夜叉とかごめに阻止された後、正体を現した牛王は未完成の四魂の玉を大量に吸収して戦闘力を増大化させて犬夜叉と最後の戦いを行う。四魂の玉の力で増大化された力で犬夜叉と互角の戦いを繰り広げながら同じ半妖の犬夜叉に「半妖の姿が憎くは無いのか」と問い詰める。最後には風の傷で致命傷を負った後、夜が明けたために妖怪の力を失い敗北。紛い物の玉の力に蝕まれ、かごめに「私は人として死ねるのだろうか?」と言い残し死亡した。形態上「半妖」の姿が存在しない特殊な半妖。 娑蘿姫(さらひめ) 声 - 折笠富美子 アニメオリジナルキャラクター。奈落や神久夜と同じ部類に入る、人間を繋ぎにした多くの妖怪の集合体。ただし繋ぎとなった人間の姿が基本で妖怪による新たな姿は持たず、妖怪の意思に支配されるが僅かに人間の意志が残る。雑魚妖怪達=魑魅魍魎(声 - 井田国男)が集合しただけで野望や大きな目的もないので、奈落や神久夜のような強大な力を持つ存在にはなれなかった。本来は人間で阿佐野城の姫だった。城が攻め落とされる直前に、犬夜叉との戦闘で左腕を斬り落とされた直後の殺生丸の姿を目撃する。偶然その場に降り立った殺生丸は向かって来た兵士達を倒したため、結果的に娑蘿や阿佐野城を救ったことになってしまう。その後娑蘿は城近くの森で傷ついた殺生丸を見つけ、殺生丸のうわ言で犬夜叉の名と殺生丸が鉄砕牙を求めていることを知る。その時から娑蘿は殺生丸に恋心を抱き何度も殺生丸に会いに行くが、父親である阿佐野城の殿・阿佐野双樹(声 - 小室正幸)が妖怪(殺生丸)に娑蘿が誑かされていると誤解し、娑蘿の制止も無視して殺生丸討伐に乗り出し返り討ちに遭う。父親は乱心し自ら城を焼き、娑蘿は近くの村で尼として生きることとなる。 その後流行病に掛かり死を目前にしていたが、偶然通りがかった犬夜叉の姿を見て、殺生丸への思いを強く思い出してしまう。その心を常人には見えない妖怪達に付け込まれ、「身体を差し出せば力を提供する」と取引を受ける。 犬夜叉達に罠を仕掛け、娑蘿は鉄砕牙を奪い取るが、その場所に殺生丸が現れ娑蘿の妨害を始める。一方、殺生丸は娑蘿のことを思い出すとかつて娑蘿と逢った森へと向かう。そこで再び自分の前に現れた娑蘿は今までの自分の経緯と殺生丸への思いを告白する。だが、娑蘿が無意識に妖怪達に取り込まれていると気づいていた殺生丸は娑蘿に斬りかかり、正体を現した妖怪は娑蘿を乗っ取ると鬼のごとき醜い姿で殺生丸をも取り込もうと襲い掛かった。彼女に自分を殺せと懇願された殺生丸は、恨みの念を糧とする妖怪を闘鬼神では倒せないと判断すると、鉄砕牙の結界に拒まれながらも風の傷で致命傷を与える。そして鉄砕牙を取り返した犬夜叉の風の傷とかごめの破魔の矢で妖怪達は倒される。妖怪達と一体化していた娑蘿は解放されるが、遺言を残し安らかな笑みを浮かべると光となって消滅した。形見の笛は殺生丸がその場に残した。
※この「半妖」の解説は、「犬夜叉の登場人物」の解説の一部です。
「半妖」を含む「犬夜叉の登場人物」の記事については、「犬夜叉の登場人物」の概要を参照ください。
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