父の名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/01 22:24 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動父の名(ちちのな、仏: Noms-du-Père)とは、ラカン派(仏:Lacanien)の精神分析理論で用いられる概念の一つ。ジークムント・フロイトの理論における超自我や原父に比較されることが多いが、対応はそれほど単純なものではなく、ラカン独特の理論体系の中で他の諸概念と複雑に照応しあいながら、厳密に規定されている概念である。
概要と由来
人間が、乳児から成長して自己を持つにいたる課程において、母の乳房が詰まっている乳児の口から、やがて乳房が去り、そこに欠如が生まれる。ラカンによれば、これは想像界に安住するのを禁ずる父の命令を受け入れることであり、社会的な法の要求を受け入れること、社会という言語活動の場に引きずり出されること、自分が全能ではないという事実を受け入れることと同義である。
この父の命令にあたるものを、ラカンは、フランス語で同じ発音をもつ2つの言葉「non(否)」と「nom(名)」をひっかけて、父の名と呼んだ。
去勢と主体の確立
父の名を受け容れる過程は、幼児の全能性である「ファルス」(仏:phallus)を傷つけることという意味で、去勢(仏:forclusion)と呼ばれる。この去勢によって、人間は自らの不完全性を認め、不完全であるところの主体(仏:sujet)を逆に積極的に確立するのである。
関連項目
父の名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 00:26 UTC 版)
詳細は「父の名」を参照 さらに、このことは、想像界に安住するのを禁ずる父の命令を受け入れることであり、このことは社会的な法の要求を受け入れること、自分が全能ではないという事実を受け入れることと同義である。この父の命令にあたるものを、ラカンは、フランス語における「non(否)」と「nom(名)」をひっかけて父の名(仏:Noms-du-Père)と呼んだ。 したがって、父の名とは、個別の具体的な父親の姓名を指すのではなく、人である限りすべての子どもに割り当てられ、彼らの行為に一定の限界をもうける、父性的機能のことである。いわば、象徴的な掟である。ラカンは、このような掟が、言語活動(仏:langage)によって生じるとする。つまり、象徴的な掟は、具体的に聞こえたり見えたりはしないものの、さまざまな形をとってわれわれの生活を制禦してくる。そのとき、われわれは「自らの限界を思い知る」。精神分析学では、このことを去勢(仏:castration)と呼ぶ。そして、去勢なくして言語活動の開始はないというのが、ラカンの立場である。
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「父の名」の例文・使い方・用例・文例
- 彼は祖父の名にちなんでマーチンと名づけられた
- 彼は叔父の名前をとってジムと名づけられた。
- 赤ん坊は祖父の名をとってピーターと名づけられた。
- 生まれた子は祖父の名をとってリチャードと名づけられた。
- 叔父の名にちなんでホレーショーと命名された。
- 私の一番上の兄が父の名代としてその会合に出席した。
- 我々は祖父の名前を息子に名付けた。
- トマスは彼の父の名をそのままつけられた。
- その赤ちゃんは祖父の名にちなんでアルフレッドと名づけられた。
- その子は叔父の名前をとってジョンと名づけられた。
- 彼は祖父の名を取ってジェームズと名づけられた.
- その子は祖父の名前をとって大作と名づけられた.
- 彼は長男を祖父の名にちなんで智彦と命名した.
- 私は父の名代です
- 父または父の祖先に由来する姓(特に、接辞を(英国のson、アイルランドのO'のように)父の名前または父方の祖先の名前に加える)
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