毒蛇
『変身物語』(オヴィディウス)巻10 楽人オルフェウスはエウリュディケと結婚した。しかし新妻エウリュディケは、水の精たちを連れて草原を散策中に毒蛇を踏み、足首を噛まれて死んだ。オルフェウスは、タイナロスにある下界への入口から冥府へ降り、「人は最後には必ず冥府へ赴くのだから、私は妻を『返せ』と言うのではない。しばらく『貸して』もらえればよい」と訴える。冥王ハデスは1つの条件をつけて、エウリュディケをオルフェウスに渡す→〔禁忌〕4。
*オルフェウスの冥界行は、日本神話のイザナキの黄泉国訪問とよく似ている、と言われる→〔冥界行〕5の『古事記』上巻。
『マハーバーラタ』第1巻「序章の巻」 ルルは美女プラマドヴァラーを一目見て恋におち、2人は婚約した。ところが結婚式間近のある日、プラマドヴァラーは友だちと遊んでいるうちに誤って毒蛇を踏み、噛まれて死んでしまった。ルルが森で泣き悲しんでいると、天界の使いが現れ、「お前の寿命の半分をプラマドヴァラーに与えよ。そうすれば彼女は生き返る」と教える。ルルは生命の半分をプラマドヴァラーに与え、2人はめでたく結ばれた。
*妻に与えた生命を、後に返してもらう→〔寿命〕2cの『パンチャタントラ』第4巻第13話。
『半七捕物帳』(岡本綺堂)「かむろ蛇」 煙草商関口屋の1人娘お袖と、その奉公人お由は、従姉妹どうしだった。お由は、自分が関口屋の相続人になろうとして、お袖殺しをたくらむ。お由は蝮をお袖の寝間に放ち、蛇のたたりによるお袖の死(*→〔蛇〕9b)、という状況を作ろうとする。しかし誤ってお由自身が蝮に咬まれて死んでしまい、お袖は無事だった。
『まだらの紐』(ドイル) ロイロット博士は毒蛇を飼い馴らし、義理の娘ジュリアを殺し、さらにその妹ヘレンも狙う。シャーロック・ホームズがヘレンの部屋で待ちうけ、換気孔から侵入する毒蛇をステッキで打つ。毒蛇は逃げ帰り、隣室のロイロット博士を噛んだ→〔蛇退治〕3。
*陰陽師が鳥(式神)を放って人を呪うが、鳥は戻って来て陰陽師を殺した→〔呪い〕7aの『宇治拾遺物語』巻2-8。
★3.毒蛇にも害されない人。
『使徒行伝』第28章 パウロが焚き火に枯れ枝をくべると、熱気のために蝮(まむし)が出て来て、パウロの手にからみついた。まわりの人々は、パウロの身体が腫れ上がるか、倒れて死ぬだろうと思った。しかしパウロは蝮を火の中に振り落とし、何の害も受けなかった。人々は「この人は神様だ」と言った。
*毒蛇に毒を吸い戻させる→〔毒蛇〕7aの『ツァラトゥストラはこう言った』(ニーチェ)第1部「蝮の咬み傷」。
『黄金伝説』143「聖フランキスクス(フランチェスコ)」 金の詰まった財布が道ばたに落ちていたので、修道士が拾おうとする。聖フランキスクスが止めるが、修道士は聞き入れない。聖フランキスクスが祈ると、財布の中身は1匹の大きな蛇に変わり、修道士はおじけづく。聖フランキスクスは「神のしもべにとって金銭は、悪魔か毒蛇以外の何ものでもない」と説いた。
『宝物集』(七巻本)巻1 仏が阿難を連れて歩いていた。路傍の穴にある金(かね)を見て、仏は「毒蛇」と言い、阿難は「大毒蛇」と言った。近くの人が見て「これは蛇ではなくて金だ」と言い、喜んで取った。しかしその人は、金を役人に巻き上げられ、さらに「もっとあるだろう」と責められた。その人は「なるほど、これは毒蛇同然のものだ」と悟った。
『正法眼蔵随聞記』第1-1 ある僧が金銅の仏像と仏舎利を崇め、つねに礼拝・供養していた。師は「天魔波旬のしわざだ。早くこれを棄てよ」と命ずる。憤然とする僧に対して、師は「汝、仏像と仏舎利を収めた箱を開けて見るべし」と言う。僧が箱を開くと、毒蛇がわだかまって臥していた。
『酉陽雑俎』巻5-216 村人が毒蛇に噛まれて死に、頭髪が解けて1尺あまりも腫れ上がった。長寿寺の僧が、飯を数升取り、蛇の形にこね上げて呪文をかけると、くねくね動き出して門の外へ出て行った。しばらくすると毒蛇が、飯で作った蛇に連れられて、死んだ村人の頭から入り、その瘡(きず)を吸った。毒蛇は死に、村人は生き返った。
『ツァラトゥストラはこう言った』(ニーチェ)第1部「蝮(まむし)の咬み傷」 ツァラトゥストラがいちじくの木蔭で眠っていると、蝮が頸をかんだ。ツァラトゥストラは痛さで目覚め、逃げようとする蝮に、「龍が、蛇の毒のために死んだためしがあるだろうか。お前の毒を取り返すがいい」と言う。蝮はツァラトゥストラの頸から毒を吸い取った。
『伝奇』9「蛇を制する術」 鄧甲は、蛇を制する術をこころえていた。会稽の県令が毒蛇に足を噛まれた時、鄧甲は噛んだ蛇(1尺余の小蛇だった)を呼びつけ、「毒を回収せよ」と命じた。蛇は渋っていたが、鄧甲が叱りつけると、県令の足の傷に口をあてて、毒を吸い始める。県令は、自分の脳の中を針のようなものが走り下る、と感じた。蛇は皮が裂けて水と化し、背骨だけが地面に残った。
『和漢三才図会』巻第45・龍蛇部「蝮蛇」 蝮は勇敢な性質である。農民が草叢で蝮を見て、殺したいと思うが刀・杖を持っていない時、蛇をののしって「こら卑怯者、逃げるでないぞ」と言っておいて家へ帰り、鋤・鍬などを持って戻って来ると、蝮は厳然として、待っているごとくにその場を去らずにいる。
毒蛇
毒蛇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 05:03 UTC 版)
帝の位を狙う大名の一人。元は罪人だった。利己的かつ狡猾な人物で、自分と手を組むよう亜由に持ちかける。
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