『変身物語』とは? わかりやすく解説

『変身物語』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 08:06 UTC 版)

オウィディウス」の記事における「『変身物語』」の解説

『変身物語』( Metamorphoses、メタモルポーセース)全十五巻はオウィディウスの最も野心的な作品でありかつ、最も人気のある作品である。内容面ではギリシア・ローマ神話において変身が行われる伝説集めたカタログであると言うことができ、形式面では一貫して英雄的六歩韻脚(ダクテュロス・ヘクサメトロス、叙事詩に多い)」用いられていることが指摘できる。ただし、歴史神話的構造比較的緩い。全体12,000近くに及び、その中で250種の神話伝説語られる。各神話舞台は、死すべき運命の者たちが外的な影響に対して脆弱である屋外設定される本作品は、ヘーシオドスの『名婦列伝(エーホイアイ)』やカッリマコスの『起源(アエティア)』、コロポンのニカンドロスの『ヘテロエウメナ』、パルテニオスの『変身物語(メタモルポーセース)』といった、複数起源神話次々と歌っていく詩作伝統連なるのである第一巻天地開闢人間時代大洪水アポローによるダプネー略奪ユーピテルによるイーオー略奪神話収める第二巻パエトーン物語を詠ったのち、ユーピテル愛されカリストーエウローペー物語詠う第三巻テーバイ神話焦点当てられカドモスアクタイオーン、ペンテウースの変身物語収める第四巻ピュラモスとティスベサルマキスヘルマプロディートスペルセウスアンドロメダーという、3組恋人たちの神話収める第五巻ムーサの歌に焦点当てプロセルピナの略奪について詠う第六巻は、死が運命付けられ儚い命を持つ者たち(人間ニンフ)が、神々追い駆けられて変身する物語集める。アラクネー物語から始まりピロメーラー物語で終わる。第七巻はメーデーアやケパロスプロクリス変身譚収める第八巻ダイダロス飛行カリュドーンの猪狩り敬虔なバウキスとピレーモーン邪悪なエリュシクトーン対比収める第九巻ヘーラクレース物語と、実の兄に恋をしてしまったビュブリス物語中心である。第十巻ヒュアキントス想って歌を唄うオルペウスのような報われぬことが運命付けられた恋の物語中心である。その他にピュグマリオーンミュラーアドーニス物語収める第十一巻ペーレウステティス結婚と、ケーユクスアルキュオネーの愛とが対比される第十二巻神話世界から歴史叙事題材取りアキレウス偉業半人半馬族とラピテース族との戦いイーピゲネイア生贄物語叙述する第十三巻アキレウス武具を巡る戦いのほか、ポリュペーモスについて議論する。大十四巻ではイタリア舞台移しアイネイアース旅について記述する。そしてポーモーナウェルトゥムヌスロームルス物語を語る。最終第十五巻ピュタゴラスによる哲学的講義始まりガイウス・ユリウス・カエサル神格化語られる。そして、アウグストゥス帝へ賛美詩句捧げられ、本詩作により自分の名前は不滅のものになったであろうというオウィディウス確信表明されて、全巻終幕となる。 過去学者たちは『変身物語』を分析する際、オウィディウス膨大な素材まとめている点に注目した地理主題対比により物語どうしを関連づけるという手法により、興味深い効果もたらされ、常に読者つながり評価させる力学生じる。また、オウィディウスは歌ごとに語り口素材さまざまなかたちに多様化させた。古典学者のジアン・ビアッジョ・コンテは『変身物語』を「これら多様な文学ジャンルギャラリーのようなもの」と評したオウィディウス語り口素材多様化という目的を心に抱いて過去定評ある詩作あらゆる角度から研究し先行する変身譚を扱う作品より優れた作品生み出そうとした。オウィディウスは、本詩作アレクサンドリア派の叙事詩形式、すなわち悲劇的対句用いた。これは伝統的な叙事詩形式に、登場人物の心の動き重視する様式を彼なりに融合させた結果である。

※この「『変身物語』」の解説は、「オウィディウス」の解説の一部です。
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