牛鬼
「牛鬼」とは、「牛の頭に鬼の胴体」あるいは「牛の頭に蜘蛛の胴体」の姿で描かれることの多い牛頭の妖怪である。主に西日本に伝わる。人に災厄をもたらす恐ろしい妖怪とされる。「牛頭(ごず)」を指す場合もある。
牛鬼の具体的な姿や、その力は、伝承によって多種多様である。単純に怪力の化け物として扱われることもあれば、毒を吐いたり人を祟ったりする妖怪とされることもある。
牛鬼は、人を襲う怪物として扱われることが多い。獰猛かつ残忍で積極的に人に害をなす存在として扱われやすく、山の中で人に襲いかかってきたり、あるいは川で待ち伏せして水の中に引き摺り込んだりする。牛鬼が自身を犠牲にして人を助けたという伝承もある。
「牛鬼」の発音・読み方
「牛鬼」は「ぎゅうき」と読まれることもあり、「うしおに」と読まれることもある。「宇和島の牛鬼」は「うしおに」と読む。
「牛鬼」と「土蜘蛛」の違い
「牛鬼」は「蜘蛛の胴体をもつ妖怪」として描かれることがあるが、蜘蛛の姿をした化け物(妖怪)には「土蜘蛛」もおり、混同されやすい。「土蜘蛛」は、そもそもは古代日本における、中央政権(ヤマト王権)への恭順を示さなかった「まつろわぬ民」に対する蔑称である。これが後に「蜘蛛の化け物」として描かれるようになり、妖怪の一種として扱われるようになったとされる。
「牛鬼」は「牛の要素を持った鬼」の総称であり、「牛の頭を持つ鬼」や「鬼の首を持つ牛」など、具体的な姿は地域や伝承によって異なる。その中に「牛の頭を持つ蜘蛛」という姿があるに過ぎない。この「牛の頭を持つ蜘蛛」の姿は、もしかすると「土蜘蛛」のイメージを借りて想像された姿かもしれないし、あるいは土蜘蛛と混同して描かれた姿かもしれないが、そのあたりの事情は判然としない。
うし‐おに【牛鬼】
牛鬼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/08 14:52 UTC 版)
牛鬼(うしおに、ぎゅうき)は、西日本に伝わる妖怪[1]。主に海岸に現れ、浜辺を歩く人間を襲うとされている。
- ^ a b c d e f g 村上 2000, pp. 52–53
- ^ a b c d 多田 2000, p. 161
- ^ a b 宮本他 2007, p. 88
- ^ a b 和田 1984, pp. 46–51
- ^ “牛窓町のはなし”. 岡山博物図鑑 (2004年1月17日). 2008年6月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月8日閲覧。
- ^ “牛窓・前島散策 牛轉・塵輪鬼伝説”. 宝木伝説 備前西大寺と南都西大寺とハンセン病 (2007年2月26日). 2009年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年8月12日閲覧。
- ^ 小松 2015, pp. 60–61
- ^ 柳田國男 『遠野物語・山の人生』岩波書店〈ワイド版岩波文庫〉、1993年、183-184頁。ISBN 978-4-00-007121-5。
- ^ 今野圓輔 編 『日本怪談集 妖怪篇』 下、中央公論新社〈中公文庫〉、2004年、71-72頁。ISBN 978-4-12-204386-2。
- ^ a b 多田 1990, pp. 157–159
- ^ 水木しげる 『水木しげるの妖怪百物語』 日本編、二見書房〈二見WAiWai文庫〉、1987年、148-150頁。ISBN 978-4-576-99102-3。
- ^ a b 多田 1999, p. 65
- ^ 市原麟一郎 編 『日本の民話』 35巻、未來社、1979年、27-29頁。 NCID BN01286946。
- ^ 「殺牛・殺馬の民俗学」、2015年、筒井功、河出書房新社、11‐13頁
- ^ a b c d 笹間 1994, pp. 23–25
- ^ 山口他 2007, p. 128.
- ^ 『イベントカレンダー 牛鬼』, 『スペシャル企画 vol.2 牛鬼の歴史と仕組み』 - 宇和島市観光物産協会.
- ^ 『日本の妖怪百科』 2巻、岩井宏實監修、河出書房新社、2000年、20-24頁。ISBN 978-4-309-61382-6。
- ^ 宮田登 『妖怪の民俗学・日本の見えない空間』筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、2002年、34頁。ISBN 978-4-480-08699-0。
- ^ 伊保内裕美 編 『UMA未知生物衝撃映像』ミリオン出版〈ミリオンムック〉、2008年、31頁。ISBN 978-4-8130-6216-5。
- ^ 横山 1982, p. 217
- ^ 和田正路 著「異説まちまち」、柴田宵曲 編 『奇談異聞辞典』筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、1961年、52-53頁。ISBN 978-4-480-09162-8。
- ^ 水木しげる 『水木しげる 妖怪百物語』小学館、2005年、150頁。ISBN 978-4-09-220325-9。
- ^ a b c 宮本他 2007, pp. 32–33
- ^ a b 斉藤他 2006, p. 113
- ^ “牛鬼伝説”. 四国霊場第八十二番 青峰山 根来寺. 根来寺. 2012年12月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年8月12日閲覧。
- ^ “まつりインハワイ”. 2008年12月8日閲覧。
- ^ 『日本語大辞典』梅棹忠夫他監修、講談社、1989年、169頁。ISBN 978-4-06-121057-8。
- ^ a b 水木 2007, pp. 152–154
- ^ 村上 2000, p. 63.
- ^ 水木 2007, pp. 167–168.
- 1 牛鬼とは
- 2 牛鬼の概要
- 3 怪火としての牛鬼
- 4 脚注
牛鬼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/01/03 02:53 UTC 版)
かつて陰陽士「白髪の翁」の手によって封印され、打追の地に眠っている凶悪な妖怪。蜘蛛のような胴体に、牛の頭をもっており、体長30メートル。二ツ角岩は、牛鬼の角であると言われている。もともとは、この地に君臨していた土着神のような存在であり、その土地に後から人が移り住んできたと考えられている。
※この「牛鬼」の解説は、「ひとかた」の解説の一部です。
「牛鬼」を含む「ひとかた」の記事については、「ひとかた」の概要を参照ください。
牛鬼(ぎゅうき)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/23 23:47 UTC 版)
牛の神獣。武夷の神獣で、力仕事を担当していたが、一葉の潔斎の余波を受けたために小型になってしまった。
※この「牛鬼(ぎゅうき)」の解説は、「ハイガクラ」の解説の一部です。
「牛鬼(ぎゅうき)」を含む「ハイガクラ」の記事については、「ハイガクラ」の概要を参照ください。
牛鬼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 18:01 UTC 版)
「奇異太郎少年の妖怪絵日記」の記事における「牛鬼」の解説
全国各地に様々な伝承があるが、本作では和歌山県の「逆の言葉を言うと退散する」という話が使われている。
※この「牛鬼」の解説は、「奇異太郎少年の妖怪絵日記」の解説の一部です。
「牛鬼」を含む「奇異太郎少年の妖怪絵日記」の記事については、「奇異太郎少年の妖怪絵日記」の概要を参照ください。
牛鬼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 05:06 UTC 版)
蜘蛛の体に牛の頭をしている巨大な妖怪の宇宙人。叫びながらカサカサという音を立てて移動し、無数のクモを弾丸のように放ち攻撃する。戦車砲を初めとした自衛隊の一斉攻撃でも傷一つ負うことなく返り討ちにし、岡の巨大ロボットを壮絶な一騎討ちの末に破壊するが、脱出した岡のZガンで左腕を根元から半ばもぎ取られ、最後はハードスーツによる殴打の連発で頭部を破壊されて倒される。
※この「牛鬼」の解説は、「GANTZ」の解説の一部です。
「牛鬼」を含む「GANTZ」の記事については、「GANTZ」の概要を参照ください。
牛鬼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 06:38 UTC 版)
「地獄先生ぬ〜べ〜の登場人物」の記事における「牛鬼」の解説
毛むくじゃらの大きな牛のような姿の海の妖怪。一人称は「俺」。
※この「牛鬼」の解説は、「地獄先生ぬ〜べ〜の登場人物」の解説の一部です。
「牛鬼」を含む「地獄先生ぬ〜べ〜の登場人物」の記事については、「地獄先生ぬ〜べ〜の登場人物」の概要を参照ください。
牛鬼(うしおに)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/27 14:51 UTC 版)
「ゆうれいなんか見えない!」の記事における「牛鬼(うしおに)」の解説
※この「牛鬼(うしおに)」の解説は、「ゆうれいなんか見えない!」の解説の一部です。
「牛鬼(うしおに)」を含む「ゆうれいなんか見えない!」の記事については、「ゆうれいなんか見えない!」の概要を参照ください。
牛鬼(うしおに)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 00:29 UTC 版)
「ゲゲゲの鬼太郎の登場キャラクター」の記事における「牛鬼(うしおに)」の解説
サンデー版や1980年代のマガジン版に強敵として登場する同族(その詳細は後述の「1960年代マガジン版・アニメ第1作初出」の「牛鬼(ぎゅうき)」の項目を参照)の別個体。こちらは鬼太郎の仲間で、外見は敵として登場した牛鬼個体とほとんど同じ形態だが、収録本によって呼称が「ぎゅうき」ではなく「うしおに」とされている方が多い。伝承や敵の牛鬼(ぎゅうき)は主に海の妖怪とされるが、この「うしおに」は陸上で生活している。
※この「牛鬼(うしおに)」の解説は、「ゲゲゲの鬼太郎の登場キャラクター」の解説の一部です。
「牛鬼(うしおに)」を含む「ゲゲゲの鬼太郎の登場キャラクター」の記事については、「ゲゲゲの鬼太郎の登場キャラクター」の概要を参照ください。
牛鬼(ぎゅうき)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 14:10 UTC 版)
「妖怪のお医者さん」の記事における「牛鬼(ぎゅうき)」の解説
※この「牛鬼(ぎゅうき)」の解説は、「妖怪のお医者さん」の解説の一部です。
「牛鬼(ぎゅうき)」を含む「妖怪のお医者さん」の記事については、「妖怪のお医者さん」の概要を参照ください。
牛鬼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/05 01:28 UTC 版)
「ファイナルファンタジータクティクスに登場するジョブ」の記事における「牛鬼」の解説
※この「牛鬼」の解説は、「ファイナルファンタジータクティクスに登場するジョブ」の解説の一部です。
「牛鬼」を含む「ファイナルファンタジータクティクスに登場するジョブ」の記事については、「ファイナルファンタジータクティクスに登場するジョブ」の概要を参照ください。
牛鬼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/11 02:03 UTC 版)
「絶対城先輩の妖怪学講座」の記事における「牛鬼」の解説
水中に住み人を襲うという特徴を持つ、西日本を中心に様々な姿で語られる妖怪。
※この「牛鬼」の解説は、「絶対城先輩の妖怪学講座」の解説の一部です。
「牛鬼」を含む「絶対城先輩の妖怪学講座」の記事については、「絶対城先輩の妖怪学講座」の概要を参照ください。
牛鬼(うしおに)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 17:57 UTC 版)
「千と千尋の神隠し」の記事における「牛鬼(うしおに)」の解説
大きな頭に鹿の角のような枝角を生やした、ずんぐりむっくりな体形の鬼(牛のような枝分かれしていない二本角の者や、舞楽の曲目『蘇利古』に使われる蔵面をつけ、イカのような手足の者もいる)。性格的にも造形的にも、禍々しい妖怪・牛鬼ではなく、地方祭で親しまれている牛鬼(cf. 牛鬼#祭礼の牛鬼)の様である。
※この「牛鬼(うしおに)」の解説は、「千と千尋の神隠し」の解説の一部です。
「牛鬼(うしおに)」を含む「千と千尋の神隠し」の記事については、「千と千尋の神隠し」の概要を参照ください。
牛鬼(ぎゅうき)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 16:31 UTC 版)
「結城友奈は勇者である」の記事における「牛鬼(ぎゅうき)」の解説
友奈の1体目の精霊。羽根の生えた牛のような姿で、腰の左右にピンクの花模様がある。牛の精霊であるにもかかわらず、ビーフジャーキーが好物。勝手に出現して他の精霊に噛みつく癖があるため、友奈も手に余している。勇者パンチの発動に関与している。
※この「牛鬼(ぎゅうき)」の解説は、「結城友奈は勇者である」の解説の一部です。
「牛鬼(ぎゅうき)」を含む「結城友奈は勇者である」の記事については、「結城友奈は勇者である」の概要を参照ください。
牛鬼(うしおに)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/18 19:07 UTC 版)
西日本に広く分布した伝承を持つ妖怪。地域によってその姿が大きく異なり、学校の室内プールにはそれらの伝承を順番に変身して再現する特殊な物が現れた。
※この「牛鬼(うしおに)」の解説は、「ほうかご百物語」の解説の一部です。
「牛鬼(うしおに)」を含む「ほうかご百物語」の記事については、「ほうかご百物語」の概要を参照ください。
固有名詞の分類
- >> 「牛鬼」を含む用語の索引
- 牛鬼のページへのリンク