ミノタウロス
英語:minotaur
「ミノタウロス」とは、ギリシア神話に登場する牛頭(半人半牛)の怪物の名称である。ミノス王の子として生まれ、王によってクレタ島の迷宮に幽閉され、生贄として捧げられた人間を食料とした。ミノス王の娘アリアドネの協力を得た英雄テセウスによって討ち倒された。
「ミノタウロス」という名は「ミノス王の牛」という意味の語とされる。
ミノタウロスは雄牛の頭部に屈強な男子の身体を持ち、巨大な斧を携えた姿で描かれる。そのイメージは後世の芸術作品のモチーフとしてよく用いられた。
ミノタウロスが幽閉されていた迷宮(ラビュリントス)は「ラビリンス(labyrinth)」の語源である。この迷宮はミノス王がギリシア神話の伝説的名工ダイダロスに設計させたもので、何人も脱出不可能とされた。テセウスはアリアドネから糸玉を受け取り、糸で道標を残したことで脱出に成功した。
迷宮を設計した名工ダイダロスは、イカロスの父である。ダイダロスは迷宮が完成した後、息子イカロス共々、ミノス王により迷宮に投獄されてしまう。ダイダロス親子は鳥の羽から翼を作り、飛翔能力を得ることで迷宮からの脱出に成功した。
「ミノタウロス」と「ケンタウロス」の違い
「ミノタウロス」と「ケンタウロス」は、どちらもギリシア神話に登場する半人半獣の存在である。ミノタウロスは「頭が牛で体が人間」の姿をした個体の名である。ケンタウロスは「上半身が人間で下半身が馬」の姿をした種族の名である。
ミノタウロスは手に負えない凶暴さによって迷宮に幽閉され、英雄テセウスに打倒された。ケンタウロスは戦の達人として語られることが多く、英雄的活躍も見せるが、酒好きで女好きという粗野な性格として描かれることも多い。好色が災いして殺されたとされる。
ギリシア神話においてミノタウロスとケンタウロスは特に関わり合いを持たない。
「ミノタウロスの皿」とは
「ミノタウロスの皿」とは、漫画家の藤子・F・不二雄が描いた短編漫画を原作として1990年にアニメ化された、「藤子・F・不二雄のSF短編」シリーズの作品である。「ミノタウロスの皿」は、宇宙船の事故によってある惑星に不時着したパイロットが経験する不思議な出来事を描いている。その惑星は牛に似た生物によって支配されており、人に似た生物が家畜として扱われていた。主人公は、不時着した際に助けてくれたミノアという名の少女に恋をする。その少女は「ミノタウロスの皿」の食材として選ばれ、祭典の中で食べられることになっていた。
「ミノタウロスの皿」は、特異な倫理観を持つ世界を描いたことによって物議を醸したが、それだけに高い評価も得ている。
「ミノタウロス(Fate/Grand Order)」とは
スマホ向けゲームアプリ「Fate/Grand Order(略してFGO)」に登場する「ミノタウロス」は、「バビロニア編」で主人公たちと衝突する敵キャラクターである。「FGO」に限らず、創作ものに登場するミノタウロスは総じて体力や攻撃力の高い強キャラという特徴が付与されることが多い。
「ミノタウロス(プリンセスコネクト!Re:Dive)」とは
スマホ向けゲームアプリ「プリンセスコネクト!Re:Dive(略して「プリコネR」)」では、ミノタウロスは、イベント「クランバトル」のボスキャラとして登場する。毛深い姿をしている。攻撃力が高い。複数段階の形態変化を行い、もともと高い攻撃力をさらに高め、しかも全体攻撃などを織り交ぜて攻撃してくる難敵である。「ミノタウロス(遊戯王)」とは
同名のマンガを原作とするトレーディングカードゲーム「遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム(略して「遊戯王OCG」)」では、「ミノタウロス」は「ミノタウルス」という表記で、デッキを構成するカードの一枚として扱われる。なかなか強力な部類のカードとされる。ミーノータウロス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/22 05:56 UTC 版)
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ミーノータウロス(古希: Μινώταυρος、Mīnōtauros、ラテン語: Minotaurus、英語: Minotaur)は、ギリシア神話に登場する牛頭人身の怪物である。クレーテー島のミーノース王の妻パーシパエーの子。
長母音を省略してミノタウロス、ラテン語読みでミノタウルスとも表記される。
神話・民俗
神話によるとミーノース王は、クレーテー島における王位に就いた後、クレーテー島の統治を巡って、ミーノース王とその兄弟で争いが起きた。そのためミーノース王はポセイドーンに祈り、神が支持していることの証として、美しい白い雄牛(一説では黄金)を送って欲しいと願う。後で生贄に捧げるという約束をミーノース王にさせた上で、ポセイドーンは雄牛を与える。しかし、雄牛の美しさに夢中になった王は、ポセイドーンとの約束を違え、別の雄牛を生け贄として捧げ、白い雄牛は自分の物にしてしまう。これに激怒したポセイドーンはミーノース王の后・パーシパエーに呪いをかけ、后が白い雄牛に性的な欲望を抱くように仕向ける。悩んだパーシパエーは名工のダイダロスに命じ、密かに雌牛の模型を作らせる。そして彼女は自ら模型の中へと入って雄牛に接近し、思いを遂げた。結果、パーシパエーは牛の頭をした子供・ミーノータウロスを産むこととなった。
星を意味するアステリオス(Asterios)と名づけられるが、「ミーノース王の牛」を意味するミーノータウロスと呼ばれる。呉茂一によると、「アステリオス」という名は、ゼウスの別号である「アステロペーテース(雷光を投げる者)」と同じ名であるという[1]。
ミーノータウロスは成長するにしたがい乱暴になり、手におえなくなる。ミーノース王はダイダロスに命じて迷宮(ラビュリントス)を建造し、そこに彼を閉じ込めた。そして、ミーノータウロスの食料としてアテーナイから9年毎に7人の少年、7人の少女を送らせることとした。アテーナイの英雄テーセウスは3度目の生け贄として自ら志願し、ラビュリントスに侵入してミーノータウロスを倒した。脱出不可能と言われたラビュリントスだが、ミーノース王の娘・アリアドネーからもらった糸玉を使うことで脱出できた。
ダンテの『神曲』では「地獄篇」に登場し、地獄の第六圏である異端者の地獄においてあらゆる異端者を痛めつける役割を持つ。
この怪物の起源は、かつてクレーテー島で行われた祭りに起源を求めるとする説がある。その祭りの内容は、牛の仮面を被った祭司が舞い踊り、何頭もの牛が辺り一帯を駆け巡るというもので、中でもその牛達の上を少年少女達が飛び越えるというイベントが人気であった。また、古代のクレーテー島では実際に人間と牛が交わるという儀式があったとされる。
逸話
画家パブロ・ピカソは、1933年頃から作品のモチーフに好んでミーノータウロスを取り上げている。男をなぶり殺し、女を陵辱し快楽の限りを貪るこの怪物に、ピカソは共犯者意識を持ちつつも、倒されねばならぬ絶対悪の役割を与えた。自分のたどった全ての道を集約するなら、それはミーノータウロスにつながるとの趣旨の言葉すら残している[2]。
系図
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アゲーノール |
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テーレパッサ |
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カドモス |
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エウローペー |
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ゼウス |
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クレーテーの牡牛 |
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パーシパエー |
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ミーノース |
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サルペードーン |
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ラダマンテュス |
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アルクメーネー |
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アイゲウス |
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ミーノータウロス |
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デウカリオーン(en) |
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アンドロゲオース |
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グラウコス |
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ディオニューソス |
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アリアドネー |
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テーセウス |
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パイドラー |
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カトレウス |
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イードメネウス |
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クレーテー |
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モロス |
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アカマース |
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デーモポーン |
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アーエロペー |
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アトレウス |
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クリュメネー |
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ナウプリオス |
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メーリオネース |
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トアース |
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ミュリーネー |
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スタピュロス |
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ペパレートス |
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オイノピオーン |
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アガメムノーン |
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メネラーオス |
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パラメーデース |
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オイアクス |
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イアーソーン |
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ヒュプシピュレー |
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モルパディアー |
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パルテノス |
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ロイオー |
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メロペー |
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エウネーオス |
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ネブロポノス |
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トアース |
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アニオス |
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出典
関連項目
外部リンク
固有名詞の分類
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