グライアイ
グライアイ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/07 06:57 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動グライアイ(古希: Γραῖαι, Graiai, 羅: GraiaeもしくはGraeae)は、ギリシア神話に登場する3姉妹の怪物である。「老婆たち」の意。この名前は複数形で、単数形はグライア。
海神ポルキュースとその妻ケートーの間に生まれた姉妹で[1][2]、グライアイはペムプレードー(「意地悪な」の意)、エニューオー(戦闘を好む)、デイノー(恐ろしい)を指す[3]。ゴルゴーンの姉妹にあたり、ポルキュアス、フォルキュアスともいう。
概要
グライアイは生まれたときから灰色の髪をしていたために、神々も人間も彼女たちをグライアイ(老婆たち)と呼んだ[4]。1つしかない歯と目を姉妹で共用しているとされる[3]。一説によれば白鳥の翼と胴体を持っていたとされる[5]。オーケアノスのかなたのゴルゴーンの国の入り口にある岩屋に住んでいるとされる。
ヘーシオドスはグライアイはペムプレードー、エニューオーの2人とする[6]。アポロドーロスはペムプレードー、エニューオー、デイノーの3人[3]、ヒュギーヌスはペムプレードー、エニューオー、ペルシスの名前を挙げ、さらにペルシスの代わりにデイノーンを加えることがあると述べている[7]。
# | 名前 | 綴り(希) | 綴り(羅) | Hesi | Ap | Hy | Hy |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ペムプレードー | Πεμφρηδώ | Pemphrēdō | ○ | ○ | ○ | ○ |
2 | エニューオー | Ἐνυώ | Enȳō | ○ | ○ | ○ | ○ |
3 | デイノー デイノーン |
Δεινω |
Deinō Deinōn |
○ |
○ |
||
4 | ペルシス | Persis | ○ |
グライアイはヘルメースとアテーナーの案内でやってきたペルセウスの訪問を受けた。ペルセウスはメドゥーサ退治のために必要なものがあったので(翼のあるサンダル、キビシス、ハーデースの帽子)、それを持っているニュムペーたちの居場所を聞くために立ち寄ったのである。彼女たちは当初は教えなかったが、たった1つしかない目をペルセウスに奪われてしまい、ニュムペーの居場所を教えるのと引き換えに取り戻した[3]。またペルセウスは自分のことをゴルゴーンに告げに行かせないために、奪った目玉をトリートーニス湖に投げ入れたともいう[8]。
後世の影響
- 『ファウスト 第二部』にも登場する。
系図
脚注
参考文献
- アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
- ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、講談社学術文庫(2005年)
- ヘシオドス『神統記』廣川洋一訳、岩波文庫(1984年)
- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、岩波書店(1960年)
- R・グレーヴス『ギリシア神話(上巻)』高杉一郎訳、紀伊国屋書店(1962年)
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