テミス
テミスはNASAの磁気圏観測衛星です。2007年2月18日午前8時1分(日本時間)、フロリダ州のケープ・カナベラル空軍基地からデルタIIロケットによって打ち上げられました。
テミスはオーロラがなぜ発生するのか、その謎を解明しようとしています。
オーロラは、太陽からやってくる電子などのプラズマ(太陽風)が地球の北極や南極上空の酸素原子などにぶつかり、光らせるという現象です。
このオーロラを光らせるメカニズムには、実はもう少し複雑です。地球は磁場を持っていて、その磁場が及ぶ範囲を「地球磁気圏」と呼んでいますが、地球磁気圏は太陽風の影響を受けて太陽と反対の方向(夜側)に長くのびて尻尾のようになっています。
電子などのプラズマはいったん夜側の「磁気圏の尾」と呼ばれる場所に集まります。そのエネルギーが何らかのきっかけで解放されて磁気圏が乱れる「サブストーム」という現象が起こると、オーロラを発生させると考えられています。
でも、このサブストームについては発生する場所や、どういうきっかけで起こるかについて、まだまだわからないことがあります。サブストームが起こると地上の機器や人工衛星に通信障害をもたらします。 また、宇宙飛行士は高レベルの放射線を浴びないように、船外活動を控える必要があります。
テミスはこのサブストームの解明をめざして、打ち上げ後5機に分かれ、高度が異なる軌道に向かいます。それぞれの衛星が磁気や粒子、温度、地球に向かう電子の流れなどを詳しく調べます。5機の観測衛星を1機のロケットで打ち上げるのはこれまでで最多の数になります。
「テミス」はギリシア神話に登場する「正義と審判の女神」の名前です。長年の謎だったサブストームを解明してくれることでしょう。
テミス
テミス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/01 18:16 UTC 版)
テミス Θέμις |
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法・掟の女神, 予言の女神 | |
![]() |
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位置づけ | ティーターン |
信仰の中心地 | ラムヌース |
住処 | オリュムポス |
シンボル | 剣, 天秤 |
配偶神 | ゼウス |
親 | ウーラノス, ガイア |
兄弟 | クロノス, オーケアノス, コイオス, クレイオス, ヒュペリーオーン, イーアペトス, テイア, レアー, ムネーモシュネー, ポイベー, テーテュース, キュクロープス, ヘカトンケイル, ギガース, メリアス, アプロディーテー, エリーニュス |
子供 | ホーラー(エウノミアー, ディケー, エイレーネー), モイラ(クロートー, ラケシス, アトロポス) |
ローマ神話 | ユースティティア |
テミス(古希: Θέμις、古代ギリシア語ラテン翻字: Thémis)は、ギリシア神話の法・掟の女神である。ヘーシオドスによれば、ウーラノス(天)とガイア(大地)の娘で、ティーターンの一柱である[1][2]。テミスとは古代ギリシア語で「不変なる掟」の意味であり、掟の擬人化である[3]。
概説
テミスは「正義の女神」と見なされることが多いが、近代・現代的な意味での「正義」とは異なっている。むしろ、古代ギリシア語で正義に該当する神は、ディケー女神である[4][注 1]。ギリシア神話においては、ティーターンとオリュンポス神の戦いの後、敗れたティーターンは主要な神の地位を失い、神話においても多くの神が言及されなくなり、また地位が低下している。オリュンポスの時代になって、なおその地位と威勢を変わりなく維持した神はテミスだけである[3]。
テミスの結婚と子供たち
ヘーシオドスの『神統記』によると、メーティスに次いで、ゼウスは二番目の妻としてテミスを娶り、二人のあいだには、エウノミアー(秩序)、ディケー(正義)、エイレーネー(平和)のホーラーの三女神が生まれた[5][6][7][注 2]。更に、クロートー、ラケシス、アトロポスのモイライの三女神が生まれた[5][7]。
ヘーラクレースの第11番目の課題は、ヘスペリデースの黄金の林檎を獲得することであった。アポロドーロスによると、ヘスペリデースの園を知る海神ネーレウスの居場所をヘーラクレースに教えたニュンペーたちは、ゼウスとテミスの間の娘であった[8][9]。またアイスキュロスによれば、プロメーテウスはテミスの子である[3]。
デウカリオーンとテミスの託宣
ポーキスの南岸、パルナッソス山の南麓にはデルポイの神託所があった。この神託所は、歴史時代にあってはアポローンのもので、ピューティアーと呼ばれる巫女が神託を授けていた。デルポイは往古、ピュートーと呼ばれ、そこにはゲー(ガイア)の託宣所があり、竜のピュートーンがガイアの代理としてその地を支配していた。アポローンはピュートーンを倒し、神託所を自分のものとした。ここよりピュートーはアポローンの聖地となった。一説に、これを記念して、ピューティア大祭がデルポイで開催されることとなる[10]。
他方、ピュートーに神託所を持っていたのはテミスであるとする伝説も古くからあった。テミスは予言の術に秀で、アポローンに予言の術を教えた。アポローンはこうして、後にデルポイに彼の神託所を持つことになる[3]。
大洪水と第四の人間

ゼウスは「青銅の時代」の人間たちが暴乱の様をつのらせたのを知り、大洪水を起こして彼らを滅ぼす計画を立てた。こうしてほとんどすべての人間は滅ぼされたが、プロメーテウスの息子デウカリオーンとその妻ピュラーは、大洪水の起こることをあらかじめに父より教えられていたので、箱船を造り洪水の難を逃れた。
人間が滅び、一組の正しい男女だけが生き延びたことを知ったゼウスは、大洪水を終焉させる。二人が乗った箱船は、九日九夜、水の上を彷徨った後、パルナッソスの二つの高峰近くに止まった。天候の回復を知ったデウカリオーンは船より降り、ゼウスに犠牲を献げ、デルポイに託宣所を持っていたテミスにも感謝の祈りを捧げた。二人は人間がすべて滅び消えたことを知り、テミスに祈って、人間の種族を再び回復させる方法を尋ねた。テミスは二人の問いに答え、「爾らの大いなる母の骨を歩を進めつつ背後に投げよ」と教えた。二人は、地上の岩の塊(大いなる母の骨)を歩みつつ背後に投げるとそこから新しい人間の種族が生まれ出た[11]。
ローマ神話
テミスはローマ神話においてはユースティティア女神に対応するとされる。近代・現代において、秤を手に持ち、司法における法と正義の象徴として像に表現されるのは、テミスではなくローマ神話のユースティティアである。彼女は正義の女神として、欧米においては司法の象徴ともなっている。
脚注
注釈
出典
- ^ 『神統記』, p. [要ページ番号], l.133-l.135.
- ^ 原語版『テオゴニアー』(神統記) Θεογονία l.135 引用:Θείαν τε Ῥείαν τε Θέμιν τε Μνημοσύνην τε
- ^ a b c d 高津 2007, p. 163.
- ^ a b 呉 1987, p. 55.
- ^ a b 『神統記』, p. [要ページ番号], l.901-l.906.
- ^ 原語版『テオゴニアー』(神統記) Θεογονία l.900-l.906 引用:δεύτερον ἠγάγετο λιπαρὴν Θέμιν,(以下略)
- ^ a b 『ギリシア神話』, p. [要ページ番号], 第1巻 3・1
原語版『ビブリオテーケー』(ギリシア神話) Βιβλιοθήκη Α 3,1 引用:ἐκ μὲν οὖν Θέμιδος τῆς Οὐρανοῦ γεννᾷ θυγατέρας ὥρας. Εἰρήνην Εὐνομίαν Δίκην, μοίρας, Κλωθὼ Λάχεσιν Ἄτροπον, ἐκ Διώνης δὲ Ἀφροδίτην, - ^ 『ギリシア神話』, p. [要ページ番号], 第2巻 5・11.
- ^ 原語版『ビブリオテーケー』(ギリシア神話) Βιβλιοθήκη Β 5,11 引用:βαδίζων δὲ δι᾽ Ἰλλυριῶν, καὶ σπεύδων ἐπὶ ποταμὸν Ἠριδανόν, ἧκε πρὸς νύμφας Διὸς καὶ Θέμιδος.
- ^ 呉 1987, p. 78.
- ^ 呉 1987, pp. 40–42.
参考文献
- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店、2007年3月2日(原著1960年2月25日)。ISBN 978-4-00-080013-6。
- 呉茂一『ギリシア神話』(改訂版)新潮社、1987年2月(原著1969年)。 ISBN 410307101X。国立国会図書館サーチ: R100000001-I23111100392663。
- ヘシオドス『ヘシオドス 神統記』廣川洋一 訳、岩波書店〈岩波文庫 赤107-1〉、1984年1月17日。 ISBN 978-4-0032-1071-0。
- アポロドーロス『アポロドーロス ギリシア神話』高津春繁 訳(改版)、岩波書店〈岩波文庫 赤110-1〉、1978年6月16日(原著1953年4月1日)。 ISBN 978-4-0032-1101-4。
関連項目
外部リンク
- M.G. Gallagher Law Library: Themis, Goddess of Justice
- The Role of Women in The Art of Ancient Greece (rwaag.org): Themis and Her Impact on Greek Art and Culture
- Theoi Project (Theoi.com): Themis
- Greek Mythology Link: Themis
テミス(グタン)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 02:48 UTC 版)
「スターソルジャー」の記事における「テミス(グタン)」の解説
テミスは赤い昆虫のような弓状に羽根を伸ばした形のキャラで、裏面のグタンは木の葉のような形。画面前方、シーザーと逆側から出現しゆっくりとジグザグに降下するが、シーザーよりも下方にくると横方向への動きが急に大きくなる。デライラへ攻撃中のときなど、シーザーが断続的に後方に移動していくような状況ではタイミング悪く急加速したテミスとぶつかる危険があるものの、1発で破壊が可能で、序盤は弾も撃たない。100点。
※この「テミス(グタン)」の解説は、「スターソルジャー」の解説の一部です。
「テミス(グタン)」を含む「スターソルジャー」の記事については、「スターソルジャー」の概要を参照ください。
「テミス」の例文・使い方・用例・文例
- 女神アルテミスは女性狩猟家として描かれている。
- 紀元前541年にエフェソスで開始されて、220年後に完成したギリシアの女神アルテミスの大きな神殿
- 彼女の子供に関する自慢が、アポロとアルテミスが彼らを皆、殺すことを引き起こしたタンタロスの娘
- プレイアデスを追いかけるが、ついにはアルテミスに殺された巨人ボイオティア人の狩人
- 月の女神アルテミスと同一視されるティーターンの女神
- 古代ギリシア神話のゼウスの妻あるいは愛人で、アポローンとアルテミスの母
- アルテミス属またはミブヨモギ属のいくつかの北米の複合亜低木のどれか
- ギリシア神話でアルテミスという女神
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