タンタロスの娘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/20 02:56 UTC 版)
このニオベーは、ゼウスの子タンタロスと、巨人アトラースの娘ディオーネーとの間に生まれた娘で、ペロプスと兄弟。ゼウスとアンティオペーの息子であるテーバイ王アムピーオーンと結婚し、多くの子宝に恵まれた。ニオベーは神に対して傲慢な態度をとったために神罰を受けたことで知られており、その物語はホメーロスの叙事詩『イーリアス』ですでに取り上げられている。 神話によると、ニオベーは女神レートーに対して子供が多いことを自慢した。それだけでなくアポローンとアルテミスの姿を馬鹿にして自分の子供たちが優れていると自慢した。このため怒ったレートーは、アポローンとアルテミスに彼女の子供を殺させた。嘆き悲しむニオベーの涙はとまらず、故郷のリューディア地方に帰り、シピュロス山(英語版)でゼウスに願って石に変えられた。あるいは子殺しを後悔したレートーがニオベーを哀れみ、石に変えた。あるいはテーバイで石と化したニオベーは風によって故郷に運ばれた。ニオベーは石になっても涙を流し続けた。 ニオベーの子供の数や名前については諸説あり、アポロドーロスはヘーシオドスの20人(10子10女)、ヘーロドトスの5人(2子3女)、ホメーロスの12人(6子6女)、またアイリアーノスはホメーロスの12人(6子6女)、ラソスの14人、ヘーシオドスの19人、アルクマーンの10人、ミムネルモス(英語版)とピンダロスの20人といった説を挙げている。 一般的にはニオベーの子供は14人(7子7女)であり、オウィディウスは7人の息子イスメーノス、シピュロス、パイディモス、タンタロス、アルペーノル、ダマシクトーン、イーリオネウスの名前を挙げ、彼らと7人の娘たち全員が殺されたとしている。 一方、アポロドーロスは息子たちの名前をシピュロス、エウピニュトス、イスメーノス、ダマシクトーン、アゲーノール、パイディモス、タンタロス、娘たちの名前をエトダイアー(あるいはネアイラ)、クレオドサ、アステュオケー、プティーアー、ペロピアー、アステュクライア、オーギュギアーとし、さらに別の伝承をもとに1子アムピーオーンと1女クローリスだけが死を免れたとしている。しかし前6世紀ごろの女詩人テレシラ(英語版)は、助かったのはアミュクラースとメリボイアとし、アムピーオーンは射殺されたとしている。パウサニアスもテレシラと同様にアミュクラースとメリボイアが助かったとしているが、メリボイアはクローリスのことで、恐怖で青ざめた顔が元に戻らなかったので、クローリス(「青ざめた顔の女」の意)と呼ばれるようになったのだという。 ヒュギーヌスによれば息子はタンタロス、イスメーノス、エウピノス、パイディモス、シピュロス、シクトティオス、アルケーノル、娘はレルタ、キアデー、クローリス、アステュクラーティア、シボエー、エウドクサ、オーギュギアであり、クローリスのみが助かったとする。 この事件の後、夫のアムピーオーンは自殺したとも、アポローンの聖域を攻撃したためにアポローンによって射殺されたともいわれる。生き残ったクローリスはピュロス王ネーレウスと結婚した。
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