『イーリアス』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 07:17 UTC 版)
「エリス (ギリシア神話)」の記事における「『イーリアス』」の解説
トロイア側で激昂するアレースとアカイア側で鼓舞するアテーナーの二神の戦いに、恐怖デイモスと敗走ポボス、アレースの妹であり戦友のエリスが加わる。女神は飽くこと無く猛り狂い、両軍の兵士たちに敵意を吹きこみ、普段は小柄だが争いが膨らめば大地に足をつきながら頭は天にとどくほど巨大な姿になり、軍勢の中を駆け巡った。 3日目の早朝ゼウスはエリスに「戦いの兆し」を持たせ、女神はアカイア軍の船に立ち、すさまじい大声で雄叫びを上げると、兵士たちは闘争心と不屈の気力が湧き、戦いを好むようになり、アカイアとトロイア両軍の荒れ狂う戦闘を見てエリスは大いに喜んだ。 またアテーナーが纏うアイギスの姿の描写に、総が垂れ、縁には「ポボス(敗走)」が取り巻き、表には「エリス(争い)」「アルケ(武勇)」「イオケ(追撃)」に怪物ゴルゴーンの首がある。ヘーパイストスが作ったアキレウスの盾にも、人間どもの激しい闘いに「エリス(争い)」と「キュドイモス(乱闘)」と「ケール(死)」といった神々が参戦する様が描かれている。 これに似たものにウェルギリウスの叙事詩『アエネーイス』があり、ヘーパイストス(ウゥルカーヌス)はアプロディーテー(ウェヌス)の息子アイネイアースのために盾を作るが、その盾の表にアレース(マールス)とエリーニュスたちと共に、裂けた衣を纏ったエリスと、その後ろに女神ベローナが血色の鞭を持って従い、戦闘のただ中で荒れ狂う姿が描かれている。
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