『イーリアス』におけるアキレウス
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「アキレウス」の記事における「『イーリアス』におけるアキレウス」の解説
アキレウスは、友人パトロクロスと共に、ミュルミドーン人たちを率いてトロイア戦争に参加していた。ギリシア勢がトロイア戦争を開始してから十年目、ある事情により、戦利品で愛妾のブリーセーイスを総大将アガメムノーンに奪われた。理不尽な行為に腹をたてたアキレウスは、それ以降戦いに参加しなくなる。 アキレウス退陣とともに神々の加護を失ったギリシア勢は、名だたる英雄たちも傷つき総崩れとなり、陣地の中にまで攻め込まれる(ゼウスがギリシア勢に味方する振りをしてイーリオス勢に味方したため)。これを見たパトロクロスは、出陣してギリシア勢を助けてくれるようアキレウスに頼んだが、アキレウスは首を縦に振らない。そこでパトロクロスはアキレウスの鎧を借り、ミュルミドーン人たちを率いて出陣する。アキレウスの鎧を着たパトロクロスの活躍により、ギリシア勢はイーリオス勢を押し返す。しかしパトロクロスは、イーリオスの王プリアモスの息子で事実上の総大将であるヘクトールに討たれ、アキレウスの鎧も奪われてしまう。 パトロクロスの死をアキレウスは深く嘆き、ヘクトールへの復讐のために出陣することを決心する。テティスはアキレウスのために新しい鎧を用意し、アキレウスに授ける。出陣したアキレウスは、イーリオスの名だたる勇士たちを葬り去る。形勢不利と見てイーリオス勢が城内に逃げ去る中、門前に一人、ヘクトールが待ち構える。 ギリシア勢とイーリオス勢が見守る中、アキレウスとヘクトールの一騎討ちが始まる。アキレウスはヘクトールを追いまわし、ヘクトールは逃げ回ってイーリオスの周りを三度回る。しかし、ついにヘクトールはアキレウスに冷酷な殺し文句と共に討たれる。アキレウスはヘクトールの鎧を剥ぎ、彼を戦車の後ろにつなげて引きずりまわす。復讐を遂げて満足したアキレウスは、さまざまな賞品を賭けてパトロクロスの霊をなぐさめるための競技会を開く。 競技会が終わった後も、アキレウスはヘクトールの遺体を引きずりまわすことをやめない。ヘクトールの父プリアモスはこれを悲しみ、深夜アキレウスのもとを訪れ、息子の遺体を返してくれるように頼む。アキレウスはプリアモスをいたわり、ヘクトールの遺体を返す。ヘクトールの葬儀の記述をもって、『イーリアス』は終わる。
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