アマルテイアとは? わかりやすく解説

アマルテイア 【Amaltheia】

ギリシア神話ニンフ妖精)の一つゼウスは幼い時、母の手クレタ島隠されたが(父がゼウスを呑もうとするので)、アマルテイアは、そのゼウス山羊の乳で養育した。ゼウス長じてアマルテイアをオリンポスの神々のもとに呼んだ

アマルテイア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/24 22:28 UTC 版)

幼子ゼウスとアマルテイア。ヤーコブ・ヨルダーンスの1640年頃の絵画、ルーヴル美術館蔵。
ディクテー山の洞窟。
イーデー山の洞窟。

アマルテイア古希: Ἀμάλθεια, Amaltheia, ラテン語: Amalthea)は、ギリシア神話に登場するゼウスの育ての親とされる牝の山羊である。ラテン語ではアマルテアという。アマルテイアはクレーテー島イーデー山あるいはディクテー山英語版の洞窟で、幼いゼウスに乳を与えて育てたとされる。アマルテイアはまた、この山羊を所有するニュンペーとされることもある。

神話

オウィディウスの『祭暦』によると、イーデー山に住むアマルテイアという名前のニュムペーが幼いゼウスを森に隠して養育した。アマルテイアは美しい牝山羊を持っており、この山羊の乳でゼウスは育てられた。この山羊は角の片方が折れていたが、アマルテイアはその角を拾って花と果物で満たし、幼いゼウスに食べさせたとされる。後に成長して神々の王となったゼウスは角と山羊とを一緒に星々の間に置いた[1]

アポロドーロスによると、女神レアーはディクテー山の洞窟(ディクテオン洞窟)でゼウスを出産し、クーレースの一人のメリッセウスの娘でニュムペーのアドラステイアとイーデーに養育を命じた。2人のニュムペーは牝山羊アマルテイアの乳で幼いゼウスを育て、クーレースたちは武装して洞窟を守った[2]

のちにヘーラクレースデーイアネイラをめぐって河神アケローオスと争ったとき、英雄はアケローオスの角を折って打ち負かした。そこでアケローオスは角を取り戻すためにアマルテイアの角をヘーラクレースに与えた。ここで説明されているところでは、アマルテイアは牡牛の角を持つハイモニオスなる人物の娘であり、またアマルテイアの角はレーロスのペレキューデースによれば、あらゆる食べ物も飲物も自由に生み出す力があるという[3]

シケリアのディオドーロスによると、ゼウスはイーデー山の洞窟で育てられた。レアーは密かにイーデー山中でゼウスを出産し、近隣に住んでいたクーレースたちに養育を頼み、クーレースたちはさらに洞窟のニュムペーたちに養育を任せた[4]。ニュムペーたちは蜂蜜と乳を混ぜたものをゼウスに与えた。また牝山羊アマルテイアの乳房を吸わせて育てた[5]。後にゼウスは自分を育てたアマルテイアに、牝山羊(アイクス)にちなんだ別名アイギアコスを与えた[6]

別の話によると、ゼウスは自分自身で山羊の角を折り[7]、それをアマルテイアに渡して彼女が望んだものがなんでも手に入るよう約束したとされる。コルヌー・コピアイ(豊饒の角)である。またディオニューソスはこの角から湧き出る食べ物で育てられた。古代の神話によると角の所有者は多岐にわたる。一般には巨万の富の象徴とされ、また様々な神性や、ナイル川など土地を豊かにする河の象徴ともなる。

また、エラトステネースがムーサイオスの伝えとして述べるところによれば、この牝山羊はヘーリオスの娘であったが容姿醜怪ゆえにティーターンたちから疎まれ、これを預けられたのがクレーテー島のニュムペーのアマルテイアである。その山羊の乳で育ったゼウスは、神託に従ってその皮からアイギスを作ったという[8]。さらにこの山羊は後にぎょしゃ座カペラになったとされる。

影響

小惑星帯小惑星アマルテア木星の第5衛星アマルテアはアマルテイアにちなんで名付けられた。

脚注

  1. ^ オウィディウス『祭暦』5巻111行-128行。
  2. ^ アポロドーロス、1巻1・7。
  3. ^ アポロドーロス、2巻7・5。
  4. ^ シケリアのディオドーロス、5巻70・2。
  5. ^ シケリアのディオドーロス、5巻70・3。
  6. ^ シケリアのディオドーロス、5巻70・6。
  7. ^ 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』p.27b。
  8. ^ 伝エラトステネス『星座論』(5) しし座・ぎょしゃ座”. 2022年8月31日閲覧。

参考文献


アマルテイア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/11 16:41 UTC 版)

アルシャードトライデント」の記事における「アマルテイア」の解説

ブルースフィア南極大陸隠されていた神殿で、ブルースフィア充満するマナ流れ管理することができるという大レリクス。「美少女女神黄金の林檎」ではこれを利用しブルースフィアという世界自体次元的な位置変えて動き出すようにマナコントロールした(いわば自動車エンジンのような使い方)。アマルテイア神殿の奥にある台座起動鍵たるクアドラを置き、クアドラ正規所有者(「美少女女神黄金の林檎」では美衣)が指示することで起動する

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