エーオース
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/21 08:00 UTC 版)
エーオース Ἠώς |
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暁の女神 | |
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位置づけ | ティーターン |
住処 | 天空 |
シンボル | 蝉 |
配偶神 | アストライオス |
親 | ヒュペリーオーン, テイアー |
兄弟 | ヘーリオス, セレーネー |
子供 | アネモイ, アストライアー, ポースポロス, ヘスペロス |
ローマ神話 | アウローラ |
エーオース[1] (Ἠώς, Ēōs) は、ギリシア神話に登場する暁の女神である[2]。その名は古典ギリシア語で「暁」を意味し、暁の神格化である。ティーターンの系譜に属し、様々な恋の物語が彼女をめぐって存在する。聖虫は蝉[3]。
長母音を省略してエオスとも表記する[3]。アッティカ方言ではヘオース (Ἑως, Heōs)[2]。ローマ神話ではアウローラ(ラテン語: Aurōra)[2]。
概説
エーオースはその名の通り、暁の女神である。ティーターンであるヒュペリーオーンとテイアー女神のあいだに生まれた。兄弟には、同じく自然現象や天体の神格化と言える、ヘーリオス(太陽)とセレーネー(月)がいる[4]。また、同じくティーターンの系譜にあるアストライオスとの間に三柱のアネモイ(風)、すなわちゼピュロス(西風・春風)、ボレアース(北風)、ノトス(南風)、そしてすべての星々を生んだとされる[5]。
美術作品などでは冠を被り松明を掲げて飛ぶ有翼の女神として描かれ、ペーガソスに乗った姿でも表される[2]。また、甕を傾け朝露を滴らせる姿で表されることもあり、サフラン色のローブを纏うといわれる[6]。世界の東涯にある宮殿に住み、毎朝ランポスとパエトーンという二頭の駿馬に曳かせた黄金の戦車(紫色の戦車とも[6])に乗り、ヘーリオスの先駆けをしながら東から西へ天空を渡り夕方にはオーケアノスの西の果てへ没し、夜間に東天へ帰ると信じられた[2]。
別名
叙事詩での定型修飾称号に、「薔薇色の指持つ(古代ギリシャ語: ῥοδοδάκτυλος, ラテン文字転写: rhododaktylos)」や「黄金の腕持つ」あるいは「黄金の御座にまします(古代ギリシャ語: χρυσόθρονος, ラテン文字転写: khrysothronos)」などがある。ἠριγένεια Ἠώς(エーリゲネイア・エーオース)とは「早きに生まれた暁」の意味である。ホメーロスは«ῥοδοδάκτυλος Ἠώς»すなわち「薔薇色の指もてる暁が」と述べる。こうして、ホメーロスなどの叙事詩では、一日の記述が「ばら色の指をした暁の女神エーオース」などの表現ではじまる。
神話
ティートーノスとの恋と定め

エーオースはイーリオス王ラーオメドーンの子ティートーノスとの間に、英雄メムノーンとエーマティオーンをもうけた。エーマティオーンはヘーラクレースに討たれた。メムノーンは、父ティートーノスがイーリオス王プリアモスの兄弟だったため、アイティオピアー勢を率いてトロイア戦争に参加した。
ケパロスとの恋
ケパロスは美少年だったためエーオースによってシュリアにさらわれたが、8年後に妻のプロクリスの元へ帰った[2]。その際エーオースに唆されて、別人に変装して妻に言い寄り、莫大な贈り物を与えて彼女の貞操を試したという[2]。
オーリーオーンとの恋
オーリーオーンに恋をしたエーオースはその当時盲目であった彼の目を兄であるヘーリオスに治してもらう。その後、晴れてオーリーオーンと恋仲となったエーオースだったが、彼と会いたいがために自身の仕事を早く切り上げるようになったため、その交際中、夜明けの時間が短くなってしまったという。
ギャラリー
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ヘラルト・デ・ライレッセ『アポロとアウロラ』(1671年)メトロポリタン美術館所蔵
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アンヌ=ルイ・ジロデ=トリオソン『アウロラ』(1814-1815年頃)コンピエーニュ城所蔵
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フアン・アントニオ・リベーラ『アウロラ』(1819年)プラド美術館所蔵
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アドルフ・アレクサンドル・レスレル『アウロラ』(1868年)個人所蔵
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イーヴリン・ド・モーガン『エオス』(1895年)コロンビア美術館所蔵
脚注
参考文献
エーオース
「エーオース」の例文・使い方・用例・文例
固有名詞の分類
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