カリロエーとは? わかりやすく解説

カリロエー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/18 07:03 UTC 版)

カリロエーとクリューサーオールの子ゲーリュオーンを描いたアッティカ黒絵式アンフォラミュンヘン、州立古代美術博物館(en)所蔵。
オーケアノスの娘カリロエーの系図(ヘーシオドス神統記』より)
 
オーケアノス
 
 
 
 
メドゥーサ
 
ポセイドーン
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
カリロエー
 
 
 
クリューサーオール
 
 
 
ペーガソス
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ゲーリュオーン
 
エキドナ
 
テューポーン
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
オルトロス
 
ケルベロス
 
ヒュドラー
 
キマイラ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

カリロエー[1]あるいはカッリロエーないしカッリッロエー[2]古希: Καλλιρρόη, Kallirrhoē 「美しき流れ」の意[2])は、ギリシア神話女神または女性である。長母音を省略してカリロエカッリロエカッリッロエ)とも表記される。

オーケアノスの娘

このカリロエーは、オーケアノスとテーテュースの3000人の娘たちオーケアニデスの1人で[3]クリューサーオールとの間に3頭の怪物ゲーリュオーン[4][5][6]と、エキドナを生んだ[7]。エキドナはテューポーンとの間に多くの怪物を生んだ。

スカマンドロスの娘

このカリロエーは、トローアス河神スカマンドロスの娘で、トロイアの王トロースとの間に、クレオパトラーイーロスアッサラコスガニュメーデースを生んだ。ガニュメーデースはその美しさのゆえにゼウスにさらわれた。アッサラコスの家系からはアイネイアースが出た[8]。イーロスはイーリオスを創建した[9]

アケローオスの娘

このカリロエーは、河神アケローオスの娘で、アルクマイオーンとの間にアムポテロスアカルナーンを生んだ[10][11]

カリロエーは父アケローオスがアルクマイオーンの母殺しの罪を浄めたときに、アルクマイオーンと結婚した。しかしカリロエーはアルクマイオーンにハルモニアーの首飾りと長衣(ペプロス)を欲しがったため、アルクマイオーンはペーゲウスのところに行って嘘をついて返してもらった。しかし嘘であることを知ったペーゲウスは息子たちに命じてアルクマイオーンを殺させた。アルクマイオーンが殺されたことを知ったカリロエーは、復讐するため、ゼウスに子供たちをすぐに大人にしてほしいと願うと、子供たちは突然大人になり、ペーゲウスの子供たちを殺し、その後ペーゲウスとその妻を殺し、復讐を果たした。2人はそのことを母に伝えたのち、アケローオスの言葉によって、首飾りと長衣をデルポイに捧げ、アカルナーニア地方に植民した[12][注釈 1]

リュコスの娘

このカリロエーは、リビュアの王リュコスの娘である。トロイア戦争後、ディオメーデースが帰国の航海でリビュアに流され、リュコスに捕われたとき、カリロエーはディオメーデースに恋をして助けた。しかしディオメーデースはカリロエーを捨てて帰国したため、悲しみのあまり自殺した[14]

その他のカリロエー

脚注

注釈

  1. ^ パウサニアースによればカリロエーが欲しがったのは首飾りで、アルクマイオーンを殺害したペーゲウスの子供たちが首飾りをデルポイに捧げたとしている[13]

出典

  1. ^ 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』p.101。
  2. ^ a b 松原國師『西洋古典学事典』京都大学学術出版会、2010年、408頁。
  3. ^ ヘーシオドス、351行。
  4. ^ ヘーシオドス、287行-288行。
  5. ^ ヘーシオドス、979行-982行。
  6. ^ アポロドーロス、2巻5・10。
  7. ^ ヘーシオドス、295行-297行。
  8. ^ アポロドーロス、3巻12・2。
  9. ^ アポロドーロス、3巻12・3。
  10. ^ アポロドーロス、3巻7・5-7・6。
  11. ^ パウサニアス、8巻24・9。
  12. ^ アポロドーロス、3巻7・5-7・7。
  13. ^ パウサニアス、8巻24・10。
  14. ^ a b 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、p.102a。
  15. ^ ヒュギーヌス、145話。

参考文献





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