箱船(方舟)
『ギルガメシュ叙事詩』 神々が洪水を起こして町を沈めようとする。人間の味方であるエア神が、ウトナピシュティムに方舟を造るよう命ずる。6日6晩の嵐と洪水で、すべての人間は粘土と化す。水が退いた後、ウトナピシュティムは2つの川の合わさる地に住んだ。
『マハーバーラタ』第3巻「森の巻」 マヌが、創造主ブラフマーの化身である魚の教えによって、大きな箱船を作り、長いロープをつけ、あらゆる種類の種子を集め、7人の聖仙と一緒に乗りこむ。世界は洪水の海に沈み、角ある魚が何年もの間箱船のロープを曳き、ヒマラヤ山頂にたどり着く。
★2.二十世紀の箱船ともいうべき核シェルターにこもって、核戦争に備える。
『方舟(はこぶね)さくら丸』(安部公房) 「ぼく(モグラ)」は、採石場跡の巨大な地下街とでもいうべき洞窟で暮らし、核戦争に備える。デパートで出会った「昆虫屋」・「サクラ」・「女」が、「ぼく」とともに地下で生き残る資格を持つ仲間になる。しかしよそ者が侵入したり、便器の穴に「ぼく」の片足が吸い込まれて動けなくなるなど、思いがけぬトラブルが起こる。結局「ぼく」は1人地上へ戻るが、街は生き生きと死んでいるように見える。
『ギリシア神話』(アポロドロス)第2巻第4章 アクリシオスは娘ダナエを青銅の室に入れ、男が近づかないように見張った(*→〔部屋〕3a)。しかしゼウスがダナエと交わって(*→〔膝〕2)、ペルセウスが誕生した〔*一部の人々は、「プロイトスという男がダナエを犯したのだ」と言う〕。アクリシオスは、生まれたのがゼウスの子であることを信ぜず、ダナエと嬰児ペルセウスを箱に入れて、海に投じた。
『三国史記』「新羅本紀」第1・第4代脱解尼師今前紀 多婆那国王の妃が卵を産み、箱に入れて海に捨てる。箱は辰韓の阿珍浦に漂着し、老婆が箱を開けると、1人の少年がいた。長年の後、彼は62歳で即位し、新羅の王脱解尼師今となった。
『曽我物語』巻6「弁才天の御事」 流沙の水上に住む「ふん女」(後に弁才天)が、5百の卵を産んだ。5百まで生まれるのはただごとでなく、しかも卵生は罪深いものなので、彼女は5百の卵を箱に入れて流沙の波に流し捨てた〔*『今昔物語集』巻5-6に類話〕。
『ペンタメローネ』(バジーレ)第3日第2話 ペンタは自らの両手を切り落として兄王からの求婚を退ける。怒った兄王はペンタを箱に入れ、海に捨てる。テッラウェルデの王が、波間を漂う箱の中の彼女を見つけて妃にする。
箱船
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/10 16:27 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動箱船(はこぶね)とは、船の一種で、その形状から分類される。すなわち、方形の形をした船をいう。箱舟、方舟とも書かれる[1]。
神話の箱船
箱船は、『旧約聖書』『創世記』に登場するノアの方舟が良く知られている。これは神ヤハウェが邪悪な人間を滅ぼすため起こした大洪水にあって、善良なる人であったノアとその一族だけを例外として救うため、ノアに命じて箱船を造らせた物語である。ノアたちはこの箱船に乗船して、大洪水による滅亡を逃れた。
一方、類似した話・伝承が他の文化圏の神話などでも伝わっている。ギリシア神話では、「青銅の時代」の人間が悪に堕したため、神ゼウスが大洪水を起こし、青銅の人間を滅ぼしたという神話のなかで登場する。プロメーテウスの息子デウカリオーンは、父より大洪水による滅亡の計画を教えられ、箱船を建造して、妻ピュラーと共に難を逃れたとされる。
脚注
関連項目
- 大洪水
- ノアの方舟
- デウカリオーン
- en:Ark - 英語の ark には、箱船以外に様々な意味や用法がある。一般に「方形」をしたものを指す。また、そこからの派生語などがある。ユダヤ教の聖櫃、契約の箱なども英語では、Ark と呼ばれる。これらはいずれも、方形の箱である。
「箱船」の例文・使い方・用例・文例
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