チーズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/02 00:10 UTC 版)
種類
チーズの原料には様々な種類の乳が使用できるが、主な原料となるのはウシ(牛乳)、ヒツジ、ヤギの3種の動物の乳である[13]。なかでも最も広く使用されるのはウシの乳であり、市中に出回っているチーズの原料は特に指定がない限りほとんどの場合は牛乳である。ヒツジの乳は脂肪分が多いため濃厚な味わいが特徴とされる。また、ヤギの乳は特有の臭いがあるものの、これも広く好まれるチーズの一つである。このほかにもスイギュウやヤクなどからチーズが作ることができる。また、ラクダの乳は脂肪の構造がウシなどとは異なるためチーズを作ることは困難ではあるが可能ではあり、その希少性ゆえにラクダチーズは高級品として高く評価されていた[14]。アラブ首長国連邦のドバイでは世界で初めて商業的にラクダチーズを生産販売する会社が現れ、世界各地への売り込みを図っている[15]
チーズの分類
原料や加工法によってチーズは細かく分類され[16]、1000種類以上あるとされる[12]。
チーズは基本的に、ナチュラルチーズとプロセスチーズの二つに区分できる。ナチュラルチーズは牛乳から直接作られる。これに対し、プロセスチーズはいったん作られたナチュラルチーズを溶かし、それを再び乳化剤を添加して固めて作られる。プロセスチーズは溶解時に加熱殺菌されているため発酵が止まっており、長期保存が可能となっている[17]。また加熱すると伸びたり分離したりするナチュラルチーズに比べて安定しており、そういった変化は起きにくい。ナチュラルチーズに比べて独特な風味は薄いものが多い。
ナチュラルチーズの分類にはいくつもの方法があるが、一般的なものとしてはフレッシュチーズ、白かびチーズ、ウォッシュチーズ、シェーブルチーズ(山羊乳チーズ)、ブルーチーズ、半硬質チーズ、硬質チーズ(ハードチーズ)、超硬質チーズの8種類に区分できる。これは外観や硬さによる分類である。シェーブルチーズが独立した分類となっているのは、ヤギの乳の成分はレンネットで凝固をさせることができず、ウシやヒツジの乳とは根本的に異なる作り方をするためである。またこの性質のため、シェーブルチーズはあまり大きくすることができず、小さなものが多い。
フレッシュチーズは基本的に熟成させないが、軽く熟成させるタイプも存在する。フレッシュチーズは生鮮食品であり、できたてが最もおいしく、できて数日以内に食されるものである。味は熟成工程を経ないために原料であるミルクの味が強く出、酸味が強いものが多いのが特徴である。白かびチーズ(ホワイトチーズ)は外皮に白カビを植え付けて熟成させたもので、軟らかく、クリーミーな味わいが特徴である。また、チーズの表面に塩水を吹き付けるタイプのチーズがウォッシュチーズである。青カビチーズ(ブルーチーズ)は白カビチーズとは逆に、内部に青かびを植え付けて熟成させるもので、そのため内部にも青かびの菌糸が入り込んでいるのが特徴である。味としては刺激があり、また塩分の強いものが多い。半硬質・硬質・超硬質チーズはいずれもプレスしてホエイをよく抜いた後熟成させるのが特徴であり、そのため大型で保存性もよい[18]。
また、こうしたチーズの分類とは別に、完成したチーズに様々なフレーバーを添加することも広く行われている。フレーバーチーズとして一つの区分となっている。フレーバーチーズの中で最もよく知られているものはスモークチーズである。これはできあがったチーズを燻製の製法と同じに燻したものであり、ナチュラルチーズでもプロセスチーズでも作られる。フレーバーチーズにはこのほかに、素材であるカードそのものにフレーバーを添加して作るもの、出来上がったチーズの外側にフレーバーをかけたりつけたりするもの、出来上がったチーズをほぐしてフレーバーを混ぜ込み、再び成形するものがある。フレーバーとして添加されるものは各種ハーブやスパイス、ニンニク、ナッツ類、ドライフルーツなどがある[19]。添加されたフレーバーによって様々な場面で使用され、特にナッツやドライフルーツを添加されたものはデザートとして使われることが多い。
分類 | 特徴と主な種類 | |||
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ナチュラルチーズ (加熱処理されていないもの) |
軟質チーズ | フレッシュチーズ | 熟成させない | モッツァレラチーズ(イタリア)など。 |
軽く熟成させる | など。 | |||
(熟成させるチーズ) | 白かびチーズ (ホワイトチーズ) |
表面に白かびを植えつけて熟成させるもの。 カマンベールチーズ(フランス)など。 | ||
ウォッシュチーズ | 表面に菌を植え付けて熟成させ、同時にそれをワインや塩水などで洗い流す過程を経たもの。 | |||
シェーブルチーズ (山羊乳チーズ) |
山羊の乳を原料とするもの。 |
など。いずれもポーランド。 | ||
半硬質チーズ(セミハードチーズ) | ブルーチーズ (青かびチーズ) |
内部に青かびを植えつけて熟成させるもの。 | ||
(その他菌による熟成) | ゴーダチーズ(オランダ)など。 | |||
硬質チーズ(ハードチーズ) | チェダーチーズ(イギリス)など。 | |||
超硬質チーズ | パルミジャーノ・レッジャーノなど。 | |||
プロセスチーズ | 加熱・溶解させることで発酵を止め、長期保存に適した状態にしたもの。 |
おもなチーズ
以下は比較的よく消費されているチーズの主要産地別一覧である。さらに詳細なリストはチーズの一覧を参照のこと。
- アイルランド
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- ポーター(ハード)
- アメリカ合衆国(英: cheese)
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- カッテージチーズ(フレッシュ)
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- チーズカード(フレッシュ)
- クリームチーズ(ソフト)
- コルビーチーズ(セミハード)
- チェダーチーズ(セミハード)
- モントレー・ジャック(セミハード)
- アメリカンチーズ(プロセス)
- イギリス(英: cheese)
- イタリア(伊: formaggio)
- 詳細は「イタリアのチーズ」を参照
- インド(ヒンディー語: पनीर)
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- パニール/チェーナー(フレッシュ)
- オランダ(蘭: kaas)
- ギリシャ(希: Τυρί)
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- フェタチーズ(フレッシュ)
- スイス(仏: fromage)
- スイスのバーゼルのチーズマーケットで撮影
- エメンタールチーズ(セミハード)
- グリュイエールチーズ(セミハード)
- ラクレット(ハード)
- スペイン(西: queso)
- 中華人民共和国(中: 奶酪、乾酪、干酪)
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- ルーシャン(フレッシュ)
- デンマーク(丁: ost)
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- ダナブルー(ブルー)
- ドイツ(独: Käse)
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- クワルク(フレッシュ)
- ブラジル(葡: queijo)
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- カトゥピリ(ソフト)
- フランス(仏: fromage)
- 詳細は「フランスのチーズ」を参照
- ルーマニア(ルーマニア語: brânză)
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- ウルダ(フレッシュ)
- その他
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- ^ No,001- チーズの歴史 - 勝沼醸造株式会社
- ^ チーズの歴史って? - オーダーチーズ・ドットコム
- ^ 「7000年前にチーズ作り、土器に証拠発見 ネイチャーAFPBB(2012年12月13日)2015年12月20日閲覧
- ^ 世界の雑記帳:7500年前にチーズ製造の証拠、土器から発見=研究ロイター/毎日新聞(2012年12月13日)2019年11月11日閲覧
- ^ ブリュノ・ロリウー著『中世ヨーロッパ 食の生活史』pp82-83 吉田春美訳 原書房 2003年10月4日第1刷
- ^ 『チーズと文明』p61 ポール・キンステッド 築地書館 2013年6月10日初版発行
- ^ 林弘通『20世紀乳加工技術史』p12 幸書房 2001年10月30日初版第1刷発行
- ^ 林弘通『20世紀乳加工技術史』p161 幸書房 2001年10月30日初版第1刷発行
- ^ a b c “【業務関連情報】日本人とチーズ”. 独立行政法人農畜産業振興機構. 2015年12月23日閲覧。
- ^ 「日本チーズ物語」一般社団法人Jミルク(2015年12月20日閲覧)
- ^ 林弘通『20世紀乳加工技術史』p156 幸書房 2001年10月30日初版第1刷発行
- ^ a b c d e 「【チーズ】味や香りのちがいとは?どうやってつくられる?」『ニュートン』第33巻第1号、株式会社ニュートンプレス、2013年1月、 120-121頁。
- ^ 木村則生『プロフェッショナル・チーズ読本 プロが教えるチーズの基本知識から扱い方まで』p38 誠文堂新光社 2011年11月30日発行
- ^ 「アラブ世界のラクダ乳文化」p74 堀内勝/『乳利用の民族誌』所収 雪印乳業株式会社健康生活研究所編 石毛直道・和仁皓明編著 中央法規出版 1992年3月10日初版発行
- ^ 話題の「ラクダ」食品、世界に売り込みCNN(2014年11月6日)2015年10月30日閲覧
- ^ 牛乳・乳製品の知識 第3章 乳製品のはなし(日本酪農乳業協会)
- ^ プロセスチーズ雪印メグミルク(2015年12月20日閲覧)
- ^ 松成容子編『チーズポケットブック 2007~2008年版』p126 旭屋出版 2006年11月22日初版発行
- ^ ジュリエット・ハーバット監修『世界チーズ大図鑑』p22-23 柴田書店 2011年1月25日初版発行
- ^ “チーズ | 食育レシピ|meiji - Meiji Co., Ltd.” (日本語). 明治の食育|株式会社 明治 - Meiji Co., Ltd.. 2020年8月25日閲覧。
- ^ a b c d e UN Food & Agriculture Organisation (FAO)[1]
- ^ “Total and Retail Cheese Consumption – Kilograms per Capita”. Canadian Dairy Information Centre. 2013年5月20日閲覧。
- ^ Switzerland Cheese Marketing AG, Consommation de fromage par habitant en 2012
- ^ USDA, Food and Agricultural Organization, Cheese Statistics
- ^ a b 【論説】国産チーズ新局面 需要創造と所得支援を『日本農業新聞』2019年11月15日(3面)
- ^ 松成容子編『チーズポケットブック 2007~2008年版』p25 旭屋出版 2006年11月22日初版発行
- ^ a b c d “チーズの統計”. 日本輸入チーズ普及協会. 2015年12月23日閲覧。
- ^ 「日欧EPA半年 国内市場に浸透 チーズ、ワイン2割超増」『日本農業新聞』2019年8月1日(2019年11月20日閲覧)
- ^ 林弘通『20世紀乳加工技術史』p31 幸書房 2001年10月30日初版第1刷発行
- ^ 「国産消費もっと 東京でチーズフェスタ」『日本農業新聞』2019年11月12日(7面)
- ^ 「国産チーズ 世界へ飛躍/国際コンテストに初の本格出品◀栃木の工房、ベスト16に◀東京からも参加/全国の作り手、5年で1.3倍」『日経MJ』2019年11月10日(12面)
- ^ 「日本チーズ協会発足へ 認証事業で国産身近に/輸入攻勢 品質で対抗」『日本農業新聞』2019年10月31日(2面)2019年11月11日閲覧
Cheese!
(チーズ から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/23 16:27 UTC 版)
『Cheese!』(チーズ!)は、小学館が発行する少女向けの日本の月刊漫画雑誌。刊行月の前々月24日に発売されている。
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- 1 Cheese!とは
- 2 Cheese!の概要
- 3 発行部数
チーズと同じ種類の言葉
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