インド料理とは? わかりやすく解説

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インド料理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/08/06 14:57 UTC 版)

さまざまなインド料理

インド料理(インドりょうり、印: भारतीय व्यञ्जन、英: Indian cuisine)は、インドに起源を持つ料理。特徴としては、様々なスパイスやハーブを多用することであるが、インドは広大であり、地域や民族、宗教、階層などにより、その食文化はきわめて多様である[1]。

概要

インド料理は先住民族であるドラヴィダ人の食文化と、中東からやってきてムガル帝国を打ち立てたムスリム文化が混合したものだと言われる[2]。

大きく分類するなら「北インド料理(英語版)」と「南インド料理」とに区分される[2]。北インド料理はムスリム文化の影響が強く、南インド料理は逆にムスリム文化の影響が薄くドラヴィダ人の文化が色濃く残っている[2]。

北インド料理は、独特なスパイスの使い方で魚や野菜を多用する西インド料理や、キリスト教徒、パールシー教徒、ジャイナ教徒などの食文化が反映された東インド料理とに細分できる[2]。南インド料理も同様に細分化が可能である[2]。

さらに、北インド料理、南インド料理という分類に加え、「インドレストラン料理」と「インド伝統料理」という分類も、インド料理を理解する上では重要な分類となる[2]。例えば、北インド料理の代表的な料理としてはナン、バターチキンカレー、タンドリーチキンといったものが挙げられるが、これらは全てインドレストラン料理である[2]。インドでは、近代まで外食文化がほとんど発展していなかった[2]。近代以降になって、ヨーロッパ、特にイギリスの外食文化を取り入れつつ発展した新しい料理体系がインドレストラン料理である[2]。タンドール窯を西洋料理におけるオーブンのように活用して作るナンやグリル料理を提供するスタイル、タマネギのペーストをベースとした汎用カレーソースを各種のカレーの調理に使い回す手法は、インドレストラン料理の特徴でもある[2]。

高級なレストラン料理と日常的な料理とは、同じ食文化を背景としているが、何かしらかの明確な違いがあるのは、インド料理に限らず、日本の食文化についても共通している[2]。

多様な食文化

インド各地の食文化の多様な例として、コルカタなどのベンガル地方およびムンバイ以南の沿岸各地における魚介料理、パンジャーブ地方やデリー周辺地域におけるタンドリーチキンをはじめとする肉料理が挙げられる[1]。また、南インドはインド国内でも特にヒンドゥー教徒の数が多く、グジャラート州ではジャイナ教がさかんであることから野菜料理にもそれぞれ特徴的なものがある[1][3]。

インド料理は、民族や宗教によって料理も変化し、その食文化はきわめて多様であるが、基本的にはスパイスを多く用い、乳製品や油脂も多用される[3]。伝統食には、北インド料理、南インド料理、ベンガル料理、ゴア料理がある[3]。

地域による分類

主食は北のほうが粉食(小麦)中心で、南のほうが米食中心と言う傾向がある[4]。

西はムンバイ、東はベンガルの手前までが粉食圏であり、ゴア州以南が米食圏となっている[4]。中間に位置するハイデラバードなどは、ムスリム文化圏でもあり、粉食が基本ではあるが、祝い事の際には米のビリヤニを食するというふうに小麦も米も食べる独自の食文化圏ともなっている[4]。

近隣諸国の料理として、北のネパール料理、西のパキスタン料理、東のバングラデシュ料理なども関連性がある[4]。

北インド料理

北インドのターリー

北インドの料理はイランやアフガニスタンなど中東の食文化の影響を強く受けている。小麦産地であることを反映してナン 、チャパティー、ロティといったパンを主食とすることが多い[3]。牛乳やダヒ(ヨーグルト)、パニール(フレッシュチーズ)、ギー(澄ましバター)などの乳製品を用い、スパイスとしてクミン、コリアンダー、シナモン、カルダモンおよびこれらを配合したガラムマサラなどを多用する。米は香り高いバスマティ種が好まれる。タンドリーチキンなど、タンドールを用いた調理法も北インド料理の特徴の1つである[3]。菜食主義者は南部インドよりは少なく、北部は南部よりも平均気温が摂氏5度前後低いためもあって、体温維持のために脂肪分の多い食事が好まれる[3]。

ターリーと呼ばれる金属の大皿を用いた盛り付け形式が定番である[5]。

インド国外のインド料理レストランは、パンジャーブ料理とムガル帝国の宮廷料理(ムガル料理(英語版))を提供する北インド料理店がほとんどである。

西インド料理

西インドの料理は他の地域の特徴が入り混じっているが、小麦粉や穀類をパンやご飯の形で主食にすることが多い。菜食主義者が多いグジャラート州以外では、ナッツ類を合わせた肉や魚料理が充実している[6]。

グジャラート料理

グジャラート州は厳格な菜食主義者であるジャイナ教徒の住民比率が高いため、野菜料理が豊富である[5]。野菜であっても、刺激が強いタマネギやニンニクは使用されず、素材の持ち味を引き出すようなスパイス使いをする[5]。

酪農が盛んであり、牛乳やヨーグルトをふんだんに使うのも特徴に挙げられる[5]。

ターリーの形式で、盆状の器に野菜カレー、チャトニ、デザートなどの小皿が多数乗せて提供される[5]。

ベンガル料理

ベンガルのフィッシュカレー

東インドのベンガル地方は1947年にパキスタンが分離独立したことで東パキスタンとなり、バングラデシュとなったが、長らく同一地域でもあったことから、ベンガル料理とバングラデシュ料理は、ほぼ同じ特徴を持つ[4]。

ガンジス川下流のデルタ地帯に位置することから、淡水魚の料理が好まれる[4]。稲作が盛んなこともあり、主食は米[3][4]。フェンネルシード、ニオイクロタネソウの種[注 1]、フェヌグリーク、クロガラシの種、クミンを合わせたパンチフォロンという配合香辛料を風味づけによく用いる。その他、白いケシの実(ポスト、posto)をしばしば煮込み料理やチャツネなどに用いるのが特徴である。

魚の頭を用いるフィッシュヘッド・カレーなど、この地方特有の料理も多い[3][4]。

南インド料理

南インドのミールス

南インドの料理は米飯が主食となっており、乳製品よりもココナッツミルク (ヒンディー語: नारियल का दूध) を多用する[3]。またスパイスも北インドのクミン (ヒンディー語: जीरा) の代わりにクロガラシ(ヒンディー語: सरसों)の種やカレーリーフ(オオバゲッキツの葉)を好んで用いる。油はギーよりもマスタードオイルやごま油が多く使われる。菜食主義者が多いため野菜や豆の料理が発達しているが、一方で魚を使った料理も多い[3]。北インドで長粒種(インディカ種)が使われるのに対し、南インドの米は丸く、外見は短粒種(ジャポニカ種)に似ている。しかし粘り気は少なく、粘り気を抑えた炊飯法が好まれる[3]。北インドほど油脂を使わないため、料理は比較的あっさりしている[3]。

正餐(ミールス)は、バナナの葉を皿がわりにし、飯、サンバール、ラッサム(定番のカレースープ)、ヨーグルト、ライタ(ヨーグルト和えの野菜サラダ)、ウールガーイ(辛いピクルス)、アチャール、チャトゥニー、パパド(揚げ煎餅)等を盛りつけ、手で混ぜて食べる[3]。

ハイデラバード料理(英語版)[7]
ハイデラバードの料理。
南インドはヒンドゥー文化圏であるが、ハイデラバードは人口の4割がムスリムであり、食文化にも影響を与えている。
日本では骨付きのマトン肉や鶏肉を使用したハイデラバードビリヤニが知られ、南インド料理の代表とも思われているが、元はムガル帝国の宮廷料理の流れをくむ料理であり、肉を使用したビリヤニは南インドでは少数派の存在である。
肉を使用したカレー料理が充実しているだけでなく、ベジタリアン向けのカレー料理も多い。
タミル料理[7]
バナナの葉を皿がわりにする正餐(ミールス)スタイルを始め、南インド料理のなかで多くのベジタリアン料理はタミル料理に分類される。
油を用いないあっさりした料理が多く、スパイスではカレーリーフやマスタードシードがよく用いられる。
チェティナード料理[7]
タミル・ナードゥ州チェティナード地方(英語版)の料理。中でもマドゥライは「食い倒れの町」と称されるほどである。
東南アジアやアフリカから豪商が持ち込んだスパイスと地元の料理が結びついた料理である。基本的には激辛料理であり、香辛料やハーブがふんだんに使用される。
ケララ料理
ケララ州の料理。
ココナッツの使用頻度が高いのが特徴。また、ケララ州は海に面していることから魚介類もよく使用される。
日本では南インド料理の代表のように思われているが、南インド料理の中ではケララ料理は個性派と言える。
スリランカ料理[7]
なかでもシンハラ料理はケララ料理の影響を強く受けている。
ケララ料理同様にココナッツミルク、ココナッツオイルを使用するが、さらにモルディブフィッシュが使用されるのが特徴。
インドのカレーと比べると複雑味に欠けるとも言えるが、シンプルな味わいはインド以外の外国人には好まれている。

ゴア料理

伝統的なゴアのフィッシュカレー

ゴア州は南北インドの境界線上に位置しており、北インドと南インドのどちらの食文化圏に属しているとも言い難い[4]。それどころか、もっとも「非インド的」な食文化圏でもある[4]。

20世紀半ばまでポルトガル領インドであったことから、インドでは不浄として食用されない豚肉を使用する料理も多く、豚肉を酢やスパイスでマリネしたポーク・ヴィンダルーなどが知られる[3][4]。

アメリカ大陸を原産とするジャガイモ、トマト、トウガラシはポルトガルを経由してゴアに持ち込まれ、インド全体に普及していったものとされる[4]。

ココナッツミルクの甘味とタマリンドの酸味を利かせたフィッシュカレーはゴアの名物として知られる[3][4]。

菜食料理と非菜食料理

戒律を理由として、ヒンドゥー教徒の上位カーストの者やジャイナ教の菜食主義のための料理が古くから発達している。その他にも、ヒンドゥー教、仏教、ジャイナ教、シク教など菜食をする宗教が多い。イード・アル=アドハーなど肉の消費が宗教儀礼の中で重要な位置を占めるイスラム教では肉食が肯定される。また、屠畜業に携わるダリット(不可触民)の社会では、肉を食事に取り入れてきた長い伝統がある。このように、インドの菜食と非菜食の伝統は宗教やカーストとの関係が深く、街のレストランでは菜食主義者と非菜食主義者の席は明確に分けられており、両者が同席することはない。

インドの菜食料理では、脂やゼラチンなどを含む一切の動物の肉や動物を原料とする食材を使用せず、卵も使用しない。しかし動物を傷つけずに得られる乳製品はよく使用され、インドの菜食主義者のほとんどは乳菜食主義者(ラクトヴェジタリアン)である。さらに各種の豆類、穀類、ナッツなども使用する為、栄養学的に肉食は必要ともされていない。ヒンドゥー教やシーク教の寺院で参拝者に無料でふるまわれる聖餐は菜食料理である。

ジャイナの中でも最も敬虔な信者は、植物であっても葉、茎、豆だけを食べ、ニンジン (ヒンディー語: ग़ाजल) や大根 (ヒンディー語: मूली) 、ニンニク (ヒンディー語: लहसुन) 、タマネギ (ヒンディー語: प्याज़) 、芋などの根の部分を食べない。これは「土中の虫などの生き物を殺さないため」ということが理由の一つである。さらに「その部分が“体”にあたる」という考え、つまり枝葉ではなく本体部分を殺すことにつながるとの考えから、できる限り植物さえも殺生することを避けることによる。同様に、ハチを殺す危険の大きい蜂蜜なども摂らない。タマネギやニンニクなど五葷の摂取を避ける習慣はバラモンにも見られる。一方、西ベンガル州やアッサム州など東インドの菜食主義者は魚も食べるペスクタリアンであることが多い。

非菜食の料理にも多くの種類があり、中央アジアからムスリムの征服者によって伝えられたものが多い。戒律上、ヒンドゥー教徒は牛を聖なるものとして食べない。例外として、家畜の死体処理をする不可触民の中には牛肉を食す者もいる[8]。また全てのムスリムは豚を汚れているものとして食べず、ヒンドゥー教徒の間でも豚肉は一般的ではない。そこで、鶏肉、羊肉、山羊肉、魚介類などが非菜食料理の主な食材となる。最もよく食べられる肉は比較的値段の安い山羊肉で、インドではマトンと英訳される慣例があるが羊の肉ではない。鶏肉は比較的値段が高い。インド国民の所得が増加するに従い、食肉の消費量は増加している[9]。

現在は菜食主義の伝統をもつ上位カーストの間でも肉食は珍しくない[8]。しかし、そのような場合でも家庭で肉を調理したり、肉料理を持ち込んだりすることは少ない。また、伝統的に肉食を嫌っていない「低位カースト」とされている階層に属する人々が、肉食の拡大に逆らって、バラモンの習慣を模倣して菜食主義へ転換し、集団の地位上昇を目指す事例も見られる[8]。この現象はサンスクリット化で見られる現象の一つの例である。

「カレー」とインド料理

インドにおける「カレー」(「カリー」)という言葉は、外来語である。インドの人たちにとって、香辛料を使った煮込み料理は数多くあり、それぞれをそれぞれの料理名で呼ぶものである。香辛料を多用するインドの料理を全て「カレー」と呼ぶのは、日本料理で言えば醤油を使ったおかずを全て同じ名前で呼ぶような乱暴な呼び方である。カレーの語源には諸説あるが、タミル語で「食事」を意味する「kaRi」という説が有力である[要出典] 。

そういう状況をよく知っている人間[誰?] は、逆に「インドに『カレー』はない」と述べる場合もある。ただし旧支配国のイギリスが、一部のインド料理をカレーという名前でイギリス料理に取り入れたことにより、世界中に普及したのも事実である。インド人自身も、インド以外の国の人々向けにわかりやすく説明する上で、この「カレー」という言葉を使うようになっており、内外のインド料理店で「具材+カレー」とメニューに表記している例は多い。例えばラース・ビハーリー・ボースは、当時の日本のカレーを元来のインドのカレーとは違うとして、本格的な「インドカレー」を伝えた人物であるが、「カレーという呼称は間違っている」とはしなかった。

カレー粉もイギリス人による発明品である(詳細は該当項目参照)。南インドにはほかにカリー・ポディという配合香辛料があり、「カレー粉」と英訳されることがあるが、味も原料も異なる。

「浄」と「不浄」

一般的なインド人の感覚として、右手は「浄」、左手は「不浄」のものとされる。そこで食事中に直接料理に触れるのはきれいに洗った右手のみであり、調理された食材の触感を楽しむため、また、本当に清潔であるものかどうかが不明であるため、スプーン・フォーク・ナイフなどの使用は基本的に嫌う。左手はトイレで用を足した際の処理をするためにも使われるため、せいぜい皿や水のグラスの外側に触れる程度に限られる。伝統的な作法ではスプーンなどを使わず、右手で直接パン類をちぎって汁物に浸すか、御飯を汁と混ぜて口に運ぶことになる。その際、親指・人差し指、中指までの指先の第二関節までを使うのがより上品とされる。ただし西洋の習慣に慣れた都会の人はスプーンやナイフを使うのにも抵抗がない傾向にある。また、ゆで卵の殻をむくときなど、どうしても両手を使わざるを得ない場合は両手を使う場合もある[要検証] 。

浄・不浄の感覚は、他にも徹底されており、揚げたり炒めたりする料理が多いのもインド料理の特徴である。これは、油で調理することで食品が浄化されるという観念に基づく。油で揚げた料理とその他の調理方法で作られた料理はそれぞれ、「パッカー(熟したもの)」「カッチャー(未熟なもの)」と呼ばれ比較される[8]。また食器に磁器・陶器よりも金属製のものが好んで使われるのも、土からできた前者よりも後者のほうが、より清浄であるとの考えからである。他者が手をつけた食べ物は穢れると考えられる。

さらにヒンドゥー教では、伝統的に「浄」と「不浄」の概念がカーストの概念に結びついている。下位カーストに属する人が触れた水や水分の多い食物は穢れると考えられ、かつては高位のカーストと下位のカーストに属する人同士が同じ席で食事をとることはおろか、水を受け渡すことすら忌避された。職業料理人には伝統的にバラモン出身者が多く、行楽や旅行に手作りの弁当を持参する習慣が根強く、家族が家で作った弁当を職場に配達するダッバーワーラーという業種が成立するのもこうした理由からである。近年でこそダリットの女性たちによるケータリング事業が成功した例もあるが、カースト差別が違法となった今日でも食にまつわる差別は報告されている[10]。

「ホット」と「クール」

インドでは食材を「ホット」と「クール」に区別する習慣がある。これは温度の高い低いの問題ではなく、食材が人体に対して有する潜在的な効力と関連している。つまり、「ホット」な食材は体を温め、逆に「クール」な食材は体を冷却すると信じられている[8]。そのため「クール」な食べ物を夕食に摂ることを控える人もいる。

「クール」に分類される食材

  • 牛乳
  • 乳製品
  • 果物
  • 水分を多く含む生野菜
  • 熱いお茶

「ホット」に分類される食材

  • マンゴー
  • コーヒー

食材と料理

インド料理の食材

様々な香辛料
一般的に使用されるチーズ・パニール
インドのヨーグルト・ダヒー

小麦料理

  • チャパティ (ヒンディー語: चपाती) - 「アーター(ヒンディー語: आटा)」と呼ばれる小麦の全粒粉(アーター)で作るタネを鉄板で軽く焼いてから直火にかざして膨らみを出した無発酵の薄焼きパン。茶色く、平たい。北インドでは最もポピュラーな主食である。
  • プーリー (ヒンディー語: पूरी) - チャパーティーの生地を薄く伸ばし油で揚げたもの。揚げたては風船のように大きく膨らんでいる。
  • バトゥーラー (ヒンディー語: भटूरा) - 油で揚げる点は上述のプーリーと同じだが、精白した小麦粉から作られ、生地にダヒやバターを練り込み、一定時間寝かせる点が異なる。特に北インドでは、チャナマサラ(パンジャーブ風のヒヨコマメの煮込み)を付け合わせて食べる「チョーレー・バトゥーレー (ヒンディー語: छोले भटूरे)」が朝食用の露天スナックとして人気が高い。
  • ナン (ヒンディー語: नान / ウルドゥー語: نان) - 発酵させた小麦粉の生地を木の葉状に焼いたパン。タンドゥールと呼ばれる窯で焼くのが正式のタンドゥーリー・ナンだが、オーブンで焼くこともある。
  • ロティ (ヒンディー語: रोटी) - 広義にはインドのパン類の総称。ただし同じ名称で、地域により様々な種類のパンを指す。中でも多くの場合、ナンと同じ生地を円盤状に焼いたものを言う。
  • パラーター (ヒンディー語: पराठा) - チャパティの生地をのばし、油(ギー)を塗り、折り畳むことを繰り返して油を層状に練り込み、薄くのばして焼いたもの。焼く前につぶしたジャガイモやカリフラワーを挟んだり練り込むこともある。パラタ、パロータともいう。

米料理

  • チャーワル (ヒンディー語: चावल) - 白米に塩と油を加えて炊いた飯。もともと粘り気が少ない品種を茹でこぼすので、非常にあっさりしている。
  • サフランライス (ヒンディー語: केसरिया चावल) - サフランと共に炊き込み鮮やかな黄色に染めた飯。現地では祝い事の際食される。
  • プラーオ (ヒンディー語: पुलाव) - 味付けをした炊き込みご飯。ピラフと同語源。白米と同様、汁や炒め物と混ぜて食べる。
  • ビリヤーニー (ヒンディー語: बिर्यानी / ウルドゥー語: بریانی) - 具の多い炊き込み御飯。汁と混ぜずにこれ単体で食べてもよい。日本の赤飯のように祝いごとの際に食べる料理で、ナッツ、ドライフルーツ、着色料、バラの花弁、ヴァルク(英語版、ヒンディー語版) (varq, ウルドゥー語: ورق) と呼ばれる可食の金箔や銀箔などで美しく飾りつける。北インドでは香りの良いバースマティー種の米が好んで用いられる。
  • イディアーッパ(タミル語: இடியாப்ப‌ம்) - 南インドのライスヌードル。米粉を水で溶いて蒸した麺。
  • ポーハー - 一度炊いた米を平たく潰して乾燥させたライスフレーク。水や牛乳を加えるとすぐに柔らかくなって食べられる[8]。
  • ポンガル - 米の煮込み料理。野菜、豆、カシューナッツなどが入り、粒胡椒などで風味を添える。牛乳で煮込んだポンガルや黒砂糖で煮詰めたポンガル(サルッカライ・ポンガル)は祭事には神への供物となる。
  • カンヂ - 米を炊いた器を洗わずに水を張って作るお粥。また、米を炊く際に吹きこぼれる重湯。

野菜料理

肉料理

タンドゥーリ・ムルグ、ムンバイ
キーマ

飲物

ワインについては「インドワイン」、インド国内におけるビール全般については「インドのビール(英語版)」を参照。

スナック(北インド)

スナック(南インド)

インドの中華料理

インドの中華料理はコルカタに住む中国人によって紹介されたのが始まりといわれる。インドでの中華料理の人気は高く、特に大都市でよく普及している。クミンやコリアンダー、ターメリックなどでインド人好みの味付けがされており、豚肉や牛肉はほとんど使われず、逆にパニールなどインド料理の食材が用いられる例がある。インドの中華料理店では炒飯や炒麺、春巻き、チャプスイ(アメリカン・チャプスイ)、酢鶏、モモなどが食べられる。ドーサに炒麺など中華料理をはさむ例も見られる。

菓子

ワーラーナシーのグラブ・ジャムンを売る菓子店

インドの菓子には甘い菓子と甘くない菓子がある。甘いお菓子のことをミターイーと呼ぶ。ベンガル地方の菓子「ベンガル・スイート」はインド菓子の代表格とされている[8]。

世界の料理への影響

インド系移民と在外インド人の活動の結果として、インド料理は世界各地に定着している。特にイギリスや旧イギリス領のマレーシア、シンガポール、フィジー、ペルシア湾岸、ケニア、南アフリカ、トリニダード・トバゴ、ガイアナなどでは、インド料理が地元の食文化に溶け込んでいる。一例を挙げると、チキンティッカマサラはイギリス生まれのインド料理で、イギリスの国民食の1つと呼ばれている。ゴア料理はポルトガルとその植民地に伝播し、マカオ料理などに影響を与えた。また、カレー粉の普及により世界各地にカレー料理が生まれている。インドを発祥とするムルタバは、貿易を通して東南アジアに伝わり、現在では同地域やアラビア半島で食べられている。

日本では、中村屋のボースやイギリス海軍の影響になどにより、学校給食でカレーが取り入れられるなど、ラーメンと並びカレーライスが国民食となっている。全国各地では、その土地ならではの味付けや食材、コンセプトを用いた「ご当地カレー」も登場しており、日本独自の食文化となりつつある。

同じ南アジアであるネパール料理やスリランカ料理やモルディブ料理、かつてイギリス領インド帝国だったパキスタン料理、バングラデシュ料理でもスパイスを大量に使ったカレー状の料理が見られる。

日本のインド料理店

日本では、大都会に伝統的な比較的高級なインド料理店がある一方、2010年代以降、各地に大衆向けのインド料理店が急増している[12]。こうした店のなかには出稼ぎまたは定住したネパール人が経営・料理・サービスに従事していることが少なくない[12]。

インド料理研究家

脚注

注釈

  1. ↑ 欧米ではブラッククミンシードと呼ばれる。

出典

  1. 1 2 3 山田(2022)pp.2-3
  2. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 稲田俊輔 (2022年7月21日). “【カレートレンド最前線】ガチ勢を魅了した南インド料理「ミールス」の次を担うのは、意外な「地域」だった”. 現代ビジネス. p. 2. 2025年3月26日閲覧。
  3. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 “インド料理とは。特徴や代表的な料理も合わせて解説”. シェアダイン (2022年12月6日). 2025年3月26日閲覧。
  4. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 渡辺玲「カレーの味はどう違う?」『dancyu』2021年8月号、プレジデント社、2021年、83頁。
  5. 1 2 3 4 5 渡辺玲「カレーの味はどう違う?」『dancyu』2021年8月号、プレジデント社、2021年、82頁。
  6. ↑ パンカジ・シャルマ著、関根光宏訳『知っておきたい!インドごはんの常識 イラストで見るマナー、文化、レシピ、ちょっといい話まで』原書房、6頁。
  7. 1 2 3 4 渡辺玲「カレーの味はどう違う?」『dancyu』2021年8月号、プレジデント社、2021年、84頁。
  8. 1 2 3 4 5 6 7 岡光信子、山下博司『新版 インドを知る事典』東京堂出版、2016年、118-121, 124頁。
  9. ↑ “India's Changing Appetites for Meat Challenges Traditional Values”. New York Daily News (2013年2月5日). 2013年4月26日閲覧。
  10. ↑ “Caste Discrimination and Food Security Programme”. Economic & Political Weekly (2005年9月24日). 2013年4月26日閲覧。
  11. ↑ Uses of Tropical Grain Legumes: Proceedings of a Consultants Meeting, 27-30 Mar 1989, ICRISAT Center, India. ICRISAT. (1991). pp. 108, 335. ISBN 978-92-9066-180-1
  12. 1 2 শিশির আহমেদ (2018年10月5日). “Easy Chicken Curry Recipes for Dinner with Few Ingredients 2024”. শিশির আহমেদ. 2018年10月5日閲覧。

参考文献

  • 山田智之「インドの食と自然環境」『ChiReKo』2022年度1学期号、帝国書院、2-3頁、2022年4月。 

外部リンク


インド料理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 15:31 UTC 版)

「マレーシア料理」の記事における「インド料理」の解説

インド系マレーシア人は南インドを中心としたインドに起源を持っている。食事前に手を洗い、右手を使って食事をする。マレーシアのカレーは、多くのスパイス、ココナッツミルク、そしてカリーリーフが使用される。チキンカリー、フィッシュカリー、およびイカカリーなどは最も一般的である。 バナナ・リーフ・ライス (Banana leaf rice) - バナナの葉の上に、白米とともに雑多な野菜、肉のカレーや魚、パパダムを一緒に乗せたもの。 チャパティ (Chapati) - パンジャーブを起源とするパンの一種。全粒のデュラム小麦粉、水、および塩のパン生地から作られ、直径約12センチメートルの円形状にパン生地を押し伸ばしてから焼かれる。チャパティは一般に野菜カレーと食べられ、切れ端は、料理をはさんでつかむのに使用される。 フィッシュ・ヘッド・カリー (Fish head curry) - 魚の頭(一般にレッドスナッパー Ikan merah(赤い魚))をオクラやナスなどの野菜の濃いカレーの中で煮込んだ料理。 トーサイ (Thosai) - レンズ豆、米、水を混ぜて一晩発酵させ、薄く円形状に延ばし、食用油やギーで小麦色になるまで焼いたパン。サンバルやココナッツチャツネと食べる。 イドゥリ (Idli) - 黒レンズ豆と米粉を原料とし、一般に直径2-3インチの型に入れて蒸したもの。一般にチャツネ、サンバルなどと共に、たいていは朝食または軽食として食べられる。 パヤサム (Payasam) - 南インドの伝統文化にとって欠かすことのできない、一般的なデザート。 ポンガル (Pongal) - 乳とジャグリー(インドの未精製の砂糖)で炊かれた米、または一月毎に祝われる収穫祭の名でもある。収穫について感謝するため、ポンガルを朝作って神に供えるということから名を得た。 プトゥ・マヤム (Putu Mayam / Idiyappam) - 主にココナッツとジャグリーを使用する甘い味付けのライスヌードル。削ったココナッツとジャグリーを入れるか、未精製のブロック砂糖を入れる。いくつかの地域では、よく甘味料に gula melaka(ヤシ砂糖)が使われる。Putu piringは、プトゥ・マヤムから派生した、ココナッツと黒砂糖をまぶした米粉のケーキである。ホームメードのものは、カレー味かダールで塩味にして食べられる傾向がある。 ラッサム (Rasam) - コショウ、コリアンダー、およびクミンシードが入るレンズ豆のスープ。 ウプマ / ウッピツ (Upma / Uppittu) - セモリナ小麦、タマネギ、青トウガラシ、およびスパイスから作られる料理。 ママッ(Mamak、インド系のムスリム)料理は、明らかなマレーシア風の料理として発達した。全国いたる所で食べられ、とくにさまざまな食物を用意しているママッ料理の売店やレストランが遍在しており、1日24時間開いているアウトレットもあるなど、地元では一般的である。それらは手早く、経済的で、会合や軽飲食にとって最適の場所である。インド式ムスリム料理専門のビュッフェ方式の簡易食堂はナシ・カンダール(nasi kandar、実際に食べた分だけ料金を払うインドネシアの nasi padang と類似)と呼ばれ、白米かブリヤニ米と共に、鶏肉、魚、牛肉、または羊肉などのカレー料理と、一般に野菜の漬け物とパパダムがつく。 ロティ・チャナイ (Roti canai) - フライパンで焼かれ、調味料と一緒に食べられる、薄皮の外皮がある薄いパン。それは時々 roti kosong と呼ばれる。シンガポールでは、プラタ prahta と呼ばれる。ロティ・トゥロー Roti telur は卵を入れたロティ・チャナイである。 ママッ・ロジャック (Mamak rojak) - はパセンブー pasembur とも呼ばれ、茹でたジャガイモと固ゆでした卵などのしっかりした材料から作られるロジャックの一種。 マギー・ゴレン (Maggi goreng) - はマギーの即席麺をフレーバー(一般にカレー)、野菜、卵、豆腐、および時折鶏肉と炒めた料理。 ムルタバ (Murtabak) - は、一般に刻んだニンニク、タマネギ、羊肉をオムレツと折り重ねた、ロティに詰め物をした塩味の料理で、カレーソースと食べられる。 ナシ・ブリヤニ (Nasi Beriani / Biryani) - はスパイス、バスマティ米、肉や野菜、およびヨーグルトを混ぜて作られる米料理。材料は、手間隙かけて、最後に申し分なく一緒に調理される。近年市場で容易に手に入る、様々な商品名の調合されたビリヤーニスパイスは、味は異なるが準備時間は節約できる。 テー・タリッ (Teh tarik) - 「引く茶」の意で、大多数のマレーシア人に愛飲されている飲物。紅茶にコンデンスミルクで甘みをつけ、高い所から繰返し熱い紅茶をからカップへと注ぎ入れる。「引く」力が強ければ強い程、より密生した泡ができる。また、紅茶を「引く」ことで、紅茶を冷ますという効果がある。本来テー・タリッは芸術様式であり、紅茶を容器に注ぎ入れる芸当はときに魅惑的でもある。

※この「インド料理」の解説は、「マレーシア料理」の解説の一部です。
「インド料理」を含む「マレーシア料理」の記事については、「マレーシア料理」の概要を参照ください。

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