ペルシア湾とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > ペルシア湾の意味・解説 

ペルシア‐わん【ペルシア湾】

読み方:ぺるしあわん

アラビア半島イラン囲まれた湾。東はホルムズ海峡オマーン湾アラビア海通じる。湾岸および海底石油・天然ガスに富む。アラビア湾


ペルシア湾

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/05 06:19 UTC 版)

ペルシア湾
宇宙から見たペルシャ湾
位置 西アジア
座標 北緯26度 東経52度 / 北緯26度 東経52度 / 26; 52座標: 北緯26度 東経52度 / 北緯26度 東経52度 / 26; 52
種類
主な流入 オマーン湾
イランイラククウェートサウジアラビアカタールバーレーンアラブ首長国連邦オマーン
延長 989 km (615 mi)
面積 251,000 km2 (97,000 sq mi)
平均水深 50 m (160 ft)
最大水深 90 m (300 ft)
水量 8,780 km3 (2,100 cu mi)
テンプレートを表示
ペルシャ湾とオマーン湾周辺の地図

ペルシア湾(ペルシアわん、ペルシア語:خلیج فارس khalij-e fārs خلیج پارس Khalij-e Pars)は、イランイラククウェートサウジアラビアバーレーンカタールアラブ首長国連邦オマーンに囲まれた細長い形状のペルシャ湾とも呼ぶ。

地理と歴史

面積はおよそ23万8000平方キロメートル[1]で、長さ約1000キロメートル。平均水深100メートル、最大170メートル[1]ホルムズ海峡を通じ、オマーン湾そしてアラビア海へと繋がっている。20世紀初頭までは、真珠採集などが盛んであった。20世紀前半にこの地域で石油が発見され、さらに大量産出地でもあることも判明した。20世紀後半には、油田開発が活発に行われ、湾内には多くの油井が存在する。油田地帯であり、また、石油輸送のための重要な水路であるため、戦略的重要性から国際政治の係争地となりやすい。湾岸戦争の湾とは、このペルシア湾をさす。

流入する大河は、湾最奥部のイラン・イラク国境を流れるシャットルアラブ川チグリス川ユーフラテス川)のみ。

湾内には、反時計回りのゆっくりした海流がある[2]

地球温暖化の影響により、世界的に夏の暑さが厳しくなる傾向にあるが、ペルシア湾岸では2015年頃以降、短時間ながらも人類にとっての生存の限界の暑さとされる湿球温度35°Cに到達する事態が既にしばしば発生しており、それ以上の湿球温度では健康な若者でも屋外に6時間ほどいると死に至るとされる。

範囲

国際水路機関はペルシャ湾の境界を以下のように定めている[3]

名称

国際的にはペルシア湾英語:Persian Gulf)が正式名称として認知されている[4]

ペルシア湾」という名称は古代ギリシャにおいて用いられていた。その後イスラム圏ヨーロッパを経て世界中に広まり、現在ではほとんどの言語でこの名称またはその訳語が使われている。

トルコでは、ペルシア湾への港町バスラにちなんで「バスラ湾」と呼ばれる場合がある。

国際水路機関発行の「大洋と海の境界(第三版)」[5]では、Gulf of Iran (Persian Gulf)としている。

アラブ諸国では、1960年代以降この湾を (الخليج العربي)「アラビア湾」と呼ぶ場合があるが、国際的に存在しない言葉である。 湾岸周辺居住者はアラブ系住民が多いとしてこれを国際名称にしようとしている(ペルシア湾呼称問題)。

対立を避けるため、単に「」「湾岸」「ガルフ」(英語:Gulf)と呼ぶ場合もある。たとえば湾岸協力会議の名称はそのようになっている。

湾内で発生した衝突

アブー・ムーサー島など

アラブ首長国連邦の独立直前の1971年11月30日、イラン帝国は出兵して湾東部のアブー・ムーサー島と大・小トンブ島を占領した[6]

イラン・イラク戦争

1980年代イラン・イラク戦争を通じ、双方がペルシャ湾内のタンカーを攻撃。多数の被害が出た。詳細は、タンカー戦争を参照のこと。戦争末期には、クウェートのタンカーの航行をアメリカ軍が護衛するアーネスト・ウィル作戦も行われた[7]

湾岸戦争

1991年の湾岸戦争では、クウェート沿岸の石油関連施設、タンカーなどがイラク軍からの攻撃を受けた。詳細は、湾岸戦争における石油流出を参照のこと。

イランとアメリカ

ペルシア湾と接している国々

ギャラリー

脚注

  1. ^ a b 『理科年表』平成28年 614頁
  2. ^ 帝国書院 新詳高等地図 2002年 105頁
  3. ^ Limits of Oceans and Seas, 3rd edition”. International Hydrographic Organization (1953年). 2010年2月7日閲覧。
  4. ^ United Nations (2006年4月4日). “United Nations, Historical, Geographical and Legal Validity of the Name: PERSIAN GULF(英語)”. 2011年4月21日閲覧。
  5. ^ 「大洋と海の境界(第三版)」(Special Publication No.23) Archived 2012年12月2日, at the Wayback Machine. No41が該当海域
  6. ^ 石田進 (1993). “湾岸諸国間の領土紛争 一アブー・ムーサ島、大・小トンブ島、シッリ島の場合一”. 国際大学中東研究所紀要 (7): 29-45. 
  7. ^ 金澤裕之 (2018年). “イラン・イラク戦争における航路安全確保のための活動”. 防衛研究所. 2020年4月27日閲覧。
  8. ^ イラン革命防衛隊 アメリカ艦船に異常接近”. BIGLOBEニュース (2020年4月16日). 2020年4月25日閲覧。
  9. ^ トランプ氏が海軍に指示、嫌がらせしたイラン艦は「撃沈して破壊」”. CNN (2020年4月23日). 2020年4月25日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、ペルシア湾に関するカテゴリがあります。


「ペルシア湾」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ペルシア湾」の関連用語

1
ウム‐アル‐カイワイン デジタル大辞泉
100% |||||

2
ドーハ デジタル大辞泉
100% |||||

3
フジャイラ デジタル大辞泉
100% |||||

4
ホルムズ海峡 デジタル大辞泉
100% |||||


6
アル‐コバール デジタル大辞泉
100% |||||

7
100% |||||

8
カタール国 デジタル大辞泉
100% |||||

9
キーシュ島 デジタル大辞泉
100% |||||

10
ジュベール デジタル大辞泉
100% |||||

ペルシア湾のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ペルシア湾のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのペルシア湾 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS