カリフォルニア湾とは? わかりやすく解説

カリフォルニア‐わん【カリフォルニア湾】

読み方:かりふぉるにあわん

Golfo de Californiaメキシコ北西部カリフォルニア半島北米大陸との間にある湾。南北細長く、幅100200キロメートル長さ1100キロメートルティブロン島エスピリトゥサント島などがある。世界海棲哺乳類の4割の種が生息し2005年「カリフォルニア湾の島々自然保護区」の名称で世界遺産自然遺産)に登録されたが、固有種イルカ絶滅危機にあるとして、2019年危機遺産にも登録。コルテス海


カリフォルニア湾

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 05:20 UTC 版)

カリフォルニア湾
Gulf of California
カリフォルニア湾 (ハイライト部分)
座標 北緯28度0分 西経112度0分 / 北緯28.000度 西経112.000度 / 28.000; -112.000座標: 北緯28度0分 西経112度0分 / 北緯28.000度 西経112.000度 / 28.000; -112.000
河川 コロラド川フエルテ川メイヨー川英語版シナロア川英語版ソノラ川英語版ヤキ川英語版
海洋 太平洋
メキシコ
延長 1,126 km (700 mi)
最大幅 48–241 km (30–150 mi)
面積 160,000 km2 (62,000 sq mi)
37
主な沿岸自治体 バハ・カリフォルニア・スル州
バハ・カリフォルニア州
ソノラ州 シナロア州
脚注 [1]
登録名 カリフォルニア湾の島々と自然保護区群
区分 自然遺産
基準 (7),(9),(10)
登録日 2005年
登録コード 1182
締結国 メキシコ
地域 Latin America and the Caribbean
テンプレートを表示

カリフォルニア湾(カリフォルニアわん、スペイン語: Golfo de California)は、メキシコ北西部、北米大陸バハ・カリフォルニア半島との間の南北方向に伸びる細長いである。コルテス海西: Mar de Cortés:Sea of Cortez)とも呼ばれる。2005年に、UNESCOの世界遺産に「カリフォルニア湾の島々と自然保護区群」の名前で登録された。

地理

太平洋の中央海嶺である東太平洋海嶺(海膨)の北端部分である。この湾から北へとカリフォルニア地溝帯英語版が伸び、インペリアル・バレー(Imperial Valley)やサンホアキン・バレー(San Joaquin Valley)、サクラメント・バレー(Sacramento Valley)などのが広がっていて、地球の裂け目のひとつであることがわかる。面積約160,000km2

湾内の主要な島としては、アンヘル・デ・ラ・グアルダ島ティブロン島がある。湾岸の主な都市としてはグアイマスマサトランラパスサン・フェリペスペイン語版などが挙げられる[2]

生態系

カリフォルニア湾を泳ぐマンタ

沿岸の生態系が豊富で、バハ・カリフォルニア半島には乾燥した岩石海岸が多く、湾奥にはサボテンなどの多肉植物が多く生えるソノラ砂漠、ティブロン島の東海岸およびシナロア州一帯には多くの湿地マングローブ、島々には砂浜砂丘がそれぞれ分布している[2]

カリフォルニア湾奥のアダイル湾スペイン語版は1993年にエル・ピナカテ・イ・グラン・デシエルト・デ・アルタル生物圏保護区一帯と共にユネスコ生物圏保護区に指定された[3]。内陸部のコロラド川三角州[4][5]およびアダイル湾[6]、サン・ホルヘ湾[7]、サン・フランシスキト[8]ラムサール条約登録地である。海域および沿岸部にはDistichlis palmeri英語版Suaeda puertopenascoaベトナム語版などの植物が生え、コガシラネズミイルカハンドウイルカニシオニクイナ英語版ウイルソンチドリ英語版アメリカコアジサシアメリカミヤコドリクサチヒメドリアカウミガメクロウミガメアオウミガメオサガメヒメウミガメタイマイトトアバ英語版Gillichthys setaスペイン語版Anchoa mundeoloidesスウェーデン語版Colpichthys regisスウェーデン語版Leuresthes sardina英語版ジンベエザメなどが生息している。また、コロラド川にはホグフィッシュ英語版、アダイル湾付近の砂漠地域にはデザートパプフィッシュ英語版が生息している[3][6][7][8]

カリフォルニア湾内の島々は1995年にユネスコの生物圏保護区に指定されたが[2]、2020年に登録が撤回された[9]。うちラサ島スペイン語版[10]、ティブロン島東側のインフィエルニージョ海峡スペイン語版[11]サン・ペドロ・マルティル島スペイン語版[12]はラムサール条約登録地である。東海岸に近接する地域にはブラックマングローブ英語版ホワイトマングローブ英語版アメリカヒルギ英語版マングローブが生え、一帯にはカリフォルニアアシカユウガアジサシオグロカモメ英語版アオアシカツオドリカツオドリカッショクペリカンアカハシネッタイチョウコクガン、タイマイ、アカウミガメ、オサガメ、ヒメウミガメ、クロウミガメ、トトアバなどが生息している。島々にはブリンチュウ英語版Sphaeralcea hainesiiスウェーデン語版などの植物が生え、サンエステバンチャクワラ英語版コヨーテミュールジカワキモンユタトカゲUta palmeri英語版Cnemidophorus martyrisフランス語版などが生息している[2][10][11][12]。現在のラサ島には哺乳類が生息していないが、過去に外来種クマネズミハツカネズミが生息しており、1995年に除去された[10]。サン・ペドロ・マルティル島にはグアノ鉱床が存在しているが、1978年に採掘が停止となった[12]

南西部のバハ・カリフォルニア半島南部周辺のロレト湾スペイン語版[13]ラ・パス湾スペイン語版[14]バランドラスペイン語版[15]プルモ岬スペイン語版[16]はラムサール条約登録地であり、ロレト湾一帯にはコロナド諸島スペイン語版ダンサンテ島スペイン語版サンタ・カタリーナ島スペイン語版などの東海岸諸島がある。一帯にはホンダワラ属英語版カニノテ属英語版などの植物が生え、シロナガスクジラナガスクジラザトウクジラカツオクジラコククジラハシナガイルカシワハイルカ、ハンドウイルカ、カリフォルニアアシカ、アライグマ、コヨーテ、ハイイロギツネオオアオサギアマサギアカクロサギ英語版ユキコサギ英語版サンショクサギヒメアカクロサギミノゴイゴイサギシロトキササゴイコオニクイナ、ウイルソンチドリ、アメリカコアジサシ、カッショクペリカン、ミサゴアメリカグンカンドリ、アカウミガメ、クロウミガメ、オサガメ、タイマイ、ヒメウミガメ、サバクイグアナゼブラテールリザード英語版サメおよびウミギク属英語版Spondylus calciferPinctada mazatlanica英語版サラレイシ英語版アメリカオオアカイカなどの軟体動物が生息している[13][14][15][16]

東海岸にはブラックマングローブ、アメリカヒルギ、ホワイトマングローブ、ボタンマングローブ英語版などのマングローブが多く[17][18]、ラ・クルスラグーン[19]、エル・ソルダード三角江[20]バイア・デ・ロボススペイン語版[21]ジャバロススペイン語版とモロンカリト[22]アヒアバンポ湖スペイン語版フエルテ川[17]トポロバンポスペイン語版[18]、サン・イグナシオ湖[23]アルタムラ島スペイン語版[24]パベジョネス入江スペイン語版[25]はラムサール条約登録地である。一帯にはカリフォルニアアシカ、ハンドウイルカ、コビレゴンドウマイルカ、コククジラ、シャチウオクイホオヒゲコウモリ英語版、ユウガアジサシ、アカクロサギ、オニクイナ、コオニクイナ、アメリカコアジサシ、カナダヅル、コクガン、キアシオオセグロカモメ英語版ハヤブサナンベイヒメウ、アメリカグンカンドリ、オオアオサギ、ヒメコンドル、ミサゴ、カンムリカラカラクロハラミズナギドリ英語版アメリカソリハシセイタカシギ、アオウミガメ、クロウミガメ、タイマイ、ヒメウミガメ、Penaeus stylirostrisスペイン語版バナメイエビFarfantepenaeus californiensisポルトガル語版Farfantepenaeus brevirostrisポルトガル語版およびボラMugil curema英語版ターゲットパファー英語版Diapterus peruvianusオランダ語版パシフィックシエラ英語版ハゼトウゴロウイワシ科英語版クロサギ科カタクチイワシ科フエダイ科セントロポマス科英語版の魚類などが生息している。また、付近にはフランケニア属英語版Guaiacum coulteri英語版などの植物も生えている[19][20][21][22][23][24][25]

なお、湾外であるが、「カリフォルニア湾の島々と自然保護区群」に属するイサベル島スペイン語版[26]マリエタス諸島スペイン語版[27]もラムサール条約登録地であり、マリエタス諸島[28]マリアス諸島スペイン語版[29]はユネスコの生物圏保護区にも指定されている。イサベル島はアメリカグンカンドリ、アオアシカツオドリ、カツオドリ、セグロアジサシの営巣地であり、マリエタス諸島にはカツオドリ、マミジロアジサシクロアジサシワライカモメペリカンなどが生息している。一帯の海域にはカリフォルニアアシカ、ザトウクジラ、シャチ、ヒメウミガメ、サメ、エイなどが生息している[26][27][28][29]

脚注

  1. ^ Rebekah K. Nix. “The Gulf of California: A Physical, Geological, and Biological Study” (PDF). University of Texas at Dallas. 2010年4月10日閲覧。
  2. ^ a b c d Islas del Golfo de California Biosphere Reserve, Mexico” (英語). UNESCO (2018年10月). 2023年3月25日閲覧。
  3. ^ a b Alto Golfo de California & El Pinacate Biosphere Reserve, Mexico” (英語). UNESCO (2018年10月). 2023年3月25日閲覧。
  4. ^ Humedales del Delta del Río Colorado | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2001年1月1日). 2023年3月25日閲覧。
  5. ^ Sistema de Humedales Remanentes del Delta del Río Colorado | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2008年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
  6. ^ a b Humedales de Bahía Adair | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2009年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
  7. ^ a b Humedales de Bahía San Jorge | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2011年1月1日). 2023年3月25日閲覧。
  8. ^ a b Corredor Costero La Asamblea-San Francisquito | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2005年11月27日). 2023年3月25日閲覧。
  9. ^ Baja's Gulf of California is No Longer a UNESCO Biosphere Reserve – Here's Why” (英語) (2023年3月1日). 2023年3月25日閲覧。
  10. ^ a b c Isla Rasa | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2006年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
  11. ^ a b Canal del Infiernillo y esteros del territorio Comcaac | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2009年11月27日). 2023年3月25日閲覧。
  12. ^ a b c Isla San Pedro Mártir | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2004年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
  13. ^ a b Parque Nacional Bahía de Loreto | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2004年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
  14. ^ a b Humedales Mogote - Ensenada La Paz | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2008年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
  15. ^ a b Balandra | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2008年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
  16. ^ a b Parque Nacional Cabo Pulmo | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2008年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
  17. ^ a b Sistema Lagunar Agiabampo - Bacorehuis - Río Fuerte Antiguo | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2008年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
  18. ^ a b Lagunas de Santa María-Topolobampo-Ohuira | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2011年1月1日). 2023年3月25日閲覧。
  19. ^ a b Humedales de la Laguna La Cruz | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2013年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
  20. ^ a b Estero El Soldado | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2011年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
  21. ^ a b Complejo Lagunar Bahía Guásimas - Estero Lobos | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2008年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
  22. ^ a b Humedales de Yavaros-Moroncarit | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2011年1月1日). 2023年3月25日閲覧。
  23. ^ a b Sistema Lagunar San Ignacio - Navachiste - Macapule | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2008年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
  24. ^ a b Laguna Playa Colorada-Santa María La Reforma | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2004年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
  25. ^ a b Ensenada de Pabellones | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2008年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
  26. ^ a b Parque Nacional Isla Isabel | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2003年11月27日). 2023年3月25日閲覧。
  27. ^ a b Islas Marietas | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2004年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
  28. ^ a b Islas Marietas Biosphere Reserve, Mexico” (英語). UNESCO (2018年12月18日). 2023年3月28日閲覧。
  29. ^ a b Islas Marías Biosphere Reserve, Mexico” (英語). UNESCO (2018年12月18日). 2023年3月28日閲覧。

外部リンク


「カリフォルニア湾」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「カリフォルニア湾」の関連用語

1
コルテス海 デジタル大辞泉
100% |||||

2
ロレト デジタル大辞泉
76% |||||

3
ティブロン島 デジタル大辞泉
54% |||||

4
インペリアル‐バレー デジタル大辞泉
52% |||||

5
カリフォルニア半島 デジタル大辞泉
52% |||||

6
コロラド川 デジタル大辞泉
52% |||||

7
サンルカス岬 デジタル大辞泉
52% |||||

8
ロスモチス デジタル大辞泉
52% |||||



カリフォルニア湾のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



カリフォルニア湾のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのカリフォルニア湾 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS