南インド料理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/30 03:48 UTC 版)

南インド料理(みなみインドりょうり、ヒンディー語: दक्षिण भारतीय व्यंजन)とは、インド南部で食べられている料理[1]。インド南部とはデカン半島南部に位置する、アーンドラ・プラデシュ州、カルナータカ州、ケーララ州、タミルナードゥ州とラクシャディープ諸島とポンディシェリの連邦直轄領を指す[2]。
主な特徴
インド国内で料理のスタイルや味付けは、地域によってまったく異なる。特に南北での違いは顕著で、気候、宗教の違いが影響している[3]。南インド料理の主な特徴として以下が挙げられる。
- 基本的に野菜中心、バターなどの動物性脂肪もほとんど使わないため、ヘルシーですっきりな味わいである[4]。
- 南インドで採れる胡椒やカルダモンを取り入れた味付けから辛めでさっぱりとした味付けが多い[3]。
- スパイスとココナツミルクを用いた味付けの料理が特徴である[3]。
- 南インドは米を主食としており、米から作られたスナックも親しまれている[3]。
- 手で食べる文化が根強く、バナナの葉を皿にして用いることも多い[3]。バナナの葉にカレーやおかずをもったものをミールスといい、日本で言う定食セットのような意味がある[4]。
使われるスパイス
以下のスパイスが、主に南インド独特の味を構成している[3]。
- カリーリーフ(ナンヨウザンショウ):ハーブの一種で独特の芳香が特徴。熱した油に入れて香りを移したものを料理に用いる[3]。
- ヒーング(アサフェティタ):固まった樹液を粉にしたもので、硫化物を含んでいる。料理に少量用いることで味に深みが出る[3]。
主食
南インドでは米を主食としており、丸く、粘り気の強い米が好まれている[3]。インドで主流の米はバスマティ米である[5]。バスマティ米は元々インドとパキスタンで栽培されていた長粒米の品種であり、ナッツのような香りがし、少しスパイシーな風味と香りが特徴である[5]。マグネシウムやビタミンB、抗酸化成分が豊富に含まれており、健康的な米として知られている[5]。
料理
- プットゥ:紫色や赤色をした米を粉にして、ロール状に成型して蒸したもの[3]。
- イディアッパン:紫色や赤色をした米を粉にして、麵状に絞って蒸したもの[3]。
- イドゥリー:一晩水につけた米とウラドマメ(ケツルアズキ)を水に浸して発酵させ、まるい型に入れて蒸したもの[3]。やや酸味のある蒸しパンのようなもの[6]。
- ドーサ:一晩水につけた米とウラドマメ(ケツルアズキ)を発酵させ、薄くクレープのようにパリパリに焼いたもの[3]。
- レモンライス:コリアンダーシードを始めとしたスパイスとピーナッツを炒めてレモン果汁と米を加えてよく混ぜたもの[6]。
- ネロレ・チュパ・プルス:魚とトマトのカレーで、辛味だけでなく酸味があるのが特徴[6]。
- コリ・ガシ:スパイシーなレッドチリとココナツミルクを組み合わせたチキンカレー[6]。
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バナナの葉に盛り付けられた南インド料理
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バナナの葉に盛り付けられたインド料理
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イドゥリーと果物のソース
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ドーサー
脚注
- ^ 『インドおもしろ不思議図鑑』株式会社新潮社、1996年、58頁。ISBN 4-10-602040-8。
- ^ “India Southern India”. tasteatlas. 2025年6月11日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 『インドを旅する55章』株式会社明石書店、2021年6月10日、223-227頁。
- ^ a b ナイル善己『南インド料理とミールス』柴田書店、2017年、3,26頁。 ISBN 978-4-388-06265-2。
- ^ a b c “Basmati”. tasteatlas. 2025年6月11日閲覧。
- ^ a b c d 『地球の歩き方』地球の歩き方編集室、2016年4月、28-33頁。 ISBN 978-4-478-04873-3。
南インド料理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 06:08 UTC 版)
南インドの料理は米飯が主食であり、乳製品よりもココナッツミルク (ヒンディー語: नारियल का रस) を多用する。またスパイスも北インドのクミン (ヒンディー語: ज़ीला) の代わりにクロガラシ(ヒンディー語: सरसों)の種やカレーリーフ(オオバゲッキツの葉)を好んで用いる。油はギーよりもマスタードオイルやごま油が多く使われる。菜食主義者が多いため野菜や豆の料理が発達しているが、一方で魚を使った料理も多くある。北インドで長粒種(インディカ種)が使われるのに対し、南インドの米は丸く、外見はジャポニカ種に似ている。しかし粘り気は少なく、粘り気を抑えた炊飯法が好まれる。北インドほど油脂を使わないため、料理は比較的あっさりしている。正餐(ミールス)は、バナナの葉を皿がわりにし、飯、サンバール、ラッサム、ヨーグルト、アチャール、チャトゥニー等を盛りつけ、手で混ぜて食べる。
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