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はくぶつ‐し【博物誌】

読み方:はくぶつし

自然界事物現象総合的に記述した書。

[補説] 書名別項。→博物誌


はくぶつし【博物誌】


博物誌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/01 22:04 UTC 版)

1669年版の表紙

博物誌』(はくぶつし、ラテン語: Naturalis historia)は、古代ローマ大プリニウスが著した書。全37巻。地理学天文学動植物鉱物などあらゆる知識に関して記述している。数多くの先行書を参照しており、必ずしも本人が見聞、検証した事柄だけではない。怪獣巨人狼人間などの非科学的な内容も多く含まれ、学問的な体系を完全に成しているわけではない。

古くから知られていたが、特にルネサンス期15世紀活版印刷で刊行されて以来、ヨーロッパの知識人たちに愛読され、引用されてきた。科学史・技術史上の貴重な記述を含むほか、芸術作品についての記述は古代ローマ芸術についての資料として美術史上も珍重された。また、幻想文学にも影響を与えた。

主な内容

『博物誌』に記された怪物

プリニウスが記した『博物誌』には、実在する生物に混ざって、ペガサスモノセロスユニコーン)、スフィンクスマンティコアサラマンダーといった有名なものから、コロコッタ、アンフィスバエナカトブレパスなど、あまり知られていないものまで、多数の怪物が記されている。

アピス(Apis)
右腹に三日月型の白斑がある雄牛。エジプトの神牛。(第8巻第71(46)章第184 - 186節
アンフィスバエナ(Amphisbaena)
双頭の毒蛇。(第8巻第35(23)章第85節
エアレー(Eale)
カバぐらいの大きさで、ゾウの尾をもち、毛色は黒あるいは黄褐色で、イノシシの顎をもち、どの角度にも動かすことの出来る2本の長い角をもつ動物。(第8巻第30(21)章第73節
カトブレパス(Catoblepas)
頭をいつも地面に垂れ下げていて、その目を見た者は誰でも即座に絶命する。(第8巻第32(21)章第77節
コロコッタ(Crocota, Corocotta)
ハイエナと雌ライオンとの交配によって生まれる怪物。人間や牛の声を真似る。(第8巻第30(21)章第72節第8巻第45(30)章第107節
サラマンダー(Salamandra)
トカゲのような形をした、全身を斑点に覆われている動物。(第10巻第86(66)章第188節第11巻第116(53)章第280 – 281節第29巻第23(4)章第74 - 76節
スフィンクス(Sphinx)
毛が褐色で胸に一対の乳房がある獣。(第8巻第30(21)章第72節
ドラゴン(Draco)
インドに棲むドラゴンは象と戦う際に、体を巻きつけ、動けないようにする。(第8巻第11(11)章第32節
トリトン(Triton)
半人半魚の姿をした海神。(第9巻第4(5)章第9節
ナウプリウス(Nauplius)
船の形をした貝。(第9巻第49(30)章第94節
ネレイス(Nereis)
半人半魚の姿をした海の精霊。
バシリスク(Basiliscus)
キュレナイカリビア東半)に生息する猛毒のヘビの一種。その目で見られた者は即死、もしくは石化するといわれる。(第8巻第33(21)章第78 - 79節
フェニックス(Phoenix)
アラビアに生息し、大きさは鷲ぐらいで、頸まわりは金色、尾は青く、薔薇色の毛が点々と混ざり、体は紫。(第10巻第2(2)章第3 - 5節
ペガサス(Pegasus)
エチオピアに生息する翼の生えた角を持つ馬。(第8巻第30(21)章第72節第10巻第70(49)章第136節
マンティコア(Mantichora)
エチオピアに生息し、顔は人間、体は獅子、尻尾はサソリのようで、人間の声を真似るという。(第8巻第30(21)章第75節第8巻第45(30)章第107節
モノセロス(Monoceros)
インドに生息し、馬の体、鹿の頭、象の肢、猪の尾を持ち、額の中央に黒く、長い一本の角が生えている獰猛な獣。後世にユニコーンと同一視される。(第8巻第31(21)章第76節
レウクロコタ(Leucrocota)
ハイエナの異種。ロバほどの大きさで、鹿の肢、獅子の首、尾、胸、穴熊の頭、割れた蹄、耳まで裂けた口を持ち、歯のかわりに一本の連続した骨がある。人間の声を真似る。(第8巻第30(21)章第72節

訳書

中野定雄・中野里美・中野美代訳、雄山閣出版1986年。新版1995年。
  • 『プリニウスの博物誌〈縮刷版I・II・III・IV・V・VI〉』
上記の縮刷版で、6分冊。雄山閣出版、2012年。縮刷第二版2021年。
  • 『プリニウス博物誌』〈植物篇・植物薬剤篇〉
大槻真一郎責任編集、岸本良彦ほか訳、八坂書房、1994年。新装版2009年

日本語入門書

  • ウェザーレッド『古代へのいざない プリニウスの博物誌』中野里美訳、雄山閣出版、1990年
  • 中野里美『ローマのプリニウス』 光陽出版社、2008年 
  • 澁澤龍彦『私のプリニウス』 青土社河出文庫

外部リンク


博物誌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 06:25 UTC 版)

甲子夜話」の記事における「博物誌」の解説

京都江戸において、鈴虫松虫呼称が逆であると記されており(巻百、鈴虫松虫の弁)、『源氏物語』の「鈴虫」が実際に松虫であることの重要な根拠とされている。 燕の塩漬け保存食兵糧)として使用されること。 河豚、くらげ(巻二十六)、似我蜂(巻三十一)。毒のある河豚大名食わせる話で、万一備え予防線張っておく落語元ネタのような章もある。 荻生徂徠が「低地から高地へ導く方法」として「竹の節破り去り隙間ないよう幾つも繋いで傾斜緩やかにし、水面浸した逆のほう(高地)を炙ると上昇する」というので、静山が藩邸実験してみたが失敗した

※この「博物誌」の解説は、「甲子夜話」の解説の一部です。
「博物誌」を含む「甲子夜話」の記事については、「甲子夜話」の概要を参照ください。

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