微生物の作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 21:07 UTC 版)
木材は菌類による腐敗で劣化し、生分解する事を特徴としている。これは、数百種類はあるという木材腐朽菌が木材の主成分を栄養素として繁殖するために引き起こされる。菌の種類や活躍できる環境条件、および樹木の種類によって腐朽の起こり方は様々である。ただし、木材腐朽菌はその生命活動に自由水を用いるため、繊維飽和点以下の含水率にある木材では生育できない。一方で好気性菌であるために、過剰な水分がある環境下でも繁殖しない。 木材に作用する菌類には、より水分が多い環境で影響を及ぼす軟腐朽菌があり、これらは例えばボートの木部表面を分解して柔らかくするが、好気性菌でもあるため材の内部まで侵食しない。繁殖の影響が機械的強度を低下させないながら表面を汚染するものもあり、マツ類の辺材を青色にする青変菌やブルーステインなどを代表にさまざまな変色を引き起こす菌が知られている。 対応には薬剤が用いられ、耐菌用には銅、亜鉛、フッ素、フェノール化合物を含むものが使われる。他にも石油乾留精製分のタール類、枕木によく用いられるクレオソート油などがある。 また国立研究開発法人森林研究・整備機構の森林総合研究所は、木材を250°C程度の加熱で半炭化処理することで腐朽しにくくする技術を開発した。野外の木質舗装などへの利用が見込まれ、宮城県岩沼市の遊歩道で実地試験を行っている。
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