微生物の培養と酸化還元電位
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/01 13:57 UTC 版)
「酸化還元電位」の記事における「微生物の培養と酸化還元電位」の解説
多様な生育を示す微生物の中には、培地の酸化還元電位が生育に影響を示す場合が多い。一般的に、 培地の酸化還元電位が低い:嫌気度が高い 培地の酸化還元電位が高い:好気的である と言える。したがって低い酸化還元電位を好む微生物は嫌気呼吸を行なうといえる。中でも高い嫌気度を要求する微生物として有名なものがメタン菌であり、培地の酸化還元電位(⊿E'0)は-0.33V以下で無ければならない。他にも一般的な硝化細菌、脱窒菌、硫酸還元菌などは得てして低い酸化還元電位を要求する。 培地の酸化還元電位を下げるにはいくつかの方法があるが、中には酸化還元電位が低すぎると他の細菌との競合に負けたり1%以下の微妙な酸素を要求するケースもあるので、要求する嫌気度によって方法を組み合わせたりする。 バブリングを行なわずに窒素あるいは水素の加圧を行なう。 窒素をバブリングする。 水素をバブリングする。 上記の気体をバブリングした後に気体を加圧する。 システインあるいは硫化ナトリウムを加える。 下へ行くほど高い嫌気度が期待できる。場合によってはこの全ての方法を組み合わせることもある。空気が入らないように培地の栓には密閉度の高いブチルゴムなどを使用する。気体の加圧の大きさやバブリングの時間によっても嫌気度は変わってくる。 なお、上記の方法を試せばどこまで酸化還元電位を下げることが出来るかという点については個々の実験者の手腕や実験室の環境に依存すると思われる。したがって、培地の中に酸化還元指示薬(レサズリンがよく使用される)を入れ期待した嫌気度が達成できたかどうか確認する。
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