ほうてい‐とうそう〔ハフテイトウサウ〕【法廷闘争】
読み方:ほうていとうそう
⇒公判闘争
法廷闘争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/16 04:40 UTC 版)
「沖縄戦における集団自決」の記事における「法廷闘争」の解説
「家永教科書裁判」および「大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判」も参照 2005年8月に座間味島の元戦隊長であった梅澤裕と、渡嘉敷島の戦隊長であった赤松嘉次の弟が、大江健三郎と岩波書店を大阪地裁に提訴した。二人は大江健三郎著『沖縄ノート』の記述が、慶良間諸島における「集団自決」は隊長の命令によるものとすることで、元戦隊長の名誉を毀損し、遺族の敬愛追慕の念をそこなうものであるとして、出版差し止めや謝罪広告、慰謝料を請求した。原告側は宮城晴美著(母の遺したもの)』や曽野綾子著『ある神話の背景』などをあげ、「集団自決」に対する元戦隊長の命令は否定されているとした。 2007年11月9日、大阪地裁にて『沖縄ノート』の著者である大江健三郎の本人尋問が行われた。大江は「現地調査はしなかったが参考資料を読み、また『鉄の暴風』の著者や沖縄の知識人から話を聞き、「集団自決」は日本軍の命令によるものという結論に至った」とした。これについて原告である渡嘉敷島の元戦隊長・赤松嘉次の弟、赤松秀一は「大江さんは直接取材したこともないのに、いい加減なことを書き、憤りを感じた」と批判した。 2008年3月28日大阪地裁の判決においては、原告の主張は退けられ、被告の大江・岩波側の勝訴となった。焦点となった『母の遺したもの』については、著者の宮城晴美が著書で「母は直接聞いていない」と述べた箇所が都合よく利用されたものとして、被告の側に立った証言を行なった。座間味島の戦隊長の命令については、日本兵によって住民に手榴弾が渡されたなどの証言が「梅澤命令説を肯定する間接事実となり得る」とされた。『ある神話の背景』については「命令の伝達経路が明らかになっていないなど、命令を明確に認める証拠がないとしている点で赤松命令説を否定する見解の有力な根拠にはなる」としながらも「取材対象に偏りがなかったか疑問が生じる」「軍の関与を否定するものともいえない」とされた。司法が歴史研究に口を挟むことは、思想や学問の自由に対する迫害になりかねないので、裁判所による軍命と集団自決に関する明確な判断は避けられた。 原告は判決を不服として控訴したが、2008年10月31日に大阪高裁は控訴を棄却、原告側は最高裁判所に上告したが、最高裁も大阪地裁の判断と同じく、隊長が自決命令を発したことを直ちに真実と断定できないとしても、「軍の関与」など合理的資料若しくは根拠があり、当時の被告が隊長が自決命令をしたと「信じるに相当の理由」はあり、それは「名誉毀損」にはあたらないとして原告の訴えを退けた。
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