ラクレット


とろりと溶けたチーズ、あつあつの湯気、部屋に広がるチーズの匂い…。外の寒さとは対照的に、部屋の中はガラスがくもるほど暖かくなって、なんだか気持ちまでぽかぽかしてきます。
今回ご紹介するラクレットも、そんなあったか料理に使うチーズ。
フォンデュと並ぶスイスの代表的な料理に、「ラクレット」という名物料理がありますが、この料理に使うのがラクレットチーズ。ちょっとややこしいのですが、チーズの名前が料理の名前でもあるわけです。
さてこのラクレット、「ハイジのチーズ」といえばピンと来る方も多いのではないでしょうか?
そう、おじいさんが串に刺して暖炉であぶっていた、あのチーズです。
ラクレットの伝統的な食べ方は、ハイジの世界そのまま。チーズを火にかざし、熱で表面がとろーりと溶けてきたところをナイフで削ぎ落とし、じゃがいもなどにつけてあつあつを食べるというもの。まさに冬の山小屋料理です。
ラクレットの名前は、この「削ぎ落とす」を意味する「ラクレ」が由来。
そのままでも木の実のような風味と甘みがあり、とてもおいしいチーズですが、やはりあつあつをふうふういいながら食べるのが醍醐味。
表皮に独特の漬物のような香りがありますが、焼くと意外に気にならず、ついつい手が出るおいしさです。
スイスやフランスでは、お店の家電コーナーに行けばラクレットを溶かす専用器具(ラクレットストーブ)があり、ちょっとしたパーティではたいていラクレットが登場するほどの人気だとか。この専用マシーン、暖炉の火の代わりに電熱やキャンドルの熱でチーズを溶かし、手軽にラクレットを楽しめるというすぐれもの。
でも、暖炉も専用器具もない日本ではどうしたらいいの~!?ご心配なく!日本の家庭でも手軽に楽しむ方法をご紹介します!
用意するのは、ラクレットとあつあつのじゃがいもにコショウ、テフロン加工のフライパンに卓上カセットコンロ。これだけでOK。
チーズを5mmぐらいにスライスし、フライパンにのせて加熱します。チーズが十分溶けたら急いでじゃがいもの上にとろり!コショウをかけて熱いうちにいただきます。
取り分けたチーズがさめないように、お皿もあらかじめ温めておくのがポイント。
そのほか、サラミやピクルス、ゆでたブロッコリーやニンジンなどの好みの野菜を用意すれば、それだけでかなり豪華な料理に。大人数で楽しむなら、ホットプレートがおすすめです。ラクレットをどん!とのせて、溶けだしたチーズをチーズフォンデュの要領でパンやじゃがいもにつけて食べる、という豪快なアレンジ。
チーズフォンデュよりも簡単で用意も楽なので、パーティにもぴったりです。
この冬はラクレットパーティを楽しんでみませんか?
ラクレット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/12 02:58 UTC 版)

ラクレット(フランス語: raclette)は、ヴァレー州を中心とするスイスおよびフランス サヴォア地方のチーズ断面を熱で溶かして削ぐ料理、あるいはこの料理に用いるチーズを指す。呼び名はフランス語の俚言(パトワ)で「削る」を意味する"racler"から。ヴァレー州以外ではスライスした長方形のチーズを溶かすことが多い[1]。
料理
チーズにはラクレットチーズ(後述)を使用する[2][3]。チーズの断面を直火で熱して溶けた部分を削ぎ、皮付きのジャガイモなどに絡めて食べる。ピクルスを付け合わせとする。ヴァレー州を中心としたスイス全土、スイス国境に近いフランスのサヴォア地方などの伝統料理の1つである。チーズを火で溶かす古い記録として16世紀のものが残っている[1]。現代では火ではなく、電気ヒータによりチーズ断面を加熱する器具や、薄切りのチーズを小さなトレイに載せて加熱するラクレットグリル[4]もある。
テレビアニメ『アルプスの少女ハイジ』で、暖炉にかざしてチーズを溶かして食べる食事場面に登場する[5][6][7]。
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ヒータによるチーズの加熱
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ラクレットグリル
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火によるチーズの加熱(スイス ヴァレー州)
ラクレットチーズ
ラクレット | |
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原料 | 牛乳 |
原産国 | スイス、フランス |
原産地 | ヴァレー州 |
表皮 | やや硬い |
低温殺菌 | なし |
熟成 | 3-6 か月 |
呼称統制 |
AOC 2003-2013 AOP since 2013 |
ラクレットは、牛乳から作られるハードチーズ[6][8]の一種である。32℃に温めた生乳を、乳酸菌(RA401)、レンネット(凝乳酵素)を用いて凝固させたカードを細かく切り、ホエーを除いて30 - 40℃で15 - 20分かき混ぜる。これを4回プレスした直径約30センチメートルの塊を1日塩水に浸した後、塩水で表面をこする頻度を減らしながら95日間11℃、湿度92%の環境で熟成させる[1]。
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ラクレットチーズ
脚注
- ^ a b c “Raclette du Valais”. Association Patrimoine Culinaire Suisse(スイス料理遺産協会). 2021年6月13日閲覧。
- ^ “ラクレット”. スイス政府観光局. 2025年5月12日閲覧。 “独特の味が人気の大型ハードチーズ「ラクレット」を溶かし、トロトロになったチーズを皿にのせ、茹でたジャガイモにからめて食べる料理。”
- ^ “スイス料理(すいすりょうり)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 日本大百科全書(ニッポニカ). DIGITALIO. 2025年5月12日閲覧。 “ラクレットは、ラクレットチーズという脂肪分の多いチーズの切り口を熱で溶かしてそぎ落とし、ふかしたジャガイモに添えて食べるもので、現在ではこれを食べさせる店がスイス中でみられる。”
- ^ “ラクレット 見た目も味もトロ~り幸せ”. 産経新聞 (2019年1月20日). 2019年1月21日閲覧。
- ^ “ハイジの愛したアルプスの世界”. スイス政府観光局. p. 38 (2017年7月). 2021年6月13日閲覧。
- ^ a b “ラクレット”. チーズクラブ. 雪印メグミルク. 2015年12月17日閲覧。
- ^ “【料理と酒】ハイジでお馴染み グリル野菜とラクレットチーズ”. 産経ニュース (2015年9月30日). 2015年12月17日閲覧。
- ^ スイス料理遺産協会ではセミハードに分類。
外部リンク
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固有名詞の分類
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