フィリピン
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地方政治
地方政府
地方政治家は、地方選挙区から選ばれる議員(下院議員)や州知事、市長、町長などの地方政府の首長が当てはまる。
地方政治家は、大土地所有の大地主で地方権力を握り、経済的支配を背景に、世襲政治家が跋扈する。つまりは「金持ちによる支配」。地主と農民が互報酬制、つまりパトロン・クライアント関係(コスタリカ方式)で結び付けられている。伝統的な政治家(トラディショナル・ポリティシャン)を省略した「トラポ」[注釈 9] に象徴される汚職、公職を利用した汚職による私的蓄財というイメージが強い。また、私兵的な暴力集団を持つ地方政治家や、選挙時に投票者に通貨を配り買収する活動もする。
これらの地方政治家を表現する場合、「ボス」「ウォーロード」などが使われる。例として、イサベラ州のディー、ヌエバ・エシハ州のホソン、タルラック州のコファンコとアキノ、カマリネス・スル州のフエンテペリャ、セブ州のオスメーニャとドゥラノなど。
地方政治家は中央政府から比較的自由で、自分の支配地では「好き勝手やり放題」という認識が多い[46]。
地方行政区画
地方行政の最上位単位は、州と公認都市である。州と都市の数は、2006年12月時点で、州が81、公認都市が61。これらは、17の地方にグループ分けされる。
島 | 地方 | 称号(タガログ語) | 中心都市 | 面積 | 人口 |
---|---|---|---|---|---|
ルソン | 国家首都地方 | NCR | マニラ | 638.55km2 | 1185万5975人 |
イロコス地方 | Rehiyon I | サン・フェルナンド | 1万3012.60km2 | 502万6128人 | |
カガヤン・バレー地方 | Rehiyon II | トゥゲガラオ | 2万8228.83km2 | 345万1410人 | |
中部ルソン地方 | Rehiyon III | サン・フェルナンド | 2万2014.63km2 | 1121万8177人 | |
カラバルソン地方 | Rehiyon IV-A | カランバ | 1万6873.31km2 | 1441万4774人 | |
ミマロパ地方 | Rehiyon IV-B | カラパン | 2万9620.90km2 | 296万3360人 | |
ビコール地方 | Rehiyon V | レガスピ | 1万8155.82km2 | 579万6989人 | |
コルディリェラ行政地域 | CAR | バギオ | 1万9422.03km2 | 172万2006人 | |
ビサヤ | 西ビサヤ地方 | Rehiyon VI | イロイロ | 2万0794.18km2 | 753万6383人 |
中部ビサヤ地方 | Rehiyon VII | セブ | 1万5895.66km2 | 739万6898人 | |
東ビサヤ地方 | Rehiyon VIII | タクロバン | 2万3251.10km2 | 444万0150人 | |
ミンダナオ | サンボアンガ半島地方 | Rehiyon IX | パガディアン | 1万7056.73km2 | 362万9783人 |
北ミンダナオ地方 | Rehiyon X | カガヤン・デ・オロ | 2万0496.02km2 | 468万9302人 | |
ダバオ地方 | Rehiyon XI | ダバオ | 2万0357.42km2 | 489万3318人 | |
ソクサージェン地方 | Rehiyon XII | コロナダル | 2万2513.30km2 | 424万5838人 | |
カラガ地方 | Rehiyon XIII | ブトゥアン | 2万1478.35km2 | 259万6709人 | |
バンサモロ自治地域 | BARMM | コタバト | 1万2711.79km2 | 427万3149人 |
都市
都市 | 行政区分 | 人口(人) | 都市 | 行政区分 | 人口(人) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ケソン | マニラ首都圏 | 2,960,048 | 11 | ヴァレンズエラ | マニラ首都圏 | 714,978 | |||
2 | マニラ | マニラ首都圏 | 1,846,513 | 12 | ダスマリニャス | カラバルソン地方 カヴィテ州 | 703,141 | |||
3 | ダバオ | ダバオ地方 南ダバオ州 | 1,776,949 | 13 | ジェネラル・サントス | ソクサージェン地方 南コタバト州 | 697,315 | |||
4 | カローカン | マニラ首都圏 | 1,661,584 | 14 | パラニャーケ | マニラ首都圏 | 689,992 | |||
5 | サンボアンガ | サンボアンガ半島地方 | 977,234 | 15 | バコール | カラバルソン地方 カヴィテ州 | 664,625 | |||
6 | セブ | 中部ビサヤ地方 セブ州 メトロ・セブ | 964,169 | 16 | サン・ホセ・デル・モンティ | 中部ルソン地方 ブラカン州 | 651,813 | |||
7 | アンティポロ | カラバルソン地方 リサール州 | 887,399 | 17 | マカティ | マニラ首都圏 | 629,616 | |||
8 | タギッグ | マニラ首都圏 | 886,722 | 18 | ラスピニャス | マニラ首都圏 | 606,293 | |||
9 | パシッグ | マニラ首都圏 | 803,159 | 19 | バコロド | 西ビサヤ地方 西ネグロス州 | 600,783 | |||
10 | カガヤン・デ・オロ | 北ミンダナオ地方 東ミサミス州 | 728,402 | 20 | モンティンルパ | マニラ首都圏 | 543,445 | |||
2020年国勢調査 |
注釈
- ^ 例えば、2010年代であれば、2010年、2013年、2016年、2019年の4回である。
- ^ 1916年のフィリピン自治法(ジョーンズ法)で直接選挙による二院制になった。1934年のタイディングズ・マクダフィ法で独立準備政府の樹立を認め、発足10年後の独立を約束した。
- ^ 1934年に憲法制定議会を招集し憲法草案を起草(共和政体の権利章典を含む憲法)、アメリカ合衆国憲法の影響が大きかった。1943年の日本軍占領下に第二共和政を組織する1943年憲法が制定されたが、1946年7月独立時に35年憲法に復帰した。
- ^ 戒厳令下では政権の永続化が可能であり、大統領権限の飛躍的強化がなされた。
- ^ 35年憲法改正の準備は196年代の後半から本格化し、1970年11月の憲法制定会議代議員選挙で320名選出される。
- ^ 1947年調印の比米軍事援助協定と1947~1991年比米軍事基地協定による。
- ^ 被害者総数は120万人に達するほどであった。一方、農業に適した養分を含む土地も形成した。
- ^ 1960年から2000年代中ごろまでに約1万件の地震が観測されている。1990年7月に中部・北部ルソンを襲った大規模地震は7州に被害を及ぼし、120万人以上が被災した。葉山アツコ「自然・地理」エリア・スタディーズ(2009):249
- ^ タガログ語で「襤褸切れ(ぼろきれ)」という意味もある。
- ^ 在日フィリピン人の場合、日本人と同様に「姓、名」で名乗ることがある。
- ^ CorazónやAlma、Esperanzaなど、スペイン語の一般名詞に由来する人名も多く見られる。
- ^ ただし最近では、スペイン語よりも英語の名前が主流となっている。例:Miguel、Margarita → Michael、Margaretなど。
- ^ 窃盗、傷害・暴行、強盗、殺人事件などの重大犯罪発生件数は約8万件(前年比約28%減)が報告されており、そのうち窃盗が全体の30%、傷害・暴行が28%、強盗が14%、殺人が9%を占めている。殺人事件は約0.7万件(前年比約22%減)、強盗事件は約1.1万件(前年比約32%減)がそれぞれ報告されており、その件数は、殺人事件が日本の約8倍、強盗事件は日本の約6倍となっている。
- ^ 犯人が被害者や警察官・警備員などからの反撃に備えて銃器を所持している例も多い。
出典
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