トンネル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/07 14:53 UTC 版)
トンネル内の安全確保
トンネルはその構造から災害発生時や事故発生時の避難行動や救出活動が比較的難しくなる。
高速道路での安全対策
日本の高速道路のトンネルでは、50mの間隔で押しボタン式通報装置と消火器(2本)、200m間隔で非常電話が設置されている[32]。
また、長大トンネルの入口にはトンネル入り口用信号機や入口表示板が設置され、トンネル内で火災が発生した際には赤灯火の信号や「進入禁止火災」などの表示が行われる[32] ほか、非常停車スペースを途中に確保したり、道路用トンネルに並行して一回り小さい避難用のトンネルを設けている場合がある。
トンネル内部の照明は、白色も使用されているがオレンジ色に発光する低圧ナトリウムランプの使用が圧倒的に多い[33]。
低圧ナトリウムランプは、ガラス管にナトリウム蒸気を封入した放電灯に使用されるランプで、日本で最初に高速道路が造られたときにトンネルの照明に採用されたランプである[33]。オレンジ色の光は波長が長く、排気ガスの塵で拡散されにくく光が遠くまで届くという特性があり、排気ガスで視界が悪くなりがちなトンネル内部の視認性を向上して安全性を高めている。
また、各種ランプの中でも電気エネルギーを光に変換する効率が高く、ランプ寿命が約9000時間と比較的長いことから経済的であるというメリットがある[33]。
その半面、オレンジ色の光は演色性が悪いため、赤いものが黒っぽく見えるというデメリットも持ち合わせており、トンネル内の消火栓などは蛍光の赤色で塗装するという工夫により、万一のときの安全を図っている[33]。また、トンネルに入った時に、トンネル内部の暗さに合わせて人間の瞳の瞳孔が開くまで時間がかかることから、トンネルに入った時の内部の視認性向上のために出入り口付近の内部照明の数を増やし、中央部よりも明るくしている[33]。
鉄道での安全対策
主なトンネル事故
- 肥薩線列車退行事故(1945年8月22日、国鉄肥薩線)
- 近鉄大阪線列車衝突事故(1971年10月25日、近鉄大阪線)
- 豊浜トンネル岩盤崩落事故(1996年2月10日、国道229号)
- 福岡トンネルコンクリート塊落下事故(1999年6月27日、山陽新幹線)
- 笹子トンネル天井板落下事故(2012年12月2日、中央自動車道)
- トンネル火災
- 北陸トンネル火災事故(1972年11月6日、国鉄北陸本線)
- 日本坂トンネル火災事故(1979年7月11日、東名高速道路)
注釈
出典
- ^ 『隧道』 - コトバンク
- ^ トンネルとは?、一般社団法人日本トンネル技術協会
- ^ a b 浅井建爾 2015, p. 190.
- ^ a b c d e 浅井建爾 2001, p. 234.
- ^ 長崎新聞 (2019年6月21日). “トンネル工事で減水 水源確保、水田に送水 諫早市多良見町井樋ノ尾地区 | 長崎新聞”. 長崎新聞. 2020年7月10日閲覧。
- ^ “九州新幹線工事で水枯れ 代替井戸で水田へ送水、久々の田植えに喜び”. 毎日新聞. 2020年7月10日閲覧。
- ^ トンネルでは基準の10倍超 - 東大など、高速道路上の二酸化窒素濃度を調査(2012年1月13日マイナビニュース)
- ^ 「長いトンネル、外気は禁物…NO2基準の50倍」『読売新聞』2012年1月14日。 オリジナルの2012年1月23日時点におけるアーカイブ 。
- ^ 「河口湖・新倉掘抜史跡館」山梨新報社公式HP
- ^ 「河口湖新倉掘抜史跡館」河口湖net公式HP
- ^ 「市指定史跡・市指定名勝」富士吉田市公式HP
- ^ 『東北新幹線工事誌 黒川・有壁間』(日本国有鉄道仙台新幹線工事局編)及び『上越新幹線工事誌 大宮・水上間』(日本鉄道建設公団東京新幹線建設局編)による
- ^ 快適で安全な地下鉄を目指して(営団地下鉄ホームページ)(インターネットアーカイブ・2003年時点の版)
- ^ 浅井建爾 2001, pp. 234–235.
- ^ 例:旭川市・旭山動物園
- ^ 浅井建爾 2015, p. 192.
- ^ 下水処理場なんでも一番・その2_日本最初のトンネル式下水処理場
- ^ 産業遺産保存・活用事例集33_甲州市勝沼地域におけるワイン貯蔵庫・遊歩道としての活用
- ^ 「予防医療.com」・特集・キノコ多糖体
- ^ a b 社団法人交通工学研究会, ed. (2007), 道路交通技術必携2007, p. 116, ISBN ISBN 978-4-7676-7600-5 (PDF)
- ^ 品川線の秘密13 トンネルの換気方式 (PDF) - 東京SMOOTH(首都高速道路特設サイト)内
- ^ a b 浅井建爾 2001, p. 241.
- ^ a b c d e 浅井建爾 2015, p. v.
- ^ 月報KAJIMA 2001 October
- ^ ジオスター(株)
- ^ 浅井建爾 2001, p. 240.
- ^ 浅井建爾 2001, pp. 238–239.
- ^ a b 浅井建爾 2015, p. 188.
- ^ 浅井建爾 2015, p. vi.
- ^ 『南日本新聞』 2012年2月14日付 4面(新武岡トンネル貫通)
- ^ 鹿児島東西道路鹿児島IC~建部IC間が開通 - 鹿児島建設新聞、2013年9月28日付
- ^ a b “高速道路のトンネルで火災が発生した場合の対処とは?”. 日本自動車連盟. 2013年12月10日閲覧。
- ^ a b c d e ロム・インターナショナル(編) 2005, pp. 95–96.
- ^ 一例として「トンネル工事で女性を立入禁止」『日経コンストラクション』2001年9月5日 。
- ^ 圧巻のスケールと技術力、世界の巨大トンネル10選 CNN(2017年3月25日)2017年5月14日閲覧
トンネルと同じ種類の言葉
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