石屋川トンネルとは? わかりやすく解説

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石屋川トンネル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/24 03:17 UTC 版)

石屋川トンネル(『写真集 むかしの神戸』より)

石屋川トンネル(いしやがわトンネル)は、かつて兵庫県神戸市東海道本線住吉駅 - 灘駅間、現在の住吉駅 - 六甲道駅間に存在した鉄道トンネルである[1]。日本初の鉄道トンネル[2][3]である。石屋川隧道(いしやがわずいどう)の名称でも呼ばれる[1][4]

トンネル概要

新橋 - 横浜間に続き、大阪 - 神戸間に日本で2番目の鉄道建設が計画された。

当初の計画では、浜手側に路線を敷設する予定であったが、灘の酒蔵より「汽車ゴヘラで酒が腐る」というクレームが入ったため、予定を変更して山麓を通る路線に変更することになった[5]

当時の機関車は小形で勾配に弱かったことから、天井川であった芦屋川住吉川石屋川はトンネルを開削し、その下を通すことになった[2][6]

その中でも、最初に開削されたのがこの石屋川トンネルである[2]1870年(明治3年)10月24日に着工[7][8]1871年(明治4年)7月に竣工し[9][10]1874年(明治7年)5月の鉄道開業で供用が開始された[1]

設計はイギリスからのお雇い外国人によってなされ[11]仮設木橋で水流を変えていったん堤防を取り崩し、レンガを積みトンネルを組み立てた後、再び川を埋め戻すという開削工法がとられた[9]

東海道本線の全通後、1894年(明治27年)には輸送量の増加にあわせ同線の複線化が決定する。この時はトンネルの下半分を掘り下げ、垂直にする工法が取られた。

さらに1919年(大正8年)には複々線化に対応するための工事が行われる。この時、トンネルは解体され[12]、川は4線を越える水路橋となった。1976年(昭和51年)10月には高架化のため、石屋川の地盤強度を高める必要から埋め立てられた。

現在石屋川公園には、トンネルがあったことを示す説明板が置かれている[9][13]

脚注

  1. ^ a b c 【今日は何の日?】日本初の鉄道トンネル・石屋川隧道が供用開始”. 乗りものニュース (2021年5月11日). 2025年1月19日閲覧。
  2. ^ a b c 『東海道JR私鉄1900キロ』小学館、1990年、135頁。 
  3. ^ 京都鉄博で神戸・大阪開業150年展 廃止列車のヘッドマークも”. 毎日新聞. 2025年1月19日閲覧。
  4. ^ 日本科学発達史』 - 国立国会図書館デジタルコレクション
  5. ^ 日本経済新聞 2015年5月2日朝刊
  6. ^ 灘に日本初の鉄道トンネル(謎解きクルーズ) 酒蔵抵抗、山麓ルートに 技術結集、「天井川」の底貫通”. 日本経済新聞 (2015年5月2日). 2025年1月19日閲覧。
  7. ^ 公益社団法人 土木学会 ものしり博士のドボク教室 -トンネルはいつごろからあるの?”. www.jsce.or.jp. 2025年1月19日閲覧。
  8. ^ 『トンネル100年』毎日新聞社、1968年12月15日、年表1頁。 
  9. ^ a b c きょうは何の碑:川底を駆けた文明開化 日本初の鉄道トンネル”. 毎日新聞. 2025年1月19日閲覧。
  10. ^ わが国における鉄道トンネルの沿革と現状 (第3報)”. 土木学会. 2024年1月19日閲覧。
  11. ^ 事典・日本の観光資源,世界大百科事典内言及. “石屋川トンネル(イシヤガワトンネル)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2025年1月19日閲覧。
  12. ^ 「大阪―神戸」鉄道150年、阪神大震災乗り越えた大動脈…記念列車神戸で出発式”. 読売新聞オンライン (2024年5月11日). 2025年1月19日閲覧。
  13. ^ 伊藤博康『鉄道名所の事典』東京堂出版、2012年12月30日、210-211頁。ISBN 978-4-490-10829-3 

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