コロンビア
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文化
コロンビアの文化はラテンアメリカの交差点に位置しておりインディヘナ、ヨーロッパ系、アフリカ系、中東系をはじめとするアジア系の伝統が複雑に織り交ざって構成された多文化的な社会によって特徴づけられている。アメリカ合衆国の文化と、メキシコの文化、アルゼンチンの文化、カリブ海の文化をはじめとするラテンアメリカの文化から強く影響を受けているが、独立以前から受け継がれているスペインの文化の影響が最も強い。コロンビアの複雑な地形と数十年続いた社会分断により、コロンビアの文化は五つの文化的な領域(それは地理的な領域でもある)に強く断片化された。地方から都市への国内移民、工業化、グローバル化、及び国際的な政治的、経済的、社会的問題はコロンビア人の生活のあり方を変えた。
食文化
コロンビアの主食はコメであるが、ジャガイモ、トウモロコシ、キャッサバ、プランテンもよく食べられている。トロピカルフルーツの種類も豊富である。
- アレパ…トウモロコシ粉のパン
- パタコン…プランテンのフライ
- エンパナーダ…南米風ミートパイ、餃子
- アヒアコ…鶏肉とジャガイモのスープ
- モンドンゴ…もつ煮込み
- サンコチョ…チキンスープ
- バンデハ・パイサ…(パイサ地方(アンティオキア県)の郷土料理。米、豆、肉、卵料理、アボカドの盛り合わせ)
文学
スペイン征服後のコロンビアの文学は、17世紀初頭のエルナンド・ドミンゲス・カマルゴに遡る。
独立後の文学はロマン主義と結びつけられ、傑出した存在としてアントニオ・ナリーニョ、ホセ・フェルナンデス・マドリード、カミーロ・トーレス・テノリオ、フランシスコ・アントニオ・セアが活躍した。19世紀半ばから20世紀はじめにかけてコンストゥンブリスモ文学が人気となり、この時期の作家としてはトマス・カラスキージャ、ホルヘ・イサークス、ラファエル・ポンボが有名である。その後ホセ・アスンシオン・シルバ、ホセ・エウスタシオ・リベラ、レオン・デ・グレイフ、ポルフィリオ・バルバ=ハコブ、そしてホセ・マリア・バルガス・ビラがモデルニスモ運動を展開した。1871年にはアメリカ大陸のスペイン語のプリメーラ・アカデメイアが設立された。
20世紀にはペドロ・ガルシアなどの詩人を生んだ。1939年から1940年にかけて詩人のホルヘ・ロハスが活躍した。「暴力」の時代にはゴンサロ・アランゴがニヒリズムとダダイスムから生まれたコロンビアの文学運動ナダイスモの担い手となった。ラテンアメリカ文学ブームが始まると、魔術的リアリズムの担い手であり『百年の孤独』『族長の秋』などで知られるラテンアメリカの声を代表する大作家ガブリエル・ガルシア=マルケスがノーベル文学賞を受賞し大活躍した。同時代の作家としてはエドゥアルド・カバジェーロ・カルデロン、マヌエル・メヒア・バジェーホ、アルバロ・ムティスが挙げられる。アルバロ・ムティスは2001年にセルバンテス賞を受賞した。その他の現代作家としてはフェルナンド・バジェーホ(ロムロ・ガジェーゴス賞受賞)と、ガルシア=マルケス以降、コロンビアで最も多くの本が買われている作家のヘルマン・カストロ・カイセードが挙げられる。
音楽
フォルクローレにおいては、20世紀初頭にバンブーコが発達した。カリブ海沿岸地方の伝統音楽クンビアは、ガイタ(スペインのガリシア地方のバグパイプ)や、黒人の太鼓など様々な要素から構成されている。クンビアはサルサ以前に汎ラテンアメリカ的な成功を収めてアメリカ合衆国にも進出し、今もラテンアメリカ諸国のポップスに大きな影響を与えている。クンビア以外に人気があるバジェナートはクンビアを基に発展しており、こちらはクンビアよりも洗練された雰囲気がある。また、ベネズエラで国民音楽とされているホローポも、ベネスエラとの国境付近のリャノで演奏されている。
米国ニューヨーク生まれのサルサも人気であり、コロンビア・サルサとしてカリを中心に発展している。
近年[いつ?]はコロンビアポップスの合衆国市場への進出も盛んであり、フアネス、シャキーラ、カミロ などが成功した音楽家として挙げられる。ラファエル・オロスコ・マエストレとディオメデス・ディアスは、バジェナートで成功したミュージシャンとしてリストされました。
また、コロンビアはかつてアルゼンチン、ウルグアイに次いでラテンアメリカで三番目にタンゴが好まれていた国でもある。
世界遺産
コロンビア国内には、ユネスコの世界遺産リストに登録された文化遺産が6件、自然遺産が2件ある。
-
カルタヘナの港、要塞と建造物群 - (1984年、文化遺産)
-
ロス・カティオス国立公園 - (1994年、自然遺産)
-
サン・アグスティン遺跡公園 - (1995年、文化遺産)
-
マルペロ動植物保護区 - (2006年、自然遺産)
祝祭日
日付 | 日本語表記 | 現地語表記 | 備考 |
---|---|---|---|
1月1日 | 元日 | Año Nuevo | |
1月6日 | 東方の三博士の来訪 | Día de los Reyes Magos | 次週月曜移動 |
3月21日 | 聖ホセの祝日 | San José | 移動祝祭日 |
3月24日 | 聖木曜日 | Jueves Santo | 移動祝祭日 |
3月25日 | 聖金曜日 | Viernes Santo | 移動祝祭日 |
5月1日 | メーデー | Día del Trabajo | |
5月9日 | 主の昇天 | Ascención del Señor | 移動祝祭日 |
5月30日 | 聖体の祝日 | Corpus Christi | 移動祝祭日 |
6月29日 | 聖ペドロ・聖パブロの祝日 | San Pedro y San Pablo | 移動祝祭日 |
7月20日 | 独立記念日 | Día de la Independencia | |
8月7日 | ボヤカ戦勝記念日 | Batalla de Boyacá | |
8月15日 | 聖母の被昇天の日 | Asunción de la Virgen | 次週月曜移動 |
10月12日 | 民族の日 | Día de la Raza | |
11月1日 | 諸聖人の日 | Todos los Santos | 次週月曜移動 |
11月11日 | カルタヘナ独立記念日 | Independencia de Cartagena | 次週月曜移動 |
12月8日 | 無原罪の聖母の日 | Inmaculada Concepción | |
12月25日 | クリスマス | Navidad |
注釈
- ^ 1990年代は年間34,000人が殺人事件の犠牲になり、世界の誘拐事件の6割に相当する3600人が誘拐された。
- ^ 1990年代のコロンビアの殺人発生率(10万人当たりの殺人件数)は77.5人(1991年は86人で世界最悪)を記録した。
- ^ 2002年に就任したアルバロ・ウリベ大統領が左翼ゲリラや麻薬カルテルへの取り締まりを強化し、全国の自治体に警察署を設置した。2017年のコロンビアの殺人発生率は25.2人でラテンアメリカではブラジル(30.74人)やメキシコ(25.71人)より低い。
- ^ 1985年の噴火により氷河が溶け出して土石流が生じ、アルメロ市を埋め尽くし、2万人もの犠牲者を出した。
- ^ この高原は、氷河が溶けて湖になり、堆積物が沈殿したことによってできたと考えられている。現在でも湿原があちこちにあり、その名残を留めている。
- ^ この斜面の北部はクシアナ油田に代表される石油産業も発展している。
出典
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- ^ a b “UNdata”. 国連. 2021年11月7日閲覧。
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- ^ 寺澤辰麿『ビオレンシアの政治社会史―若き国コロンビアの“悪魔払い”』(アジア経済研究所、2011年)224-225頁
- ^ 寺澤辰麿『ビオレンシアの政治社会史―若き国コロンビアの“悪魔払い”』(アジア経済研究所、2011年)225-226頁
- ^ 寺澤辰麿『ビオレンシアの政治社会史―若き国コロンビアの“悪魔払い”』(アジア経済研究所、2011年)226頁
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- ^ World Cup Hall of Fame Andres Escobar (1967-1994) -CNNSI.com: 2013年6月13日
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