ベルギー人とは? わかりやすく解説

ベルギー人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/15 07:26 UTC 版)

ベルギー人
Belgen, Belges, Belgier
総人口
11,198,638人 [1]
(2014年調査)
居住地域
ベルギーアメリカ合衆国カナダフランスオランダコンゴ民主共和国ドイツなど
言語
オランダ語フランス語ドイツ語など
宗教
主にキリスト教カトリック教会
1944年9月4日。ブリュッセルに入城するイギリス軍を迎える群衆
ベルギー料理でも最も人気があるムール・フリット。蒸したムール貝フライドポテトのセットを指す

ベルギー人オランダ語Belgenフランス語Belgesドイツ語Belgier英語Belgians)は、主に西ヨーロッパに位置するベルギー王国国民を指す語である。

語源

「ベルギー人」という言葉は比較的新しい。

1830年革命英語版の影響を受けて臨時政府英語版の下で独立国家が成立し、国民会議英語版が設立される動きに繋がった(ベルギー独立革命[2][3]。「ベルギー」という国名は紀元前1世紀の古代ローマによる侵略前、ベルガエ(のちのガリア属州最北端のガリア・ベルギカ)に居住していたゲルマン人ケルト人の混血の部族の呼称より由来する[4][5]

1789年に勃発したブラバント革命により、ベルギー合衆国が成立したが、この時点ではまだ形容詞に相当する「Belgian」という語は存在しておらず、フランス語名詞「Belgique」または「Belgium」が使用されていた[6]

文化

ベルギー料理は近隣の料理の影響を受けながら独自の料理を発展させてきた。時々、ベルギー料理はドイツ料理のように量が多いだけで無く、フランス料理のような質の高い料理を提供していると言われる[7][8]。また、年間に平均して84も飲むビール好きの国民性で知られ、ベルギービールが世界で最高のビールだとする主張も存在する[9]

ベルギーの漫画バンド・デシネも参照)はベルギーが20世紀に世界的かつ永続的に影響を与えてきた数少ない芸術の一つであり、「ベルギー文化の不可欠な部分」として認知されている。世界屈指の漫画大国として知られ、タンタンの冒険スマーフなど数多くの名作が生み出されてきた[10]

言語

ベルギーでは1984年出生地主義の原則が確立されており、単一民族国家では無い[11]

ブリュッセルは地理的にも言語的にも飛び地となっている。1830年の独立時にはオランダ語の話者が過半数を占めていたが、その後にフランス人が多く移り住んだために現在ではフランス語の話者が圧倒的多数派の街となっている(ブリュッセルのフランス語化現象英語版[12]

ベルギーの人口の約60%を占めるオランダ語話者のフラマン人は言語や習慣の違いで明確に区別できる集団を形成している[13]。一般的にはフラマン人は特に国レベルで自身をオランダ人であると称することは稀であるし、その逆も然りである[14]

フランス語話者のワロン人は主にワロン地域に居住している。ワロン人はベルギー国内でも独特のコミュニティを形成している[15]。ワロン人の言語宗教伝統民間伝承などはフランス人のそれの強い影響を受けている[15]

77,000人と9市町村を抱えるドイツ語話者のドイツ語共同体も第3の合法的なコミュニティとして承認を受けている[16]

宗教

ユーロバロメーター英語版の2012年の調査によると、ベルギー人の約58%がカトリック教徒、それ以外のクリスチャンは7%、ムスリムは5%、無宗教が27%という結果であった[17]。ブリュッセルを中心に近年は急速な世俗化が進行している。ブリュッセルでは1967年に82%の子供が洗礼を受けていたが、2009年にはその割合は4分の1以下にまで低下している[18]

1830年以降の著名なベルギー人

脚注

  1. ^ Belgium Political Educational Map from Academia Maps” (英語). Worldmapsonline.com. 2014年12月14日閲覧。
  2. ^ Karel Dobbelaere、Liliane Voyé. “From Pillar to Postmodernity: The Changing Situation of Religion in Belgium” (PDF) (英語). Oxford University Press. 2014年12月14日閲覧。
  3. ^ Brison D. Gooch(1963年) p.112
  4. ^ Constanze Maria Witt (1997年5月). “Ethnic and Cultural Identity” (英語). Virginia.edu. 2014年12月14日閲覧。
  5. ^ Matthew Bunson(2002) p.169
  6. ^ un peu d'histoire: la révolution belgique” (フランス語). Canaris1790.be. 2014年12月14日閲覧。
  7. ^ Food and Drink in Belgium” (英語). Gapyear.com. 2014年12月14日閲覧。
  8. ^ Michael Jackson(1998)
  9. ^ Leuven and Westvleteren (2011年12月17日). “Brewed force” (英語). Economist.com. 2014年12月14日閲覧。
  10. ^ BENELUX travel guide Belgium Culture” (英語). Beneluxguide.com. 2014年12月14日閲覧。
  11. ^ Milica Petrovic (2012年11月15日). “Belgium: A Country of Permanent Immigration” (英語). 2014年12月14日閲覧。
  12. ^ David Levinson(1998年) p.14
  13. ^ Christoph Pan(2003年) p.20
  14. ^ S. Couwenberg(2006年) p.162
  15. ^ a b David Levinson(1998年) p.13
  16. ^ The German-speaking Community” (英語). DGlive.be. 2014年12月14日閲覧。
  17. ^ Discrimination in the European Union in 2012” (PDF) (英語). Europa.eu. 2014年12月14日閲覧。
  18. ^ Met uitsterven bedreigd: de Brusselse kerkganger” (オランダ語). Brusselnieuws.be (2010年11月30日). 2014年12月14日閲覧。

参考文献

  • Brison D. Gooch (1963年) (英語). Belgium and the February Revolution. Springer. ISBN 978-9401500135 
  • Matthew Bunson (2002年) (英語). Encyclopedia of the Roman Empire. Facts on File. ISBN 978-0816045624 
  • Michael Jackson (1998年) (英語). Michael Jackson's Great Beers of Belgium. Philadelphia : Running Press. ISBN 978-0762404032 
  • David Levinson (1998年) (英語). Ethnic Groups Worldwide: A Ready Reference Handbook. Greenwood. ISBN 978-1573560191 
  • Christoph Pan、Beate Sibylle Pfeil (2003年) (英語). National Minorities in Europe: Handbook, 第1巻. Braumüller. ISBN 978-3700314431 
  • S. Couwenberg (2006年) (オランダ語). Nederlandse En Vlaamse Identiteit. Civis Mundi. ISBN 978-9055736881 
  • David Levinson (1998年) (英語). Ethnic Groups Worldwide: A Ready Reference Handbook. Greenwood. ISBN 978-1573560191 

関連項目


ベルギー人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/12 10:23 UTC 版)

クラークスバーグ (ウェストバージニア州)」の記事における「ベルギー人」の解説

20世紀最初の10年間、サウスチャールストン、クラークスバーグのノースビュー地区セイラム小さな町などの通りでは、フランス語聞くことが多かった。これらの地区窓ガラス産業との関わりがあり、フランス語を話す人々ワロン人フランス語圏ベルギー人であることが多かった1900年頃、窓ガラス産業における変化によって、ベルギーシャルルロア地域から数多い移民受け入れた。この時期安価な天然ガス豊富なガラス砂の埋蔵量がある利点生かしてウェストバージニア州ガラス産業拡大した時だった。1世代を経過する間に、窓ガラス工場多く従業員共同保有する形態となり、必要な技術提供できるベルギーからの移民強く頼るようになっていた。それによってウェストバージニア州国内ガラス製造中心地となったウェストバージニアのベルギー人は経済的に類似した地域から来ていた。ベルギーエノー州シャルルロア盆地は、石炭採鉱鉄鋼生産窓ガラス製造依存していた。ウェストバージニア北中部やカナー・バレーのベルギー人の新しい家屋は、母国との類似親近感感じた違いないベルギーガラス工場1880年代1890年代苦境にあったので、彼らはヨーロッパ離れた。それと同じくらい重要なことは、労働者政治的に経済的にもその関心を声に出す機会限られていた。ベルギーガラス労働者アメリカ合衆国で、その働く場所を代表する効果的な労働組合結成でき、民主的社会主義提唱する活発な政治運動を行う手段があった。実際にこれらベルギー人の地域社会モーガンタウンに近いスターシティアダムズタウン(現在はクラークスバーグの一部)では、第一次世界大戦以前時代社会主義者首長選んでいた。政治とは別に、ベルギー人の民族社会もその料理音楽集団社交クラブベルギーの文化遺産継承する祭などで有名になった。 しかし、ベルギー人労働者貴重なものにした技術的変化が、翻ってさらに新し技術を生み、窓ガラス製造熟練技術から大量生産方式変えた1920年代が終わるまでに、幾つかの大企業産業界支配し機械熟練工技術に代わった。例外1つ窓ガラスカッターであり、ベルギーアメリカ人新世代にも就職機会与え続けた。それから70年上後になっても、ベルギーアメリカ人歴史遺産協会がこの魅力的な民族集団歴史と文化活性化させ続けている。

※この「ベルギー人」の解説は、「クラークスバーグ (ウェストバージニア州)」の解説の一部です。
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