窓ガラス
窓ガラス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/08 07:13 UTC 版)

窓ガラス(まどガラス)は板ガラスを窓にはめ、家の内部と外部を仕切るために使うもの。暖かい部屋で外の景色が楽しめるのも、ウィンドウ・ショッピングが出来るのも、窓ガラスの恩恵である。窓の面積を大きくすることにより、太陽の昼光による採光が可能となり、照明の代替にもなる。
製造方法
現在では、すべての窓ガラス(型板ガラス、網入ガラスおよび線入ガラスを除く)がフロート法によって製造されている。これは20世紀半ばに開発された大面積の板ガラスを連続的に作成出来る技術で、20世紀最大の発明のひとつに数え上げられている。型板ガラス、網入りガラスおよび線入りガラスはロールアウト法によって製造されている。
フロート法では、溶融錫の上にガラス融液を流し出すことで、上下ともに平滑な面を生成する。錫はガラスより比重が大きく、しかもガラスと混ざらないので、錫の上には非常に平坦な板ガラスが形成される。この方法で1 mm - 22 mm程度の厚さの板ガラスを作成することが出来る。
窓ガラスのほとんどはソーダ石灰ガラスと呼ばれる種類のガラスである。その組成はおよそSiO2:Na2O:CaO = 75:15:10 (mol%)で、原料には珪砂、ソーダ灰、石灰が用いられる。この組成比は地殻を形成している組成比とほぼ同じで、この点からガラス窓の資源は事実上無尽蔵、環境への悪影響は生産時の燃料の消費だけといえる。
普通の窓ガラスは正面から見ると透明に見えるが、斜めから見たり、厚みのある部分を見るとわずかながら青緑に色付いて見える。これは、原料に不純物として含まれる鉄イオンの色である。この色が好ましくない場合は、純度の高い原料を使うか、もしくはその補色を生じる着色剤を原料に少量加えて無彩色にする。
民家の窓などに使用されている透明ガラスの場合、ケイ素と酸素が強く結合され、構造としては網目状になっている。
種類
- フロート板ガラスおよび磨き板ガラス(JIS R 3202)
- 型板ガラス(JIS R 3203)
- ガラス表面が模様となったもの。透光性を保ちつつ光を拡散させて視線を遮る。現在製造されている模様は、梨地(なしじ)2ミリ、霞(かすみ)4ミリ・6ミリ、の2種類。
- 網入ガラス、線入ガラス(JIS R 3204)
- ガラス中に金網、金属線を入れたもの。ガラスが割れた場合にも破片が飛び散りにくい。主な目的は、火災などの熱による破損の際、ガラスが脱落するのを防ぐことであり、加撃物による破損にはほとんど効果がない。見た目から防犯性を誤解する人も多い。防犯ガラスは後述の合わせガラス及び強化ガラスにあたる。
- 合わせガラス(JIS R 3205)
- 2枚のガラスの間にポリビニルブチラールなどの透明フィルムをはさみこんで、オートクレーブ成形したもの。破損時に破片がほとんど飛散せず、耐貫通性に優れているため、強化ガラスと共に安全ガラスと総称される。
- 強化ガラス(JIS R 3206)
- フロート板ガラスの表層に圧縮応力、深層に引張応力を与えたガラス。通常のガラスの3~5倍の強度があり、破損しても破片が粒状になるため、傷害防止に効果がある。応力を生じさせる方法には、加熱・急冷による熱的方法と分子置換による化学的方法があり、ほとんどの強化ガラスは熱的方法で製造されている。
- 熱線吸収板ガラス(JIS R 3208)
- 熱線(赤外線)をより多く吸収するガラス。原料に銅、ニッケル、鉄などの金属を混合して製造する。銅を混合すると青色、ニッケルを混合すると灰色(薄茶色)、鉄を混合すると黄緑色のガラスとなる。
- 複層ガラス(JIS R 3209)
- 2枚のガラスの間に空気層を設ける形のもの。光触媒機能を外面に付加したセルフクリーニングガラスや、空気層の部分を気密化し真空にして断熱性を向上させたものもある。通常の窓ガラスに比べ、若干重くなる。なお一般に、空気層による断熱効果は期待できるが、遮音性能の向上はコインシデンス効果の影響を受けあまり期待できないとされている。ただし室内面のみを樹脂サッシにするなど異種材料でのサンドイッチサッシ構造で遮音性が一般的にみられる。
- 熱線反射ガラス(JIS R 3221)
- 表面に金属酸化物を塗布し、熱線を反射する効果を持たせたガラス。昼間の屋外からは鏡のように見え、屋内からは普通のガラスと同様に見えるハーフミラー効果がある。スパッタリングによって屋内側の面に金属酸化物を塗布したものは、高性能熱線反射ガラスと呼ばれる。
- ペアガラス
- 2枚のガラスとスペーサーにより中空層をつくったもの[1]。
- トリプルガラス
- 3枚のガラスとスペーサーにより中空層を2か所つくったもの[1]。
- 磨りガラス(スリガラス)
- 視界を遮り光線を取り入れるために表面を金剛砂などのサンドで磨いたガラス。
- レンズガラス
- 同様に視界を遮るガラス
脚注
関連項目
- ステンドグラス
- マジックミラー
- 単板ガラス
- エコガラス
- 合わせガラス
- 耐熱ガラス
- 強化ガラス
- 金網入りガラス
- 光触媒ガラス
- クラウンガラス窓 ‐ 吹きガラスの製法クラウン法により作られたガラス板を金属フレームで繋いだガラス窓
- セレナイト (鉱物) - 透明石膏、ローマ時代にラピス・スペキュラリス(ラテン語で窓の石)と呼ばれ窓ガラスのように使用された天然鉱物。
- 窓ガラスメーカー
窓ガラス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 08:46 UTC 版)
福岡市中心部のビル街では、一部のビルの窓ガラスが割れ地上に降り注いだ。この様子は映像として残されており、テレビ放送もされた。特に、中央区天神の福岡ビル(1961年・昭和36年完成)では、全体の3割にあたる約440枚の窓ガラスが割れて落下し、建物沿いの歩道を歩いていた2人が負傷した。割れたガラスはほとんどが「はめごろし」で、網入りガラスは破損しても落下はしておらず、また地震動による建物の層間変形が集中したとみられる4階から6階の破損率が高かった。 その後の調査により、窓枠と窓ガラスの間のシーリング材に揺れを吸収しにくい硬化性の素材を用いる、古い工法がとられていたことが原因と判明した。古い工法は1978年(昭和53年)の宮城県沖地震で被害が多発したことから、同年改正・1979年4月施行の建設省告示で禁止され、それ以降の施工ではシリコンなどの軟質素材が使用されている。 これを受けて国土交通省は3月23日、全国の自治体に対し、1978年以前施行の3階建て以上で中心市街地の避難道路などに面する建築物を調査し改修などを指導するよう通知を出した。その後、2006年3月までに約3万6,000棟で調査が行われ、約1,300棟で不適格が判明、うち改修済みは2006年3月時点で511棟だったが、2013年9月には914棟まで改善している。 なお、都心部であるにもかかわらず負傷者2人に留まった背景として、渡辺通り沿いに地下街とビルとの連絡通路が発達した天神では地下を移動する人が多く、2月に天神地下街が延伸開業していて通行人がそちらに流れる傾向がさらに強まっていたタイミングが幸いしたことや、この付近はビジネス街であり、もともと休日は人通りが多くなかったことなども挙げられている。
※この「窓ガラス」の解説は、「福岡県西方沖地震」の解説の一部です。
「窓ガラス」を含む「福岡県西方沖地震」の記事については、「福岡県西方沖地震」の概要を参照ください。
「窓ガラス」の例文・使い方・用例・文例
- この窓ガラスはいくら拭いてもきれいにならない
- その子は窓ガラスを割ったと白状した
- 窓ガラスの結氷
- 窓ガラス10枚
- ボールが玄関の窓ガラスを粉々に壊した
- 透明な窓ガラス
- 飛行機の爆音で窓ガラスが震動した
- 雨が窓ガラスを激しく打った
- 彼が喫茶店の窓ガラス越しに外の世界を見た
- 私の顔が窓ガラスに映っていた。
- 窓ガラスが割られた教室は立ち入りが禁止されている。
- 窓ガラスが割られた教室は立ち入りが禁止されている
- 彼は6枚の窓ガラスを次々に割った。
- 彼が窓ガラスを割った男だと思いますか。
- 奴はわざと窓ガラスを割ったんだ。
- 誰が窓ガラスを割ったのだろう。
- 誰が窓ガラスを割ったのかと彼にたずねると、少年達は皆自分ではないという顔をした。
- 窓ガラスを割った石を見せなさい。
- 窓ガラスを割ったいたずら坊主はだれだ?
- 窓ガラスが割れていたのでその部屋を暖かくしておけなかった。
窓ガラスと同じ種類の言葉
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