耐熱ガラスとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 建設 > 家屋 > ガラス > 耐熱ガラスの意味・解説 

たいねつ‐ガラス【耐熱ガラス】

読み方:たいねつがらす

急熱急冷耐えるガラス広く軟化点の高いものをいう石英ガラス・高珪酸(けいさん)ガラスなど。


耐熱ガラス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/21 19:04 UTC 版)

耐熱ガラス(たいねつガラス)とは、熱膨張率をガラス原料の組成により下げ、急激な温度変化を加えても割れにくい様にしたガラスのこと。

この製品は、SiO2B2O3を混合したホウケイ酸ガラスであり、熱膨張率は約 3×10-6/K である。耐熱衝撃性に加えて耐腐食性にも優れている。耐熱ガラスとしてショット社(Schott)のDuran、日本HARIO社のHARIO、日本・AGCテクノグラス社のiwakiなどがある。ブランドとしてはパイレックスが有名である。

原理

ガラスが割れる場合は、大きく分けてふたつある。ひとつは強い衝撃を加えた時、もうひとつは急激に温度を変化させた時である。後者の例では、冷凍庫で冷やしたグラスに熱湯を注ぐと大抵のものは割れてしまう。これを熱衝撃と呼ぶ。これはガラスの熱伝導度が非常に小さいことと関係している。

今ここに一枚の板ガラスがあるとする。これを一方の面から熱すると、熱せられた面は熱膨張により延びようとするが、ガラスの熱伝導が小さいために、がもう一方の面にはなかなか伝わらないので、もう一方の面はそのままでいようとする。このため、これらの面の間に熱による応力が生じる。この熱応力がガラスの破断応力を超えると、ガラスは割れてしまうのである。

解決策としては「熱伝導度を大きくする」のと「熱膨張率を小さくする」という二つの手段がある。前者をガラスで実現するのはほぼ不可能なので、耐熱ガラスは熱膨張率を小さくするように設計されている。熱膨張率が小さいと、ガラスに温度差があっても熱応力が小さくなるため、急激な温度変化に耐えることができる。

結晶化ガラス

ガラスの熱膨張率を小さくするためには、熱膨張率の小さいガラスを混ぜるという方法があるが、これをさらに推し進めて、負の熱膨張を持つ材料を混ぜるという方法がある。負の熱膨張率を持つ材料は、温度を上げるほどに収縮する。身近な例では0℃から4℃までのがそれである。

この方法を用いたのが結晶化ガラスの耐熱ガラスである。これはガラス中に目に見えないほど小さな負の熱膨張をもつ結晶を分散させ、ガラスの熱膨張を結晶の負の熱膨張で相殺する。これは耐熱ガラステーブルに使われているほか、液晶パネルプラズマディスプレイパネルなどの薄膜製造プロセスを経るガラスに特によく用いられている。ガラス上にTFTを生成する際には基板上への膜生成と焼成とを繰り返す必要がある。焼成の際に熱膨張が起こると断線や不良の原因となるため、この分野では通常の耐熱ガラスよりさらに熱膨張率を小さくする必要がある。

急加熱と急冷却

20℃のガラスコップに100℃の熱湯を注いだ時と100℃のガラスコップに20℃の水を注いだ時では、温度差すなわち熱応力は同じだが、水を注いだ方が割れやすい。

これは加熱と冷却による表面変化の違いから理解出来る。ガラスを加熱した場合には表面が膨張して内部はそのままなので、表面に圧縮応力、内部には引っ張り応力がかかる。一方、冷却した場合は表面は収縮して内部はそのままなので、表面には引っ張り応力、内部には圧縮応力がかかる。

ガラスが割れるのは、基本的にはガラス表面にある微細な傷が引っ張りによって進展するためである。ラーメンのスープ袋の切れ込みが引っ張りによって進行するのと同じと考えて良い。そのため、表面に引っ張り応力がかかる冷却時は加熱時と較べて割れやすい。

よって、耐熱ガラスでも冷却のときには余裕を持って扱う必要がある。

用途

ビーカーなどのガラス製理化学機器やガラスポットなどの耐熱調理器具材料に広く用いられる。特に鏡筒内の温度差によって結像に歪みを生じさせないため、反射望遠鏡の反射鏡の素材としても耐熱ガラスは用いられている。

関連項目


耐熱ガラス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/07 02:11 UTC 版)

「鍋」の記事における「耐熱ガラス」の解説

性質土鍋近く中身様子確認しやすいという長所挙げられる欠点は、やはり衝撃に弱いこと。

※この「耐熱ガラス」の解説は、「鍋」の解説の一部です。
「耐熱ガラス」を含む「鍋」の記事については、「鍋」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「耐熱ガラス」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「耐熱ガラス」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



耐熱ガラスと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「耐熱ガラス」の関連用語

耐熱ガラスのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



耐熱ガラスのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの耐熱ガラス (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの鍋 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS