市中見廻り組
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 09:43 UTC 版)
月島 仁兵衛(つきしま じんべえ) 声 - KENN、寺崎裕香(幼少期) 本作の主人公。津軽藩最奥の村にある月島流道場の一人息子。16歳。身長165cm。2月1日生まれのO型。 額と鼻筋にある8年前黒い蟲につけられた傷、しめ縄の髪飾り(叶の形見で後述の「常世の巫女」の力を封印するもの)で後ろに一本に縛った足元にまで届くほどの長い黒髪が特徴の少年。赤と白を基調とした着物と黒い袴を着ており、上総国での修業後は矜福に青い線がある白い羽織を身に纏っている。真面目かつ猪突猛進・天真爛漫な性格で思い込みと勘違いが激しく、その上人の話をまともに聞かず勝手に物事を進め、何かと突っ走って無茶をする熱血漢。武士の作法として鞘当てを知らなかったり、馬に乗るのが下手だったりと武士として未熟な面も目立ち、それゆえ周囲からはよく「バカ」と評されるが、同時にその誠実さが高く評価されてもいる。また、「守るべき人が不安に駆られぬように、武士はどんな相手にも臆してはならない」というポリシーを持ち、どんな相手にも臆せずに立ち向かい誰かを守るためならば自らの身を犠牲にすることも辞さない。常に礼儀正しく、敵や犬猿の仲である義怜を除いて誰に対しても敬語で話し、一人称は「自分」、二人称は「殿」。武士として身分などの上下関係を重んじ、目上の人物には敬う態度を見せる。頭を下げる際は両腕を後ろに振り上げる癖があり、かなりの大食漢である一方、寝る前には必ず服を畳んだりする几帳面な所や、無自覚だが父の影響かFカップ以上の女性の胸に反応する傾向があるなどの年相応な一面もある。本人は人の機微には鋭い方と語っているが、火鉢などから想いを寄せられていることには全く気付いていない。 父・源十郎から受け継いだ「常住戦陣(じょうじゅうせんじん)」(常に身は戦場にある)を生き方の体現としており、刀の刀身による斬撃だけでなく柄による打撃技を含んだ月島流剣術「富嶽三十六剣」を用いて戦う。武器は柄頭の上にさらに柄が付いた独特の日本刀(春菊曰く「なかなか良い刀」だが、作中の戦いで二度ほど折られている)を扱う。痩身だが怪力の持ち主で、100kgの岩を3つ突き刺した棒を用いてよく修練している姿が目に付く。また、毎朝富士山の山頂まで駆け上がり朝日を拝むことが日課であったりと尋常ではない体力を持ち、戦闘では苦戦を強いられることが多いものの途轍もない生命力を見せることもしばしば。上総国での修業後は、速さ・危機回避能力ともに真田とまともに渡り合える実力を身に着けている。 実は蟲狩の血を引く母・叶から「常世の巫女」の力を受け継いでおり、力の覚醒状態では髪の大部分が白くなって残った黒髪が紋様のようになり、前髪が二つの獣耳のように逆立った姿になる。素速さ・力強さ共に通常時をはるかに上回る桁外れな身体能力を発揮する他、髪を巨大な腕のように変形させ複数の相手を締め上げる、無数の大きな針状にして放出する、扇状にして空を飛ぶ「髪の羽」などの人間離れした能力を得る。 8年前、幼少期から父を尊敬し彼と同じ「死ぬまで勝ち続ける日の本一の武士」を目指していたが、津軽藩主の子息のお供として源十郎と共に同行した際に謎の黒い蟲と遭遇(蟲は源十郎が倒したが)し、それに恐怖して藩主の子息に粗相をさせたことで自分が受ける処罰の代わりとして父の左足、そして身分も家も奪うことになってしまった。以降、源十郎に人々を守る武士の道を説かれ、改めて「父を越え、父が誇れるほどの『死ぬまで勝ち続ける日の本一の武士』になる」ことを決意した。 源十郎の代わりとして小鳥の勧誘を受けて蟲奉行所の同心としてお勤めをすることになる。江戸では自分の未熟さや蟲奉行所の猛者達の存在に痛感・感嘆しながらも、無涯を目標、火鉢をライバル、春菊を師匠と定め巨大蟲や蟲狩、蟲人との戦いを経て日々精進している。八丈島における蟲狩との戦いでは圧倒的な戦力差によって戦闘不能に陥る程の重傷を受けて意識不明となったが、蟲奉行の髪を偶然口に含んだ結果「常世の巫女」の力を覚醒させた。当初はこの姿になると白目の無表情になって本人の意識はなく、さらに蟲奉行以外の全てを敵と認識して次第にその表情を歪めて暴走するが、蟲奉行との「江戸の青空を共に見る約束」を思い出したことで正気に戻った。真田との戦いでも常世の井戸で常世の蟲の記憶を垣間見、その際に聞いた常世の蟲の憎悪の声に掻き立てられ再び暴走するが、無涯への強い憧れを思い出し覚醒を保ったまま正気に戻った。これまではしめ縄の髪飾りの封印の力を上回る外因的要因で覚醒していたが、蟲狩に捕われ黒い蟲と再び対峙した際に「常世の巫女」の力を自覚した上で自ら封印を解いて完全覚醒し、内から湧き上がる憎悪の声に苦しみながらもそれを制し見事無涯と共に黒い蟲を退治した。江戸冬の陣では、上総国での修業後に源十郎から叶の形見である「常世の巫女」のみが使える刀「天羽々斬剣」を託される。当初はまるで上手く扱えず、真田に源十郎を斬られた怒りと憎悪で三度覚醒・暴走してしまうが、「天羽々斬剣」に込められた叶の想いの力で刀身を制御し、真田に一太刀浴びせることに成功した。常世の蟲の襲来時には、完全に使いこなした「天羽々斬剣」と自身の刀を合わせた二刀流で蟲奉行を取り戻すために常世の蟲と対峙する。無涯と蟲奉行との連携で常世の蟲を追い詰めていくが、彼の「翅にて空間を自在に操る」能力に一撃で倒されてしまい、鳰に食べさせられた養蟲丸で回復する。常世の蟲への恐怖を体に刻み込まされた中で唯一倒す方法が蟲奉行を殺すことだと言われ激怒するが、鳰や有虚に託される形で蟲奉行抹殺を頼まれ江戸の人々を守るために蟲奉行の元に現れる。そこで蟲奉行の過去を知った後に「天羽々斬剣」で彼女を斬ろうとして彼女の不憫すぎる境遇を想い踏み止まるも、自分の想いとは裏腹に蟲奉行は自ら「天羽々斬剣」で自害したことで初めて人を殺めてしまうが、後に彼女が息を吹き返したことを常世の蟲と共に涙ながらに喜んだ。 大阪城では、鳰によって力を奪われた常世の蟲を目の当たりにし、助けようとしても火鉢や春菊に咎められ止められるが、蟲奉行一人を幸せにしたいという常世の蟲の目的を知る。仏であろうと救う「日の本一の武士」として、また鳰が大嫌いだという理由で常世の蟲を助けることを決め、後者の意見に同意した火鉢達と共に鳰との戦いに挑む。だが成人となった常世の蟲の力を得た鳰の前に「天羽々斬剣」でも「竹光」程度のダメージしか与えられず、逆にしばらくは動けないほどの重傷を負わせられるが、真田を倒した源十郎の月島流奥義「富嶽泰山斬り」に勝機を見出し、明石の犠牲を払いながらも技の使用に必要な鳰の間合と呼吸を観察した。その後、駆け付けた真白の養蟲丸で回復して無涯・有虚と鳰の戦いに参戦し、今までとは一転して静かな闘志を持って把握した鳰の呼吸を読むことで彼の攻撃や嘘を見破り圧倒する。そして無涯と有虚の援護を受けながら月島流の全てを懸けた武士の一振りである「富嶽泰山斬り」を決め鳰の翅の一枚を斬ることに成功するが、それによって鳰を神本来の姿にさせてしまい「富嶽泰山斬り」に必要な間合を潰されて追い詰められ、その圧倒的な力の前に死の恐怖を感じながらも無涯と共に彼に立ち向かう。残り2枚の翅を斬るべく奮闘するも化け物の姿となった鳰の策略によって喰われ、彼の「心世界」へと入り込んでしまう。そこで鳰から「君の剣は千年を生き抜いた自分の信念より稚拙」「目指した夢で人々が喜んでほしいと人生の全てをかけ願ってきた自分と瓜二つ」など自分が信じてきた強さが間違っていたことになる心を折るような言葉を幾度となく浴びせられ、憧れた源十郎の強さの意味も分からなくなり消滅し掛けるも、仲間達の想いを受け取り復活。自分や父の強さの根源が「背中にいる者達を守ってきたから」ではなく「背中にいる者達に支えられてきたから」こそだということを悟り、逆に「心世界」の鳰の心を断ち切ったことで脱出し、現実世界の鳰の弱体化に成功。無涯との連携、そして霊体となった父と母に支えられ、源十郎の技「富嶽泰山斬り」と叶の技「常世の光」の合わせ技で鳰の巨体ごと最後の翅を一刀両断して遂に鳰を倒し、日本に泰平の世をもたらした。 蟲奉行所解散後は、火鉢・お春・蟲奉行の3人全員と所帯を持ち、9児もの子宝に恵まれる。7年後には将軍になった長福丸から蟲奉行(奈阿姫)の代わりとして「蟲奉行」の役職に任じられ、新たに蟲が出現した日本より遠く離れた異国の地に単身渡り蟲退治の日々に明け暮れている。 アニメ版では、真田に意識不明にさせられるも常世の井戸の瘴気により覚醒・暴走していたが途中で元に戻り、蟲奉行の記憶を取り戻した後は真田と一人で対峙し、見事に勝利した。 名前の由来は亡き母・叶の「源十郎の『仁の心』が詰まった剣で健やかで真っ直ぐ育ち、人を慈しむ『仁の道』を歩んでほしい」という願いから。 技 富嶽割り(ふがくわり) 仁兵衛が当初から修得していた技の一つ。刀の柄により相手をかち上げたり叩き割ったりする攻撃の技で、富士山の山頂を覆う溶岩をも退けることができる。「富嶽突き」と共に血糊と刃こぼれで切れ味が鈍った刀で敵を如何に死に至らしめるかという観点から考案された。 富嶽突き(ふがくづき) 仁兵衛が当初から修得していた技の一つ。刀の柄の一点に力を集中させ、重い一撃を相手にぶつける。当たると衝撃波が後方に突き抜ける。 富嶽返し(ふがくがえし) 仁兵衛が当初から修得していた技の一つ。刀の柄で相手の攻撃を受け返す防御の技。 富嶽鉄槌割り(ふがくてっついわり) 富嶽三十六剣序列第五位。上段から力任せに繰り出される強烈な打撃に近い斬撃で、斬ると同時に敵を押し倒す。地面に大きく円形に叩き潰したような独特の斬撃跡が残るのが特徴。仁兵衛は水中でも使用することが出来たので足場があればどこでも使用可能らしく、わざと地面に叩き付けて目くらましとして煙幕を発生させる使い方もしている。「天羽々斬剣」で使用すれば、より広範囲に衝撃波が昇る程の威力を発揮する。 元は源十郎が5年がかりで会得した技で、鍔迫り合いなどで隙を見せないために考案された。習得は富嶽三十六剣の中でも最も困難で、刹那を見極める才能と全活動力を一点に絞り出す身体能力が必要。修得当初は一日一回しか使用できなかったが、仁兵衛自身の成長につれて使用回数が増していき、相手への止めの一撃として放つことが多くなった。超本気富嶽鉄槌割り(ちょうほんきふがくてっついわり) 「常世の巫女」の力を完全覚醒させた状態で繰り出す「富嶽鉄槌割り」。黒い蟲を一撃で粉砕する威力を持つ。 富嶽鉄槌割り「円錐(えんすい)」 上総国での修業で修得した技。刀の圧力を一点集中させて放つ「富嶽鉄槌割り」で、地面に文字通り巨大な円錐形の穴を開け、真田の「黒丸」を押し退ける程の威力を持つ。 連撃必殺・富嶽鉄槌割り(れんげきひっさつ・ふがくてっついわり) 連続で放つ「富嶽鉄槌割り」。 富嶽山嵐(ふがくやまあらし) 富嶽三十六剣序列第四位。周囲を上に巻き上げるように斬り上げる。実際は「相手の攻撃の流れ」を読み返し刀を絡めて奪い取るカウンター技であり、仁兵衛は松阪和歌山城にある西の丸庭園の池の中で根津甚八の「水神猛軍」を返し、さらには池の水を全て吹き飛ばすという芸当を見せている。昇り龍(のぼりりゅう) 「富嶽山嵐」で巻き上げた水柱に乗り、空中で回転が加わることにより威力の増した刀の柄による一撃を喰らわせる。 富嶽巌砕突き(ふがくがんさいづき) 手の内で捻り込みながら刀の方向を定め、腰を正中線からぶらさずに左足の脚力を腕に伝え、螺旋状の斬撃と共に真っ直ぐかつ強力な突きを繰り出す。元々仁兵衛は突き技を苦手としていたが、勘介の指導により修得した。 富嶽虎逢断ち(ふがくとらあいだち) 上総国での修業で修得した技。刀を振り上げ、虎の爪痕のような三つの斬撃を同時に繰り出す。 富嶽霞潰し(ふがくかすみつぶし) 上総国での修業で修得した技。逆手に持った刀を内側から払うように振るい、相手を斬りつける。 富嶽渓流捌き(ふがくけいりゅうさばき) 相手の複数の攻撃に刀を当てていなし、後方に受け流す。 富嶽泰山斬り(ふがくたいざんぎり) 月島流奥義にして富嶽三十六剣最後の技。刀を背中に担いだような構えから振り下ろし、相手を一刀両断する強烈な兜割り。使用時には膂力・速さ・技・気力の全てが大事だが、中でも相手の間合と呼吸を読み切ることが重要となり、相手と何度も斬り結んでその者を知らなければ使うことが出来ない。また、相手との間と呼吸を細かに計る必要があり、使用者自身も構えを作って呼吸を整え絶好の間で刀を振り抜かなくてはならないため、間と呼吸のどちらかを潰されるだけで使用できないという弱点もある。 元々は約十四寸(約40cm)の鉄兜を斬るという武士の理想である兜割りを実現させるために考案した技。若い頃の源十郎でも三寸しか斬れなかったが、各地にいる兜割りに挑んだ8人の剣の達人を訪ね、彼らから「間」「呼吸」「膂力」「踏み込み」「刃筋」「気」の技と秘訣を託され、それに「剣の重み」を加えることによって完成させた。 常世の光(とこよのひかり) 「常世の巫女」神技で元は母である叶の技。「常世の巫女」の白くなった長髪を刀に巻き付け、超巨大化した刀身から繰り出される一撃。作中では「天羽々斬剣」で使用して「富嶽泰山斬り」を繰り出し、鳰を日本列島ごと一刀両断するほどの威力を発揮した。 無涯(むがい) 声 - 寺島拓篤 蟲退治集団・蟲狩の元メンバー(アニメ版では元リーダー)。20歳。身長192cm。8月12日生まれのA型。 両脇から三日月状に大きく飛び出た長い銀髪と鋭い目つきを持つ痩身の男性。黒い甲冑の上に右側だけをはだけた青い着物を纏っている。無口かつ傍若無人な性格で、蟲に対する憎悪から蟲退治をすることを何よりも最優先する。一方で極度の負けず嫌いであり、真田に負けたことを一向に認めないなど子供っぽい所もある。作中ではよく座禅をしてたくさんの動物が集まっている様子が見られ、そのため動物に詳しく中でも隼が好きらしい。その強さは江戸中の人間に知れ渡り蟲奉行も実名で褒めるほどであり、作中世界で流行の歌舞伎の題目「蟲狩の無涯」としても有名である。好きな食べ物は鍋で山育ちなため海魚が苦手。 「蟲退治」のスペシャリスト。切断した蟲の一部を取り込むことができ、長い柄に鎖が仕込まれた異形の大刀「塵外刀」を武器に用いる。真田に破壊された後は兄の有虚の「塵外刀」である滅蟲邪刀「ムシカリ」と共に一つに鍛え直し「塵外刀真打」を完成させた。市中組の最大戦力にして蟲狩の一番の剣の使い手でもあり、蟲奉行所のメンバーの中でも特に優れた蟲退治の腕前を持ち、天下無双の才人と呼ばれるほどの強さを誇るが、これらは蟲と戦うためだけに磨き上げた変則的な戦法であり、統率された兵士などの正攻法には相性が悪い。蟲の毒や幻覚があまり効かない体質であり、人間に変装した霧隠才蔵を匂いだけで見抜いている。 8年前、飛騨高山にある蟲狩の隠れ里・小里村で有虚や妹の空をはじめとした後の蟲狩メンバーと共に平和に暮らしていた。当時は黒髪で兄を制止する立場にある冷静な性格だが、比較的感情は豊かだった。しかし、秦河勝の子孫である自分達を狙った黒い蟲の襲撃によって妹や村人達を殺され、以降蟲を滅ぼすために鳰が見つけた咎神の秘薬を飲んで銀髪の風貌になり蟲狩を結成した。同時に空の残していた書から彼女が鳰の正体を疑っていたことを知り、3年前鳰が果たしたがっていた蟲奉行暗殺に単独で動き、空の考えが正しいかを確かめるため真偽を問い質した。この際に彼女から蟲奉行所が作られた目的を知らされ、常世の蟲を倒してそれを証明するまでの間どんな敵や困難からも蟲奉行を守るという約束を交わしており、彼女に対してはため口で話している。しかし、鳰によって裏切り者のレッテルを貼られて蟲狩から居場所を失い、真実を言おうにも言えずに幕府側についた。 仁兵衛のことを「芋坊主」と呼ぶ。当初はその弱さから使い捨て程度に考えていたが、芯にある強さを示した仁兵衛を後に評価するようになる。当初は仲間を軽視し交流もあまり持たないでいたが、仁兵衛達とのお勤めを経て次第に憎しみとは程遠い感情を抱いていった。蟲奉行から「仁兵衛は蟲狩か?」と聞かれた際何も回答しなかったが、彼の変貌を見た時に有虚と同じ反応をしており、「常世の巫女」の力のことをある程度知っていた模様。江戸冬の陣閉幕直後、父を喪いながらも前を進むことを決意した仁兵衛の成長を察し、ここまで来た彼の実力を認めて「もう芋坊主と呼ぶべきではない」として仁兵衛を名前で呼ぶようになった。常世の蟲の襲来後、真白から「塵外刀」を鍛え直すのに必要な死亡した蟲狩のメンバーの遺骨を渡され、かつての仲間を「塵外刀」を鍛えるために使うことに苦渋の思いで心が凍みながらも完成させた。大阪城では、天間・壱与と後藤の戦いに駆け付け、江戸冬の陣で苦戦した後藤をものともせずに勝利し、そのまま有虚と鳰の戦いに乱入。今まで敵対していた有虚をようやく「兄貴」と呼んで先に死なないことを約束させて互いに和解する形で共闘し、常世の蟲の力を奪った鳰を殺し得る能力を持った自分と有虚との阿吽の連携で追い詰める。しかし、鳰の「守りの翅」によって一気に形勢逆転されるが、回復した仁兵衛が駆け付けたことで窮地を脱する。鳰が神本来の姿になった際には追い詰められていく仁兵衛を助けるため「塵外刀変化」で常世の蟲を取り込み、鳰の圧倒的な力の前に死の恐怖を感じながらも仁兵衛の援護で隙が出来た鳰を宇宙空間まで追いかけて彼の2枚目の翅を斬ることに成功した。翅を斬るにつれ化け物染みた姿となる鳰に圧倒されるが、仁兵衛の奮闘により鳰が弱体化。鳰への無限の恨みと「殺しても殺したりないほどのゲス野郎」でいてくれたことへの僅かな感謝を込めて3枚目の翅を斬り、最後を仁兵衛に繋げた。鳰との決着後、常世の蟲が自身に関するものを全て常世の国に持ち帰ったことで有虚達蟲狩と共に髪の色も元に戻り8年に渡る復讐から解放され、何を目的に生きていけばいいのか分からず呆然となるが、仁兵衛に「一緒に江戸の青空を見上げ、その後に稽古をつけてほしい」と頼まれた。 蟲奉行所解散後は長福丸から家臣としてスカウトされるもこれを断り、有虚ら元蟲狩の生き残り達と共に故郷の小里村に戻って鍛冶屋を営んでいる。 技 塵外刀「鉏の型(さいのかた)」 柄をバラバラにし、鎖で繋いだ「塵外刀」で遠距離の相手を切り裂く。鎖で刀身を自在に操ることで相手に動きを読ませずに攻撃できる。風壁(ふうへき) 鎖で繋いだ「塵外刀」を振り回し、ドーム状の斬撃の壁で攻撃を防ぐ。 飛水(ひすい) 鎖で繋いだ「塵外刀」を投げ飛ばし、相手に突き刺す。鎖を巻き付けて人の救助にも用いられた。飛水 二之矢(ひすい にのや) 「塵外刀」を再び投げ飛ばした上で刀身に乗り移動する。 砕氷(さいひょう) 鎖で繋いだ「塵外刀」をヨーヨーのように高速回転させ、相手を切り刻む。 雪牙(せつが) 鎖で相手を拘束し、「塵外刀」を相手の頭上に突き刺す。 瀑布(ばくふ) 「塵外刀」を振り下ろし、相手を切断する。 塵外刀変化(じんがいとうへんげ) 「塵外刀」を刺した蟲の体の一部を取り込み、刀身を変化させる。使用時にはかなりの気力と体力を消費する。吸収する際には「太秦は、神とも神と聞こえくる常世の神を打ち懲ますも」と唱える。吸収した蟲の能力は一度しか使役できないが、「真打」に鍛え直した後は蟲の能力は記憶されずっと使用することができるようになり、死亡した蟲狩のメンバーの遺骨で鍛えた後は今まで吸収した複数の蟲の能力を融合させ同時使用することが可能になった。型式「兜(カブト)」 益荒王兜の角を取り込んで「塵外刀」を超巨大な極太の刀身へと変化させ、それを振り下ろして相手を一刀両断する。この状態で使用する「飛水」「砕氷」は文字通り大規模かつ広範囲な攻撃と化す。返しの太刀(かえしのたち) 「兜」を横薙ぎに振るい、大勢の相手を蹴散らす。 型式「蟋蟀(コオロギ)」 蟋蟀の蟲人・霧隠を取り込んで「塵外刀」を蟋蟀の翅状で2本の触角が生えた刀身へと変化させる。振動で放つ強大な音を刀を振り切ることで波動として放つことができる。 型式「揚羽(アゲハ)」 蝶の蟲人・真田の「黒丸」を取り込んで「塵外刀」の刀身を黒鱗刀「正宗」へと変化させる。真田同様、無数の「黒丸」を操ることができる。塵外・黒鱗刀(じんがい・こくりんとう) 「正宗」になった「揚羽」の刀身で相手を斬りつける。 型式「百足(ムカデ)」 百足の蟲を取り込んで「塵外刀」の峰に生えた百足の尻尾で相手を捕縛する。 型式「雀蜂(スズメバチ)」 雀蜂の蟲を取り込んで「塵外刀」の柄頭に生えた球状の毒針を相手に伸ばして突き刺す。 型式「蟷螂(カマキリ)」 型式「鬼蜘蛛(オニグモ)」 型式「蚤(ノミ)」 型式「蜉蝣(カゲロウ)」 型式「常世(とこよ)」 常世の蟲を取り込んで「塵外刀」を蝶の翅のような意匠がある刀身とそこから腕に巻きつく防具に変化させ、背中に黒く小さな翅を生やした姿になる。常世の蟲同様、「翅にて空間を自在に操る」能力により翅の衝撃波や瞬間移動を使うことができる。 火鉢(ひばち) 声 - 大久保瑠美 火薬の扱いを得意とする忍者一族の末裔。16歳。身長158cmで3サイズはB84(Cカップ)、W57、H87。7月20日生まれのA型。 ツインテールの髪型と、リボンの付いた腰帯に加えミニスカートにニーソックスのような忍装束が特徴の少女。蟲狩との戦いの後の修行後は黒いマフラーのようなものを巻き、上総国での修業後は端に黒い毛皮が付いた薄紫色の外套を羽織っている。下着は白のふんどしを着用。サービスシーンでは仁兵衛が絡むことが多く、火薬玉か拳で制裁を加えている。強気かつ勝気な性格だが、お勤めで紀州に赴いた仁兵衛の身を案じたり、江戸冬の陣閉幕後に父を喪った彼を元気づけたいと考えるなど根は優しい面も窺える。市中組の中でも蟲の生態や蟲に征服された西日本側の事情に詳しく、おにぎりを作っていた辺り料理もできる模様。家族は祖父・弥三郎や妹・いろりの他に医者と花火師である2人の兄(声 - 下崎紘史、下妻由幸)がいる。 「発破」のスペシャリスト。火薬玉を用いた発破で戦う他にも接近戦用の小太刀を使用し、巨大蟲を手玉に取る身軽で高い身体能力を持つ。また、普段着ている上着を凧代わりにすることで空を飛ぶことも可能で、赤い煙を出す煙玉も作っており、苦無による的当ての技術は弥三郎よりも優れている。因みに忍術の流派は「珍宝流」だが、名称が恥ずかしいので他人にはあまり言いたがらない。 紀州藩方面の忍び里の出身。10年前、生活のため忍から別の職に移った人々の暮らす里で、唯一忍者であり続ける祖父に憧れ彼のような忍になる夢を持っていた。しかし、当の弥三郎からは猛反発された挙句、忍の修行を始めてからはそれを時代遅れと周囲に馬鹿にされ、里では誰からも孤立した幼少期を送っていた。 初めてのお勤めの時に無涯に助けられており、彼に憧れを抱いている。当初、無涯の相方として選ばれた仁兵衛には対抗心を燃やしていたが、あるお勤めをきっかけに「ライバル」となったことで少し気になり始め、彼を単なる仲間以上に意識している場面が多く、周囲(主に春菊や蜜月、いろり)にからかわれている。また、自分と同じく仁兵衛に特別な想いを抱くお春・蟲奉行には嫉妬はしていないもののどこか思う所がある様子。上総国での修業において、以前よりも仁兵衛と一緒にいる時間が増えたことで彼の習慣を覚えて誰よりも強くなろうとしたその想いを理解するようになり、自分が仁兵衛に好意を寄せていることを自覚するが、悔しさから当の本人が自分の想いに気付くまで言わないことにした。常世の蟲の襲来時には中尸と対峙するが、その正体が祖父である弥三郎であることを知って愕然とする。大阪城では再び弥三郎と戦い、その圧倒的な実力差と祖父に認められない絶望感から戦意喪失しかけていたが、義怜に「憧れの存在は常に越えるべき相手」と諭され仁兵衛のように「日の本一の忍者」になることを決め、弥三郎に唯一勝る的当ての技と「姫椿」の重ね掛けで勝利した。圧倒的な鳰の力を前に、仁兵衛を失う事への恐怖から戦場へ赴く彼を引き留めようとするが、戦いを終えて仁兵衛が絶対に帰ってくると信じて彼と手を合わせ激励の言葉を送った。 蟲奉行所解散後は仁兵衛の妻の一人になり、彼との間に3子を儲ける。7年後には髪を短くしており、江戸の豪邸にて未だにお春・蟲奉行らとは正妻の座を譲らないなど女の戦いを続ける一方で一つ屋根の下で仲良く暮らしている模様。 武器・技 紫陽花玉(あじさいだま) 体をひるがえして飛びあがりながら、複数の火薬玉をばら撒く。紫陽花玉 十蓮華(あじさいだま じゅうれんげ) 「紫陽花玉」を円を描くように10個空中に放り、同時に爆発させる技。 鳳仙花玉(ほうせんかだま) 火鉢の自信作である火薬玉。脚長脚留蜂の巣を一撃で破壊する威力。 秘技・小太刀千花(ひぎ・こだちせんか) 逆手に持った小太刀で相手を切り刻む技。 姫椿(ひめつばき) 八丈島での蟲狩との戦いの後、修行のために紀州へ帰郷し修得した発破術。柄頭に仕込んだ火薬で加速させ、突撃した相手を深く括り付ける刃が先端に付いた苦無型の爆弾。姫椿連華(ひめつばきれんか) 上総国での修業で修得した技。10本の「姫椿」を縦に連結させ、貫通力を特化させた一撃を放つ。弥三郎との戦いでは「姫椿」の数を二倍にした「二十連華」を使用しこれ以上は腕に負荷が掛かったが、弥三郎の発破の壁を破るためにさらに「四十連華」「百連華」まで追加させた。 火柱紙震爆(かちゅうししんばく) 元々は弥三郎の技。特別な火薬を塗った無数の「火」と書かれた紙を貼り付け、一定の振動を与えることで爆発させる。 牡丹灯籠(ぼたんどうろう) 上総国での修業で修得した発破術。流れのある空気を取り込んで爆発し続ける「青色火薬」という特別な火薬で作った蓮のような飾りが付いた火薬玉から巨大な青い炎を発火・放出し、相手の動いた空気に向かって追尾誘導しながら燃やし尽くす。 恋川 春菊(こいかわ しゅんぎく) 声 - 江口拓也 500人以上の人を斬った大罪人。24歳。身長182cm。12月31日生まれのO型。 身体中に傷跡がある長身の男。頭に布を巻き、上半身が大きく開いた炎の模様があしらわれている黒い着流しを身につけている。上総国での修業後は地肌の上に2本の刀を付けたマントを羽織っている。蟲退治に手を貸す代わりに斬首を逃れており、その経歴ゆえに現在でも彼を恨んだり恐れたりしている人は多い。春菊自身も自分が悪党であることを自覚しており、「悪人は天道を見上げて死んではならない」という考えから自分が大空に仰向けに死んでいたらうつ伏せにしてくれと仁兵衛に頼んでいる。その一方、陽気で飄々とした性格で、いつも酒瓶を携帯し飲んでいるほどの酒豪。口癖は「カカ」。仁兵衛のことを「兄(にい)ちゃん」、無涯を「ダンナ」、火鉢を「姉ちゃん」、天間を「坊ちゃん」、小鳥を「小鳥ちゃん」と呼ぶ。犬が苦手。小鳥には過去に大きな借りがあり、彼には頭が上がらない。 「斬撃」のスペシャリスト。我流による凄まじい剣の腕前を持ち、ろくに手入れのされていない刃こぼれした刀や竹の皮で硬い岩石や蟲の外殻、大砲を易々と斬ることができる。お勤めの際には何本もの刀を持ち歩き、主に二刀流で戦う。その太刀筋の根源は「思想(おもい)」であらゆるものを斬り裂く「意志の剣」であり(毛利曰く「想いの扱い方を人より知っている」)、後述の過去からその技を手に入れた。 元々は大盗賊団「黒蜘蛛組」頭首・左之助の息子にして若頭であり、少年期は心優しい性格から人斬りが出来なかったが、病に侵され死を望む母・お菊を斬ったことで「死こそ救い」と考えるようになり、全ての人を苦しませず一瞬で眠らせる(殺す)ための強さを求めた結果、純粋なまでの殺意とそれに裏打ちされた強さを手に入れた。だが、あまりに人を殺しすぎたせいで本格的に幕府から追われる羽目になって黒蜘蛛組は散り散りになり、2年前に黒蜘蛛組の一員だった松兵衛が大地主を務める関八州北の山深い村に身を隠し、そこで彼の娘である千鶴と出会う。彼女から本来の優しさを見抜かれて自分の手が刀で人を殺す以外でも道があることを教えられ少しずつ人斬りから離れていったが、蟲に襲われていた松兵衛を庇って千鶴が命を落とした際に己の保身しか考えてなかった松兵衛に激昂し、彼を殺害した。その後、千鶴の亡骸を彼女が気に入っていた松の木がある丘に埋めようとしたが、自分を捕えるために待ち構えていた大岡率いる500人の火盗改や町奉行所同心と相対し、小鳥・尾上・白榊の加勢によって捕縛された。その7日後、自分が磔にされる際に現れた蟲から親子を助けたことで小鳥に蟲奉行所に誘われ、彼に千鶴を弔ってもらった恩を返すため、まだこの手が必要とされていたことで蟲奉行所に入った。同時に愛ほど失った時辛く苦しく報われないものはないと知り、自らの手にあるのは怒りと殺意だけだとしている。 その剣の腕の高さから仁兵衛に剣の師匠として仰がれるようになり、誤って火盗改に捕まった際に自分を嫌う他の者達とは違い自分の無実を信じてくれた仁兵衛に心を開くようになる。その後は彼に剣の稽古を付けたりと面倒見の良い一面を見せ、仁兵衛からも「春菊が負けることは無涯が負ける位ありえない」と言われるほど信頼されている。昔の春菊の強さを知る者達からは「ずいぶん丸くなり、以前よりも遥かに弱くなった」といわれていたが、松坂和歌山城の戦いで以前の自分と同じように「死こそ救い」と考える青海・伊佐兄弟に激昂・勝利したことでかつての殺意が再び表面化し始める。後に自分と同じ剣を持つ毛利に敗れたことで彼との因縁が生まれ、大阪城では天守閣最上階にて毛利と再び対峙する。互いに想いで全てを斬り裂く者同士の壮絶な死闘の中で何も守れなかった己への怒りと殺意に呑まれ、毛利に両腕や右脇腹を斬り裂かれ胸を貫かれる致命傷を負わされるが、仁兵衛の呼びかけに応じて正気を取り戻し口に銜えた桜の花びらに込めた「命を懸けて仲間を守る」想いにより、毛利はおろか天守閣の屋根とその上にある巨大な繭をも一刀両断し勝利した。戦いの直後悪党の自分が望む「うつ伏せ」に倒れるが、「自分にとって悪人ではなく、自分達にとって大切な蟲奉行所の仲間だった」と主張する仁兵衛に「仰向け」にされ、彼に千鶴の姿を重ねて笑みを浮かべ仁兵衛に看取られながら息を引き取った。 鳰との決着後は千鶴と同じ関八州北の山深い村にある松の木がある丘に墓が作られた。 アニメ版では、人斬りが出来ず微妙な立場にあった自分を唯一気にかけてくれたお菊が何者かに殺害されたことによって人斬りに堕ちた。当初殺害したのは左之助だと思い込んでいたが、小鳥からお菊を殺害したのは蟲狩だと教えられ、蟲狩に対して並々ならぬ殺意を持っている。99人を斬り殺したことで「九十九斬り」の異名を持った。 技 懺斬り(ざんぎり) 両手に持った刀を振るって相手を細切れにする。 慈愛斬り(じあいぎり) かつての殺意を思い出した状態で四方八方に閃光状の斬撃を放ち、相手が塵になるまで切り刻む。一瞬で相手が痛みを感じる暇もないほどの太刀筋。悲愛一斬(ひあいひときり) 上総国での修業で修得した技。さらなる殺意(おもい)を乗せて相手を斬り裂く「慈愛斬り」の強化版。毛利の「心剣」と同等の威力を持つ。悲愛乱斬(ひあいらんぎり) より鋭さを増した「悲愛一斬」の強化版。 乱残穢(みだれざんえ) 斬撃を飛ばせるほどに強くなった想いで可能になった技。自分の周囲に刀を置いて振り上げるだけに動作を限定することで最短で斬撃を繰り出す。 一乃谷 天間(いちのたに てんま) 声 - 芹澤優 陰陽道を司る土御門家の流れを汲む御家・一乃谷家出身の陰陽師。11歳。身長136cm。5月10日生まれのAB型。 大人しく少し気弱なおかっぱ頭の少年。頭巾のようなものが付いた緑色の大きめの和服を着用している。虫が苦手という弱点を抱えており(巨大蟲はもとより、日常で見かける虫ですらダメ)、さらに暗所・大きな音・狭い所・高所・運動も苦手であるが、「できる子」を自称し周囲には隠している(サンデー超版とアニメ版では仁兵衛の助力もあり、ある程度克服している)。また、戦闘でも表面上は平静を保っていても内心では臆病でビビっていることがある。蟲人の一件以降、モコ太の覗きに巻き込まれたことを切っ掛けに火鉢の妹であるいろりに好意を寄せているが、当の本人からはそのことで軽蔑された挙句(後に誤解は解けたが)彼女は仁兵衛を慕っているため仁兵衛を羨ましがっている(というより嫉妬している)一方、親の顔を知らない者通しで自分の理想の人物だと信じていることには共感を抱いている。 「防壁」のスペシャリスト。無尽蔵な術力で式神を操ることができ、蟲との戦闘では二体の紙人形の式神「為吉(ためきち)」「末吉(まつきち)」を巨大化させて戦う。反面、天間本人は心身共に未熟なため、集団戦では後方支援に徹している。修行後は「為吉」は早さ、「末吉」は力が三日三晩両親の手で強化され、大きな折り鶴に乗って空中を移動している。 土御門家の血筋の中でも唯一の術力を持つ子供として生まれ、お家再興の希望として担ぎ出されて3年前に蟲奉行所に入ったが、他のメンバーと比べて名が挙がらないことで本家からは冷遇されている。物心つく前から両親(声 - 下妻由幸(父)、若林彩子(母))は自分を見捨てて逃げ出し蟲に食い殺されたことで一度も会ったことが無く、祖母の棗の「両親は生きていて一族のしきたりで会えないことになっている」という嘘によりお勤めを果たしていつの日か出会うことが彼の原動力となっている。幼少期は小さな式神も操れない「一」だけのごく些細な術力しかなく、修行途中で見つけた五行太極暗法に手を染め、一族の主達によってそれを何度も繰り返したことで現在の「百」の術力を手にしたが、その代償で体内の気脈もボロボロになり、20歳まで生きられない体になってしまった。 常世の蟲との戦いの後、雛姫によって公家見廻り組に所属することになり、彼女から陰陽絡繰式神・壱与の起動を任され術力を送り込むが、朝廷の官吏のねぎらいから両親が自分を捨てて死んだことを知り、その悲しみから増幅した術力で壱与を暴走してしまう。しかし、雛姫から「為吉」「末吉」を棗が作ったことと彼女に愛されていたことを知らされ、棗に自分の一番大事な人になってほしいと約束して壱与の暴走を止め、騒動後市中組に戻った。大阪城では、壱与と共に大阪城外で黒い蟲の相手をしていたが、そこに現れた後藤と対峙。彼の防御力の前に一切の攻撃が通じず、さらには術力が尽きかけてきたことで五行太極暗法で打った点穴から血が噴き出して自らの残り少ない寿命を削ってでも戦うことを決意し、壱与との決死の連携技で一矢報いるも倒すには至らず「為吉」「末吉」も破壊され追い詰められるが、駆け付けた無涯によって助けられた。 蟲奉行所解散後は、残り少ない余生を人助けに費やすべく、壱与と新たな式神「朱雀(すざく)」「青龍(せいりゅう)」を伴い全国を行脚している。身長も伸びて立派な青年になり寿命が近づいている故に常に吐血に苦しめられるも、「楽しく一生懸命全力で生きる」ことを胸に己の死に悲観することなく前を向き続けている。 技 急々如律令(きゅうきゅうにょりつりょう) 術力を送り込んで「為吉」「末吉」を巨大化させる。全力つっぱり 巨大化させた「為吉」「末吉」の腕を伸ばして張り手を放つ。全力連続つっぱり 早さが強化された「為吉」で連続で張り手を放ち、相手の動きを封じる。 全力大つっぱり 力が強化された「末吉」で強烈な張り手を放ち、相手を仕留める。 ぐるぐる抑え込み 巨大化させた「為吉」「末吉」の腕を伸ばして相手を巻き取り、そのまま引っ張り出す。 大横綱Ver.(だいよこづなバージョン) 「為吉」「末吉」を合体させ(火鉢曰く重なっただけ)、その頭に形を変えた折り鶴を乗せ天間が搭乗した状態で、目が光っている。力に早さを乗せてさらに強化されており、天間自身は術力を送り続けることで三位一体の攻撃を繰り出すことが可能。最大で一町(109.09m)まで腕を伸ばすことができる。全自動殲滅機能作動(オートキラーモードアクチュエーション) 「大横綱Ver.」を全自動(オート)にすることで天間の指示より速く的確に動く。 全力大横綱つっぱり 「大横綱Ver.」の腕を遠方まで伸ばし、相手を吹き飛ばす張り手を放つ。 大横綱全力押し出し 「大横綱Ver.」で手に乗せた味方を遠くへ押し飛ばす。 スーパードリル 「大横綱Ver.」の腕を螺旋状に捻じ曲げ、相手に突き刺すような張り手を放つ。連続全力スーパードリル 天間の最大攻撃。連続で相手に突き刺す「スーパードリル」。 全力投擲 「大横綱Ver.」で手に乗せた物を遠心力を利用して勢いよく投げ飛ばす。作中では壱与の「オプティカルラインランス・デトネーター」を発射するために使用した。 折り鶴高速飛行モード 乗っている折り鶴の形を変え、空中を高速で移動する。 鬼怨滅私 急々如律令(きおんめっし きゅうきゅうにょりつりょう) 術力を送り込んで「朱雀」「青龍」を巨大化させる。 松ノ原 小鳥(まつのはら ことり) 声 - 宮野真守 市中見廻り組与力。松ノ原道場の一人息子。26歳。身長176cm。11月23日生まれのAB型。 眼鏡を掛けて黒い羽織を身に纏い、大きな鳥の嘴のような形の独特の髪形をした男性。主に市中見廻り組の事務を担当しており、自らが蟲と戦うことはない。穏やかな性格だがそれゆえか何かと気苦労が多く、特に他人に対する興味が希薄な同心(仁兵衛以外の4人)の扱いには手を焼いていたが、そんな4人の心を開いていき、日々成長していく仁兵衛に期待を寄せている。蟲人が西日本を征服している情報を隠しており、それに近づいた長福丸には詮索しないよう釘を刺している。俳句が趣味。 江戸随一と言われる松ノ原道場の剣術「花鳥風流(かちょうふうりゅう)」の使い手で、特に居合い術は「神業」と評されるほどの腕を誇る。勘の良さと最小限の動きだけで相手の隙を作り、それによる柔軟かつ自由奔放な剣を得意とする。かつては「神童」と呼ばれており、大岡を含め剣を志す者達の羨望の的と言われていた。蟲狩の一人・戒汝を単独で仕留めるほどに戦闘力は高く、アニメ版では蟲人の二人を一瞬で斬り殺している。また、刀傷を見ただけでどの剣術によるものかを見抜く慧眼の持ち主で、気を当てるだけでも人斬りだった頃の春菊を怯ませるほど。 快活な気性と天賦の才で10歳時には父親に勝って師範代になり、12歳時には御前試合で江戸一の腕前と称されるなど天才的な剣の腕を誇っていたが、一度も努力せずにいたことで自分の実力に慢心しており、3年前に受けた幕府の命で蟲の生態と動向の調査、常世の蟲の討伐のために大阪遠征に参加し、そこで道場の門下生と徳川兵を毛利によって全滅させられる。自身もまた初の敗北を喫し、仲間の仇を取るために努力して強くなることを誓うが、その際に右腕に負った傷でまともに刀も持てない状態になってしまい、剣の道を断たれることとなった。 自分と似た家庭環境で育った仁兵衛には当初こそ内心では「稚拙で幼稚な剣の実力」と称していたが、一度の努力も出来なかった自分と違って誰よりも強くなろうとし、皆から全てを託されるほどの武士に成長した仁兵衛に次第に憧れるようになった。大阪城では、仁兵衛を常世の蟲に到達させるため因縁ある毛利の相手を務め、相手の苦手な部分をあぶり出す形で追い詰めるが、蟲の能力を発揮した毛利に右腕を斬り落とされる重傷を負う。それでもなお戦意を失わず足止めしようとするも、常世の蟲の異変を感じた毛利に勝負を中断された。 蟲奉行所解散後は、江戸の松ノ原道場を継いで弟子達に剣を教えている。 技 天×(てんバツ) 両腕を振り上げた動作から相手を×字状に斬り裂く居合い斬り。ただし、作中では不発に終わっている。 鳴雲雀(なきひばり) 剣術で最も剣速がある居合いを極めた技。本気で抜いた刀の切っ先から音速を超えた鋭い衝撃波を飛ばし、相手を斬りつける。刀を抜いた際に鳥が啼いたかのような音を発する。
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