蟲奉行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 09:43 UTC 版)
蟲奉行(ムシぶぎょう) 声 - 潘めぐみ 新中町奉行所(蟲奉行所)を束ねる従二位・別格老中。身長140cm。 2つの鈴を下げた帽子を被った長い銀髪の女性で、仁兵衛が少女だと思うほどに外見は幼いが実際には通常の人間より長く生きている。一人称は「妾」。一部の人間や常世の蟲、真田などからは「姫」と呼ばれ、丁重に遇されるなど蟲人達とも深い関わりにある。蟲から江戸を守る要とされ、それ故に自由もなく畏敬と侮蔑の念を周囲から受け続ける日々を諦観と共に過ごしていたが、仁兵衛と出会い彼という信頼できる人間が出来たことで心を開いていく。仁兵衛には初対面の際の経緯から「蟲奉行」本人だとは思われておらず「(蟲奉行様の)お付きの人」と呼ばれており、彼との関係を維持するため敢えて素性を明かさず他人が訂正しようとしても制止していたが、後に常世の井戸で蟲奉行の記憶を垣間見たことで仁兵衛は「蟲奉行」本人だと知ることになる。 強烈な酸性の毒を自在に操る能力を持ち、空気中の毒の濃度を高めながら敵の武装や障害物を溶かして戦う(そのため他人に触れることができない)。本気で戦う時は髪は勿論服すらも黒く染まり、巨大な黒い蝶の翅と蟲狩ですら耐えられない毒を展開する姿「黒揚羽(くろあげは)」になる。また蟲狩達との戦いの中、戦いながら彼らを仁兵衛から遠ざけるよう誘導してみせるなど、「黒揚羽」にならずとも戦闘能力はそれなりに高い。 元は豊臣秀頼の息女で本名は奈阿姫(なあひめ)。100年前の幼少期は人見知りかつ虫が好きで、父や母(声 - 高橋理恵子)と共に大阪城で暮らしていたが、両親以外の女中達からはその様子を気味悪がられていた。父の所用による遠出の帰りに寄った紀州で芋虫の姿の常世の蟲を見つけ1年間共に過ごしたが、自分以外には常世の蟲の声は聞こえないことで益々周囲と孤立していった。慶長20年5月7日、大坂の陣で徳川軍に敗れて城は落ち、逃げ惑う最中に女中に切り捨てられ徳川兵に串刺しにされて一度死亡するが、常世の蟲に彼の半分以上の力を与えられたことで生き返り不老不死の体と毒の力を得た。その後は父の命と引き換えに徳川方に保護され、千姫の養女になって東慶寺で外界から離れて暮らし、身に纏う毒気から倦厭され続けてきたが、10年前の徳川吉宗の代になって江戸に迎え入れられ、自ら幕府への協力を申し出た。 夏になったことで「御籠り」に入るため八丈島にある「離れ」に向かう。蟲狩との戦いでは仁兵衛を信用することが出来ずに重傷を負わせてしまった負い目から「黒揚羽」で蟲狩と戦うが、蟲狩の切り札である滅蟲邪刀「ムシカリ」を撃ち込まれたことで能力を失い窮地に立たされる。仁兵衛を助けようとして抵抗するも失敗し、あわやという所で増援に来た無涯を含む市中組の援護を受けて撤退、仁兵衛を背負って逃走し、追撃を掛けてきた蒼願に殺されそうになるが、覚醒した仁兵衛に救われる。暴走した仁兵衛を止めるために追いかけそこで蓋骨に取り押さえられて三度窮地に立たされるが、彼女の声に自我を取り戻した仁兵衛に再び救われた。 その後は仁兵衛を気にかけながら過ごすものの、失った能力を取り戻す術が紀州にあることを無涯から聞き、隠密道中の供として仁兵衛を指名する。言葉の端々から、自らに未来がないような素振りを見せる。真田との戦いでは無涯や正近と共に和歌山城の堀にある隠し通路から進入し仁兵衛・宗直と合流、常世の井戸の瘴気に無理やり引きずり込まれそこで力を取り戻し、心臓ごと「ムシカリ」をくり抜いて再び「黒揚羽」の姿になり真田を圧倒した。しかし、自分の力を感じて大阪から来た常世の蟲が現れ、仁兵衛達を守るために常世の蟲と共に大阪に行くことを決め、仁兵衛に別れを告げた。大阪城では常世の蟲を倒すための手段やその勢力、内情を探っている。 江戸冬の陣閉幕後、上尸の提案で常世の蟲に連れられて江戸に向かい、武蔵国僻地で仁兵衛と再会する。当初は常世の蟲に敵うはずがないと絶望していたが、自分の想像以上に実力を上げていた市中組と蟲狩、そして常世の蟲に刃を届かせた仁兵衛・無涯に加勢した。しかし、本来の力を発揮した常世の蟲に黒い蟲の上の建物に飛ばされ、そこで鳰に唆された仁兵衛の表情を見て自分を殺しに来たのだと悟り、自分を斬りやすくするために自身の過去と「淋しい」と言う相手を間違えたことが自分の犯した過ちだと告白した。結局は自分のことを想って斬ることが出来なかった仁兵衛の優しさを感じながらも自ら「天羽々斬剣」に貫かれ、彼女の力は常世の蟲に還っていった。しかし、理由は不明だが奇跡的に息を吹き返し、常世の蟲によって大阪城に運ばれた。 大阪城では、ゆずや長宗我部の口から仁兵衛達が大阪城に来たことや常世の蟲の力が鳰に奪われたことを知り、長宗我部の手引きにより大阪城の城下町まで脱出、無涯・有虚と鳰の戦いに駆け付けた仁兵衛と三度の再会を果たす。圧倒的な鳰の力を前に、仁兵衛を失う事への恐怖から彼を引き留めようとするが周りに諭され、仁兵衛に「鳰を倒し、一緒に江戸の青空を見上げよう」と初めての命令を下し、彼を見送った。そして決着後は江戸に帰り、約束通り江戸の青空を見上げた。 仁兵衛への想いは恋へと発展し7年後には仁兵衛と結婚、3人の子供の母親となっている。蟲奉行の役目を仁兵衛に譲り、自身は江戸の豪邸にて同じく彼と結婚した火鉢・お春らと共に暮らしているが未だに正妻の座を巡っている。 アニメ版では仁兵衛を守るために常世の井戸に入り、力を取り戻したが「黒揚羽」とはならなかった。取り戻した直後は記憶が消えていたが仁兵衛の文字通り体を張った説得と手に付けた「仁」の傷により思い出した。また、最後まで仁兵衛は彼女の正体を知ることはなかった。 技 死爪(しそう) 指先から長大な猛毒の爪を出し、相手を切り裂く。 滅ノ理(ホロビノコトワリ) 超巨大な毒の爆発を起こす。紀州の城下町を消し飛ばすほどの威力。
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