常世の神とは? わかりやすく解説

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とこよ‐の‐かみ【常世の神】

読み方:とこよのかみ

連語常世の国2の神。長寿・富などを授けとされる

太秦(うつまさ)は神とも神と聞え来る—を打ち懲(きた)ますも」〈皇極紀・歌謡


常世神

(常世の神 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/08 06:20 UTC 版)

常世神(とこよのかみ)は、『日本書紀』に登場する新興宗教。この神を祀ると、富と長寿が授けられ、貧者は裕福になり、老人は若返ると説かれた。

古来行われてきた共同体的な祭祀ではなく、個人の欲求を叶える信仰であるところに特色があるといわれ、民間道教の一種ではないかとの説もある[1]

新興宗教とされているが、皇極天皇3年(644年)当時から見ての事であり、関連のある常世の国信仰自体は更に古代から存在する。

概要

『日本書紀』によると、皇極天皇3年(644年)、東国の富士川の近辺の人・大生部多が村人にを祀ることを勧め、「これは常世神である。この神を祀れば、富と長寿が授かる。」と言って回った。巫覡(かんなぎ)等も神託と偽り、「常世神を祀れば、貧者は富を得、老人は若返る」と触れ回った。さらに人々に財産を棄てさせ酒や食物を道端に並べ、「新しい富が入って来たぞ」と唱えさせた。

やがて信仰は都にまで広がり、人々は「常世虫」を採ってきて清座に祀り、歌い舞い、財産を棄捨して福を求めた。しかし、全く益することはなく、その損害は甚大だった。ここにおいて、山城国の豪族秦河勝は、民が惑わされるのを憎み、大生部多を討伐した。巫覡等は恐れ、常世神を祀ることはしなくなった。時の人は河勝を讃え、

太秦(うずまさ)は 神とも神と 聞こえくる 常世の神を 打ち懲(きた)ますも
(秦河勝は、神の中の神と言われている 常世の神を、打ち懲らしめたことだ)

と歌った。 しかし、富を得ようとする者達が財産を手放す等のエピソードに疑問を抱く意見もあり、古い宗教観の復活で民が分裂する事を恐れて行った宗教弾圧を、正当化するための後付けだという説もある。

常世神の正体

アゲハチョウの幼虫

『日本書紀』では、常世神とされた虫について「この虫は、常にの樹に生る。あるいは山椒に生る。長さは4寸余り、親指ぐらいの大きさである。その色は緑で黒点がある。形は全くに似る」と記され、アゲハチョウの幼虫ではないかといわれる。

解説

右近の橘 (京都御所)

常世の国」は、海の彼方にある、不老不死の世界のことである。大国主命の国造りを助けたスクナヒコナ命や、浦島子(浦島太郎)が行ったのが常世の国といわれる。この常世の国には、「時じくの香(かぐ)の木の実」という、不老不死の仙薬になる木の実が生えており、『記紀』では「橘」のこととされる。橘は常緑樹で、雪や霜にも負けずに繁茂し、その実も保存の利く植物であるために、常世の木と同一視されるに到った。橘に発生する「虫」が常世神とされたのも、これに関連づけられている[2]

秦河勝

当時、仏教の信仰に篤い豪族は他にもおり、また、秦河勝より強い政治権力を持った人物も多かった。なぜ河勝ひとりが、常世神信仰を討伐したのかについては、全国に秦人・秦部を抱え、殖産興業を推進してきた秦氏としては、民の生産・経済活動を停止させる宗教は、看過できなかったとする考えがある。また、渡来氏族である秦氏の河勝は、新興ではあるが原始的な「神」を恐れることなく、これと対決できたのではないかとも言われる[1]

脚注

  1. ^ a b 水谷千秋『謎の渡来人 秦氏』(文春新書、2009年)。
  2. ^ 及川智早「ときじくのかぐの木の実」『日本神話辞典』 大和書房 1997年。

関連項目

外部リンク


常世の神

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 08:08 UTC 版)

常世の国」の記事における「常世の神」の解説

前述のように、「」は常世の国生える「非時香果」のこととされた。『日本書紀』皇極紀によると、発生する「虫」を、常世神として祀る新興宗教富士川近辺起こり都にまで広がった旨が記されている。この神を祀れば、富と長寿授かる説かれた。 しかし、民を惑わすとして秦河勝討たれ常世神信仰終息した。

※この「常世の神」の解説は、「常世の国」の解説の一部です。
「常世の神」を含む「常世の国」の記事については、「常世の国」の概要を参照ください。

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