常世の国は死後の世界か理想郷かとは? わかりやすく解説

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常世の国は死後の世界か理想郷か

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 08:08 UTC 版)

常世の国」の記事における「常世の国は死後の世界か理想郷か」の解説

先に引いたように、常世の国へ至るためには海の波を越えて行かなければならず、海神ワタツミの神の宮も常世の国にあるとされていることから、古代観念として、常世の国海原分かちがたく結びついていることは明らかである。『万葉集』の歌には、常世の浪の重浪寄する国(「常世之浪重浪歸國」)という常套句があり、海岸寄せる波は常世の国へと直結している地続き(海続き)の世界ということでもある。 しかしながら常世の国には、ただ単に「海の彼方世界」というだけでなく、例えば「死後の世界」、「神仙境」、永遠の生命もたらす不老不死世界」、あるいは「穀霊故郷」など様々な信仰が「重層的」に見て取れる常世の国死の国という観想は、神武東征における御毛沼命常世の国渡りの話から読み取れる。これは、ヤマトタケルの東伐の中で弟橘媛が嵐を鎮めるために海に身を投げたというエピソード状況が非常に類似しており、仮にこの対比が妥当だとすれば御毛沼命は海に身を投げてわが身を生贄としたのであり、直接に「常世の国死後の世界」を暗示させるまた、常世の国神々住まう神仙境としても信仰されている。『万葉集』浦嶋子の歌におけるワタツミの神の宮(「常代尓至 海若 神之宮」)はまさに神の居所であり、『日本書紀』垂仁紀では、天皇崩御翌年に実を持ち帰った田道間守がついに間に合わなかったことを慨嘆して、「遠く浪を踏んで遙かに河川)を渡って至った常世の国は、神仙かくれたる国、俗のところではない。このため往来十年かかってしまった。帰還果たせないと思ったが、帝の神霊によってかろうじて帰ることができた」と述べている。 田道間守持ち帰った非時香果」はまさに永遠性象徴であり、常世の国渡った浦嶋子老いることも死ぬこともない世界至ったという『万葉集』の歌からは、常世すなわち永久不変の国という観想見られるそれ以外にも、常世の国渡った神話的存在いずれも多少穀物神豊穣神の属性持っていることから、常世の国豊穣穀物もたらす穀霊故郷としての信仰考察されている。すなわち、少彦名国造り協力した創造的な神であること、御毛沼命名義は「御食」に通じ穀物神要素を持つと考えられること、そして田道間守が「非時香果」を持ち帰ったという事績があることより、「豊穣穀物もたらす存在」と「常世の国」が結び付けられうる、とする考察である。

※この「常世の国は死後の世界か理想郷か」の解説は、「常世の国」の解説の一部です。
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