御毛沼命とは? わかりやすく解説

三毛入野命

(御毛沼命 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/04 06:16 UTC 版)

三毛入野命(みけいりののみこと)は、記紀等に伝わる古代日本皇族

日本書紀』では「三毛入野命」や「三毛野命」・「稚三毛野命」、『古事記』では「御毛沼命(みけぬのみこと)」と表記される。

神武天皇(初代天皇)の兄である。

関係略系図(表記・記載は『日本書紀』本文による)

鸕鶿草葺不合尊
 
玉依姫
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
彦五瀬命 稲飯命 三毛入野命 神日本磐余彦尊
1 神武天皇
 
 
 
天皇家

系譜

日本書紀』・『古事記』によると、鸕鶿草葺不合尊海神の娘の玉依姫との間に生まれた子で、初代神武天皇の兄である[1]

兄弟に彦五瀬命(五瀬命)・稲飯命・神日本磐余彦尊(神武天皇)がいるが、系譜・表記には次の差異がある[1]

  • 『日本書紀』
    • 三男「三毛入野命」 - 本文・第一の一書。
    • 二男「三毛野命」 - 第二の一書。
    • 四男「稚三毛野命」 - 第三の一書。
    • 四男「三毛入野命」 - 第四の一書。
  • 『古事記』
    • 三男「御毛沼命」

記録

『日本書紀』神武即位前紀では、兄弟とともに神武東征に従うが熊野に進んで行くときに暴風に遭い、「母も叔母も海神であるのに、どうして我々は波によって進軍を阻まれなければならないのか」と言って、波頭を踏み、常世に行ったとしている。

『古事記』では、事績は何も記されずに「波頭を踏んで常世の国に渡った」とだけ記されている。

考証

名前の「御」は敬称で、「毛」は「食物」、「沼」は「主」を意味するとされる[1]

伝承

宮崎県高千穂町の伝承では、三毛入野命は常世に渡ったのではなく、兄弟たちからはぐれてしまったので、出発地の高千穂に帰還したとする。高千穂には「鬼八(きはち)」という悪神がいて、人々を苦しめていたので、三毛入野命はこれを退治し高千穂の地を治めたと伝えている。三毛入野命は高千穂神社の祭神であり、その妻子神とあわせて「十社大明神」と称されている。

また三毛入野命を祖先と伝える高千穂太郎[2]の子孫[3]とされる三田井親武について、袴谷の三毛入野命の鬼八討伐の由来を継ぐ小祀と三田井親武の首塚を合祀した宮水神社宮崎県日之影町にある。

此地に三田井家とて、神皇第五代鸕鶿草葺不合尊が第三の御子三毛入野命より傳り五十二第に至て世子なきにより豊後緒方の庄惟基の嫡子を養ふて子となし高千穂太郎政次と稱し其後七百三十餘年即ち天正十五年親武の代に至り縣の高橋氏の爲○に亡ぼされたりといふ。 — 曽小川彦千代 1899.3、『日向都案内記』p89

脚注

  1. ^ a b c 三毛入野命(古代氏族) & 2010年, p. 594.
  2. ^ 曽小川彦千代 著『日向都案内記』1899.3p89
  3. ^ 甲斐勝美 著『日向高千穂旧跡勝地案内』1917p5

参考文献

外部リンク


御毛沼命

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常世の国」の記事における「御毛沼命」の解説

御毛沼命(三毛入野命)は鵜葺草葺不合命息子で、神武天皇の兄にあたる。『古事記』の中ではまった何の事跡もなく、上巻末尾鵜葺草葺不合命の子並べたところに、御毛沼命は波の穂を跳みて常世の国渡ったとのみある。『日本書紀』では三毛入野命神武天皇東征従軍して軍船進め熊野至った折、暴風遭い、「自分の母と姨はともに海の神であるのに、なぜ波を起こして我々を溺れさせるのか」と嘆き、波の秀を踏んで常世郷に往ったという。

※この「御毛沼命」の解説は、「常世の国」の解説の一部です。
「御毛沼命」を含む「常世の国」の記事については、「常世の国」の概要を参照ください。

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