茨城県 地理・地域

茨城県

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/15 03:30 UTC 版)

地理・地域

茨城県の主要地形
主要河川

地方区分としては、関東地方首都圏北関東東関東東京圏などに分類される。東は太平洋となっており、北は福島県東北地方)、西は栃木県および埼玉県、南は千葉県と接する。

県の面積は全国24位だが、関東平野を含む平地に富むことから、可住地面積[注 5]では全国4位となる[7]

大地形

山岳地形
県の北側3分の1は山岳地帯になっている。ここは東北地方から茨城県北部にかけての太平洋側に連なる阿武隈山地(阿武隈高地)の南端に相当する。一帯は那珂川久慈川などの河川による開析が進んでおり、那珂川と久慈川に挟まれた地域を八溝山地、久慈川と里川(久慈川支流)に挟まれた地域を久慈山地、里川の東側を多賀山地[8]と呼んでいる[9]
八溝山地は県の北西部を南北に縦走し、栃木県との県境になっている。この北西端には県内最高峰の八溝山(標高1022メートル)は福島県・茨城県・栃木県の県境になっている。八溝山地を侵食して東西に流れる河川を境にして、いくつかの山塊に区別することもあり、押川(久慈川支流)を南限とする八溝山塊、那珂川を南限とする鷲ノ子(とりのこ)山塊、JR東日本水戸線が走る低地を南限とする鶏足(とりあし)山塊などと呼ばれる。これに筑波山加波山を中心とする筑波山地(筑波山塊、筑波連山)を八溝山地に含める場合もある[9]
久慈山地は西の久慈川、東の里川(久慈川の支流)に挟まれている。この山地は北へいくほど東西の幅が狭くて標高が高いので、険しい。その北部を東西に短絡する月居峠[注 6]は古くから交通の要衝とみなされていた。この峠下には袋田の滝があり、県を代表する観光地になっている。この山地の主峰は男体山(標高653.7メートル)[9]
多賀山地は北へ行くほど幅が広く、なだらかな高原地形になっている。分水嶺は西側の里川に寄って偏っており、東側には大北川、花貫川、十王川(梁津川)などが入り込んで渓谷を作っている[9]
水系
県内を流れる一級河川には利根川那珂川久慈川があり、いずれも太平洋(鹿島灘)に注いでいる。
主要な河川として、利根川水系の支流鬼怒川小貝川が県西部を北から南へ流れている[7]。これらが合流する利根川の下流域は、古代には香取海と呼ばれる内海が形成されており、霞ヶ浦などはその名残と考えられている。霞ヶ浦は西浦、北浦、外浪逆浦などに区分される場合もある[注 7]。このほか県内には牛久沼涸沼などの淡水湖沼がある[7]
利根川水系の主な支流には、鬼怒川、小貝川のほか、新利根川桜川。このほか江戸川中川権現堂川は茨城県と千葉県・埼玉県の県境の一部に、渡良瀬川は茨城県と栃木県の県境の一部になっている。
二級河川としては、大北川、十王川などがある。詳細は茨城県の二級水系一覧参照。
平野部
県の中部から南部は関東平野の一部になっている。一帯を常総平野と呼ぶ場合もある[7]。また、阿武隈山地よりも南側の茨城全域を常陸台地と呼び、千葉県北部の下総台地も含めて常総台地と総称することもある。久慈川、那珂川、利根川の各支流など、常総台地を流れる河川を境としてさらに細かい台地に区分する場合もある[10]
このほか、筑波山地の東部を八郷盆地(旧八郷町、現在の石岡市の一部)と呼ぶ場合もある。
その他の主要地形

気候

太平洋側気候を呈し、冬季は少雨乾燥、夏季は多雨多湿となる。また、太平洋沿岸部は海洋性気候、内陸部は内陸性気候となる。全般に冬季は朝晩は沿岸部を除き放射冷却により気温が下がり、夏季は埼玉県に近接する一部地域を除き北東気流の影響を受けやすく比較的冷涼である。豪雪地帯に指定されている地域は存在しないが、南東部を除く地域、特に北西部山間部は南岸低気圧や北東気流の影響で局地的に大雪となることもある。豪雪地帯に指定されている地域を持たない県としては最北端に位置する。

  • 北部沿岸部北茨城市日立市高萩市などが該当。海に面するため県内では比較的温暖な地方であり、日立の冬季の気温は北部にありながらも南部に位置する鹿嶋と共に県内で最も高く、1月の平均最低気温は0.1°Cである。一方、夏季は冷涼であり、北茨城では8月の平均気温が23.5°Cと県内で最も低く、年間通して海洋性の気候の特色が出ている。
  • 北部山間部常陸大宮市常陸太田市大子町などが該当。冬季の冷え込みは筑波山を除くと県内では最も厳しく、時に-10°C前後の冷え込みとなることもある。大子では1月の平均最低気温が-5.5°Cだが、夏の日中は猛暑日になるほど暑くなる。しかし、熱帯夜は稀であるなど内陸性の気候となっている。
  • 南東端部鹿嶋市神栖市などが該当。海洋性の気候であり、冬は冷え込みの少ない県内で最も温暖な地域である。特に、銚子に隣接する神栖市沿岸部は関東地方全体で見ても温暖な地域となっている。また、積雪となることは非常に少なく、夏は冷涼である。
  • 南西端部古河市などが該当。県内では最も夏の暑さが厳しい地域であり、しばしば猛暑日を記録する。埼玉県群馬県の平野部に近い気候特性で、冬季はからっ風の影響を受けやすい。朝晩の冷え込みは県内他地域に比べると幾分弱く、1月の平均最低気温は-1.7°Cと、太平洋沿岸部を除くと、内陸では霞ケ浦に隣接する土浦に次いで高くなっている。夏季の最低気温も古河は県内では最も高く、熱帯夜になることも珍しくない。
  • 中央部・南部平野部水戸市からつくば市龍ケ崎市にかけての県内の大部分が該当。冬季の気温は関東平野部では最も低い部類に入り、1月の最低気温平年値は、つくばで-3.2°C鉾田で-3.1°C、最南部の龍ケ崎でさえ-2.4°Cなどと低くなっており、過去にはつくばで-17.0°C(1952年2月5日)、龍ケ崎で-15.5°C(1984年1月20日)を記録した。このように、平野部でも-10°C以下まで下がることがあり、21世紀に入ってからも下妻筑西、鉾田では-10°C以下を観測している。しかし、霞ケ浦の影響を受ける地域では冷え込みが弱い。一方、夏季も北東気流の影響を受けやすいために、熱帯夜は少ない。水戸周辺などの東部地域では北東風により時に、突発的なゲリラ降雪をもたらす。また、晩春から初秋にかけて、まれに竜巻が発生する。
茨城県内各地の平年値(統計期間:1971年 - 2000年、出典:気象庁・気象統計情報
平年値
(月単位)
北部沿岸部 北部内陸部 中部 西部 南部 南東部
北茨城 日立 大子 常陸大宮市
小瀬
水戸 笠間 下妻 古河 つくば 筑波山 土浦 龍ケ崎 鉾田 鹿嶋
平均
気温
°C
最暖月 23.4
(8月)
24.6
(8月)
24.5
(8月)
24.3
(8月)
25.0
(8月)
24.9
(8月)
25.3
(8月)
26.1
(8月)
25.2
(8月)
20.7
(8月)
25.7
(8月)
25.4
(8月)
24.6
(8月)
25.1
(8月)
最寒月 3.5
(1月)
4.4
(1月)
0.3
(1月)
1.5
(2月)
2.8
(1月)
2.1
(1月)
2.6
(1月)
3.2
(1月)
2.3
(1月)
-0.5
(1月)
3.6
(1月)
2.9
(1月)
2.5
(1月)
4.4
(1月)
降水量
mm
最多月 206.7
(9月)
201.4
(9月)
214.9
(9月)
208.8
(9月)
193.9
(8月)
194.0
(9月)
190.4
(9月)
183.3
(9月)
186.6
(9月)
181.0
(9月)
168.2
(9月)
179.0
(9月)
196.6
(9月)
215.1
(9月)
最少月 30.0
(12月)
28.9
(12月)
29.3
(12月)
26.9
(12月)
33.1
(12月)
29.0
(12月)
27.5
(12月)
22.6
(12月)
34.6
(12月)
26.2
(1月)
30.9
(12月)
33.6
(12月)
34.8
(12月)
49.2
(12月)

自然公園

奥久慈男体山(奥久慈県立自然公園)
愛宕山(吾国・愛宕県立自然公園)
国定公園
県立自然公園
  • 奥久慈県立自然公園
  • 花園花貫県立自然公園
  • 高鈴県立自然公園
  • 太田県立自然公園
  • 御前山県立自然公園
  • 大洗県立自然公園
  • 笠間県立自然公園
  • 吾国・愛宕県立自然公園
  • 水戸県立自然公園
ジオパーク

地域区分

地域区分と2021年6月1日推計人口
内陸側 太平洋側
栃木県 県北
0341,294人)
太平洋
県央
0699,508人)
県西
(530,132人)
県南
(1,006,382人)
鹿行
(266,472人)
茨城県 地域区分図

県域は、自然的条件から、広義では県南、県央、県北、鹿行に四分される。さらに社会・経済的特性とくに都市化を条件に加えると広義の県南は県南、県西に二分される[11]

県庁が定める地域区分

茨城県には32市7郡10町2村がある(本県の町は全て「まち」、村は「むら」と読む)。それらは、県庁によって以下の5つの地域に区分されている[12]。以下、地域内人口と、都市圏等を記載する(地域内人口は2005年国勢調査の値、都市圏の人口は2010年国勢調査に基づく都市雇用圏の値)。

茨城県は、全国47都道府県の内、11番目に人口が多い。総面積は全国24番目であるが、可住地面積では全国第4位である。人口は特定の都市に集中せず全体に広く分布している。

県北地域

人口341,294人。地域内から県央地域にかけて日立都市圏(325,001人)が存在する。

県央地域

人口699,508人。地域内から県北地域にかけて水戸都市圏(652,367人)が存在する。

鹿行地域

人口266,472人。かつての鹿島郡(現・鉾田、鹿嶋、神栖の3市)と行方郡(現・行方、潮来の2市)から1字ずつとった名称である。学校の部活動の地区名など「県東(けんとう)」と呼ばれることもある。神栖都市圏(259,398人)は千葉県の一部にも広がりがある。

県南地域

人口1,006,382人。地域内は東京都市圏の一部(323,256人)に含まれるほか、県内を中心とする都市圏では最大規模であるつくば都市圏(844,321人)を有する。

県西地域

人口530,132人。地域内は小山都市圏の一部(49,980人)、東京都市圏の一部(8,082人)に含まれるほか、古河都市圏(207,308人)、筑西都市圏(137,780人)を有する。

その他の地域区分

水戸地方気象台が気象情報や注意報と警報などを発表する区分は、県北地域、県央地域、鹿行地域、県南地域、県西地域に分けられている。これらに分類される市町村は県庁が定める地域区分とほぼ同じであるが、ひたちなか市・那珂市・東海村の2市1村が県央地域ではなく県北地域に含まれるという違いがある。水戸地方気象台が気象予報や注意報と警報などを発表する場合など、県北地域・県央地域を合わせて茨城県北部、鹿行地域・県南地域・県西地域を合わせて茨城県南部と表す場合もある。

北部・南部
かつての気象予報区や、陸運事務所の管轄はこれに近い。北部が茨城県( - 1875年5月6日)、南部が旧・印旛県(千葉県)北西部、旧・新治県北部に当たる。
北部・南東部・南西部
旧・新治県のうち現在茨城県の部分を、国道51号沿線の南東部(鹿行地域)と、国道6号沿線の南西部に分ける。この場合旧・印旛県のうち現在茨城県の部分は南西部となる。
「地方」に市町村名などを冠していう方法
市町村の事務組合で使用されることがある。

地域的特徴

北部(県央地域と県北地域。1875年5月6日までの茨城県)と南部(旧・印旛県北西部、旧・新治県北部)では地域色が異なっており、旧・新治県でも、国道51号沿線(大洗鹿島線鹿島線)と国道6号常磐線)沿線、旧・印旛県でも国道6号(常磐線)沿線、つくばエクスプレス沿線、県西地域とでは、経済的基盤も異なっている。

北部で人口が減少し、南部で人口が増加傾向にある状態を「南北格差[13]」または「南北問題[14]」と呼ぶことがある。地域格差を解消するための施策として、県では、2006年から2010年度までの5ヶ年計画で、鹿行・県南・県西の各地域を「南部広域連携圏」とし、県北山間・県北臨海・県央の各地域を「北部広域連携圏」に分けた展開の方向性を示している。「南部圏」は、南関東との更なる連携を強める交通インフラに重点を置いた地域造りを、「北部圏」は、北関東における物流拠点や先端産業拠点と、広域交通基盤の整備を目指している。また、県庁内に、県北地域の振興を専門に行なう県北振興室が新設され、県北地域振興を担う(財)グリーンふるさと振興機構とともに、「いばらき さとやま生活」と名付けた主に団塊世代をターゲットにした移住・二地域居住など、県北地域(ひたちなか市・那珂市・東海村を除く)でのゆったりと豊かなライフスタイルを発信、推進している。

北部(県北・県央地域)
南部(県南地域)
東部(鹿行地域)
鹿島臨海工業地帯(鹿嶋市・神栖市)
波崎海岸の風力発電設備(神栖市)
西部(県西地域)
  • 古河筑西を初めとする地域。元の猿島郡(一部は西葛飾郡より編入)、真壁郡結城郡(一部は豊田郡岡田郡より編入)に相当し、旧・真壁郡以外はかつて下総国、千葉県に属した。
  • 古河は宇都宮線の沿線にあるため、埼玉県栃木県の一部だと誤認されることも多い。
  • 結城新4号国道が通っているため、埼玉県や栃木県・群馬県(両毛)との繋がりが深いのに対して、県内他地域との繋がりは浅い。
  • 国や県の出先機関が集中する筑西も栃木県との境にあり、県庁所在地である水戸方面との繋がりは浅い。具体的な一例としては、自動車・鉄道とも栃木県の県庁所在地である宇都宮市の方が、水戸よりも近い、といった具合である。
  • 1978年(昭和53年)4月17日より車のナンバーは県西地域全域が「土浦」であったが、2007年(平成19年)2月13日から県西地域全域がご当地ナンバーである「つくば」となった[17][19]
  • 古河市・五霞町境町および坂東市の一部はNTT東日本栃木支店の管轄地域であり、電気通信上栃木県扱いとなる。同地域では、2010年1月をもってフレッツ光の全面供用が開始されたが、他の県西地域では現在も一部の市街地での提供に留まる。

注釈

  1. ^ 水戸市の人口は約27万人。つくば市の人口は約24.5万人。
  2. ^ 日立市、ひたちなか市、古河市、土浦市、取手市の5市。
  3. ^ ただし、「愛媛県」の「媛」は1990年人名用漢字の前は旧字体であった。
  4. ^ 宮城県は「宮(みや)」に濁音が含まれていないため連濁により「城」が「ぎ」と濁り、茨城県は「茨(いばら)」には既に濁音が含まれているため連濁せず「城」が「き」となる、という差異が生じる。
  5. ^ 可住地面積は、県の面積から林野と湖沼の面積を差し引いたもの[6]
  6. ^ 現在は国道461号が通過。
  7. ^ 「西浦」単独でも、北浦・外浪逆浦などを加えた総称でも、いずれの場合でも霞ヶ浦は琵琶湖に次いで日本で2番めに大きな湖である。
  8. ^ 実際の乗車時間については、途中駅での特急列車の待避等により列車によって差異がある。また、当該乗車時間は、普通列車のみを利用し、途中で特急(ひたち・ときわ)に乗り継がない場合のものである。取手駅から東京駅へは、上野東京ライン直通列車利用での時間で、乗り換えなしで行った場合での計算である。普通列車と同じく運賃のみで乗車でき、途中の停車駅が少ない特別快速列車の場合は、取手駅から東京駅まで40分程度となる。
  9. ^ この時、県庁が茨城郡水戸に置かれたので、茨城県と命名された。
  10. ^ 当初は印旛郡佐倉に県庁を置く予定であったが、実際は加村の旧・葛飾県庁舎を県庁とした。
  11. ^ ラッキョウを軟白栽培したもので「エシャレット」は日本独自の商品名である。フランス料理などに使用される本物のエシャロットとは別物。
  12. ^ a b 利根川の千葉・茨城県境から取手駅までの900 mのみ。
  13. ^ 県内では古河駅のみ。
  14. ^ 大宮駅(埼玉県) - 小山駅(栃木県)間で猿島郡五霞町および古河市内を約10 kmに渡り通過する。中川浩一1981年の「茨城県鉄道発達史」において、新幹線が茨城県にただ騒音のみをもたらすことを危惧していたが、状況はその後も変わっていない。
  15. ^ ちい散歩』→『若大将のゆうゆう散歩』→『じゅん散歩

出典

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